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外から見る日本、見られる日本人

バンクーバーの日本人社長ヒロが仕事、生活を通じて感じた経済、経営、社会、日本人観などを綴っています。

不動産

2024年09月09日10:00
日本には築40年以上たった老朽マンションが現在137万戸あるそうです。今後、この老朽マンションが飛躍的に増えるにあたり、その対策に頭を悩ましています。老朽マンションの解体後の土地の値上がり分について非課税にするなどの優遇措置はありますが、分譲マンションの所有者にとって解体後の土地の大きさは区分所有なのでそれこそ、どんだけの土地の価値なのよ、と言わざるを得ない状態です。そんなの貰っても嬉しくもなんともない、それが実態でしょう。発想の転換が必要な気がします。

カナダでは区分所有の法律が整備されたのは1970年代なのでそれまではマンション(分譲住宅、コンドミニアム)という発想がありませんでした。古い高層の建物の多くが賃貸マンションでこれは住民の権利がぶつかり物件により全く建て替えが出来ない迷路にはまっています。例えばダウンタウンに「バンクーバーのハワイ」と私が勝手に称している海岸線沿いの南向き最高の立地にはそのような築50年以上の古びた賃貸の高層住宅がずらりと並びます。過去何度かデベロッパーが再開発を目指しましたが全てとん挫。その理由はそんな美しい眺めを賃貸住宅の住民は誰もギブアップしないから、であります。

日本の場合は先日も書いた「住めば都」という発想が強いのと定年後、安定した収入がなくなった方が引っ越しをする物理的ハードルの高さがクリアできないと思います。私は東京で賃貸物件事業もやっている関係で不動産屋といろいろ話しますが、大家に高齢者の入居者を避ける傾向が強いのはほぼ公然の秘密とされます。なぜ嫌なのか、といえば賃料回収のリスク、あるいは病気などで知らぬ間に部屋で亡くなっていたというようなケースを極端に嫌うためとされます。これを逆に言えば高齢者にとって今住んでいる住宅から動けと言われたらカネの問題ではなく、俺の住む場所を探してからモノを申せ、ということなのでしょう。

日経に「老朽マンション、全面改修・解体に税優遇 再生後押し」とありますが、あくまでも建て替えに関する議決権とか税優遇など表面的な後押しだけであって本質的な解決策は提示していないのです。築40年以上たった老朽マンションの居住者の平均年齢を想像したらわかるでしょう。仮に新築時、住宅ローンを組んだのが30歳だとします。しかも今から40年前と言えばバブルが始まる少し前で物件価格が上昇し始めた頃です。とすれば「住めば都」に「住宅ローンの呪縛」「下落するマンション価格で売るに売れない」方々がそのままずっと住んでいる確率はそれなりに高いはずでそれらの方々は当然70代になっています。

そんなところに建て替え提案をされてみることを想像したらよいでしょう。考えるまでもなく「ハンターイ!」です。今ならローンも終わり月々の管理費や修繕積立金が2−3万円で済むのです。それをアパートに移るだけで月に7−8万円の出費、しかも嫌がられる高齢者となれば全く機能しないのは自明の理であります。

ではお前ならどういう知恵があるか、と言われたらその物件の状況にもよります。例えば私は東京にいる時にサイクリングをする際、板橋の高島平団地とか北区の桐ヶ丘団地を通るコースがあり、そこを横目で見ながら思うことがあるのです。このような団地の再生は比較的簡単だと。まず、2棟か3棟の複数の建物の開発計画案と買収案を第三者のデベロッパーが同時に発表します。その後、5割の同意が得られ買収が進んだとします。残り5割はたいがい上記の理由により動けない方々です。

そこでそれらの方々をその複数棟の中の一つの棟に集約させる、つまりわかりやすく言えば「恐れ入りますが、お隣の棟に移っていただけませんか?」です。団地なので間取りはほぼ同じ、場所も隣の棟なら了解は取りやすいでしょう。更に大規模開発前にそちらの建物の外壁や共有部を手直し、美化し、大規模開発が出来た時に老朽化陳腐化したイメージを出さないようにする、これが一つのギミックかと思います。

では単独のマンションの場合はどうするか、です。デベロッパーは正攻法で力づくの買収をしようとするから話がややっこしくなるのです。上述の通りカネの問題ではなく、安住の住処の問題なのです。よって老朽マンションのそばに一定規模の代替住宅を先に確保し、美化を行い、居住の確保を行う、これがやりやすいかと思います。

この大技が出来るのは一定規模のデベロッパーであり、管理組合がどれだけ知恵を出しても政府がどれだけ税制優遇をしても状況は改善しないのです。ただいわゆる日本のデベロッパーはイメージ第一主義でこんな泥臭い住宅の安定供給的な発想をする会社は少ないでしょう。UR都市機構も違うと思います。これができるデベがいれば老朽マンションの問題解決はだいぶ進むと考えています。

都市の再生とアップグレードは絶対に必要なのですが、人口減が進む日本に於いてそれほど立替需要が生まれるのか、という素朴な疑問もあります。災害時にエレベーターが使えないことを考えればむしろせいぜい20階建てぐらいに抑え、緑化を重視するような都市計画が必要ではないでしょうか?都市の進化とはむやみやたらに高層化することだけが能ではないと思います。

では今日はこのぐらいで

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かつてバンクーバーはコンドミニアムライフのメッカと言われ、その開発、デザイン、居住性の追求において世界最高水準とされたことがあります。私がその世界にどっぷり漬かっていた90年代から00年代の頃です。北米ではそれまでのライフスタイルの中心は戸建て、しかも多くは中古住宅で郊外の広い家に住み、車で通勤が当たり前だったのですが、職住接近で歩いて会社に行き、環境問題のみならず、時間の有効活用、通勤のイライラを解消するといったことが提案され、バンクーバーダウンタウンに雨後の筍のようにコンドミニアムが開発されました。

また、子供が巣立った世代である50代ぐらいのご夫婦に広い戸建てを売ってダウンタウンのコンドに住み、アクティブな生活を楽しもうと新しいライフスタイルのうたい文句も流行りました。

そんな背景もあり、バンクーバーのコンドミニアム価格は世界でも割高が続き、いわゆるビジネス都市圏であるニューヨーク、ロンドン、香港などと比べてもそん色ない価格帯であり、今でもカナダのビジネス都市圏であるトロントより高額を維持しています。理由は1986年万博以降、見事な右肩当たりの不動産市況を背景に需要旺盛で優良な土地が枯渇していること、建設費が果てしなく高騰していること、工事期間が延び開発業者の金利負担も大きく、当局の開発事業への付帯諸条件がより厳しくなり、それらのコストがエンドユーザーに転嫁されていることが挙げられます。

そのため、ダウンタウンのコンドは一部屋当たり1.5億円から2億円レベルが当たり前になりつつあり、郊外に行けばようやく1億円以下で手に入るという感じです。しかし、値ごろといわれる8000万円から1億円程度の新築コンドを見に行っても私が20年も前に開発したデザインレベルと大差がないか、むしろ価格を下げるために仕様を落としています。例えばキッチンの大きさ、アプライアンスのクオリティ、暖炉のあるなし、暖炉があってもその縁は高級な石材を使っているか、バスルームのサイズと大理石の使用具合など総合的に見ると現在の新規発売物件は多くが普及品レベルです。デザインも画一的、ロビー回りも狭くなり、エレベーターは4−50階建てでも3基しかない状態です。つまりコンドミニアムのハードの部分の成長期はとうに過ぎ、目新しさがないにもかかわらず、それでも売れる状態とも言えます。

では東京。マンション価格は8000万円から1億円レベルで平米単価でみれば場所によりバンクーバーより高くなっておりますが、それでも売れているようです。かつては金持ちが相続税対策などを理由で購入していましたが、今では実需も多く、パワーカップルが1億円以上のローンを組むケースもあるようです。そこまでしてマンションがなぜ欲しいのでしょうか?理由には通勤に便利、一等地といったことが上がっています。

私はこれ、変だと思うのです。購入する高額マンションのために夫婦で仕事をするようなもので人生の重要な部分である30-50代をローン返済のためにあらゆる犠牲を払ってでも働いているように見えるのです。余力がない、職業選択の自由も少ない、子供も作らないのです。当然ながら残業も多く、外食も多くなりお金もかかります。高級マンションなら自家用車が軽自動車というわけにもいかず、舶来かレクサスぐらいは欲しいところ。つまりステータス維持のために仮面をかぶり続ける20年になるのではないでしょうか?

一方、日本は空き家問題が引き続き重要な課題です。先日も北九州市の方と話していた際、街の空き家問題の解決策がないものか、と嘆いていました。私の思う解決策はあります。今日は詳しくは述べませんが、ランドバンク方式で街づくりを根本的に変えることは可能です。日本の都市整備や開発をみると空にも届くような高層マンションもあれば放置された空き家とあまりにも対照というか陰影が強すぎるのです。本来ならば政治家や役人が本腰を入れるべきなのですが、前例主義というか、ノーアイディアなのか変わる気配はありません。

不動産を生業としている者から見ると日本ではタワマンはバンクーバーのように増えないと思います。なぜなら住宅は国内需要が主力ながらも収入がそこまで伸びず、需要の奥行は限定されるからです。一方、物件の値上がりは続く可能性は高いと思います。理由は建設費の高騰が続くからです。よってコストが上がり過ぎると需要が価格上昇に追い付けなくなるのでタワマンは増えなくなるとみています。ならば中古のタワマンの価格も一定水準以上になりにくいとも言えます。

ただし、唯一の例外は先日の話ではないですが、東京が本格的な国際都市と化せば、タワマンは外国人御用達住宅という売り方もあるでしょう。私は違和感はないですが、多分、多くの日本の方は嫌でしょうね。外国人がマンション投資をする理由があるとすればそのリターンというよりヘッジだと思います。つまり安全なところに住むところと資産をとりあえず確保しておくという発想で、私が金(ゴールド)がいいね、というのとまったく同じ発想です。海外にはそれぐらい様々なリスクが付きまとっており、日本は「安全・安心・安定・第一」なのであります。

タワマンは維持管理費が通常マンションより数割高く、おおむね管理費と修繕積立金で月3-5万円ぐらい要します。ただ、タワマンにおいて本格的な大規模修繕を迎えたものがまだ少なく築後20-30年たった時を想像する必要はあるでしょう。そもそもそんな巨大建築物でいったいどんな人が管理組合のリーダーシップを取りたいと思うのでしょうか?私は管理にある程度熟知しているがゆえにもっともやりたくない任務であります。

ところで東京に行った際、馴染みの不動産屋に「(不動産市況は)どう?」と声をかけると「高くなりました!」と。この不動産屋は戸建てや土地の売買の扱いが多いのですが、取引実勢ベースでの坪単価はこの5年で2割以上上昇、かつてよく見かけたパワービルダーがお得意の広い敷地を数分割して3階建ての住宅を数戸建てるという案件も見つけるのが困難とのことでした。くだんの不動産屋の守備範囲は狭く、ごく限られたエリアの話ですが、パワービルダーの住宅でさえ億円の価格帯が迫ってきているといわれるとなるほど東京の不動産は確かに高くなったという印象はぬぐえません。

タイトルの「そこまでして億ションが欲しいのか」ですが、私は正直、わからないです。私は物欲がないので狭いアパートでも全然OK。新宿区にある自社で建てた木造2階建て6部屋のアパートの一室で先日も次の入居者の為の準備をしながら「これは陽が入り明るいし、こざっぱりしたいい部屋だよなぁ、自分でも住める」と思いにふけっていました。地べたについている住宅はしっくりきて良いものですよ。

不動産デベロッパーがこんなこと言うと怒られますが、高いお金を出してコンクリートの箱を買うなら私は小さくても環境やコミュニティがあった方がいいと思います。

では今日はこのぐらいで

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マンションなど住宅の値上がり問題が指摘される日本ですが、長期的な賃料相場をみると割とフラットな状態が続きます。非常にざっくりした見方をすると2000年頃までは上昇の一途、それ以降はほぼ横ばいといったイメージです。もちろん物件や場所によるので一概には言えません。

理由はずばり、少子高齢化でしょう。

持ち家比率は1978年に60.4%を記録、現在でもおおむね61%程度でほぼ横ばいになっています。この持ち家比率60%から65%のレンジは一種の黄金比率で先進国や成熟国ではどの国でもこのレンジに収まります。次に世帯数の推移を見るとこれはまだ若干増えていますが、1世帯の人数が減り続けており、私の予想では今後数年のうちに世帯数も長期下落傾向に転じるとみています。

日本の空き家住宅がすでに900万戸台という水準も考え合わせると日本で賃料が上がるのは特定エリアの特定事情がないと難しいのだろうと思います。

ところが海外に目を向けると賃料がドンドン上がっています。ブルームバーグには「米国の家賃、賃金の約1.5倍のスピードで上昇−19〜23年」と記事が上がっています。以前申し上げたように金利の上昇が大家の利払い費用を圧迫するため賃料は高めのオファーになります。また、新築賃貸住宅も建設ラッシュですが、この時期建築された物件は高金利下での開発事業ですので事業費は当然膨れ上がっており、賃料の設定水準そのものが上がってしまっています。よって昨年比〇%上昇という指標だけを見ていたら判断を間違えるのです。

私の友人がカナダで住宅を今買うべきか、と聞いたので「買うべきです」と何の躊躇もなく申し上げました。理由は建設費の高騰が住宅相場を引き上げているからです。建設費の高騰には複合理由があります。一つは設計が複雑になり建築芸術的な要素を取り込んだ建物が増えていることがあります。日本の建物は耐震問題もあって非常に実用的なデザインなのですが、こちらは設計士の芸術(意匠)思想をふんだんに取り入れ、役所のデザイン審査委員会の意向もあり建物自体が一種の公共芸術的な作りになっています。

次に職人の技量が全くついていっていません。なので完成直後のトラブルが異様に多いのです。私が3月末に完成させた物件でもすでに水漏れが3回発生していて、せっかく作った壁を壊し、やり直したところもあります。これらは保証期間ですから業者が無償でせっせとやってくれるのですが、業者にしてみれば儲からない話なのでこのコスト(=「下手料」と称します)を次の仕事代金に上乗せする感じになり、建設コストだけで年間5-10%ぐらいコンスタントに上昇していくのです。なので住宅は買えるなら買うしかないのです。今なら清水の舞台から飛び降りる程度ですが、そのうちタイタニック号とかスカイツリーから飛び降りる度胸が必要になるのです。

では買えない人はどうするのか、これが問題です。私は究極的な住宅問題の解決方法はあると思うのです。一つは政府系事業者ないしNPOが作る住宅を推進することです。一般に工事業者は2割の利益を目指しますのでこれをカットすることができるかです。建築業界は重層型構造で下請け、そのまた下請け...がいるのですが、彼らがそれぞれ1-2割ずつ利益を取っていくので大元のデベロッパーはざっくり3割近く下請けの利益を払わせられます。更にエンドユーザーにはあと2割利益分をのせるので一般購入者はこれが1億円の住宅だといわれても私からすればコストは半分であとは重層の業者たちがとったとわかっているわけです。ならば重層型の業種を垂直統合直営型に変えればよいのです。

2つ目に住宅を所有する必要があるのか、という究極の疑問です。「なぜ住宅を購入したのですか」と聞けば多くの方が「安住の地を求めているから」と答えるのではないでしょうか。日本では一部を除き値上がり期待はあまりないと思います。安住目的で転売利益は二の次なら公的機関が分譲ではなく、リース方式を取り入れたらどうでしょうか?建物償却に合わせたリース料の設定を行い、土地代金は公的機関が所有しリース料に反映させない手段があります。(土地は償却しないという特性を逆手に使う手法です。)地方自治体は嫌がりそうです。なぜなら固定資産税収入が増収にならなくなるからです。ただ、今、社会が抱えている住宅問題はそれどころの話ではないと思います。

賃貸VS分譲の不毛の議論がよくありますが、選択肢はその二者だけではなく、第三の手法にも目を向けるべきだと私は長年主張しています。事実、私はリース案件を日本で実験的にやっているし、当地ではライフリースという手法を私が2006年に開発したシニアホームで一部取り入れています。ライフリースとはその方が生きている間の居住権という発想です。この手法が取り込まれたら日本の老人ホーム経営は真っ青になるゲームチェンジャーです。画期的な手法はいくらでも生み出せるのです。

よって値上がりする住宅対策もやり方次第なのですが、ネックは許可を下す行政部門が前例主義で二の足を踏みやすいということと業者が儲け主義に走り過ぎていること、大手デベロッパーが政治家を介して国交省と結託しているような気がしてならない、そんな気がします。

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日本の不動産の制度については思うことはたくさんあります。19歳の時に宅建を取った際に勉強したのは実務としてのルールでしたが、大枠としての不動産のあり方については一切問われませんでした。近年、難しくなった宅建と言われますが、試験の本質は今でも変わらないでしょう。不動産のあるべき姿と時代の変化をどう変えていくかという大所高所は問わず、細かい実務の修正に留まっている気がします。

その話をし始めるといくらでも書けるのですが、その一つが日本の農地政策です。通常、農地には家は建てられません。但し例外事項としてその農地を所有する農家の人は家が建てられるのです。これがかつての農家御殿に繋がったのですが、基本的に日本は小作農が多い中で農地に家ができるとまるで住宅地と農地が混在しているように見えるし、自治体は立派な道路も取り付けます。

大学生の時、クラスでなぜ日本の農業に競争力がないのかという議論の答えは大規模機械農業が出来ないからと記憶しています。アメリカでは飛行機で農薬を散布するなど規模の農業で圧倒していた時代でその一方で日本では食糧自給率云々が話題になっていた頃です。なぜ、政府は農地に農家の家を建てることを認め続けたのか、これがなければ日本は大規模農業が出来た素地があります。(自民党と農家の結託がいかなる改革にも抵抗となったこともまた事実です。)あと農業の法人化を推進、展開できなかった点も失策で、JA(農協)が悪玉だったと考えています。つまり小作農の推奨になってしまい、農業の法人化、規模の追求が不動産の仕組みからしても展開できなかったのです。

不動産は国交省が主幹ですが、小手先の政策ばかりで根幹を変えるような仕組みの変更を取り入れなかったのはnegligence (怠慢、過失)と言われても仕方がないでしょう。

さて、今日のテーマであるいらない不動産という発想は我々の世代では考えられないことですが、本当に要らないものになった不動産を故人から押し付けられる面倒くささについては今後、もっと大きな話題になるのでしょう。

不動産が輝きを放ったのは80年代終わりまで。その後の世代に於いて不動産は負動産であり、置いておけば金がかかるものになりました。越後湯沢のマンション群、その所有者は固定資産税や管理費などに頭を痛め、「どうにか所有から解放されたい」と思っていた人は多いはずです。子供たちに「湯沢にマンションがあるぞ」と自慢しても「父ちゃん、湯沢まで行く新幹線代のほうが高いぜ」と言われかねないし、「ぺんぺん草が生えているとこよりもっといい温泉や観光地に行きたい」と言うでしょう。

近年、管理が悪く、危険度の高い空き家は自治体から所有者に警告が来ます。しかし、壊してしまえば固定資産税が6倍になるデメリットがあります。だから親から引き継いだ子供たちはじっと何もしないわけです。すると何が起きるか、というと街全体がボロになるのです。街は世代交代し、新陳代謝させなくていけません。新しい世代が街を引き継ぎ、魅力ある街並みを造らないからシャッター街が生まれるのです。それは行政が規制を時代に合わせて変化させなくてはいけない、だけどそんな器用な役人は一人もいないし、いたとしても役人のお上がNOという、それが日本であります。

最近、相続土地国庫帰属制度というのが出来ました。要するにいらない土地は手数料を払えば国が引き取ります、という話です。但し、土地の上に家や樹木があるとダメ、境界線画定が出来ていないとダメなど国はあらゆるリスクを取り除いた状態でのみ引き取るとします。所有者からすれば古家を壊すだけでも数百万円はかかります。せっかくの制度なのにハードルは高いと言わざるを得ません。

先日、マンションVS戸建ての話をしましたね。私がマンションにネガティブなのは日本は「終の棲家」という発想があり、それがマンションに適用された場合、30-50年するとマンションの住民の新陳代謝が出来なくなる点が懸念材料の一つなのです。昔の団地、赤羽や高島平、新宿区戸山の団地、更には千葉や東京の郊外、横浜郊外に建てられた〇〇ニュータウンという名の新興住宅街の多くが60-70年代の住宅取得ブーム時に建てられました。交通が不便だったり建物が古すぎて子供たちは「こんな家、いらない」と出て行き、今では重い鉄の扉が冷たく閉ざされ、来るものを拒む、そんな物件になってしまったのです。

私はコンパクトシティ推奨派ですが、これは地方に留まらず、大都市でもっと真剣に取り組むべき事象だと感じています。行政は40階、50階といった住宅を大手デベロッパーの意向に沿うようにどんどん作ります。しかし、日本の人口は毎年一つの県がなくなるほどの減少ペースなのです。なのに既存の街を再生せず、空に向かって住宅を造り続ける、これはおかしいのです。

私は高層住宅を建てるデベロッパーに戸当たりいくらかの課徴金を乗せ、その資金で購入者の持っていた住宅を国なり地方自治体なりが管理するランドバンク化をさせて、土地の再編を促しやすくして大規模な区画整理が容易にできる仕組みを取り入れるべきと考えています。要は課徴金によりデベロッパーに不要な住宅供給を抑制させ、既存の住宅街を再活性化させる、これが日本の不動産の事業の本質です。

あと、本題から外れますが、カナダでは外国人は現在、不動産を購入できません。時限立法ですが、延長されている状態で、住宅価格の抑制のほか、日本でも話題になる外国による乗っ取りを防ぐという意味合いもあります。日本がもっとドラスティックな政策を打ちだすことを私は期待します。

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2024年03月27日10:00
マンションVS戸建てなんて個人の感性、どっちでもよい、というのが正解です。ただ、それでもなんとなく住宅といえばマンションという意識は特に若い世代では当たり前になりつつあります。いわゆるマンションをデベロッパーとして建て、事業として戸建てを東京でいくつか作り、マンションと戸建ての両面を知る者として呟いてみます。軽く読み流していただいて結構です。

私がバンクーバーでマンション(コンドミニアム)の開発をしたとき、最大のチャレンジの一つは「このコンクリートに囲まれた四角い箱に『生命』をどれだけ詰め込めるのか?」でありました。哲学的かもしれません。

当地のマンションの建設現場は一階以外はいわゆる仮囲いはしないので躯体がどんどん空に向かっていくのが見えます。むき出しの無機質なコンクリートが一週間に1フロアずつ上がっていき、その10階ぐらい下層あたりでは窓業者が窓がはめていく、そんな風景は当たり前に見ることができます。

私はデベロッパーとして単にコンクリートの四角い箱を作り、お客様に高い金額で買っていただくことがこのビジネスの本質なのかとずっと疑問でした。若い時でしたので自分の自由度があるわけでもないのでせめてと思ったのが住民同士のつながりを増やす工夫でした。隣地のホテルとの提携やデベロッパーとして住民にBBQ大会を提供するといったことを行ったのですが、住民からは「あなた、珍しいよね、完成した物件の住民に食らいついてくるデベロッパーは普通いないからね」と。そう、当時、多くのデベは建物完成後しばらくすると会社を解散し、その存在を消します。理由は訴訟対策。私は真逆で今でも管理組合やそれぞれの建物のヘッドコンシェルジュとはやり取りがあります。「どう?問題ない?」って。

マンション価格が東京では億を超えるという報道を耳にするたびに「そこまでしてマンションが欲しいのかな?」と思うのです。そもそもそれぐらいの金額になると一般の方はなかなか買えません。購入者は富裕者層といいますが、どんな仕事をすると富裕者になるのかという疑問はあります。お勤めの方ならパワーカップルが無理をして購入する、そんな感じでしょうか?それでも30年前後のローンを組むわけです。

折に触れて不毛の議論「賃貸VS購入」というのがあります。これぞ個人の価値観によるものなのですが、最近のマンション価格を見るとこの議論は不成立ではないか、という気もするのです。つまり結婚もしない男女が増える中で住宅購入に伴う借金を背負う価値が見いだせなくなっている気がするのです。

私の経営するシェアハウスは満室状態が続きますが、日本人の比率が増えています。理由はいったん入居すると動かないのでじわじわと日本人に占拠されている、そんな感じです。シェアハウスなのに皆さん、3-5年とか普通で住んでくださるのです。彼女らにとってとても居心地の良い生活基盤なのでしょう。

その背景の一つは安全ではないかと思うのです。私の経営するシェアハウスはビルなので構造的にも侵入者を防ぐ意味でも同居人がいる点でも安心です。一方、外国人向けのサービスアパートメントは木造2階建ての一般住宅をその用途に全面的に作り替えたものですが、外国人に圧倒的人気です。理由はシェアではできないプライバシーが保てるからです。ただ、一部の1階の住民からは安全対策を非常に気にされて窓に鉄格子を付けてくれといわれ設置したこともありました。それでも木造造りが外国人受けがよいのは木のぬくもりなのだと思います。設計的にも日本の古家的なイメージを醸し出す造りにしてあるのでこちらは外国人の長期滞在者ばかりになっています。

住宅事業に携わる者として経済的観点から見た場合、どちらが良いのか、といえばこれははっきり戸建てになります。まず1億円のマンションの半分以上は自分が占有するコンクリート箱以外の部分のコストだということです。想像してみてください。四角いコンクリートの箱に窓と扉を付けて床材を張り、壁を作り、仕上げをする、それだけならかかるお金は知れているのです。その箱を積み木のように積み上げる、生活するためにエレベーターと階段を付ける、立派なロビーを造り、共同生活としての仕組みや法令に沿った基準を満たす、これに多くの費用が掛かっているのです。

マンションの土地の持ち分は極めて小さいし、自分の所有分は比率表示なのでどれが自分の土地という特定はできません。ということはマンションはコンクリートの塊としての価値が主体であり、当然減価するのです。またその価値を維持するために管理費と修繕積立金を払います。日本はまだそれでも3万円程度でしょうか?カナダは高くて私の小さな部屋でも管理費だけで月に12万円払っています。修繕積立金の概念はないので壊れた時にどんと大きな請求が来ますが、基本的には予防的管理をしているのでその頻度は少ないと思います。

人生のお付き合いという意味で住宅は大きな意味を持ちます。その中で生活習慣の変化に伴う住宅の改造改築の自由度があり、地べたに近い戸建ては味があると思います。また私は人口密度という考え方も取り込んでいます。巨大なマンション群があるところは避けたいのです。似たような生活をするお宅が窓の向こう側に見えるのは金太郎飴のようで嫌なのです。週末のレストランやスーパーは劇混みなのも生活パタンが皆似ているからでしょう。これは落ち着かないのです。

私は住宅選びはその方の哲学をまず考えるべきだと思います。不動産会社の「人気の街ランキング」などで選ぶのではなく、いろいろな街を歩き、人々に触れ、街のにおいを嗅ぐことです。池袋と吉祥寺は違う匂いです。銀座と新宿も全く違います。住宅街にも当然、匂いはあるのです。まずはその感性を感じることからスタートしたらよいかと思います。

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2024年03月04日10:00
東京のマンションの平均価格が億円を超える時代になっていますが、海外主要都市の不動産ははるかに高く、昨年の高金利下でもアメリカにしろカナダにしろしっかり価格上昇しています。私も価格は上がり続けると申し上げてきましたが、そのあたりのカラクリを少しご説明します。

不動産開発のコストにはいくつかの要素があります。
1 土地取得価格
2 土地用途変更及び開発および建築許認可取得
3 建築工事
4 ソフトコスト(開発期の金利負担やマーケティング、管理費など)
それぞれのポイントに於いて海外、特にカナダのケースで見れば日本人が腰を抜かすような状況が生じています。そしてそれらコストが全て最終購入者に転嫁され、購入者はそれを喜んで払う、そういう仕組みなのです。だから不動産は高いし、上がり続けるのです。

まず土地取得ですが例えばマンションを建てるのにふさわしい一団の土地となると極めて取得が困難になりました。かつては空き地とか廃墟同然の建物、更には古くなったタワー型駐車場といった潜在開発用途物件があったのですが、今ではそれらは開発し尽くしてしまったので現在普通に使っている物件を買収するしかないのです。

例えばアパートなら大家は通常一社なので開発はしやすいですね。では分譲物件ならどうするのでしょうか?最近知人が住む分譲物件に突如「For Sale」看板が。あれっと思い、本人に聞くと知らなったと。看板には管理組合解散を条件とした販売物件となっています。管理組合が交渉をまとめ買い手が一定金額を払うことで分譲全戸を強制売却させるのでしょう。感覚としては上場企業におけるTOBのような感じでしょうか?ごね得もしにくい気がします。ただ、当然、プレミアムを乗せる必要があります。

2番目の土地用途変更です。これは多くの開発が高層化し、50-60階建てになっていますが、それは案件ごとに土地の用途変更(Rezoning)をすることで可能になります。こちらではごく普通の手法で私も2度やっています。但し、時間が果てしなくかかるのです。私が1回目にやった時が5年、2度目が2年でした。私が住む近所の土地用途変更は現状、軒並み4年越えで更地のまま放置されています。また通常、リゾーニングでは例えば50階までしかOKにならなくてもその後、役所とディールしてバーター取引をすれば3−4階分増やしてもらえる公算があります。交渉力次第ですが、開発諸条件を役所に有利な形で合意する代わりに容積を増やしてもらうのです。デベロッパーは当然コスト増になりますが、売り上げも増えるので都合がよいわけです。

3番目の建築工事は相当の曲者と言ってよいでしょう。なぜなら下請業者が協力しないからです。特に最近、デベロッパーの業者への支払いが悪いため、業者が前金を要求します。工事業者も契約金額で収まるケースは100%なく、設計変更と称して利益率の高い変更契約(Change Order)を増やしていきます。この利益率は私が日本のゼネコンの現場にいた時は20%-25%で凄いと思ったのにこちらは100%かそれ以上です。ヤクザでもそこまでしないだろうという金額。それをネゴろうとすれば「じゃあ、やらないぜ。それでもいいのかい?」と言われます。

また、サボタージュも酷く、業者が来ない、部品がないことを理由に遅延が続くといったことが頻繁に起きます。理由は下請け業者がデベロッパーを取捨選択しているために嫌なデベの仕事はやらないのです。そうすると私のように弱小のデベだと餅まきじゃありませんが、前金勝負するしかないのです。

最後にソフトコストです。これはもう金利が全てと言ってよいでしょう。銀行は住宅ならプリセールで6割ぐらい売れないと貸しません。その為、デベは土地取得代金から銀行による資金調達まではつなぎ融資を得る必要があります。私も一時期つなぎ融資団(貸す方)に所属していましたが、通常金利は銀行金利に6-8%の上乗せなので今なら12%以上です。銀行から借りれると金利はプライムレートに1%乗せたぐらいで調達できます。(カナダの場合はBankers Acceptanceという銀行振出手形を介した特殊な調達手法でコストを下げます。)

ここまでお読みになったらお分かりの通り、不動産開発はいくらあっても足りない金食い虫の事業だけれど今やらなければ一生出来ないという世界なのです。正直、資金繰り頼みで事故もなく、トラブルもなければいいのですが、何かあった時プロジェクトは吹っ飛びます。

カナダではトロントで85階建ての建物が途中で吹っ飛びました。バンクーバーでも銀行が100億円近く融資した物件がとん挫し、訴訟問題になっています。更にバンクーバーで最大のデベロッパーが業者などとの問題で訴訟を20以上抱えており、先行きが不安視されています。

ところでドイツで商業不動産の市況が2023年通年で10%、10−12月期だけで見れば13%下落したと報じられています。これはオフィスがガラガラなので値段を下げざるを得ないという意味なのですが、こうなるとデベは困るのです。銀行にお金を返せないわけです。WeWorkなどは潰れた者の強みで今になって追い出された創業者が安値で買い戻す画策をしています。

我々は中国の不動産を笑いますが、いやいや西側諸国も散々なのです。それでもどうにか体裁を保っているのは住宅市況は悪くなく、今年後半から更に盛り返していくことが期待されるからです。理由は金利低下により過去2年ほど滞留していた住宅購入者層が一気に買いに走るからです。

ということは私を含めデベロッパーはここは歯を食いしばって頑張るしかないわけです。いつも開発をやっているとその最終段階の時に思うことがあります。「トンネルの向こうには資金需要からの解放がある」と。そして「こんな仕事、だれが好き好んでやるのだろう」と思うのです。

海外、特に先進国の都市圏で手持ち資金でデベの仕事をやっている日本人はそう多くはないでしょう。たぶん、世界合わせて50人から100人程度かと思います。また、日本の大手建築会社が海外進出を目指していますが、彼らあらゆるスタンダードの違いに驚くでしょう。その点では現地のデベと協業が良いと思います。かつて、ゼネコンに在籍していた際、NYのマンハッタンで超高層を建てることになった時もとてもじゃないけれど日本のゼネコンが管理できるような環境(=マフィア対策)と仕組みは存在せず、結局、地場の大手と組んだプロジェクトになりました。それぐらい特殊な世界だと思います。

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2024年02月06日10:00
少し前ですが、日経が興味深い記事を報じています。「2050年の孫は『家なき子』 住宅、建てるも直すも難しく」というものです。1980年には大工が90万人いたけれど2045年には10万人を切るそうです。となれば、新築住宅は出来ないし、家の修理もままならず、ましてや震災などで住宅の損傷が地域全体に広がった場合、対応のしようがない、というものです。

もちろん、この人数だけを見れば「そうだよな」と思わず納得するのですが、それまでに住宅の工法は大きく変わってくるとみています。我々が普通に見る戸建て住宅は在来工法でつくるので現場で各工種の職人が作業を進めるわけです。建築というのは一種の流れ作業を工場ではなく、現場で行うと考えて頂いてよく、時としてそれがうまく流れないので工期が延びたり、コストがかかったりするわけです。

2045年に大工が10万人しかいないと予想できるなら他業種の人材が住宅を作る流れを生み出すしかありません。個人的にはさほど難しくないと考えています。

ここカナダ。年間移民数が50万人、それに対して住宅供給キャパシティが28万戸程度。どう考えても住宅は不足です。故に価格が確実に上昇していくのですが、カナダ国営のCBCニュースで政府として移民政策と住宅政策の整合性が取れていないのでは、との記事がありました。住むところもないのに移民をそんなに入れてどうするのだ、というわけです。

そこでカナダでもプレハブ(Pre-fabrication)工法が再度注目されてきています。バンクーバー近郊のあるところでは総戸数100戸越えの6階建てのプレハブ住宅が着々と進んでいますが、その工期はなんと6か月。在来工法の1/3から1/4の工期です。

日本ではプレハブといえば大和ハウスのミゼットハウスが有名で「安物」のイメージを植え付けてしまったと思います。ところが今、街中に建つ大和ハウスのプレハブ工法の住宅は決して安くありません。在来より高い感じすらします。私も一度だけ大和ハウスで設計までやったことがあるのですが、住宅のデザインに限界があり、私のレベルでは「貧弱」「上品ではない」という結論に達し、ハウジングマイスターと称する大和のトップクラスの設計士と丁々発止して結局、やめたことがあります。

ただ、カナダのように安い住宅がすぐに欲しいという場合にはプレハブ住宅はアリだと思います。事実、日本の某大手が当地に進出を狙っているはずですが、日本のようには行かないでしょう。なぜならいくらプレハブと言えども現場作業は多く、クオリティのよい作業員、特に配管工と電気工は少ないのです。彼らを抱き込めるかが勝負でしょう。

日本の話に戻します。個人的にはプレハブ、つまり工場制作の作業量を今よりもっと増やし、現場での作業を究極的に減らすことがまず求められます。次に工種が多いのが建築業の特徴ですが、その工種を半分以下にする努力が必要かと思います。例えばペンキ屋と床材/カーペット/天井は同じ会社でできれば作業員がそれらすべての工種を一緒にできる能力を備えることで作業効率は上がります。

東京にいた際、近所でプレハブ3階建ての住宅を作っていました。3つの箱を積み重ねて作るのです。こんなので大丈夫かな、と思ったのですが、出来上がって外装の化粧をしてしまうとパッと見はプレハブの安普請とは見えません。工期は1週間とか10日ぐらいでほぼ完成していました。

今、日本で在来工法で住宅を作れば工期は5-6か月程度だと思います。それを1.5か月に縮めれば職人が仮に10万人しかいなくても実質40万人分の作業ができるということです。こう考えると2050年に住宅が買えないといった問題は避けられるはずです。但し、私の発想は現場作業を工場で究極的に行い、現場では運び込み、取り付け、つなぎ込み、化粧(外装と内装)だけに限定するという発想なのでパタン作業になります。

ところが震災のようにどこで何が起きるかわからない場合にはこの対応が非常に困難になります。今はまだ被災地で「住める、住めない」という議論ができる余地もありますが、今から20数年たつとその議論の余地が無くなるのです。ましてや南海トラフ地震やら首都直下型地震などが起きた場合、住宅事情は崩壊すると考えた方がよいと思います。先日テレビで専門家が南海トラフ地震は2035年前後に確実に起こる、とし、首都直下型地震は明日かもしれないし、しばらく起きないかもしれないし、ということを述べていました。

恐怖をあおるわけではないのですが、地震の備えとはまず、耐震構造の住宅に住むことで命のリスクを最小限にすることが重要です。よく勘違いされる方がいるのですが、耐震構造の家でも地震で壊れます。ただ、能登で多数見られたようなぺしゃこになりにくいので命は助かるというものです。もう一つ、震災の備えとは震災時の備えだけではなく、いざ震災になった時、どうやって速やかに平常な生活に戻すか、これがもっと重要な課題です。このプランが政府にも国民にもありそうでないのです。今までは起きた時に一気に復旧させるという発想ですが、もう少し工夫を凝らす必要はありそうです。

日本の人口が減り、建築関係の職人も減ることは予見できるので企業ベースでは乗り越えるべく対応ができる、だけど、役所ベースでは前例主義なので対応が出来ない、これが大きなネックになる可能性を見て取っています。その点からは皆さんが今お住まいの住宅はしっかりメンテをして多少の地震ぐらいでは大丈夫なような予防措置をするしかないと思います。

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