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再び失墜したロシアのスポーツ界への信頼

[ 2022年2月11日 05:30 ]

ワリエワ(手前)とコーチ陣(AP)
Photo By AP

【藤山健二 五輪愛】フィギュアスケートのカミラ・ワリエワのドーピング疑惑には深く失望した。まだ詳細が分からないので責任の所在は不明だが、度重なる不正と悪質な隠蔽(いんぺい)で制裁を受け、いまだに「ロシア・オリンピック委員会」という名称でしか五輪に参加できないロシアの選手から再び禁止薬物が検出されたのだとしたら、もはや"絶望"しかない。

検出されたとされるトリメタジジンは狭心症や心筋梗塞などの治療に使われる薬だ。もし健康な人が服用すれば心臓への血流が増え、一時的に心肺機能が向上してよりハードな練習ができるようになる可能性はある。当然、心臓への負担は計り知れないので、世界反ドーピング機構(WADA)は14年から禁止リストに加えている。

15歳の女性が普通に服用する薬ではないし、薬の性質上、誤って飲んだということもほぼありえない。本当に体内から検出されたのであれば、それは「本人が効能を分かっていて服用した」か、「コーチやトレーナーなどの周囲が本人の意思とは関係なく使用した」のどちらかしか考えられない。いずれにしても、意図的なドーピング違反である可能性が極めて高い。

ただ、15歳のワリエワはWADAのルールで情報開示をしなくても良いことになっており、現時点では不明な点が多い。問題の献体がいつどのような形で採取されたのか、報道されているように12月だとするならばそれがなぜ団体戦が終わった今になって明らかになったのか。事の重大性に鑑みれば、IOCや組織委は迅速に詳細を公表すべきだろう。

今の段階で確実に一つだけ言えることは、再びロシアのスポーツ界に対する信頼が失墜したということだ。15日からの女子シングルに影響するのはもちろん、もし意図的であることが証明されれば今度こそロシアのスポーツは世界中から締め出されることになるかもしれない。(特別編集委員)

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