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September 19, 2016

SNSで少しリッチに写真を楽しむ

最近,一般化してきているSNSでの写真投稿やアルバム共有.

楽しい写真を皆と共有する為にアルバム化して沢山投稿したり,日々の記録に使用したり,遠くの友人や家族と近況報告の一環として利用したりと色々な使い方がされているかと思う.

筆者も,少し前までは割と頻繁にSNSを利用し投稿にはほとんど必ずのように写真を載せていた.


非常に便利で,手軽に写真を楽しめるSNSだが,実は色々な制約もある事を皆さんはご存じだろうか?

今回は,そんなネタを紹介しつつ上手にSNSで写真を楽しむ様々な手法を紹介してみようかと思う.

<圧縮劣化する写真!?>
表題の通りSNSでの投稿では当たり前に発生する事の一つが写真データの圧縮劣化.

各種SNSでは,個人に分配された規定値以内のデータスペースを使って動画,写真,音楽そして文章を管理し保持している.
いわば,クラウド上の固定要領記憶領域があると言った感じである.

利用者はサービス利用の際に,その保存領域を分け与えられ,それを利用して投稿を楽しみ設定によって他の利用者と共有しているのである.

パソコン上だと意外と大変な作業を利用者は意識せずにブラウザ上で簡単に扱えるようになっているのがSNSの最大の特徴であり魅力だろう.


ここで考えて欲しいのは,データを保持している記憶領域には限りがあると言う事.
もちろん,最大限に使えるように調整されているわけで,簡単には要領オーバーする事はまずない訳だが逆を言えば最大限に扱えるように様々な所でデータを見切っていると言う事になるのである.

と,言う事はアップロードした写真や動画は相当に圧縮されてしまうと言うのが容易に想像つくだろう.


ここでちょっとしたことを知っていると実は劣化を最大限に抑える事が出来る.
もちろんその分データ容量は必要になってしまうが,『この画だけは絶対に高画質で』と言ったようなここぞと言うところで利用すると他の利用者の目を引く投稿が出来るかもしれない.


簡単に言ってしまうと保存形式の問題である.
SNS等で主に利用できる静止画ファイルの形式は一般的に以下の3つである.

---代表的な画像フォーマット---
・JPEG(.jpg):Joint Photographic Experts Groupの略称で非常にメジャーな静止画圧縮方式の一つ.カメラの画像はもちろんの事ながらスマートフォンの画像でもデフォルト設定では基本的にjpegで保存される事がほとんどである.
JPEGのほとんどのデータは"非可逆圧縮"と言われる,圧縮前のデータと圧縮・展開後のデータが完全には一致しない方式を採用しており,圧縮率によっては見た目にも影響を与えてしまう.

その代り,データ容量を非常に節約できるのが特徴.もちろん圧縮を繰り返せばそれだけブロックノイズ等も増えて画質が非常に悪くなる.
SNS等でのアップロードに置いても単純に圧縮が可能な事から,JPEGデータが来ると,固定値まで必ずサイズダウンさせられてしまう事が多い.

逆に言えば,元データのサイズが大きければ大きい程に非常高い圧縮をされてしまう.
最近はスマートフォンではカメラ性能や表示解像度が上がっている都合上,彩度の表現力はもちろん解像度も非常に高くデータサイズが大きいため,実は旧式のスマフォカメラで撮影したデータよりもアップロードされた画質が悪くなる事も大いにあったりする.

撮影時の縦・横サイズを下げるか,アプリケーション等を利用して加工による画像のサイズダウンをしておくと多少は防げる.

・GIF(.gif):Graphics Interchange Formatの略称で画像ファイルフォーマットの一つ.256色以下の画像を扱う事が出来る可逆圧縮形式のファイルフォーマット.8ビットカラーのファイルなので,カラーパレットが最大256色と少ない.
故に写真等の多色には向かないが,グレースケール等ではファイルサイズを制限しつつも輪郭をキレイに残せる等,威力を発揮できる.

また,JPEGと違い可逆圧縮と言う,圧縮前のデータと圧縮・展開後のデータが完全に等しくなるロスレス圧縮な為,文字フォントや幾何学的な模様等を表示するのにも向く.

加えて,複数の画像を1つのファイルに保持してパラパラ漫化する事が出来る為,簡易アニメーション画像としての利用方法もある.

・PNG(.png):Portable Network Graphicsの略称でGIF同様に可逆圧縮方式でありながらも8bitカラーからJPEGのようなRGB24bitカラーはもちろん48bitカラーまでもサポートする等,画像の質感を最大限残す事が出来る.

また,他の画像と違いクロマキーによる透過指定が可能なので,背景を透明にしておける等,グラフィックとしての利便性も非常に高い.

JPEGやGIFに比べるとブラウザ等における対応が行き届いていなかった時代もあるが,現在では様々なサービスでも用いる事が出来るほどメジャーになっている.

ただし情報量が多い分,圧縮率は低いためデータ量は大きくなってしまう.

尚,あくまで保存形式の一つにすぎないためJPEGやGIFの画像をPNGにしても,元データ以上の画質向上になる事はもちろんない
---endl---


これらの拡張子を見てピンと来た方は,説明不要かと思うが,それぞれの得意分野に合わせて画像を変更しておけばアップロードしても不都合が生まれにくくなると言うわけである.

故に,画像編集系のアプリケーションを使ってそれぞれ目的の形式に変更して保存し直してしまえばいいわけだ.


例えば,『どうしても暗い画像で明暗が確り表現されないとノイズだらけになる夜景』等がJPEGの画像であったとしたらPNGに変換すればいいわけである.

データとしては縦・横サイズの最適化くらいは行われるかもしれないがJPEG等に比べれば大きいのでSNS上でも開くのに時間がかかる可能性があるが,アップロードしても非常にきれいなままの表現力を再現してくれるだろう.
ここぞと言う1枚に是非利用してみて欲しい.


逆に,カラー数の少ないイラスト画像等ならGIF形式にしてしまえばいい.
特に,文字や幾何学模様なんかが描かれているようなら非常にきれいなラインを再現したまま表示が可能だろう.


大量の写真をアップロードする場合はJPEGを使う事になると思うが,どうしてもアップロード時のリサイズ等の条件が読めない為,予め表示に最適な縦・横サイズ(320*480等)へ合わせてトリミングやリサイズをするといい.

画像サイズも小さいのでサーバー負荷も少なく,アップロードやSNS上での表示でも時間がかからないですむはずだ.


こんな感じで,ここぞと言うところで画像フォーマットを逆手に取ったアップを心がけると,画像を効果的に共有できる.

SNSでの表示画像の画質にお悩みの方は,高いカメラを手に入れるよりも先にまずはこれらを試してみて欲しい.


余談だが,ここで一つ注意してほしい事がある.

ここまで読んだ人ならなんとなくわかっているかと思うが,SNSにアップロードされている画像は元画像そのものではない.
いわゆる,元の画像をベースに改変コピーした圧縮画像なのである.
[画像:160919_photo_01]
アップロード前の画像の一部分


[画像:160919_photo_02]
アップロード後の画像の一部分
(ブロックノイズや色見切り等,劣化しているのが一目瞭然)

縦・横サイズはもちろん,保存されている色情報や圧縮率すら異なる画像でありカメラやスマートフォンで撮影した画像データとは全く別のものである.


写真データに執着しないのであれば構わないが,基本的にSNSでの写真と言うのはクラウドサービスに画像データを保存するのとは全くの別物なのであると言う事を忘れないで欲しい.


オリジナルのデータはあなたの持っている端末の中にしか基本的には無い(クラウドサーバーにコピーがある場合を除く)

後になって,引き伸ばし印刷したりしたい時に困るので『SNSにアップしてあるから端末の画像は消しちゃっていいや』ってな具合で消すと二度と元の画像は戻ってこないので注意して欲しい.

もちろん,メッセンジャー等で画像を送受信する場合も全く同じである.
どうしても,圧縮されていない生のデータが必要な場合はクラウドサービスを利用した限定共有等の手法でファイルそのものをやり取りする手法がおすすめである.



<実は危険!勝手に使われてしまうSNS写真の恐怖>
皆さんはご存じだろうか?
一般的に公開されているSNSの写真には実は肖像権や使用権と言うものが曖昧である事を.

様々なサイトでもよく紹介されている有名な話として,『SNSで投稿した写真が勝手に使われていた』と言うウソのような噂話.

実は嘘でもなんでもなく,これは本当に起こり得る話なのである.


SNSにおける写真投稿には,特別なプロテクト機能は無い.
裏を返せば公開型のSNSにおける投稿での写真そのものに対するセキュリティーの類はゼロに等しい.
コピー・転用し放題と言う事である.


写真には様々な法的保護が存在し自分や自分の投稿は守られていると勘違いしている方が多いかと思う.
確かに,使用権や著作権また肖像権等様々な権利が発生するのだが,よく考えて欲しい.
これらの権利は法的に言えば基本的に無許可で販売される等"営利目的"として"侵害"された場合が主であり,それ以外のケースとしても各種侵害における有形無形の不利益等がほとんどである.


もちろん,肖像権等は本人自身が生まれ持った権利であり特別な申請等は無いため『自分が写り込んでいる映像を勝手に使用された!侵害だ!』と言う訴えは法的には認められるかもしれないが,問題はそれにより被る被害は何かと言う事になる.
経済的な不利益が発生したのだろうか?精神的な苦痛でも感じたのだろうか?
一般人にとって,これらの事が不利益に繋がる可能性は極めて低いのである.


解り易く例えると,SNSで投稿した『自分が海で楽しそうに泳ぐ写真』が有名な無料購読のニュースサイト等で勝手に使われていたとしよう.

その記事の内容が,『本日,海開きをしました!皆さん楽しそうですね』と言う内容だった場合,この記事における写真の有無で発生し得る利益の差は証明する事が非常に難しい.

無料購読のニュースサイトでも,広告収入等による収入が考えられ写真の有無での購読者数に差が出れば,広告収入による差がもしかしたら生まれるかもしれない.

しかし,それはあくまで統計的な話であり購読者の全員が広告収入に直結するような広告を開く行為をするとは考えにくいわけであり,仮に投稿ページにアクセスカウンタがあったり,サイトのページ毎に広告収入の統計が取れるとしても,写真の有無での差を検証する事は出来ない為,利益の差を見る事はまず不可能だからだ.

総じていえば,意図した利益の為の投稿に乱用したと訴えるのは至難の業なのだ.


逆の発想で考えてみよう.
それは写真の投稿主が,その写真に写っている事で不利益を得る場合である.

例えば,『その日は会社を無断欠勤で遊びに出かけていてニュースサイトへの投稿のせいで事がバレて減給をくらった』としよう.
では,なぜSNSに投稿したんだと言う話になるわけだが,それ以前に会社から訴えられてもおかしくない状況だと言える.
不利益を被ると言うより,自業自得だ.

視点を変えて,当事者が『水着の姿を不特定多数の人間に見られたくなかった』としよう.
こちらも,だったらなぜSNSに投稿したんだと言う話になるわけで,精神的苦痛を要求できるだけの説得力に欠けるだろう.

このように,経済的にも精神的にも不都合があると訴える為には,自発的なSNSへの投稿自体が問題視されるわけであり,無断転用が問題視されるまでに発展しない可能性が高くなってしまうわけである.


非常に残念だが,投稿者は公開範囲をコントロールできる以上,あまり保護されていないと言う事になる.
もはや,自己責任である.


尚,投稿写真が創造の元で撮影された芸術的な1枚である場合は著作物として認定されるため,少し具合が変ってくる.

しかし,自撮りや簡単なスナップ写真が著作物に認定されるためには,コンテスト等で賞を取る等しない限り難しいと考えられる.


『これでは,投稿を自由に楽しめないではないか!』と思う方もいらっしゃる事と思う.
御最もである.

そんな人は1つ手間にはなるがこんな手法がある.

例えば,写真をアプリケーション等を利用して加工し,署名を付けてしまうと言う手法である.
本名だろうがハンドルネームだろうがなんだっていい.
オリジナルの印があるなら尚いいだろう.

画像データそのものに署名が載っている以上は,『これは私のだ!』と証明しやすい上,勝手に使用しにくくなる.

たったこれだけでいい.

ファイルのタグ情報をいじる等もネタとしてはあるにはあるがSNSにアップロードする際に圧縮等の行為で消えてしまう可能性が高いので,画像そのものを見える形でいじるのが一番効果的だと考えられる.
いちいち画像加工で作るのが面倒な人はアプリ等で著名やキャプションを簡単に入れられるものもあるので利用してみるといい.
有名どころでは『LINE camera』と『iWatermark』等で非常に簡単に作れるので試してみて欲しい.


一手間でも,これをやるだけで自分の写真保護はもちろん,写真に写りこんでいる皆も守る事が出来るので是非,手間を惜しまずにやってもらいたい.



<スマートフォン撮影でのコツ>
さて,ここまでの投稿でSNSでの写真投稿に負のイメージばかりが募ってしまった方も多いかもしれない.
申し訳ない.

ただ,仕組みと流れさえ上手に理解してさえいれば手軽さと共有のしやすさは非常に高い訳で決して悪い事ばかりではない.

前置きが長くなってしまったが,そんなSNS投稿で最も皆さんが利用しているカメラと言えば有無も言わさずスマートフォン等のモバイル端末に内蔵されたカメラだろう.

常に身近に所有しており,手軽に撮影できる端末でありながら,電話網を利用したネットワークにつながっている事も相まって簡単にSNS等への投稿が出来る便利さは,例え専用機であるカメラや多目的に利用可能なパーソナルコンピュータをも凌ぐかと思う.

ここでは,そんなスマートフォンを使った撮影の時にちょっと気にしておいて欲しい撮影ヒントをまとめてみる.

尚,ここではカメラ機能の技術的な部分を逆手に取った効率の良い手段をまとめている.
便利に使う事を目的としていない為,他のサイトとは真逆な事を言っている内容もゼロではない.
あくまで,本記事で取り上げているのは如何にキレイな写真を残すかである.

どちらが自分のスタイルに合っているかを判断して一つの知識としてうまく利用してみて欲しい.


・ピンと位置をコントロールして見た目の明るさを稼ぐ
スマートフォンのカメラで一番辛いのは明るさ稼ぎだと思う.
どうしても,内臓CCDカメラの性能と言うかボディーサイズの制約の都合で技術的にも明るさを稼ぐことは非常に難しい.

実は,皆さん意外と知らないのだが明るさと言うのはセンサーに光をどのくらい入れるのかと言う設定で決まっている.
そしてその原則は『F値(レンズの絞り)』,『シャッタースピード』そして『ISO感度』からなっており,これらの関係をうまくコントロールしないとセンサーに入り込む光の量を変える事は出来ない.

しかし,オート設定の状態ではたとえ一眼レフだろうがミラーレスだろうがコンパクトカメラだろうがもちろんスマートフォンだろうが利用者が考える事なく使えるようにとの配慮の元で一定な明るさを保つようにしか設定されていない為,どんなに頑張っても,物理的に明るさを稼ぐことは出来ない事がほとんどなのだ.

では,どうにもならないではないかと言われてしまうかもしれないが,そんな時はスマートフォンのカメラに付いているオート機能を逆手に取った撮影方法を試みて欲しい.


スマートフォンのカメラでは基本的に画面タッチした場所にピントを合わせる仕様が一般的である(設定で変える事が出来るものもある)
オート設定で撮影するのがほとんどだと思うが,実はこのピント合わせの場所に含まれている明るさや色合いをベースに自動でホワイトバランス等を決めているのである.

と,言う事はピントを合わせる場所によって撮影時の色味やオート調整部分の設定が変化してしまうと言う事になる.

逆に言えば,場所によっては暗いと思う画角での撮影でも明るそうに写せるポイントがあると言う事だ.

最近のCCDカメラは性能が向上しており,ボケ味を演出できるまでになってはいる為,ピントの場所は画を撮る上で重要視されてしまう事があるわけだが,まずは明るく写っていなければ全然意味がないわけで,そのポイントを押さえつつ撮影場所を変更したりすれば,より明るく見える撮影が可能になると言う事である.

ただし,動きのあるものを撮影する場合は注意して欲しい.
動きがある以上はシャッタースピードの制約が付いて回る.

撮影場所が暗くて,シャッタースピードが遅くなる(露出が高くなる)条件で撮影してしまうと,ブレてしまうわけで折角の撮影が台無しである.
シャッタースピードを保つためには暗くても露出を上げさせないポイントにセンサーを合わせて撮影する必用があると言う事になる.

どこに重点を置いて撮影するのかも重要だと言う事である.


・あえて逆光を利用する
カメラでの撮影でタブー視されるのが『逆光』である.
いわゆる太陽光等の明るい光が撮影する被写体の裏にあると,被写体側が蔭になり暗くなってしまうと言う奴である.

確かに,逆光での撮影だと被写体が暗くなりがちだが,ピントを被写体に合わせると露出設定が暗い側に合わせられるため,白飛びこそしてしまう可能性はあるものの被写体が柔らかく幻想的に写ったりと悪い事ばかりではなかったりするのだ.

画面全体の明るさを気にしつつ,逆光を利用した撮影はカメラでも頻繁に使われる.
料理等の撮影では被写体との角度を上手く利用すると,美味しそうに取れる事もあり一石二鳥である.
画面の一部が白飛びしてしまう事があるかもしれないが,全体としていい画を撮れるならチョットの白飛びは目を瞑れるはずだ.


・内臓ライトやフラッシュはオートにしない
フラッシュはオートにしてしまうと必要以上に使われてしまう.
暗い所では使える機能ではあるのだが,ある程度自然光で写せる範囲は使わないのが美しく撮れる事もある.

スマートフォンのフラッシュは基本的に白色系なので,使用するとどうしても白っぽくなりがちである.
また,自撮り等の被写体との距離が短いと一番近い人の顔が極端に白飛びしてしまったりと不都合も多くなる.
マニュアルで,必要な時だけ使うするようにしよう.
ただ,絶対に使うなと言うわけではない.
明るさが足らなく被写体が小さくて接写できる場合等は内臓ライトやフラッシュは非常に友好的である.
ただしライト位置が変えられない為,光の写りこみ等を気にして撮らないと非常に素人っぽい画になりがちである.
また,反射率の高い物質を撮影する際は映り込みや白飛びしないように画角に気を付ける事も忘れないで欲しい.
ホワイトバランスが予め設定できるのであればフラッシュに合わせて白くなり過ぎない色味を選んでおけるとベストである.

もし,ライト位置をどうしても移動したいときはアルミホイルのような反射するモノを使って光の位置をいじるのもありだ.

手鏡やエナメルのポーチ等でも代用できるので,身近な持ち物の中にいい具合に反射しそうなものを探してみて置くといざと言う時に役に立つと思う.
また,逆に明るすぎて白くなりすぎる場合は半透明な袋や下敷きを使ってフラッシュに宛がうとやわらかい光になるのでこちらも是非試してみて欲しい.


尚,このライトは非常に狭い範囲でしか使えない.
それこそ被写体との距離が30cmとかくらいでしか画面全体に有効な明るさとして役立つことは無い為,くらい室内での広角撮影に用いても無意味である.
そんな条件でライトを使っていると皆に笑われてしまうので気を付けたいところだ.
電池の消耗も激しいので,むやみに使うのは避けよう.



・モノクロ等にしてみる
大抵のカメラアプリはプリインストールのものでもモノクロ設定くらいにはできる.
どうしても彩度が鮮やかには撮れないシーンでは,明暗のみのモノクロと言うのは被写体を捉える上で十分な画に仕上がるので便利である.

ただし,1つ気を付けて欲しいのは撮影時にモノクロにしてしまうとその後カラーにする事は非常に困難である事だ.
出来ればカラーのまま撮影したものを加工アプリでモノクロ等に変換する事をお勧めする.
様々なフィルター等があればそれらを試してみるのも面白い.
普段とは違った画が,かえって新鮮に見えたりするもので場合によってはスマートフォンのカメラとは思えないような仕上がりになる事もある.

モノによっては絞りを疑似的にコントロールしたような効果が得られる加工アプリもあり,スマートフォンのカメラでは苦手とするボケ味を演出する事も出来てしまったりする.

何でもそうだが,機能があるならまずは使ってみて欲しい.
そこから使いどころを見つけて行く事が出来ると人とは一味も二味も違った画を手に入れられる.
是非,色々と試してみて欲しい.



・出来る限りセルフタイマーを使う
スマホ写真で意外とやりがちなもったいない事例が手振れである.
専用機と違いスマフォは特にシャッターを押す動作でボディーが非常に動いてしまう.
自撮り等ではなかなかシャッターボタンが切れなくて何度も画面に触れてしまう等,手振れに大敵な条件が揃ってしまうのである.

こんな時に役に立つのがセルフタイマーなのだ.
大抵のカメラアプリには2秒くらいから10秒くらいのセルフタイマーが付いているものでシャッターを押してスマートフォンをホールドからの撮影と言うのが出来る.

これをやるだけで途端にシャッターを押す瞬間の筐体揺れが減る為,手振れが抑えられるのである.


また撮影用の三脚や一脚等があると便利ではあるが,そんな凝ったものを持ち歩かなくても撮影の時にスマートフォン本体の一部を柱や壁に当てておくだけで非常に安定する.
セルフタイマーと合わせて使うともはや最強である.



・被写体に近づける
写真撮影における素人とセミプロ・プロの違いは機材だけでは決してない.
一番の印象に残る部分として挙げられる画角である.
被写体をフレーム内にどのように配置させるかや,全体とのバランス等はセンスもあるが色々な質の高い写真を見て覚えて技を盗む事も出来る.

スマートフォンでの撮影では,今でこそ鮮明に写るが実際には明るさやレンズの問題で専用機にはやはり勝てない.
なので,第一印象をよくさせるためにはやはり画角選びが最も重要と言う事になる.

コンパクトカメラも同様だが,専用カメラとの画の大きな違いはボケ味である.
スマートフォン等では基本的にF値等をいじる事は出来ない為,ボケ味をコントロールする事は難しい.
旧来のCCDカメラでは遠近感すら演出出来ない程にボケる事がなく,余分なものが写りこんでしまったりと非常に残念な画になりがちだったと思う.

そこで使える技が引きではなくアップである.
いわゆる被写体に近づけると言う事だ.

よくあるのが料理の写真である.
どうしてもSNS等の投稿に用いる食べ物の写真では『今,これを食べてるんです』と言った具合に食べ物を全部写してしまいがちである.

だが,例えば上からザックリとトレー全体を写す等すると,非常に素人っぽくなると思う.
それこそ割り箸やサービスの水なんかが一緒に写りこんでいたりすると如何にもな画になってしまう.

こんな時にこそアップなのだ.
全体を写したいのをグッとこらえて1つの食品をピントが合うギリギリまで迫ってもいいのでアップにするのだ.
器が丸いのか四角いのか等を見せる演出をしたければ,中央から少しだけずらし気味に構えてみると効果的である.

明るさが稼げない時は前述の逆光等をうまく利用してみよう.
実際にやってみると見違えるほどにグッとくる画になるはずである.



・余分な物は写さない&画になるものは積極的に写す
前述にもあるが,料理の写真に割り箸や水のコップ等が写りこんでしまうと,被写体の説得力がかけてしまう事がある.

いわゆる余分な物の写り込みが,視聴者の集中力を妨げてしまうためである.

故に,余分な物は写さないが鉄則である.

元々スマートフォンでの撮影ではデジタルズームを使わないを前提に考えると撮れる領域は固定されてしまう.
逆に言えば,あまり多くの情報量をフレームに入れ込んでもゴミゴミした印象を与えたり,ピントやホワイトバランスが合いにくくなったりといい事は無いのである.

なので,写すものは出来る限り制限し,余分な物は写さないように心がけよう.


逆転の発想で,アクセサリー等を撮影する際にはあえてモチーフを引き立たせるための外野を加えるという技もある.
この辺はある種センスの世界でもある.
被写体の説得力を最大限に引き出せる方法はどちらの手段なのかを見極められるように色々な被写体を撮って自分なりに客観視できるようになるとよい.
慣れてくれば自ずと引きが良いのかアップが良いのか等の判断も瞬時に付くようになるだろう.


・ガラスの写り込みは極限まで近づけて回避
意外とあるのが,ガラス越しの撮影で撮影している自分や,反対側の風景が写ってしまう残念な写真.
実は前述の2項目を合わせた様な手法で回避できる.

一般的なレンズ交換式のカメラ等ではガラスへの写り込みを防ぐ為に,偏光フィルタと呼ばれるアイテムを使う.

もちろん,このレンズフィルタ等を持っていればスマートフォンのカメラに当てて撮影する事で写り込みを防げるが,誰でも持っている代物ではない.
また,一般的な物で代用するのは非常に難しい.

そこで使える技はいたって単純.
ガラスに極限までスマートフォンのカメラを近づける事!

ガラスへの写り込みは,光の反射で起きているので,反射角より内側の位置にカメラを構えれば写り込む事はないのだ.
と,言うことはカメラをガラスにつけるくらい近づければ写り込みなんてほとんどゼロになるわけだ!
加えてガラスに付着するゴミ等の写り込みも防げて一石二鳥.


被写体までの距離が近い場合は少し斜めから撮影してみよう.
撮影ポジションは選ぶが,意外と距離は稼げたりする.


・スマホ写真の苦手を克服する為にHDRを試してみる
スマートフォンのカメラには苦手な構図と言うのが存在する.
その1つが明るすぎる所と暗すぎるところである.

前述通り,CCDカメラのセンサーは明るさを一定に保つだけなのでスポットライトや太陽光また月光のように集中的に明るい部分を持つ構図では白飛び(明るすぎるが故に色が表現できず,広範囲で白く塗りつぶされてしまう)が発生したり,逆に暗すぎる場所では黒つぶれ(暗すぎるが故に色が表現できず広範囲で黒く塗りつぶされてしまう)また色表現が上手く出来ずにノイズが出てしまう事もある.

これはいわゆるダイナミックレンジが狭いが故に発生している.
ダイナミックレンジとは明るさで言えば一番明るい部分から一番暗い部分までを再現する能力を示す指標みたいなもので,音で言うところの一番小さな所から一番大きな所までの指標と同じような意味合いを持っている.
単位はどちらもdB(デシベル)である.

デジタルカメラにおいても,フィルム式に比べれば"白飛び"を起こしやすい.
スマートフォンのカメラでは,それがより顕著に表れる.


しかし,どうしても夜景や夕陽はもちろん,日中でも反射の多い風景や空等をスマートフォンで写したい時があるかと思う.
そんな時こそ役に立つのがHDRと言う機能である.

スマートフォンのカメラアプリにおけるHDR(high dynamic range imaging)と言うのはCCDカメラセンサーに入ってくる光の内,最も明るい部分に合わせて撮影された写真と最も暗い部分に合わせて撮影された写真また,均等に合わせた通常撮影の写真の3枚を合成して生成する技術である.


この技術を用いれば,今までは白飛びしたり黒つぶれしてしまった夜景やイルミネーションまた夕焼けや反射の多い風景写真等でも,より肉眼に近い表現を1枚の写真に収める事が出来るのである.
ただし,気を付けなければいけないのは3枚の写真を合成すると言う点である.

3つの露出が異なる写真を合成している事になるのだが,これは逆に言えば人工的に撮影するよりは早いシャッタースピードであっても1枚ずつの撮影には絶対的なタイムラグが生じていると言う事でもある.

故に,動きがある画の撮影に用いると,3枚の画はパラパラ漫画のように動く物だけ少しずつズレてしまい合成された画は動的な部分がブレたように表現されてしまうのである.

また,この点を念頭に入れると例え風景がでもHDR撮影は極端にブレに弱い事になる.
スタンドならびにセルフタイマーは必須と言える.


その点だけ気を付ければ,スマートフォンの苦手とする"明暗"がハッキリした画を撮る事が出来るのである.
ここぞと言う風景等で是非活用してみて欲しい.


・ズーム機能をオフにする
皆,便利だと思ってやってしまうある行為が実は非常によくない.
それは画角を整える為にしてしまいがちなズームである.
160919_photo_09
ズーム機能を使って撮影した猫

基本的にスマートフォンのズーム機能と言うのはCCDの物理的な制約上デジタルズームである.
いわゆる画像引き伸ばしなのだ.

最近のスマートフォンではマルチタッチが当たり前のように出来る為,ついついカメラでもズームを使いがちである.

画角が選べない場所での撮影でもグッとこらえて欲しい.
SNSに投稿する際には画像の縦・横サイズや画質が制限されてしまう事を念頭に入れると,ズームで撮影するより,被写体が小さくてもノンズームで撮影して加工アプリで必要な画角にトリミングしたのがデータ効率がいいのだ.
160919_photo_10
ノンズームで被写体付近をトリミングしたネコ
レンズで光学的にズームしているカメラとは条件が全然違う.
その機能は手軽じゃないぞ!
撮影の時はグッと堪えて堪えて!
と,言う事でざっと書いてしまったがほんの少しのポイントを押さえるだけで実は非常に簡単にきれいな写真を残す事が出来るのである.

元の画像がよければSNSで圧縮されてしまっても,見れる画像として保持できるので,皆さんも是非実施してみて欲しい.


それでは皆さん,引き続き楽しく安全なフォトライフを―.

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