映画<Несокрушимый>(ニェサクルシームィー)=破れざる者(2018年10月25日)
稚内市サハリン事務所からも極近い、コムニスチ―チェスキー通に面した辺りに映画館の<オクチャブリ>が在ります。
この<オクチャブリ>のコムニスチ―チェスキー通側は、恐らく"映画館"と称している施設ではユジノサハリンスクで最大と見受けられる、700名位は入れそうなホールが在ります。そして裏のカール・マルクス通側に廻ると、100名程度が入る小ホールも在ります。
この<オクチャブリ>裏のカール・マルクス通をよく通り掛かります。通り掛かると、<オクチャブリ>の建物の裏側の壁に眼が向きます。映画の広告看板が在るのです。
↓このところ気になっていた看板がこれです。
Несокрушимый.jpg
↑第2次大戦期のソ連軍の軍服を身に着けた、映画の劇中人物と見受けられる人達が出ている看板です。
第2次大戦期のソ連軍の軍服ということに加えて、画の左側の人物達は、当時のソ連軍戦車兵が使っていた少し独特なキャップを被っています。
ユジノサハリンスクでの映画上映ですが、上映の期間が何となく短めであるような気がします。1ヶ月まで続かず、2週間程度で終わってしまうような感さえします。そして、最初は日に何回か上映が、何時の間にか日に1回という感じになって、そして終わっています。当然、作品毎に状況は違うようですが、そういう状態なので「気になった作品を見逃す」という確率も少し高いように思います。
看板を視て作品が気になり、多少の情報収集を試みました。
↓公開されている予告篇です。
[フレーム]
「凄い...画だ...」と、見付けた予告篇を何度も観てしまいました。
本作はKV-1(クリメント・ヴォロシーロフ元帥のイニシャルを採って、"KV"と呼ばれました。)という戦車を駆って、1942年の戦いで16輛のドイツ軍戦車を屠る勇戦をした戦車長が居たという史実を脚色した物語です。
予告篇動画の最初の方に在る、戦車が撃破されてしまう場面は、映画の冒頭の方に出て来ます。
セミョーン・コノワロフ大尉は、KV-1型戦車に乗り込んで指揮を執る戦車長です。この戦車には車長のコノワロフ大尉以下、ドライバー、砲手、様々な補助的な役目を務める兵士達と計5名が乗り込んでいます。
コノワロフ大尉の巧みな指揮で敵を撃破した少し後、辺りの様子を伺っていた時、思わぬ至近距離の物陰にドイツ軍の4号戦車が潜んでいました。コノワロフ大尉は乗員達に脱出を促しますが、その時には敵戦車砲の直撃を受けてしまいます。
その出来事から少し経った頃、未だ激しい戦いが続いている同地区のとある野戦陣地です。
戦車隊の前線駐屯地という場所にオートバイで乗り付ける者が在りました。野戦陣地での戦車の機関整備を指導するべく派遣されたエンジニアです。女性でした。このエンジニアは精力的に仕事をこなす他方、部隊の士官の名簿を視て、コノワロフ大尉の名を見付け「これはセミョーン・コノワロフか?」と確かめます。
前の戦いで部下達を失う羽目になり、自身も負傷していたコノワロフ大尉はこの野戦陣地に現れ、部隊の指揮官に着任を報告しました。
コノワロフ大尉はKV-1型戦車の<8号車>(ヴァシミョールカ)の車長に任じられます。彼が率いることになる乗員達は、戦場に遺棄された戦車から使える部品を集めて、自分達の戦車の整備をしようと一生懸命な年配のドライバーと、何時も彼に従っている若い兵士、食いしん坊のとぼけた感じの男ながら何でも器用にこなす男、幾つかの部隊を渡り歩いて世慣れた感じの砲手を務める軍曹の4人でした。
コノワロフ大尉は、この4人の新しい部下達と<8号車>(ヴァシミョールカ)を巧く運用するために"チームづくり"に執心しますが、<8号車>(ヴァシミョールカ)は機関に不具合が発生していて、運用に問題が在る状態でした。ここに女性エンジニアが現れます。実はコノワロフ大尉とエンジニアは古くからの馴染みだったのです。
そういう中、女性エンジニアに好意を抱いた部隊の副隊長である少佐との悶着等も起こる訳です。
少佐は、女性エンジニアが「未だ安定した状態ではない」という意見具申をしたことを敢えて無視して、<8号車>(ヴァシミョールカ)を威力偵察任務に送り出してしまいます。が、戦車は途中で動けなくなってしまいながらも、コノワロフ大尉の巧みな指揮で敵を屠り、味方の他の戦車の支援を受けて<8号車>(ヴァシミョールカ)は帰還を果たします。
やがて、更に大規模な両軍の衝突が発生しようという中、乗るべき戦車を失った形になってしまったコノワロフ大尉以下<8号車>(ヴァシミョールカ)の面々は、"戦車随伴歩兵"(戦車の上に乗って前線に移動し、敵陣地の掃討等の任務に就く歩兵)として出動することになりました。
ここから先に関しては、敢えて綴りません。コノワロフ大尉以下<8号車>(ヴァシミョールカ)の面々の必死な戦いが、映画のクライマックスです。
本作には世界的な配給会社が関わっていますが、ロシアの俳優達が、ロシアの先人達をモデルにした劇中人物達をロシア語で演じている、ロシアの監督による作品です。或いは日本語も含めて、何れ吹替えで各国に紹介されることが在るかもしれません。
そんなことも思いながら、「日本語吹替えなら、何と言うのか?」と気になった台詞が在りました。
コノワロフ大尉達が出発する際、女性エンジニアが出て行くコノワロフ大尉に言う言葉です。「生き残って...」か「死なないで...」が普通なのかもしれないのですが、何か「死なないように...して欲しいの...」という位が合いそうな気がする台詞でした。
本作は、「戦時の英雄譚」というような感でもありません。一介の指揮官と部下達が、何とか生き残ろうと必死だったという姿が、淡々と描かれる物語という感です。
実は<オクチャブリ>では、この作品を小ホールで上映する他方、一部は大ホールで上映しています。多分、大ホールでの上映が設定されるのは、公開の最初の方だけだと思います。今般、その大ホールでの上映の回に作品を鑑賞する機会が得られました。
作中には「1942年のロシアの戦線」に在った、KV-1や各派生型のT-34というソ連戦車、4号戦車の各派生型ということになるドイツ軍戦車やハーフトラックが「本物?!」という感じで動き回っています。そして両軍の戦闘機が上空を舞う短い場面も在ります。凄く手が込んだ画創りが為されていて、大スクリーンで観ると凄まじい迫力でした。
「死なないように...して欲しいの...」という感で必死な主人公達の様子は、観ていて少し熱くなるものも在りました。観た後は、多少の余韻に浸ってしまいます
この<オクチャブリ>のコムニスチ―チェスキー通側は、恐らく"映画館"と称している施設ではユジノサハリンスクで最大と見受けられる、700名位は入れそうなホールが在ります。そして裏のカール・マルクス通側に廻ると、100名程度が入る小ホールも在ります。
この<オクチャブリ>裏のカール・マルクス通をよく通り掛かります。通り掛かると、<オクチャブリ>の建物の裏側の壁に眼が向きます。映画の広告看板が在るのです。
↓このところ気になっていた看板がこれです。
Несокрушимый.jpg
↑第2次大戦期のソ連軍の軍服を身に着けた、映画の劇中人物と見受けられる人達が出ている看板です。
第2次大戦期のソ連軍の軍服ということに加えて、画の左側の人物達は、当時のソ連軍戦車兵が使っていた少し独特なキャップを被っています。
ユジノサハリンスクでの映画上映ですが、上映の期間が何となく短めであるような気がします。1ヶ月まで続かず、2週間程度で終わってしまうような感さえします。そして、最初は日に何回か上映が、何時の間にか日に1回という感じになって、そして終わっています。当然、作品毎に状況は違うようですが、そういう状態なので「気になった作品を見逃す」という確率も少し高いように思います。
看板を視て作品が気になり、多少の情報収集を試みました。
↓公開されている予告篇です。
[フレーム]
「凄い...画だ...」と、見付けた予告篇を何度も観てしまいました。
本作はKV-1(クリメント・ヴォロシーロフ元帥のイニシャルを採って、"KV"と呼ばれました。)という戦車を駆って、1942年の戦いで16輛のドイツ軍戦車を屠る勇戦をした戦車長が居たという史実を脚色した物語です。
予告篇動画の最初の方に在る、戦車が撃破されてしまう場面は、映画の冒頭の方に出て来ます。
セミョーン・コノワロフ大尉は、KV-1型戦車に乗り込んで指揮を執る戦車長です。この戦車には車長のコノワロフ大尉以下、ドライバー、砲手、様々な補助的な役目を務める兵士達と計5名が乗り込んでいます。
コノワロフ大尉の巧みな指揮で敵を撃破した少し後、辺りの様子を伺っていた時、思わぬ至近距離の物陰にドイツ軍の4号戦車が潜んでいました。コノワロフ大尉は乗員達に脱出を促しますが、その時には敵戦車砲の直撃を受けてしまいます。
その出来事から少し経った頃、未だ激しい戦いが続いている同地区のとある野戦陣地です。
戦車隊の前線駐屯地という場所にオートバイで乗り付ける者が在りました。野戦陣地での戦車の機関整備を指導するべく派遣されたエンジニアです。女性でした。このエンジニアは精力的に仕事をこなす他方、部隊の士官の名簿を視て、コノワロフ大尉の名を見付け「これはセミョーン・コノワロフか?」と確かめます。
前の戦いで部下達を失う羽目になり、自身も負傷していたコノワロフ大尉はこの野戦陣地に現れ、部隊の指揮官に着任を報告しました。
コノワロフ大尉はKV-1型戦車の<8号車>(ヴァシミョールカ)の車長に任じられます。彼が率いることになる乗員達は、戦場に遺棄された戦車から使える部品を集めて、自分達の戦車の整備をしようと一生懸命な年配のドライバーと、何時も彼に従っている若い兵士、食いしん坊のとぼけた感じの男ながら何でも器用にこなす男、幾つかの部隊を渡り歩いて世慣れた感じの砲手を務める軍曹の4人でした。
コノワロフ大尉は、この4人の新しい部下達と<8号車>(ヴァシミョールカ)を巧く運用するために"チームづくり"に執心しますが、<8号車>(ヴァシミョールカ)は機関に不具合が発生していて、運用に問題が在る状態でした。ここに女性エンジニアが現れます。実はコノワロフ大尉とエンジニアは古くからの馴染みだったのです。
そういう中、女性エンジニアに好意を抱いた部隊の副隊長である少佐との悶着等も起こる訳です。
少佐は、女性エンジニアが「未だ安定した状態ではない」という意見具申をしたことを敢えて無視して、<8号車>(ヴァシミョールカ)を威力偵察任務に送り出してしまいます。が、戦車は途中で動けなくなってしまいながらも、コノワロフ大尉の巧みな指揮で敵を屠り、味方の他の戦車の支援を受けて<8号車>(ヴァシミョールカ)は帰還を果たします。
やがて、更に大規模な両軍の衝突が発生しようという中、乗るべき戦車を失った形になってしまったコノワロフ大尉以下<8号車>(ヴァシミョールカ)の面々は、"戦車随伴歩兵"(戦車の上に乗って前線に移動し、敵陣地の掃討等の任務に就く歩兵)として出動することになりました。
ここから先に関しては、敢えて綴りません。コノワロフ大尉以下<8号車>(ヴァシミョールカ)の面々の必死な戦いが、映画のクライマックスです。
本作には世界的な配給会社が関わっていますが、ロシアの俳優達が、ロシアの先人達をモデルにした劇中人物達をロシア語で演じている、ロシアの監督による作品です。或いは日本語も含めて、何れ吹替えで各国に紹介されることが在るかもしれません。
そんなことも思いながら、「日本語吹替えなら、何と言うのか?」と気になった台詞が在りました。
コノワロフ大尉達が出発する際、女性エンジニアが出て行くコノワロフ大尉に言う言葉です。「生き残って...」か「死なないで...」が普通なのかもしれないのですが、何か「死なないように...して欲しいの...」という位が合いそうな気がする台詞でした。
本作は、「戦時の英雄譚」というような感でもありません。一介の指揮官と部下達が、何とか生き残ろうと必死だったという姿が、淡々と描かれる物語という感です。
実は<オクチャブリ>では、この作品を小ホールで上映する他方、一部は大ホールで上映しています。多分、大ホールでの上映が設定されるのは、公開の最初の方だけだと思います。今般、その大ホールでの上映の回に作品を鑑賞する機会が得られました。
作中には「1942年のロシアの戦線」に在った、KV-1や各派生型のT-34というソ連戦車、4号戦車の各派生型ということになるドイツ軍戦車やハーフトラックが「本物?!」という感じで動き回っています。そして両軍の戦闘機が上空を舞う短い場面も在ります。凄く手が込んだ画創りが為されていて、大スクリーンで観ると凄まじい迫力でした。
「死なないように...して欲しいの...」という感で必死な主人公達の様子は、観ていて少し熱くなるものも在りました。観た後は、多少の余韻に浸ってしまいます
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