燕京号
ポートアイランドのネックになる大橋の途中に、第5突堤がある。
右側が外国船のつく波止場で、左側が国内線の波止場だ。
「神戸に居ながら、外国に行きませんか?」
不思議な勧誘をして来たのは、もと、王子動物園の園長だったG氏。
彼は、ポートピア81の目玉「パンダ」を借り出すための決め手
「無農薬の笹」を、発見した功労者だ。
大阪万博に次いで、大成功したポートピア81の
成功の決め手は「パンダ」
パンダこそが、ポートピア81の「月の石」だった。
G氏は、中国側が納得する笹を求めて、
休日ごとに、リュックを背負って、兵庫県内の
笹を軒並み、検査して歩いた。
そして、ついに「淡河(おうご)」-神戸市北区ーで、
無農薬の竹林を発見した!
灯台もと暗しとはこのことだ!
こうして、無事、半年の開会期間「パンダ」を、守り通し、
神戸市に未曾有の高収益をもたらした。
こういう中国との交流から、彼は日中友好協会の会員になった。
「木曜日ごとに、第5突堤につく"燕京号"(エンキン号)のレストランで
宴会ができますよ。
飲み放題食べ放題で4000円。
ウェイトレスは皆、中国人だけ。
日本語は通じません。
しかも、燕京号の上は"治外法権"つまり、
"法律的には外国"なんです。
どうですか?
神戸に居ながらの外国旅行気分は?
ただし、夜の8時になると船の入り口が閉じられて
日本に還れなくなります。
ぜったいに、8時までに船を降りること」
友達を、たくさんさそって、結局60人で大宴会をしたよ。
醤油がまずかった。
なんと、飲み放題のビールや、ネクターが冷えてなかった。
でも、それはそれなりに、面白い夜だった。
時間は、すぐに過ぎて、
ギリギリセーフで"日本"に還った。
ガラスの靴が脱げそうな勢いで走ったよ。