今年の圧巻!来年もよろしく。
天皇様のお宮なので、右大臣左大臣の木像がお守りしており、三種の神器が飾られます。_DSC9673
勧進帳の幕が開きました。
ここは、安宅の関。
関所を守る富樫左衛門尉が、待ち受けます。
_DSC9684弁慶たち一行が安宅にさしかかりました。
左が弁慶。
青い装束が義経です。
衣装はすべて三代目市川箱登羅氏のお手製。
袴は能衣装に似て後ろが平らになっています。
この演目自体、能の「安宅」を下敷きにしているのです。
_DSC9694平成19年に新築された檜舞台はまだまだ木の香も新しい。
暗幕も、背景幕も手作り、手描きです。
裏山から切り出した竹の棒に括りつけ、天井のぶどう棚に吊り下げています。
「怪しい一行」と疑われた弁慶は、これが最後の勤行だと祈りを込めます。_DSC9701
白紙の巻物を「勧進帳」と、言い繕い、読み上げる弁慶の背後に富樫がにじりよります。
笠の陰から、義経の眼が光っています。
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勧進帳を読みあげ、仏教問答の後、さらに疑われた弁慶は、心に涙しながら、主君を金剛杖で打ちすえました。
さすがの富樫も、その弁慶の真情に、打たれ、「疑いは晴れた」と、告げました。
ようやく虎のあごを脱出できると、ほっとした一同は、弁慶の機略をたたえ、その苦衷を思いやり、みなみな涙します。
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立ち去ろうとする一向に、富樫から、贈り物と弁慶に杯が振舞われます。
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義経一行だと、十分勘づきながら、富樫は、その無事を祈って見送るのです。
ここから、弁慶の飛び六方!
手にする金剛杖は、吉野山の土産物屋から人づてに調達しました。
花道が、もう少し長ければなお迫力があったのが、残念ですが。
この舞台が新築されるまでは、合板を並べ、下にはビールケースを並べ大変苦労しました。
舞台と芝居に賭ける情熱!
これは、いったいなにものでしょう?
一度とりつかれたら、離れられない。「まるで、悪女の深情け」のようだと、書いた人がありましたが、そう、その通りです。
芝居というものには、そういう感動がありますが、神社の境内で神々様を意識して、お客さんと手を伸ばせば届く距離での芝居の魅力は・・・言葉に尽くせません。
一番大きなことは、この華を咲かせるまでに演者以外の多くの人々の手がかかっているということです。
神社を守り続けられた村の結束がベースにあり、
その一番たいせつな聖域をつかわせてやろうという村の人の好意があり。
それを受けて、少しでも立派な舞台にしようと言う努力があり、
大道具、小道具、裏方、着付け、化粧、振り付け、音響・・・数えきれない人々の思いが一つに結実した時、芝居は成功します。
幕が閉じられる時、私はいつも「奇跡を見た」と、思います。
ここに漂う空気が「絆」・・・です。
関係各位のみなさまへ、心からの感謝と、今後の御贔屓を御願い奉ります。
生田 浩さんの写真でつづりました。
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