December 2019
December 28, 2019
以前、本サイトにて紹介させていただいた『KORG KTV-1』
ボタン欠品のまま数か月が過ぎてしまったが、たまたまモノタロウさんにて他の物品を購入するついでに部品を調達したので重い腰を上げて修理に取り掛かった。
早速分解。
既に裏蓋とHDDユニットまたメイン基板は外れている状態の写真だが今回は、この下にあるスイッチ類の連なる基板を取り外す。
で取り出した基板がこちら
"SW12"にスイッチがついていないのが判るかと思う。
前回の記事でも記載した通り、前オーナーか誰かが仕様の全く異なるスイッチを取り付けていた箇所。
邪魔なので取り外しておいた。
今回はこのスイッチを交換する。
本来は1個付ければよいだけなのだが、実はこの該当するスイッチ『アルプス電気製のラジアルタイプタクトスイッチSKPLシリーズ』にはラッチの重さであるニュートン単位の仕様別が3種類あるのである(19/11/20現在モノタロウでは1.57Nしか取り扱いがない模様)
で、筆者としては本体に既についているものに合わせて"SW12"だけ交換したいところだったのだが、既に実装されているボタンのニュートン値を計測することが出来る環境がなく、どのモデルを選んでいいのか判らない状態だった。
そこで、1.57N、1.96N、2.45Nより中間値である1.96N仕様のSKPLAKD010を16個注文したのである。
単価88円なので合計1,408円
意外と高価だがバランスが崩れるよりもよいと、思い切って注文。
故に現在実装されている15個も全て外すことになった。
はんだ作業をする人には馴染みがあるかと思うが、実装済み部品はソルダーウィッグを使って丁寧にはんだを除去する必要がある。
基板面に散布されている酸化防止剤が熱で茶色く色づいているが、気にせずに根気よくはんだを除去していく。
全て外れ、アルコール系洗浄液できれいに拭いたものがこちら
作業時間にして10分程度。
思いのほか時間がかかってしまった。
そして、購入した部品を載せてはんだ付けをしたものがこちら。
部品を取るよりもはるかに楽。
スイッチの取り付けは完了。
本当はロータリーエンコーダやスライドボリューム型可変抵抗も非常にへたっているので交換したかったのだが、今回は部品を調達していない箇所なので、部品選定の情報だけ集めてまたの機会にする。
ちなみに、一応分解ついでにメイン基板も写真に撮ってみたのでご紹介。
TC86C001FG TOSHIBA製のI/Oコントローラ用デバイス
KTV1には外部機器向けのI/O等は特にないので、内部回路向けと想定。
Texas Instruments社のTMS320DM642GNZというデバイスが載っている。
映像向けのDSPの模様。
IEEEの入力も持っているので、おそらくインターフェース用デバイス。
XILINXのXC2C128ってデバイスが載っている。
PALとFPGAの間くらいの集積度を持つ、いわゆるプログラマブルデバイス。
こいつでサンプリングかまたは映像処理等を行っているのではないかと思う。
大型の放熱板下に隠れているデバイスは不明。
発熱体なのは確かなのでMPUか何かだろうか・・・
OKIのデバイスは検索に引っかからなかったので不明。
ドライバICにしてはディスプレイ2個に対して3個も載っているのでなんだろう・・・
メイン基板も堪能したところで組み上げて動作確認。
1.96Nで実装したわけだが、結果としては残念ながら元の仕様とは似ても似つかない重さだった。
劣化前の状態が判らないのではっきり言えないが、多分オリジナルに実装されていたのは1.57N品だったのではないかと思う。
本サイトを参考にされる際はご注意を。
個人的には押し間違えがなくてよいかも?
おまけとして、今回ついでに液晶をまた購入。
某オークションで未使用品が安かったので現状劣化が激しい2個目のディスプレイもついでに交換してしまおうかと思ったのがきっかけ。
しかし、届いた液晶は何かがおかしい。
箱を開けるなり酸っぱいにおいがして、いやな予感がしたのだがその予感は的中だった。
古い液晶によくある話なのだが、いわゆるビネガーシンドロームに陥っていたのだ。
液晶には偏光板が付いている。
旧来の偏光板に使われている接着剤は酸化して透過度が著しく悪くなる。
液晶そのものにはダメージはないのだが、酸っぱいにおいと画面全体に模様のようなものがあらわれてしまい透過度が著しく低下するため、映像の視認性が悪くなる。
たいていの人なら経年劣化として処分するわけだろうが、実は接着剤は少し熱を与えればはがせるし新しい偏光板をつけてあげれば液晶に異常さえなければ問題なく復活する。
今回もKTV-1同様のオークショントラブルと言えるのだが、ビネガーシンドロームくらいなら数百円で修理ができると踏んで、出品者に注意だけ促し液晶は引き取ることにした。
で、在庫にあったHP200LXを修理したときの残骸偏光板を使って無事表示復活!
毎度のことだが、偏光板は液晶が一番見やすい角度に合わせると必ずと言っていいほど中途半端な位置になる。
残った残骸が別の機会に使えるか判らないサイズ感になってしまった・・・
ちなみに、偏光板はシールタイプではないものを利用している。
KTV-1に使った液晶はツメで固定できる金属プレートが付いているので、偏光板は液晶とプレートの間に挟み込んでホールドする形を取っている。
こうする事で、接着の時に発生する空気の気泡が入り込む現象が発生する事がなくなるため作業も楽だし見た目もよい。
次に開く時はスライドボリュームとロータリーエンコーダの交換をしたいと思う。
何時になる事やら―。
※(注記)本記事に記載の改造や代用品にて生じたトラブルについていかなる損害も筆者は一切の責任を負いかねます
ボタン欠品のまま数か月が過ぎてしまったが、たまたまモノタロウさんにて他の物品を購入するついでに部品を調達したので重い腰を上げて修理に取り掛かった。
早速分解。
既に裏蓋とHDDユニットまたメイン基板は外れている状態の写真だが今回は、この下にあるスイッチ類の連なる基板を取り外す。
で取り出した基板がこちら
"SW12"にスイッチがついていないのが判るかと思う。
前回の記事でも記載した通り、前オーナーか誰かが仕様の全く異なるスイッチを取り付けていた箇所。
邪魔なので取り外しておいた。
今回はこのスイッチを交換する。
本来は1個付ければよいだけなのだが、実はこの該当するスイッチ『アルプス電気製のラジアルタイプタクトスイッチSKPLシリーズ』にはラッチの重さであるニュートン単位の仕様別が3種類あるのである(19/11/20現在モノタロウでは1.57Nしか取り扱いがない模様)
で、筆者としては本体に既についているものに合わせて"SW12"だけ交換したいところだったのだが、既に実装されているボタンのニュートン値を計測することが出来る環境がなく、どのモデルを選んでいいのか判らない状態だった。
そこで、1.57N、1.96N、2.45Nより中間値である1.96N仕様のSKPLAKD010を16個注文したのである。
単価88円なので合計1,408円
意外と高価だがバランスが崩れるよりもよいと、思い切って注文。
故に現在実装されている15個も全て外すことになった。
はんだ作業をする人には馴染みがあるかと思うが、実装済み部品はソルダーウィッグを使って丁寧にはんだを除去する必要がある。
基板面に散布されている酸化防止剤が熱で茶色く色づいているが、気にせずに根気よくはんだを除去していく。
全て外れ、アルコール系洗浄液できれいに拭いたものがこちら
作業時間にして10分程度。
思いのほか時間がかかってしまった。
そして、購入した部品を載せてはんだ付けをしたものがこちら。
部品を取るよりもはるかに楽。
スイッチの取り付けは完了。
本当はロータリーエンコーダやスライドボリューム型可変抵抗も非常にへたっているので交換したかったのだが、今回は部品を調達していない箇所なので、部品選定の情報だけ集めてまたの機会にする。
ちなみに、一応分解ついでにメイン基板も写真に撮ってみたのでご紹介。
TC86C001FG TOSHIBA製のI/Oコントローラ用デバイス
KTV1には外部機器向けのI/O等は特にないので、内部回路向けと想定。
Texas Instruments社のTMS320DM642GNZというデバイスが載っている。
映像向けのDSPの模様。
IEEEの入力も持っているので、おそらくインターフェース用デバイス。
XILINXのXC2C128ってデバイスが載っている。
PALとFPGAの間くらいの集積度を持つ、いわゆるプログラマブルデバイス。
こいつでサンプリングかまたは映像処理等を行っているのではないかと思う。
大型の放熱板下に隠れているデバイスは不明。
発熱体なのは確かなのでMPUか何かだろうか・・・
OKIのデバイスは検索に引っかからなかったので不明。
ドライバICにしてはディスプレイ2個に対して3個も載っているのでなんだろう・・・
メイン基板も堪能したところで組み上げて動作確認。
1.96Nで実装したわけだが、結果としては残念ながら元の仕様とは似ても似つかない重さだった。
劣化前の状態が判らないのではっきり言えないが、多分オリジナルに実装されていたのは1.57N品だったのではないかと思う。
本サイトを参考にされる際はご注意を。
個人的には押し間違えがなくてよいかも?
おまけとして、今回ついでに液晶をまた購入。
某オークションで未使用品が安かったので現状劣化が激しい2個目のディスプレイもついでに交換してしまおうかと思ったのがきっかけ。
しかし、届いた液晶は何かがおかしい。
箱を開けるなり酸っぱいにおいがして、いやな予感がしたのだがその予感は的中だった。
古い液晶によくある話なのだが、いわゆるビネガーシンドロームに陥っていたのだ。
液晶には偏光板が付いている。
旧来の偏光板に使われている接着剤は酸化して透過度が著しく悪くなる。
液晶そのものにはダメージはないのだが、酸っぱいにおいと画面全体に模様のようなものがあらわれてしまい透過度が著しく低下するため、映像の視認性が悪くなる。
たいていの人なら経年劣化として処分するわけだろうが、実は接着剤は少し熱を与えればはがせるし新しい偏光板をつけてあげれば液晶に異常さえなければ問題なく復活する。
今回もKTV-1同様のオークショントラブルと言えるのだが、ビネガーシンドロームくらいなら数百円で修理ができると踏んで、出品者に注意だけ促し液晶は引き取ることにした。
で、在庫にあったHP200LXを修理したときの残骸偏光板を使って無事表示復活!
毎度のことだが、偏光板は液晶が一番見やすい角度に合わせると必ずと言っていいほど中途半端な位置になる。
残った残骸が別の機会に使えるか判らないサイズ感になってしまった・・・
ちなみに、偏光板はシールタイプではないものを利用している。
KTV-1に使った液晶はツメで固定できる金属プレートが付いているので、偏光板は液晶とプレートの間に挟み込んでホールドする形を取っている。
こうする事で、接着の時に発生する空気の気泡が入り込む現象が発生する事がなくなるため作業も楽だし見た目もよい。
次に開く時はスライドボリュームとロータリーエンコーダの交換をしたいと思う。
何時になる事やら―。
※(注記)本記事に記載の改造や代用品にて生じたトラブルについていかなる損害も筆者は一切の責任を負いかねます