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January 2017

January 29, 2017

カメラ愛好家であれば必ず悩みの種になるのが機器の"保存"と"維持"の難しさだと思う.
精密機器でかつ,金属もゴムも使用されている筐体.
極めつけは人の手が直接触れるわけで,カビやサビそしてゴム製品の劣化を常に意識して闘わなければならない.
私自身,過去にボディーが湿気等でベタついてしまったりカビが生えてしまったりの経験がある.
今回は,そんな悩みを一気に解消すべく防湿庫の導入をしたので,そのレビューをしたいと思う.
RC-50L
見た目もシックで御洒落
<ライトユーザーからミドルユーザーにおススメ>
今回導入したのはLINTECT社のRe:CLEANシリーズより人気の容量50Lタイプ『RC-50L』である.
湿度調整には電子部品のペルチェ(ペルティエ素子)を用いた無音の構造で50ℓの容量でありながら5Wと言う消費電力(1日24時間で約2.5yen,年間365日稼動でも1,000yen以下)にて実現できている.
単純換算すると私も愛用しているカメラ用の乾燥剤で有名なキングドライ5パック以下のラーニングコストで運用出来る計算になる.
本筐体は値段が有名な国内メーカーの半額程度でありながらも,デジタルの温・湿度計も内蔵されており1台で完結できる.

しかも,それでいて嬉しい事に5年保障付だ.
但し,注意が必要でメーカー修理になる場合は梱包に使用されている化粧箱一式が必要との事である.
筆者はこの詳細を知らなくて,一度捨てた発泡スチロールを慌てて回収し今まで物入れに使用していた除湿器の箱をシレッと防湿庫の箱にすり替えて家族の目を欺いての保管している.
段ボールと緩衝剤
上・下の緩衝剤を組み合わせると省スペース保管可能
年末年始ゴミ回収のお休みで長期保存していたからよかったものの非常に焦ったのは言うまでもない.
皆さんも折角のメーカー標準5年保障なので『単なる緩衝剤の発泡スチロール』と安易に分解したり段ボールを崩したりせず,可能な限り取っておくことをおススメする.
(注記)AC-DCアダプタの保証期間は1年の模様
保障の面は冷や汗ものだったが,筐体自体は作りもしっかりしており筆者のような防湿庫初導入のユーザーには十二分な仕様と言えそうだ.


×ばつD320(mm)とコンパクトだが,私の持っている以下の機材が全て入れられ空いたスペースに『EPSON 写真用紙[光沢] L判 500枚』や『EPSON 写真用紙クリスピア[高光沢]KGサイズ 100枚』等を箱ごと入れられる収納力である.
・Nikon Df(ニコン AF-S NIKKOR 50mm f/1.8G装備)
・OLYMPUS E-M5(HLD6 & M.ZUIKO DIGITAL 14-42mm f3.5-5.6 IIR装備)
・Soratama72(LUMIX G 14mm_F2.5 ASPH. H-H014ならびに接写リング等装着)
・AI AF Nikkor 28mm f/2.8D
・ZUIKO DIGITAL ED 50-200mm F2.8-3.5(MMF-3装備)
・Panasonic LUMIX DMC-FX8
・Panasonic HX-A500
・ZOOM Q3HD
(注記)底板面積はA4用紙の横入れがギリギリ可能程度
内部
十分な収納力
×ばつ2(厚さ25mm)付なので底板含め最大3段仕様で使用が可能だ.
加えて,棚板はスライド式になっており筐体には4箇所にレールがある為,背の高い保存物であっても高さに合わせて組み替えれば対応可能である.
また,スポンジマットが2枚とレンズ用凹凸が3箇所着いたスポンジマットが1枚付属されている.
一眼レフを2台くらいにレンズを5本くらい所有しているユーザークラスには満足のいくセットと言えそうである.

湿度調整用のコントローラは内部にあるアナログのヴォリュームツマミだが,微調整する事もそうそうないだろうから実使用上問題ない.逆に直感的で万人受けするだろう.
加えて,私の場合は撮影用背景布の裏に置いてあるのであまり必要ない機能ではあるが庫内の湿度調整器(ペルチェボックス)には緑系のLEDが装備されており庫内を裏側から照らす形になる為,ワインセラーの如く鑑賞すると言う楽しみもでき御洒落だったりする.
一応,キーロックも付いていてロックする事で密閉度も上がり,防犯にも繋がるかもしれない.
AC-DCアダプタ
意外とコンセント付近で邪魔になるアダプタ
惜しい点としては電源ケーブルがAC-DCアダプタ化されている部分である.
常時稼働を考えるとコンセントに常駐する事になるわけだが,小型とは言えどアダプタ式のコネクタはジャマである.
またケーブルも細いため引き回しにはいいが,配線を綺麗に這わせておかないと何かに挟んだりして断線してしまったりと言う危険性も高そうである.
コストの問題なのか,はたまたAC-DC回路が本体に付くと保存空間が犠牲になる為なのかは不明だが,個人的には欠点と感じる部分である.

後,ここは人によるかもしれないが電源スイッチが付いていないのも欠点と言えば欠点である.
私の場合は常時運転状態なので必要ないし,AC-DCアダプタなので社外品の中継スイッチを間に取り付ければ簡単に解消出来る為,それほど問題はないのだが一般的には惜しい部分かもしれない.
個人的にはせめて,ペルチェボックスのLEDだけでもON/OFFできればなんて一瞬考えたが,無音の本品ではLEDが消えたら稼動しているかもわからなくなりそうなのでなかった事にしておく.
<防湿庫のメリット>
本筐体は音が発生するようなメカトロ部品は存在しない為,音は無音と言ってもいいだろう.
しかし,湿度は確りとキープできる.
寝床が同室内の私でも困る事はないし,駆動音を気にされる方でも安心して使えるはずだ.
内臓湿度計
デジタル表示の湿度計が意外とカッコいい
尚,筆者の自宅では内部のコントローラツマミを70%程度にした条件にしているが冬場の室内で約45%前後をキープ出来ており今のところ十分満足している.
(注記)本体上の温・湿度計参照による

ちなみに,防湿庫にしたのにはわけがある.
私は現在,1Kで生活している.
いわゆるキッチンが離れているだけなので生活空間と寝床が一緒である.
正直,この条件下での悩みは湿度もそうなのだが一番はホコリなのだ.
やはり寝床はホコリを出す最大の敵である.
事実,同じ空間内で使用しているYAMAHA S90ESと言うピアノ鍵盤のシンセサイザは使用年数にしては少し早いタイミングで鍵盤部分のギミックが異常を起こしてしまいグリスアップ等を含むメンテナンスをしている.
これでも気にして昔からビニールやポリエチレンシートをかけているのだが,防ぎきれない細かなホコリが入り込んでしまうのか原因はゴミやホコリだったのだ.
私の作業デスクも黒系でまとめられているのも相まってか兎に角小さな白いホコリの粒が点在して見え精神衛生的にもよくない.

防湿庫のメリットはなんといっても1つの保存空間に仕切れる事だ.
ボックスが増えるわけだから場所は必然的に取られるのだが,その代りにカメラ機器専用の箱が出来るとも言える.
例え,生活空間に布団が有ろうともホコリも防げると言うわけなのである.

皆さんご存知の通り,カビと言うのは湿度や温度の他,ホコリや皮脂(油分)の有無でも発生条件が変化する.
いわば,防塵出来る環境も非常に重要な要素の一つとなりうるわけだ.
私くらいの機材量であれば,長期保存用はドライボックスにキングドライのような酸化カルシウムを用いた乾燥剤,短期間であればシリカゲルタイプの乾燥剤で十分なのだが,やはり頻繁に出し入れする機材であれば乾燥剤のコストも無駄にかかってしまうわけで場所さえ確保してしまえば防湿庫は出し入れもスムーズで便利と言う事で導入を決意したわけなのだ.
実際には時計やHDDにFD等のメディア類も入れたかったので80ℓを検討したのだが,予算の都合で50ℓになった.
大きさを制限すれば物理的に湿度維持もしやすくなるので丁度良かったと今は思っている.
(注記)考える事は皆さん同じなのか,現在50Lモデルは品薄が続いている模様


<防湿庫のすゝめ>
まだ,使用期間は浅く2ヶ月程度ではあるがトラブルもなく十分に満足している.
ドライボックスと違い出し入れがスムーズなのでカメラも気軽に持ち出せるようになったのはいい傾向だと言える.
湿気の多い地域に住んでいる方は常にだが,梅雨の時期には多くの方が大切な機器を心配するかと思う.
しかし,大抵は必要としている時に限って値段が高くて躊躇してしまうものでもある.
冬の乾燥時期だからこそ先見の目を持ってこの機会に防湿庫の導入をおススメしたい.
初期投資には勇気がいるがカビが生えたりしてからでは何もかも遅いのだ.
今年の梅雨に向けて似たような用途を検討している方は是非,本記事を参考にドライボックス等と上手に併用して大切な機器のカビやサビ対策をしていただければと思う.

January 15, 2017

2017年の幕開けから2週間が立とうとしているが皆さんいかがお過ごしだろうか?
私は,昨年後期に音楽編集用PCのOSが起動異常を起こしたり映像編集用のPCがクラッシュしたりと波乱の幕締めとなったのだが地道な修復作業で何とか制作環境が復活して今年を迎え現在に至っている.
T'sLABの動画更新等で大きな遅延を作ってしまったがアレンジ業務や直近ライブ準備等の合間を見ながら追い上げ作業に取り掛かっている最中である.

そんな中,EPSON LP-2400と言うレーザープリンタも故障してしまい,一時は譜面等もコンビニのネットプリントを利用したりと不便な生活を送っていたわけだが,さすがに堪らなくなってプリンタは新調する運びとなった.
(注記)実はレーザープリンタのトナーが80%以上も残っている事も相まって故障したレーザープリンタは自力で治してしまったと言うのはナイショである

と,言う事で今回は昨年末に筆者が衝動買いしてしまった『EPSON EP-10VA』についてレビューしてみたいと思う.
EP-10VA
StudioT'sLABの仲間入りしたNewプリンタ
<選定の決め手>
EPSON社のインクジェットプリンタには一般ユーザー向けに大きく分けて2種類のカテゴリがある.
まず大衆向けの『カラリオ』そしてプロ・ハイアマチュア向けの『プロセレクション』である.

一番の違いとしては印字に用いるインクの種類である.
カラリオでは染料インクを用いているのに対してプロセレクションでは顔料インクを用いている.
紙に染み込ませる染料インクと紙の表面に定着させる顔料インクではインク強度や発色感また印刷紙による影響の出方が大きく違う.
またプロセレクションでは中間色や複数の黒インクを独立保持し,より高彩度で高精細な色表現を実現している.
写真印刷を目的とするのであれば用紙に左右されにくく発色が安定し,インク定着も素早いプロセレクションに軍配が上がるわけだが裏を返せばインクコストは高い.
気軽に印刷する用途も増えるホームプリンティングでは用紙こそ選ぶもののカラリオに軍配が上がるだろう.
レーザープリンタが復活した分,写真印刷専用と考えればプロセレクションと言う選択は贅沢で最高ではあるのだがラーニングコストが上がる事で印刷を躊躇うようになれば本末転倒であり悩ましい所だ.

加えて,ハード的な面ではカラリオシリーズの上位モデルにはスキャナーを内蔵したいわゆる多機能モデルが多いのに対し,プロセレクションではプリンタ機能のみの単機能モデルしかない.
筆者は借り物ではあるが『EPSON GT-9300UF』と言うスキャナを使用させていただいている為,無理にスキャナ機能がある必要はなかったりするのだが,複合機はコピーが簡単に出来ると言うポイントがあったりするのでこちらも悩ましい.

いずれにしても,カメラ用途の印刷をメインに行いたいのは変わらないので,写真印刷に重点を置いて機種を絞ってみた所,予算範囲以内に収まったのが『SC-PX7VII』と『EP-30VA』そして『EP-10VA』の3モデルだった.
ただし,残念ながら『EP-30VA』は早い段階で排除された.
理由はA3印字が出来ない事である.
後発で低価格その上あのコンパクトさは個人的には非常に魅力的だったのだが,やはり音楽屋の一面を持つ筆者にとっては譜面の印字も多い為A3印刷の欲求は大きかったりするのである.
結果的には『SC-PX7VII』と『EP-10VA』の戦いにはなったのだが,最終的な決め手はやはり用途と印字コストだった.
確かに,写真印刷に限定すれば発色や使用インクのメリット的には作品の推進力を増すにはプロセレクションのSC-PX7VIIは非常に魅力的である.
しかし,プロセレクション内ではミドルエンドクラスと言えどそのインクコストは同社製写真用紙<光沢>L判使用時で約21円程度.
それに引き替えカラリオの最上位モデルであるEP-10VAでは約12.7円程度だ.
(注記)EP-10VA発売当初は筐体が安かった分インクが高かったのでインクコストは19.9円だったが,現在は記載の通りである
プロセレクションの約60%のコストであり,簡単に言えばSC-PX7VIIで10枚印刷のコストはEP-10VAにおける16枚印刷に相当することになるわけだ.
プロの緻密な印刷における知識を有している者であればまだしも,素人の私では必然的に試し印刷の大量消費も出て来るだろう.
また,写真のみならずA3の譜面印刷もそれなりに有り得る為,黒インク単体のコスト差(ヨットインクはプロセレクション88インクの約6割弱)も決め手にはなった.
たかがL判1枚8円の差と思うなかれ,無くなったインクを追加購入する時の精神的苦痛も踏まえると一般消費者にとっては意外と経済的に圧迫される大きな差なのである.
筐体寿命の間に何枚印刷するのかにもよるかもしれないが,長い目で見て『ちょっと1枚』と言った気分屋な印刷を実現させたいならカラリオかなと思ってしまうわけである.

また,最新技術に心を動かされた部分もある.
それはWiFiの利便性である.
スマフォからのWiFiプリンティングだけならばSC-PX7VIIでも実現可能なのだが,問題はスキャニングなのだ.
現状,セッションやバンドで持ち出す譜面は手書きなど含めてスキャニングしてPDF化したデータをタブレット端末に移して持ち歩く事が多い.
電子媒体による譜面には色々な不都合こそあるものの,やはり可搬性が高いので便利なのだ.
しかし,スキャニングに関してはタブレット端末のカメラ機能では拡大に耐えられるだけの詳細スキャンは難しい.
必然的にPCに繋がっているスキャナを使用しなければならないのである.
そこで便利になるのがEP-10VAにも内蔵されているWiFiスキャンなのだ.
現行のカラリオシリーズにある多機能モデルでは,アプリケーション経由でなんとWiFi接続したデバイスへシームレスにスキャンデータを送る事が出来るのである.
セッション前に,『今日,この曲やるわ!』って言う連絡一つで慌ただしくスキャンしても用意が追い付かず,結局1〜2曲の為に重いセッションブックが1冊増えるなんて事も多かった私にはまさに棚から牡丹餅のような機能だったのだ.

以上の理由から最終的にEP-10VAになった.
年末年始シーズンと言うのも相まって,元々インクコストが高かった発売当初の小売販売価格程度の金額で導入が出来たのは不幸中の幸いと言ったところだろう.
浮いたコストで『EPSON写真用紙クリスピア<高光沢>KGサイズ100枚』と『EPSON写真用紙[光沢]L判500枚』そして『ヨットインクカートリッジ6色2セットパック』を買ったら予算ちょっぴりオーバーになってしまった.
(注記)本体に6色1セット分は付属,USBケーブルは別途用意が必要

今後の為の初期投資と家族の目を欺くも年末にお金がスッカラカンになる大参事を招いたと言うのはここだけの話にしておきたい.
年末年始のお仕事で半分以上は挽回したので大目に見て欲しいと言うのは独り言だ。。。
<写真印刷に唖然>
レーザープリンタEPSON LP-2400にスキャナEPSON GT-9300UFを使い続けてきた筆者は時が止まっている.
その前のプリンタはOKI MICROLINE 8wと言うモノクロレーザーだったかと思う.
正直,印刷に強いこだわりがあるとは言えないレベルかもしれない.
EP-10VAを手にする前まで写真印刷を実現させていたのはカメラ店やコンビニのネットプリントか,実家に帰省した際に兄が親の為に買った『PIXUS MG5230』を無断で使用してバンド配布用CDやDVDに同封するライナーノーツ等を専用用紙に印刷する時くらいのものだった.

ちなみに一見ド素人っぽく見えるかもしれないが,こう見えても私は8年ほど前に業務用大型プリンタを設計している会社で回路設計補助要員として半年程業務にかかわっていたので『大きく印刷(この時はA0サイズ2倍以上だったかと)しても無茶苦茶キレイに印字できる』くらいの技術は毎日のように目の当たりにしていた為,写真印刷のクオリティで驚く事はほとんどなかった.

で,そんな私が最新技術を駆使したプリンタを手にしたらどうなるかと言うと・・・
まさに声も出ない感動,『唖然』だった.
正直な話,高いお金を叩いて買ったくせに,大掃除シーズンに届いてしまったのも相まってか4日も箱の中に納まったまま玄関に放置されていたのだった.
セッティングを始めても部屋の掃除をするついでくらいになってしまい結局,届いて5日後にやっと接続テストプリントをし,6日目で初めて写真プリント実施と言う何とも雑な幕開けだったのだ.
業務含め,直近で使う予定もなかっただけに『箱が邪魔で掃除機をかけられない』と言う事態がなかったら未だに開いていなかったかもしれない.
EP-10VAの箱
"お掃除の邪魔をした大きな化粧箱"
そんな状況で期待もせずにデフォルト設定のまま印刷して出てきた写真は紛れもなく写真だった.
使用用紙は"EPSON写真用紙[光沢]L判"であったのだが,その発色や艶は専門店による現像プリント写真そのものと言っても過言ではないだろう.
声も出ない感動が筆者を襲ったのは言うまでもない.
無言のまま数秒が過ぎた後,発した言葉が『すげぇ』と言う雑な感想だったのはナイショにしておこうと思う.

黒や白の発色はもちろんなのだが,中間色であるグレーインクが独立しているのも相まってか階調の精密さが全然違う.
簡単に言ってしまえば濃淡が繊細かつハッキリしていて色つぶれが非常に少なく感じるのだ.
Nikon Dfで撮影したFX(フルサイズ)の写真をL判印刷しても細部まで綺麗に印字できるし,2倍程度に引き延ばしたものと比較しても色味に大きな差が生まれないのだ.
これには本当に驚かされた.

また,丁度印刷した写真がくもり空でのノーマル設定撮影の画だっただけに,曖昧なその日の天気感を完璧に模した色合いの表現力には度肝を抜かれた.
これなら,カラー印刷のみならず筆者が大好きなモノクロームやセピア等の印刷もガンガンしたくなるなと言うのが第一印象だった.

加えて,E-Printアプリにて試して感動したのが色補正機能だ.
オートフォトファイン!EX等の設定は実に便利である.
モードはオートの他に『人物』,『風景』,『夜景』,『高彩』そして『P.I.M(PRINT Image Matching)』のプリセットがあり,各種発色具合が違うのだが何れもシーンや用途に合う色味を演出するのに打ってつけの設定になっている.
流石はプリンタのEPSONさんだと言わざる得ない.
その他,美肌モード等のフィルター機能も備えており,これらの設定はプリンタ単体でも可能でPCモニタや前面のタッチパネルでもプレビュー確認ができるので非常に便利だ.

プロやセミプロの皆さんはカラーマッチングを施した環境で画面vs印刷にて色味の差を極限まで減らしている条件下で印刷をされているかと思われる為,自分の好みにPhotoshop等で加工する事がデフォルトだろと思うが,カラーマッチング環境を持たない一般ユーザーにとっては環境を整えるだけで数年または多大な出費がかかるわけで簡単には真似ができない.

その点,手軽にプリセットで色味を調整できる本機能は大衆向けのカラリオならではな粋な計らいと受け取れる.
Photoshop使いの筆者ではあるが非常に便利な機能だと感じた.
正直な話,下手に無知な筆者がPhotoshopで無理くり色味を改変するよりも断然見た目が良いと感じるレベルである.
(注記)一応筆者は現在,映写機器関連の回路設計業務に関わらせていただいている都合でカラーコーディネーター3級を保持している為,色の基礎くらいは分かっているつもり・・・

これほどまでに手軽に高品質な写真印刷を一般家庭で手に入れられるとは全く持って思っていないかった.
もっと早くに手に入れていれば,なぜ届いて直ぐにセッティングしなかったのか悔やんでも悔やみきれないと言うのが正直な気持ちである.


<撮りっぱなしから気軽に印刷へ>
まだ,開封して2週間程しか経っていなかったりするのだが,既に十数枚の写真印刷をしている.
今まではDfやE-M5で撮影してはSDカードからPCへとデータを移動してPCやスマートデバイスまた非常に大きく圧縮をかけられてのSNS等で共有すると言った楽しみ方をしていたのだが,これからは本来の写真の姿である印刷をしてアルバムや額装し,家族や友達とリアルに楽しむ喜びへとつなげていければと思っている.
印刷する事で,今まで見えていなかった部分も沢山見えて来る事も感じているので,これを期にカメラの腕も上がればなんて欲張りな事を考えていたりもする.

ちなみに余談だが,筆者はここ数年で写真撮影がスマートデバイスであるiPodTouch4G,5GやコンパクトディジタルカメラのLumix DMC-FX8から一眼レフのDfやミラーレスのE-M5に替わった事も相まってか,写真のデータ容量が格段に上がってしまった.
それに伴い今までは個人データのバックアップ用外つけHDDに一緒に写真も保存していたのだが,とうとういっぱいになってしまった為,年始から余っていた1TBに写真データのみの移動作業を行い始めた.

普段は自宅にいる80%がPCの前であり,PC作業の大半が音源制作や映像制作と言う事もあって,一般家庭でよくあるPCとプリンタが同時に立ち上がる機会はまずないのだが,最近は隙間時間で写真の整理をしているので,同時にEP-10VAも電源を立ち上げており「これは!」と思うも写真を見つけては躊躇なく印刷していたりする.
印刷をして残すと言う事が媒体好きな私にとって非常に充実感が生まれる事なんだとEP-10VAを通じて教えてもらっている毎日だったりするのである.
お恥ずかしながら,すっかりプリンターにハマってしまったようなのだ.
やはりコスト優先で選んでよかったのかもしれない・・・

それもこれも簡単操作で上質な印刷が出来るEP-10VAならではの事なのだろう.
印字後に気が付く失敗も今までは目を瞑ってきたのだが,専門店に出向く煩わしさもなくなった為か追求度が非常に上がったのは確かだ.
お蔭様でプリンティングの推進力は増したが,手軽で低コストでも枚数が嵩めば・・・筆者の事だから,その内落ち着くだろうと言う事で今は考えないでおく事にする.
ちなみに,印刷に伴う駆動音は旧式レーザープリンタを使い続けてきた筆者にとっては非常に小さいと感じる.
生活音や話し声と比較しても耳につくレベルではない為,これでも大きいと感じる人は相当神経質なのではないかと思う.
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〜YouTube:EP-10VAで写真を印刷してみた〜
環境保全の観点から大量消費は悪とされてきている現代,印刷紙よりもデジタル化と言うのは便利でもあるし何よりも消費物が減ると言う事で非常に地球にも優しい.
しかし,やはりミュージシャンやクリエイターとしての立場を持つ筆者としては大切なものをカタチにして残すと言う思想は悪意ではないと信じたいのだ.
媒体から伝わる感動や媒体を通して伝わる大切な想いもあると思う.
良い作品を残すためには,そんな言葉では表現できないものも時に必要不可欠なのである.


<家族で印刷を楽しもう>
結局,検討段階で天秤にかけたSC-PX7VIIを手にしていたとしても無駄に「凄い!」と同じ様な事を言って満足していたような気はする.
ただし,プロセレクシンの良さは印刷クオリティーの高さが物語っているわけだが如何せん専門器と言う器から抜け出す事は難しい.
簡単に言えば誰もが気軽に使えるわけではない.

その点,EP-10VAなら写真好きのお父さんだけの専用器ではなくレシピやスマフォで残した趣味や料理また子供のスナップ写真等を印刷したいお母さん,そしてオリジナルシールやペーパークラフト等を楽しみたいお子さんにも気軽に使ってもらう事が出来ると思う.
メーカーさんには申し訳ないが,初心者はもちろんミドルエンドクラスのユーザーさんにもまずはプロセレクションに手を出すのではなくEP-10VAやEP-30VAを手にして家族でプリントする楽しみを存分に味わってもらい,皆で手軽に印刷をすると言う醍醐味を共有してもらいたいと感じた.
家族でプリンターを共有すれば使い方を一緒に学んだり,印刷した写真や作品を手に喜びを分かち合ったりと必然的に家族間でのコミュニケーションも増えるはずだ.
故に,仮に購買意欲が湧かないご家族がいらっしゃるご家庭でも,自信を持って"プリンターを導入するメリット"を提案し説得できるのではないかと思う.


増える写真の整理に困ったら,市販のアルバムに入れて冊子化すれば家族みんなで気がるに共有して楽しめるだろう.
用紙の選定も自由にできるのがホームプリンティングのメリットだから,日本でメジャーな写真サイズのL判にこだわらず,例えば海外でメジャーなKGサイズ等に印刷すれば仮に普通の写真であっても家族にとって特別な一枚になるだろうと思う.
ちなみに,意外と知られていないがKGサイズのアルバムも市販されている.
田舎のおじいちゃん,おばあちゃん達とも共有するのに『L判だと小さいけどL判2枚分の2L判だと少し大きく携帯性も収納性も悪い』と言ったお悩みは良く聴くのだが,そんな方には特にKGサイズをおススメしたい.
また,同社製の製本キット等を使えば自分だけの作品集としてオリジナルのポートフォーリオを簡単に作成できる.
A4サイズでの大判印刷を自分の手で冊子化する喜びは,個人所有のハイクオリティなプリンタがあってこそ得られるものだと思う.
その上,EP-10VAであれば"チイサメ"ボディで普段はA4ときどき"エイサン"が実現できるから,最高の作品をA3プリントして額装すれば気分はもうプロカメラマンだ!
EP-10VAは筆者に写真を撮るだけの生活から,気軽に印刷して残すと言う新たな喜びへと発展させてくれた.
プリンタの新調等で気になっている方には是非おススメしたい一台である.
筆者はこれからもEP-10VAを存分に使って様々な写真を印刷し,家族の思い出作りやオリジナルのポートフォーリオ作りに精を出していきたいと思う.



traq

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