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September 2014

September 29, 2014

制作スペースに新しいパーツを増やしました.
いや,数的には減った...ですかね?

新規制作デスク
After






旧制作デスク
Before








一目瞭然.
キーボードが1つとマウスが1つなくなったのです.
2台のPCがある作業机なので,今まではキーボード2つとマウス(DAWマシンはトラックボールですが)が1つずつあったんですけど前々から打開案を探っていて,とうとう脱出できたわけであります.


意外と考えることがあって大変でした.
ネットワークでマウスとキーボードのシステムを共有するMouse Without Borders(Microsoft系)というソフトやInput DirectorまたSynergy(MacやLinuxでも共有できる)等のフリーソフトがあります.
これはシステム上でマスターPCからスレーブマシンへと情報を渡す仕組みでスマフォやタブレット等をコントロールしたりするのに便利と言われたものなのです.
リモートデスクトップの簡易版とでも考えればよいでしょうね.
私の環境ではどちらか1台のPCしか付けない場合があるためNGでした.
もちろん,リモートデスクトップも考えましたが,DAWマシンは基幹ネットワークから外れているのと真横にあるPCを重いVPNで操作するという煩わしさはちょっと...


ハードウェアではUSBケーブルをつないで同じように共有するKB-USB-LINK3やBSKM202があります.
上のハード版ですね.
こちらもグッと来たのですが,あくまでマスター/スレーブの関係が付いて回るので同じくNG.


で,結局まわりまわってハードスイッチタイプ.

私が中学校とか高校時代にも流行ったんです.
PS/2キーボード・マウスとモニターを1つずつで切り替えるハードスイッチタイプの切替器.
VGAの切り替えだったらPC98よりも前の世代からありましたよね!
まーCRTを2台も3台も置けませんから家にも2個くらいありましたよ.
VGAケーブルが無駄に高くて意外とお金がかかったはず(Tomが買ったから値段知らない)

それと同じようなものでUSBの切替機です.
ファイルの共有ができる近代的なシステムに比べると今さらこんなアナログなと思われるかもしれませんが,1台しか使わないときも使えて2台の時も使えるのでこれしかなかったんです.
え?なぜ今まで悩んでいたのかって?
いやー私のメインコントローラはLogicoolのUnifyingレシーバータイプなのでBluetoothの認証みたいにネゴシエーションでこけるんじゃないかという懸念事項があったんですよ.

価格.comに似たような書き込みがいくつかあって人柱にならずにすんだわけです.
いい時代になりましたね.
昔は『コレいけるんじゃないか?』と思ったらまずやってみるしかなかったですからね〜
幾度となく人柱やりましたよ〜NGな事なんて日常茶飯事でした(最近は仕様書とか読み漁ったりメーカーに問い合わせたりと試すまでに時間がかかるようになったので無駄はなくなりましたけど)


無事使えております.
モニター切り替えのタイミングくらいでほとんど切り替わるので何も困ってません.
リアルデスクトップもすっきりして感動です.
これで,心置きなくペンタブレットが置けそうです(マテ


ちなみに,先ほど書いたようにネット上では既に使用した人たちの情報が沢山ありました.
この手の商品に限って言えば,憶測なのか勝手にハードスイッチでバスラインをブッツリ切り替えているイメージで書いている人が多くて"動作不具合"に対してものすごくそっけなく"ありえない"と言っている方も目立ちますが,何故その結論になったのかが知りたいですね.

分解する気はないのでおそらくですけど,誤作動防止等をするためにほとんどが接続を入れ替えてるためのIC(HUBかなにか?)を内臓させているんじゃないかと思います.
なので,仕様では電源供給タイプの機器に限定(突入電流制限の都合だと思います.ハードディスクでも外付けアダプタで動かしている方いるかもしれませんが壊れてもメーカーに文句言えませんから気を付けてくださいね)したり,Bluetoothのマウスとかだと認証でこけてしまうようなことがメーカーページのFAQに載っていたりしています(だからなかなか導入できなかったんだよーTT)

確かに,USBはユーザーが好きな時に差し込んでOSによっては好きな時に抜くことができるようになっていましたけど,それは電源が落ちると同時にICの電源を適正に処理したり通信を正常に終わらせるような命令が受け手側か出し側(または中継器)で行うからでしょう.


通信面で簡単に言ってしまえばディジタル通信も会話と同じです.電話で『〜帰りま』・・・でぷっつり切れちゃったら聞いている側は帰るのか帰らないのかわかりません.
前後の話から受け手側が勝手に補完して「『これからまっすぐ』って言ってたから帰るんだろうな」と補正できる範囲であればいいでしょうけど前に『今日は』しか言っていなかったら普段『今日は帰る』か『今日は帰らない』しか言わない人だったらどちらかわかりませんよね?

ディジタル通信では決められたルールの範囲でしか補正できませんので感情的な補完はできませんが近いことがいえると考えてよいでしょう.
通信中に電源が落とされたら動き続けて変な動作をされるより止まるのが確実ですね.さっきの電話の例でいえば『帰りまーーーーー』って最後の音の後,切れなかったら「...うるさいわ!」って下手すれば受け手側がキレちゃいます(爆)

通信エラーが起きて切れたのならプツっと切れて無音になるかプープー(不通音)って鳴れば「あぁ(電源か電波が途切れて)切れちゃった」ってなるでしょう?
マウスなら『右へ、右へ、右へ、...』と言っている間に抜かれたら抜かれた瞬間に『右へ、み、、、(止まれ!)』と止めてしまうか『右へ、み、、、』一定時間待って通信が来ないので受け側が『じゃ止めるわ』と止めてしまうかですね.

こんな感じで,考えると単純にぶつっと切っちゃうと誤作動の元になりかねないわけです.
(正確にはUSBのIC入力ポートが浮いてに不定な電圧が発生したときHi/Low誤認識して『帰り、%шしろまるИЮтЗ*』等のような意味不明な情報が入り込んでしまうような状態になりえるということ)
仮に通信は(Vista以外のXP以降であればOS側で割り込み抜き差しを許しているので)どうにかなるとしても電源配給されて動く機器で下手気にそれをやっちゃうと変な電圧がかかって機器が壊れちゃうかもしれません(実際はUSBの場合こっちのが可能性高いです)
数千円の切替機で数万円のUSBデバイスが壊れたとか,大切なデータが消えたなんてクレームが多発したらメーカーも大赤字ですから当然守るための回路を仕込むでしょうね.

私なんか,それこそ底辺の学校出てますからハッキリ言います!
少なくとも今これを読んでくれているあなたと学力レベルでいえば比較できないくらいのアホでバカです.
でも,少し考えれば色々な可能性を考察することくらいできます.
たとえ考察内容が,正しくても間違っていてもこういう可能性が出てくれば単にメーカーを叩くことはできません(これは多くの評論家にも言えることです)


結局,こういうこと言うと批判者の避難みたいに聞こえていけないのですが,皆さんも技術的なことは知っておくべきだと思いますよ.
大学の同級生にも『エンドユーザーにとってはしったこっちゃない』って言う人もいるので一様には言えないと自覚していますが,少なくともPCもスマフォも何でも便利な部分だけをうのみに使っている人にとってはブラックボックスが多すぎますから,メーカーだって全てのユーザーにおける環境での動作保障なんてできっこありませんし想定するのも困難なんです.

それに対して『できないなら出すな』とおっしゃる方もいらっしゃるようですが作ってくれるメーカーがなかったら便利にならないんです.
特に,こういうニッチな産業はお金につながるほど儲けられないと思いますよ.
頭ごなしに不評をするのではなく少しは感謝しつつ,"どういう環境で,どのようにつかって,何ができて何ができなかったのか"をしっかりと情報提供しましょう.

それこそ,シャンプーした後のペットを電子レンジに入れて亡くしてしまい『メーカーがペットを入れてはいけないと書かなかったのが悪い』とか言って裁判で勝訴してしまったどっかの自由な国のおばさんと言ってる事は同じだと思います.
えーと,電子レンジで血液が沸騰するとか電磁波は生命に危険を及ぼさないのか?とか一瞬でも考えられなかったんですかね?
無知ほど味方の少ないものはありません(上の事例は勝訴していますけど多くの人たちを敵に回したというか呆れさせたかと、、、ハッキリ書きませんけど...ねぇ^^;)

使っている機械の基礎知識や技術情報くらいは自分で勉強しましょう.
『わからない』って言うのは簡単です.言う前に少しは努力しないと誰も教えてはくれません.
だって,基礎知識がないとどこから教えたら伝わるかわからないでしょう?

パソコンなんて特にそうです.
オペレータが「マウスでアイコンをダブルクリックしてください」といって電話の向こうで画面にマウスを押しつけて「何にもおきませんけど・・・」じゃ,はたから見たら軽いコントですけど先進まないでしょうから(苦笑)



脱線しちゃいましたけど技術に逆行しつつも地味に作業効率アップへとつないでおります.

あーでも出そうで出なくて,もうどうでもよくなりつつあるMac miniが本当に出たら,またメインPCが変わっちゃうのでシステム入れ替えで大変かも.
でも,Windows自体手放せない(ソフト的な理由で)ので基本2台体制は変えないつもりです.

私の部屋の環境は以下の通り

Main(StudioT'sLABのDAW専用備品)
Windows7 64bit
Core i7 3.4GHz
メモリ ×ばつ3(Dual bootじゃないの)
SSD 128GB
[主なソフト]
Cubase7
Wavelab8
各種VSTプラグインソフト

Sub(ネットワークと映像処理)
CuadCore 2.8GHz
メモリ ×ばつ2(Dual bootだけど32bitなので700MB程度は仮想ドライブ化)
↓ドライブは用途に合わせて切り替え↓
SSD 256GB
[主なソフト]
Windows7 32bit(マザボの制約で仕方なく)
Adobe CS4 ProductionPremium(MASTER COLLECTIONは買えなかった...これだって泣きながら買った><)
Poser7
コミPo!
CAD系フリーソフト等

SSD 128GB
[主なソフト]
WindowsXP 32bit(基幹ネットから切り離して使用)
Cubase7 32bit
SOL2(SMF作成専用)
DAW系フリーソフト等

高校時代から映像と音声のソフトは絶対に一緒のOS下に置かないがセオリーなので今でも2台必須.
実際,当時はドライバやらソフトの干渉やらで不具合多発したんです.
今でも,AdobeのPremiaとDAW系ソフトはやはり干渉します.
プラグインとか相互に使えるものもあるので一緒に入れられたらなぁと思うことはあるんですけど...
もとより重いソフトで2つ同時に立ち上げられないので仕方なく分けちゃってます.

TomからStudioT'sマシンを借りるまではサブPCで全部やってたんですよ〜
すごいでしょ?え?イメージつかめないって?

もう,面倒ったらありゃしないですよー
映像とDAWは相変わらずドライブで分けていたので
Adobeの入ったハードディスク側の映像と音声分離してサブのHDDにデータを置いたら電源切ってハードディスク切り替えて立ち上げ
Wavelab立ち上げて音声データのマスタリングをしなおしてまたサブHDDにデータを置いたら電源切ってハードディスク切り替えて立ち上げ
Premia立ち上げて貼り付けて...不具合箇所が見つかるとまた電源切って―.

ね?(爆)
しかも,ハード共有でも2台のPCじゃない?
だからね無駄に同じOSを2つ持ってた...
最初のころは1台で全部やってたから複数ライセンス版のOSなんて買わなかったし,Adobe買うまではまさか干渉するなんて思ってもいなかったから...


現状,本当はネット専用でタブレットPCを持ってSubPCも基幹ネットから外してしまいたいんだけど,そこまでの資金がないのでWindows7のOSソフトを買い増して今のシステムを維持しています.
パソコンやアプリケーションソフトをちゃんと理解して上手に使っていくって意外と大変なんですよ.


誰でしょうね?
パーソナルコンピューターって名前つけっちゃったの...
確かに,ワードプロセッサからすればパーソナルでしょうけど
実際は多目的に使うコツがいるんですよね

ちなみに,昔のパソコンも今の私のPCに使っている仕組みみたいな事していたんですよ.
ワープロやるときはワープロ専用基板を載せて
表計算をやるときは表計算専用基板を載せ替えて

そのうちソフト化されても外側のハードは同じまま中身を用途に合わせて入れ替える手法でした.
私から言わせれば今も昔も根本的には変わっていないと思います.

『古臭い』と吐き捨てる前に昔の技術の良き部分を理解して利便性のいいものは再利用する.
やっぱり,これにつきますb



September 09, 2014

音つくりと回路(PA)の知識を両立できる人はおそらく世の中に一握りだろう.
私はその狭き門を目指している.
そんな私が久しぶりに太鼓判を押したい書籍がある.
と,いうことで今回紹介するのはこれだ!



岩上 直樹著『世界で一台のオリジナル・アナログシンセを作る 達人と作るアナログ・シンセサイザー自作入門』.
なんちゃって回路屋の私が読んでも結構なヴォリュームがあり,非常に"かゆいところに手が届く"書籍だと思う.

アナログシンセサイザーを自作するという起点から回路や音の加工を学ぶことができる.
個人的には10年前に出会っていたかった本かもしれない.



ただし,読むためには以下の条件が必要.

・回路図が何となく読めること
・わからない事を自分で調べ上げることができる人

なぜ,こんなことを書いたのか読んだ人や実際に作っている人ならなんとなくわかると思う.
まず,回路ですが当然ながら決して簡単ではない.
理科で習った『電池で豆電球が付く』程度ではもちろんアナログシンセが作れないことは容易にわかるかと思う.
その点について「自分には敷居が高いな」と一瞬でもあきらめた方は手を出すべきではない.

向上心がなければその後の難題も乗り越えられないとはっきり言えるからである.
とは言え,DIYをしようと思う人に向上心がない人はいないと思うので大丈夫だろう.

私は知識ゼロから現場で回路設計を叩き込まれた身ということもあり本書内回路図は理解できる範疇.
一応,PA機器を扱っている方でダイヤグラムを読める方でも多分いけるんじゃないかと思う.

なぜかというと,非常にわかりやすく簡潔的にそれぞれの要素において回路や電気またシンセサイザーによる音つくり等々基本的な部分は説明されているからである.
表紙などからは一切わからないが,土井先生と鈴木すずちゃんというキャラクタが出てきて疑問を解決しながら各項目をこなしていくという今時らしい書き方がされているから専門書のようなお堅い本が苦手な方でも読めるはずだ.

また,回路がわからなくて部品選定ができない人にも安心な部品リストとプリント基板用の基板図が載っているのもありがたい.

ただし,あくまでプリント基板の作成方法などはカットされているので,ここも"自分で調べて作る!"という好奇心旺盛な方でなければいけない.

ちなみに,基板サイズ的には残念ながらiModelaの1枚基板では作れないものもある,1枚のプリント基板を2回以上に分けて作成するなどの工夫が必要であるため,おそらく慣れてしまえば感光キットをそろえて作るのが楽なのではないかと想定する.
コスト的には...似たり寄ったりだろう.


[ポイント1]
冒頭でサクッと説明されているメインパネルの作成部分は文字やデザインをOHPシートにプリンターでプリントして作成したものをアルミパネルとアクリルパネルの間に挟むことで実現.
アルミ板に転写する手法を取り上げることが多い部分だが敷居は高い上ミスが許されない.
その点をうまくクリアしている点は非常にGood.

ただ,私はメカ屋ではないため穴あけとかは得意ではないのだが,本書ではテーパーリーマーなどを用いて手作業で開口する雰囲気で載っている.
工具にお金をかけられるのであれば電動ドリルとドリルスタンドを使うとよいだろう.
もちろん,ズレるのも自作ならではの味ではあるのだが...

[ポイント2]
回路部分の説明もナイスな計らいがされている.
個人的に評価したいのはやはり回路図のどの部分がどの要素なのかを資格で囲っている図と,その一つ一つを回路の観点と音の観点から簡潔的に説明しているところである.

意外と,これらの文献でヴォリュームにより犠牲にされてしまうことが多い部分でクローズアップされている点は最高である.
PA屋を目指していて,でもブロックダイヤグラムが読めない人でも本書をさらっと読み切ったころにはそれが途端に子供じみた記号に見えてくるかもしれない.
もちろん,サラッと読めるヴォリュームではないのだが...

[ポイント3]
シンセ部分は当然本書のメインともなる内容なので必要不可欠なわけだが,本書には音を加工する部分にイコライザ,フェーズシフタ,レゾネータ,またリングモジュレータ等の回路も載っているのである.

もちろん,インピーダンス調整すればギターやベース用のエフェクターにすることもできるという点では歪系が大半のエフェクタ自作本を買うよりも断然お得である.

[ポイント4]
ゲートディレイやアナログステップシーケンサの回路が載っているのも粋な計らいだ.
残念ながら詳しい説明までは至っていないが,このヴォリュームの本誌に掲載されているということ自体十二分である.
個人的にこのアナログシーケンス部分を改造してアナログライクなMIDIシーケンサを作ってみたいと思った(ま,A/D変換のあるPICならアナログ回路を使わずしてMIDI化できると大学時代のレポートメモに残っているんだが)

[ポイント5]
サラッと最後に出てくる校正ツール.
実はMIDI/CV変換機である.これは今時ではあるのだが素晴らしいことだ.
ただし,注意が必要で本誌では唯一マイコンを使用している箇所であるのだがメイン回路ではない分かプログラム部分がバッサリと記載されていない(著者の公開するページにて完成プログラムはDL可能)

あくまで,アナログシンセサイザーというくくりにこだわったからだと思うわけではあるのだが,個人的にはその部分を載せておいてくれるとMIDI機器制作にもおすすめできる本として大々的に謳えたので残念である.


以上が本誌のアピールポイントではないかと思う.
実際にこれをなぞって作るというとそれ相応の時間とパワーが必要になるはずなので是非とも中学生や高校生,学生諸君に実践してもらいたい.
昼間は勉強,夜はバイト,寝る前と休みの日にアナログシンセつくり!
なんて贅沢な過ごし方だ.

ちなみに,私は学生時代から時間があったためしがない.
ぼーっとしている時間が一瞬あってもすぐにやれ制作だ,音つくりだ,課題だ,バイトだ―.
遊ぶ時間が有り余るほどある他の学生が非常にズルく思えたこともある.
もし,時間があったらランドナーで旅したいとか,カメラを持って色々なものを記録したいとかフィールドレコーダもって環境音等をサンプリングしたいとか,アナログシンセサイザー作りたいとか色々考えたものだ(授業中とかに...マテ

一言でいえば好奇心旺盛で向上心の塊とも見える時分だったわけだが,取り分け勉学だけは興味がなかった.
だからこそ,私は特殊な部類の人種だと自覚はしていたつもりである.



当時の私から言わせるとモノがあふれた時代を生きる現代人は向上心が低い.
もちろん,自分もその一人ではあるのだが(社会人になってからもシンセ改造したり,いろんな楽器自分で作ろうとしているけど何か?)

私は高校時代自作アナログシンセにあこがれて回路もわからないくせにアナログシンセの特集が組まれた20年も昔のトランジスタ技術を買い集めて所有感に浸っていた(コラッ

いや,結局当時は電気の"て"の字もない弱小高校に通う中の下あたりの頭が非常に悪い生徒だったため,代替え部品を選定することから躓いてしまったのである(今でも全巻持っている)


出来合いモノのキットを探したり(海外には多数存在したが当時は英語が食わず嫌いだったため...いや今でもだが,あきらめた)と,徐々に楽することを考え結局ソフトシンセやプラグインボードのPLG-150ANで自分をごまかしてしまったわけだ.


最近では,デアゴスティーニとかデノプランとか学研とか部品がすべてキット化された雑誌が創刊されている.
いい時代になったなと思うし,大学時代に私も実際世話になったわけだが,週刊シリーズなんて全巻分の値段を計算すると愕然とする.

私が当時買ったのは車型のロボット(RealRobot:リアルロボット)を組み立てるもので,プログラマブルな仕様に当時おもちゃ大好きプログラマーを目指していた私は惹かれて創刊号からずっと買い続けた.

完成はさせたのだが,同じように組み立てた他の消費者の中には途中で飽きて放棄した方もたくさんいたようで,後半は採算が合わず増刊が難しくなったのか当初の計画とは仕様が変更されたりと非常に悔しい思いをした.

私と同じく甘えた人がたくさんいたに違いないと思うのと,やはり子供向けに仕様が考えられていたことから「話が違うじゃないか!」と思った大人がたくさんいたからなのだろう.

その気持ちは私も同じでキットの内容に甘えてしまい特別研究するでもなく完成はさせたものの後半は組み立て意欲が失われるほどの状態...結局,2年後にはより高機能の2足歩行ロボを作るキットに替りコミュニティも特別盛り上がりきらずにクローズ...後に残ったのはブラックボックスを背負った完成品と20万を超える金額を払っていたのだという事実だけになった.

正直,当時のプログラマブル2足歩行ロボットが同額で買えたのを考えるとキットなんて買わなければよかったと思った.
実際,その時は全く中身を理解せずについてきた基板を組むだけだったから回路も内部プログラムも全く学習できなかったしDIY的作る楽しみというよりプラモデル的組み立てる楽しみだったことは言うまでもない.

ちなみに,今でも持っている(押入れの奥底で眠っているが...)
大学に寄付しようかと思ったがあの学校の学生じゃ多分回路を逆ハックしてマイコン内プログラムを自分で作り変えてまでして研究するような学生は10年に1人出てくればいいレベルだろうと思ってやめた(実際,我が研究室に昔作られたと思われるキットものの色々な機器があったわけだが,引き継がれなかったものは棚の奥でひっそりと眠っているだけだった)



一言でいえば,キットは手軽でいいことはいいのだが,一般向けに作られている分だけに情報公開に限界がある.
そのキットがどのような理由でその回路になり,どのような理由でそのプログラムになり結果どのような動作をするのかという肝心な部分は見えてこない.

その点,自分で1から作ることができるようにまとめられたこの本のような存在は非常に意味があると思う.
もちろん,10年後に同じ部品が存在している保証はない.
DDRの世界等,コストとスピード競争がすごすぎて製品設計が終わった頃には4Mやら代替えやらが当たり前のように出てくるような部品も現在はたくさんある(本書内で扱っている部品でそこまで短命なものはないと思うが)
部品の代替えにはそれ相応の知識と経験がないと相当な時間が浪費されてしまうだろうからそれまでの間は使える本なんじゃないかと思う.

もちろん,『過去のトランジスタ技術を買い集めて作るんだ』という人を止めるつもりはないがどちらも持っている私は断然本書を参考にしてしまうだろう.


〜最後に〜
私がこの本を購入したきっかけを簡単に書いておく.
...とか,でかいこと言ったけど実際は特にない.

昔,志して挫折したアナログシンセ作りを懐かしんで買ったというのが80%くらいを占めていて,後の20%が自分の今持っているPAや電気電子の知識を再確認するのにちょうどよい内容だったということ.

そう,私は決して根っからの回路屋でもPA屋でもない.
あくまでアマチュアシンセ使いであり,アマチュア演奏なので全ての起点は音楽や音が先行しているのである.

それぞれの知識を頭の中でぶつけ合い,結果理論的に結びつくところを見つけては深く学習していくというスタンスなので絶対的な基礎知識が本職の人に比べて圧倒的に少ないのだ.

その点をモーラするのに必要な参考書類は全部集めれば方向性がバラバラな電気専門書,電子専門書,数学専門書に物理専門書,そして音楽専門書が連なってしまう.

もはや収集が付かないのである.
そんな私にとって最もわかりやすいアナログシンセという素材を用いた電気電子回路の書物というのは飛び切り好材料というわけである.
何とも面倒くさい生命体だ。。。

おかげで,現在改造継続中のPCMシンセ(元はYAMAHAのS30とUW500なんだけど...あれ?バラしちゃっていいのかなこれ)で疑問に思った点も,ざっくりと解決してきていたわけだが本書で確実性が増した(結局,間違ってとらえていたところはなかったんだが)



色々な方法,色々な方向性からアクションを起こせばこの本の無限の楽しみ方使い方があると私は思うのである.
是非とも,これからプロを目指すPA屋のたまごやシンセ使いのたまごである皆にも読んでもらえたらうれしい.
もちろん,回路がわかり現場でも電気を起点に支持が出せる人に育ってくれれば最高である.



traq

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