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外から見る日本、見られる日本人

バンクーバーの日本人社長ヒロが仕事、生活を通じて感じた経済、経営、社会、日本人観などを綴っています。

2019年02月

日本国内でM&Aが増えています。ただその中身は中小企業経営者の事業継承といった理由に伴うものが多く、企業規模を追求する本来の戦略的M&Aは武田のシャィアー買収など一部の巨額な案件が全体の数字を引き上げるケースが多く、必ずしも盛んとは言い切れません。

日本国内経済は内需型ですので人口減とともに一般的には縮小していくと言われており、国内企業は業界再編も含め、経営効率化に努めてきました。また、日本独特のコストカットや創意工夫もあり、海外で生産するより国内の方がより安定的に、そして場合によっては低コストで生産できるようになってきています。

例えば1月28日号の日経ビジネスが「製造リショアリング」というマニアックな特集を組んでいます。リショアリングとは工場の国内回帰のことですが、今、日本に拠点回帰が起きていると報じています。理由は人件費に生産性を掛け合わせると日本で作っても採算ベースに乗る、というものです。

例えば日本と中国では人件費は5倍程度の差ですが、生産性が日本の方が2.7倍あるというのです。これは論理的にはロボット化を推し進められる業種では更に差を詰めることができ、「やっぱり日本でビジネス」という機運になるのかと思います。

これは結構な話なのですが、製造コストの削減はあくまでも経理の損益計算書において直接コストの削減でしかありません。会社が儲かるかどうかは売り上げが上がるかどうか、これが最大のキーであります。

日本型M&Aで業界再編を通じたコストカットはやはり損益計算書でいう直接コストのカットと一般管理費の削減であります。つまり、日本人が大好きな「削減」一方なのです。

何年か前にこのブログでも紹介したことがあるのですが、私は90年代後半にアメリカでゴルフ場経営と住宅開発事業の再建チーム員も兼ねていました。コストカットを推し進めながらも経営改善の決め手に欠き、最終的に資産売却をしました。その際、買い手から「日本人はコストカットは上手だけどどうやって売るのか、そこがうまくない」とズバリ言われ、大変ショックを受けたことがあります。

それを学んだのでしょう。私の今のビジネススタイルは投資をし、価値を向上させ、見合いの価格アップを図る、であります。カナダでは価値に対する評価を正当にしてくださりますので価格引き上げでトラブったことはあまりありません。年間契約を主流としているマリーナ事業は多分、バンクーバーでトップレートを提示させてもらっていますが、5年程度のウエイティングリストを持っています。

「歌を忘れたカナリア」という言葉がありますが、「値上げを忘れた経営者」「売ることを忘れたセールスマン」になっていないでしょうか?ここにきて原材料費の値上がりに耐え切れなくなり、値上げをする企業も再び出てきています。コカ・コーラが一部製品の値上げを決めました。27年ぶりだそうです。しかし、これはコスト増の結果の値上げであって付加価値がついて値上げしたものではありません。

確かに日本国内は値上げしにくい環境にあります。スーパーに行っても商品が週替わりにバーゲンを繰り返します。それは大量販売に頼る大企業と流通の仕組みが消費者の選択を狭めたのでしょう。

私の日本の友人がシャンプーのビジネスをやりたがっています。スーパーやドラッグストアでシャンプーコーナーに行くと案外種類が少なく、300円、400円台の同じような商品ばかりだということに気が付くでしょう。友人は2、3000円するシャンプーを考えています。行けると思います。頭皮のアレルギー体質は案外多いのに合わないシャンプーで苦労している人はずいぶんいるのです。大企業のように何万本というロットを期待しなければいいのです。私は実は一本2000円のボディシャンプーを長年使っていますが一旦使うと普通のものが使えなくなります。

以前、ビールの話もしました。日本は下面発酵のラガー/ピルスナー系が主体だと。しかし外国では上面発酵のエールやIPAからフルーツ系も含め、多種多様で市場が大きく拡大しています。「のど越しすっきり」ばかりがビールじゃないという発想がなぜ生まれないのでしょう。売れるのは赤い缶の「本麒麟」ばかりでは困るのです。

なぜ、外国企業との提携をタイトルに掲げたか、ですが、これは刺激以外の何物でもありません。残念ながら多くの日本企業が外国企業と提携、M&Aをしても多くが失敗しています。成功失敗の定義づけが難しいですが、7-8割は効果が薄かったのではないでしょうか?それは日本人が日本人の目線で評価をしてしまう弱点もあえて指摘しておきます。

武田のシャイアー買収は外国人社長だからこそできる技であとは水平展開できるかがカギでしょう。個人的な予想では武田は社内のいらない分野を大胆に売却してスリム化を図るとみています。日本人経営者ではびっくりするような仕掛けをしてくる気がします。

モノを売る、これがビジネスの基本です。そして付加価値を売る、これも基本です。ですが、日本の場合、いらない付加価値が多すぎたり、同じ土俵でのレッドオーシャンになってたたき合いになっているケースはずいぶん聞きます。

海外には面白い市場があります。また開拓できる余地も十分にあります。そこに進出するには現地になれた企業と手を結ぶのは理に適っていると私は思っています。

では今日はこのぐらいで。

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また明日お会いしましょう。
2019年02月27日10:00
カテゴリ
社会一般
国際
英国のEU離脱問題が揺れています。3月29日に離脱する予定ですが、いまだ何ら決まらず、様々な案がテーブルの上にのせられています。挙句の果てにラストミニッツのイベントの結果次第でフローチャートのごとく、選択肢を狭めていく方式をとるようです。つまり、3月12日に現行離脱案を採決、否決なら13日に合意なき離脱案を採決、これが否決なら14日に交渉の短期延期を採決する、というものです。

ここまでくると冗談のような世界ですが、私はこのトレンドが世界中に蔓延しつつあると思っています。英国でモノが決められなくなったことは現代社会の病として極めて重要なシグナルを我々に送っています。

アメリカ。すでに2020年の大統領選挙に向けた動きが出てきました。トランプ大統領を弾劾するという大それた発想はいったん引っ込め、あと2年弱、我慢し、うち1年は熱い大統領選で盛り上がればストレス解消さ、といったところでしょうか?私が懸念するのはアメリカの大統領選挙を通じてアメリカ国内により明白な断絶ができることでしょうか?

そしてそれよりももっと注目しているのは野党民主党から次々と大統領候補者が立候補表明をする傾向であります。これは一本化出来ないところに妥協ができない社会が生まれつつあるとみてよいかと思います。私が予想する大統領選は民主党の自滅で終わる可能性を指摘しておきたいと思います。それは英国と同様、民主党側の考えが一本化できず、微妙な点での妥協を許さなくなりつつあるからです。

「好き嫌いをはっきり言え」というのは我々が英語を習い始めた時、最初に習うことでした。リンゴが好きなのか、バナナが好きなのか、選ばねばならないというのは民主主義的発想を個人の嗜好まで組み込んだ究極の選択であります。数値的に言えばバナナ49%、リンゴ51%なので私はリンゴが好きだと決定し、そう思い始めた瞬間、バナナを排除しなくていけないことになります。何が何でもバナナを嫌い続ける、これが地球上で今、起きていることです。

沖縄の県民投票。玉城デニー氏は罪深い人だと思います。県民の半分近くは潜在的にYESだったはずです。それなのに県民をYES派とNO派に色別し、県のコミュニティでNO派がYES派を虐める(その逆も含め)ような県民の一体感を損ねることを増長させたのです。これは上述のバナナとリンゴの話と同じでそこまで明白な意識を持っていなくても色は二色しかない(どちらでもないという選択肢はもっと嫌われるかもしれません)から「踏み絵」をさせたといってよいでしょう。

韓国が日本を歴史的に何時までも引っ張るのは儒教的精神に基づき、親が子に思想を強制させ、それを子供が「そうなんだ」と思い込むところからスタートします。親や学校教育が洗脳し続ければ子どもの脳はすぐに色づきます。では多くの韓国の学生や生徒諸君に聞きたい、あなた方はどれだけ自分で歴史の勉強をしたのか、と。1965年の日韓基本条約の中身を知っている若者は驚くほど少ないのは都合よい情報だけを流した当時の韓国政権の責任でもあります。

この原因をもっと探ると私はSNS社会が生み出した断絶だと思っています。あの短文の中ですべてを詰め込むことは難しいのですが、書き手の強い意思表明をすることでよりフォロワーが増える傾向にあることは事実です。つまり、必要以上にトーンを強めることが現代社会の傾向であるともいえるでしょう。

この私のブログもかつて転載先ではタイトルが見事に変えられていました。それが書き手の意思とは乖離するようなより強いトーンになっているのはタイトルで読者層を拾うというテクニックがあるからでしょう。刺激を求めるなら激辛の食べ物だけにしてもらいたいところです。

では今日はこのぐらいで。

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また明日お会いしましょう。
ジムロジャーズ氏が日経とのインタビューに応じた記事が掲載されています。日本人から見れば後ろ向き満載です。「中国の企業破綻が世界的な債務危機のきっかけになりかねない」「次の経済危機はリーマン・ショックを上回る史上最悪のものとなるだろう」「日本関連の資産は何も持っていない。人口減少という構造的な経済減速の要因に加え、日銀が大量のお金を刷り続け、日本株や国債を買い支えているのも売りの理由だ」と。そして前向きなのはたった一言、「朝鮮半島で投資機会を探している」そうです。

ジムロジャーズ氏をどう評価するか様々だと思いますが、好き嫌いは分かれると思います。日本には比較的信奉者は多いと聞いたことがありますが、私からすると過去の人だと思います。

氏は投資リターンという観点から社会を見ていると思います。ただし、76歳の氏がみるその視点はやや古いスタンダードをベースにしているように感じます。88歳のウォーレンバフェット氏の投資リターンも最近は華やかしいものではありません。昨年末の株式相場の下落でアメリカの著名ファンドマネージャー達もずいぶん店をたたみました。ニューノーマルは確かに存在し、基準点が変わったことを認識しないと世の中を判断するのは難しい時代になったということでしょう。

ロジャーズ氏は昔から地球をエリアで見る傾向があります。オートバイで世界中を回り、地球を俯瞰しやすいシンガポールに居住していることも背景にあるのかもしれません。

私も確かに世界経済は先行き茨の道だと何度もこのブログで書かせていただいています。中国の下向きの先に何があるのか、戦々恐々としているところもあります。不動産は世界で調整期に入ったと言われています。ですが、そこまで悲観する必要もない、というのが私の持論です。

まずロジャーズ氏からこけにされた日本です。人には基礎代謝というものがあります。これを国家に当てはめると一定の人口とインフラという国家資産を活用し、経済活動から生み出す最低限のGDPが存在するはずです。(学者がこのような研究をしたかどうか知りませんが、論理的な解をだせるでしょう。)

日本の低成長経済は確かに基礎代謝により一層、近い状態になっているかもしれませんが、一定以上は下がらないというロックボトムがあるともいえます。つまり、日本の経済力は下げ余地がさほどない、と私は見ているのです。(上がるかどうかは別です。ただ、企業が安定経営をし、高配当を行うよう努力すれば日本の株を見放すような事態にもならないと考えています。)

次に中国ですが、先日のブログで大きすぎて統治しにくくなってきていること、および共産主義の教義と実態が連動しておらず、共産党員との格差社会を生み出していると指摘しました。ただ、パクリで始まった技術やノウハウであってもそれを水平展開し、分野によっては世界最高レベルになっているものもあります。日本の経営層は中国との技術差はまだ2年以上と言っていますが、実務層からはほぼ同格か、分野により先を越されているとされます。

現在の中国の政治基盤が今後どうなるかは議論を差し控えますが、十分な潜在的内需と合わせ、すでに技術開発では孵化(インキュベーション)のレベルから成長分野に入った産業もあり、自助で回復発展できる能力はあると思います。ロジャーズ氏のいう中国企業の破たんがあるならばそれは政府系企業であり、影響は政府と企業の間に留まりやすく世界経済まで影響があるかは何とも言えないところでしょう。(そもそも政府系企業に破たんがあり得るのかという議論もあります。)

「次の経済危機がリーマンショックを超える」という点に至ってはまったく根拠不明です。確かに金融緩和で世界にはマネーがあふれています。しかし、突然それが全方位にわたってコントラクト(収縮)するシナリオまでは描けません。20-30%の調整はあるかもしれません。それが一定の時間をかけて調整が進む限りにおいてはそれを経済の崩壊だとは言いづらいでしょう。単なる不況期です。

急速なコントラクトが起きるとすればそれはAIによって恐怖を煽られることが引き金になるとみています。よって仮にロジャーズ氏の言うリーマンショックを超える経済危機があるとすればAIが全方位にわたって警告を出し続けオーバーシューティングを引き起こすケースでしょうか?(石油ショックの際、トイレットペーパーを買いに走った主婦と同じです。)

それでは人間の英知がドツボを生み出すということになるのでしょう。判断を人間ではなく、機械に任せるのですから自業自得です。ショックがあった際、つま先立ちしているところは苦労しますが、地に足をつけていれば必ず、嵐は止むものなのです。リーマンショックで学んだことは大きかったと信じていますが。

あまり不安になることを考えても仕方がありません。住む家は確保されています。先進国で食べ物がなくなるということもないでしょう。着るものなんて5年分ぐらいのストックは皆さんお持ちでしょう。私は何も心配していません。人間はそこまで愚かではないと信じています。

それよりも著名人が刺激の強い発言をすることによる弊害がもっと怖い時代です。ツィッター一言が世界を全く間に駆け巡り、動揺を引き起こす時代です。我々はもっと賢明にならねばならないでしょう。

では今日はこのぐらいで。

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沖縄で行われた辺野古移転に関する県民投票は反対が7割を超えていると報じられています。投票権者は115万人強で投票率は52.48%でした。つまり60万人が投票し、その7割、42万人が反対票を投じたということになります。玉城デニー知事は投票権者の25%である29万人程度が反対票を投じれば「考慮するに十分値する」と考えていたようですので、安倍首相及びアメリカ政府にしかるべきボイスを届けるというステップを踏むことになるのでしょう。

個人的には違和感がある県の政治家、行政を挙げての反対運動でしたが、結果は結果として尊重します。賛成派が盛り上がらなかったのは事実なのですから。ただ、この行動が現代の民主主義という傘に隠れた自己主張の押し出しであったことは日本の統一感の維持に暗雲をもたらす障害となる懸念を感じないわけにはいきません。

日本はほぼ単一民族であり、他国のような民族闘争が自国内でほとんど起きない、というアドバンテージは大きな意味を持っています。どの国も民族間の対立を抑えるために長い年月をかけて「腫れ物に触るような」対応を続けてきています。この対応を間違えると内戦など収拾がつかない事態になったのも歴史が語るところです。

沖縄を民族的にどう捉えるか、これは学者マターでありますが、(琉球人の起源が日本の本土民の移住であり、中国や台湾からの流れではない点を考えれば個人的には日本と同一民族だと考えています。)歴史的には明らかに本土とは違う道を歩んできています。琉球王国が中国と冊封関係を結び東シナ海での貿易で繁栄を築き、独自の文化、経済、社会を築いたものの江戸時代にようやく、鹿児島の島津藩が付庸国とし、日本が沖縄を本格的に意識し始めたのは明治時代に入ってからであります。

先の大戦においては確かに沖縄における不幸はありました。しかし、日本全土という意味では広島や長崎の原爆も東京などの大空襲もあったわけで沖縄だけを特に取り上げるのは違和感があります。その後、復興という中で沖縄を含め、日本は一斉に再スタートを切ったのもこれまた事実。北から南まで長い日本の国土を復興させるのは大変な労力と時間と人々の忍耐があったはずです。そして政府は決して特定のところをトカゲの足切りのように不幸に陥れるようなこともしませんでした。

政府が今回、注力したのは普天間の住民の安全の懸念を取り除くための代替案でした。ではなぜ普天間基地のそばに住宅が密集したかといえば戦後の復興期において普天間の周辺は地雷の撤去などが進んでおり、そこが安全とされたから、というのがもともとの理由でした。

政府は国民の平和と安全を守ると同時に外交などを通じて軍隊を持たない日本を如何に守るかという別次元の安全保障も考えなくてはいけません。このバランスは一筋縄にはいかず、どちらかをとればどちらかがうまくいかないという厳しいかじ取りを要求されます。

「反対」というのは簡単です。しかし、どう解決していくのか、その実行可能な具体的で建設的な案が出されたのか、といえばそこは聞こえてきません。今回反対を投じた人からすれば「そんなのは政府が考えればいいだろう」ということでしょうか?

沖縄は観光地として最近、更に賑わいを見せていると言われます。政府と県の厳しい関係に対して多くの本土の人はほぼ無関心を装います。同じことは対韓国にもいえ、訪韓する日本人はどんどん増え、今や第三次ブームとも言われています。

経済や人的交流がより活発化する中で微妙なマインドのクラックが生まれてきていることは残念です。SNSなどが普及する中で人心が十分な検証もなく、うわべの賛成反対で「思い込みのバリア」を築く現代社会に一種の恐ろしさを感じざるを得ません。判断を間違えると英国のような試練となることも肝に銘じておくべきでしょう。

では今日はこのぐらいで。

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2019年02月24日10:00
カテゴリ
経営
日本の社会
同じ仕事を何十年と続けることは日本的には美談になることが多いと思います。「〇〇一筋で生きてきました」などという常套句的な挨拶は頑張ってきたのだな、と思う一方、もっとできたのではないか、という可能性もあったのではないでしょうか?

雑誌プレジデントのオンライン版に「吉野家ボロ負けを導いた"牛丼一筋"の呪縛」という記事があるのですが、牛丼大手3社のうち吉野家の業績だけが一人負けになっています。理由はこのタイトルが示す通りです。「このやり方に間違いない」と信じるのは構わないのですが、現代の企業経営としてはリスクが大きくなり、フレキシビリティがなくなります。

高層ビルは常に微妙に揺れています。上層部に行くほど揺れを大きく感じますが、あれは揺れるからこそ、地震などを吸収できるのです。つまりもともと構造上、フレキシビリティを持たせることにより、突発的な問題が発生してもその許容枠で揺れを吸収できるようにしています。

私は次々といろいろな仕事をやってきました。なぜ、と思う方も多いと思います。仕事の多くはルーティンワークの積み重ねです。不動産の賃貸なら契約期間とか、駐車場ならひと月ごとの支払い期間など必ず、一定の初めと終わりがあります。これを実務として繰り返していると何度かやるとコツがつかめてくるため、業務の改善案が見えてきます。ドンドン改善を重ねればやり始めの頃に比べ労力も時間も成果品も圧倒的に改善されます。フレキシビリティです。

例えば私が担当する会社の決算は8社あります。業種が違うため、それぞれ決算のアプローチや積み上げ方が違いますから毎年、決算時期になると今年はこのあたりを改良して...という具合に変えていきます。また、決算終了後、会計士からのコメントをベースに新年度以降の経理の管理も変えていきます。これにより数字がいつでもどこでもすぐに出せ、経営に反映させやすくすると同時に決算が瞬く間に終わる、という仕組みを作り上げていきます。

「お前はいつも忙しそうだ」と言われるのは効率化や改善を進めることで隙間時間ができるので貧乏性の私は次のステップに挑戦してしまうのです。一方で様々な仕事や経験を積み上げてきていますので知識の年輪が太くなるのです。よって、何か新しいプロジェクトの際にも「あぁ、あの時のあの経験を活用して...」という具合になるのです。

私は飲食業を経営する方を何人も存じ上げていますが、多店舗展開を図る方も多くなっています。立派だと思います。以前、寿司屋の話をこのブログでしたことがあります。「なぜ、寿司屋は多店舗展開しにくいのか?」ですが、理由は寿司屋のオヤジはカウンターからすべての客席を隅々まで見渡し、寿司を握りながら「そこ、お茶入れて」「そこ、片付けて」といった司令塔役をこなすケースがあるからです。城を守るというこだわりの結果、自分のクローン人間=2号店を任せる人が育たないのです。吉野家の牛丼と似ています。

一方、比較的若い層の飲食経営者は店長に任せるケースが多いようです。そのため、多店舗展開したその店はどれも違う顔、違うメニュー、違う価格であったりします。あえて言えば兄弟店ということでしょうか?ファン層ならば「今日はこっちにしてみようか」とか「私はあっちが好きだな」という顧客の囲い込みができる上に常連客を飽きさせない上手さがあります。

日本の小規模事業経営者には「待つビジネス」の方が多いと思います。店を朝9時から夜7時まで開けることに多くのエネルギーを割き、あとは客が来るのを待つスタイルの経営者はいまだ多いでしょう。そうではなく、自分から売りに行く、あるいはいつもの客に「こういうのもある」とアップセールすることもできるでしょう。客と駄話をしながら客が求める商品や期待度を探ることもできます。

レストランで注文を取るだけならAI君でもロボットでもできます。その席に座った顔ぶれを見てお客様たちが心地よい時を過ごせるよう臨機応変なもてなしが出来たらどれだけよいでしょう。私は北米のレストランではサーバーさんから時々もてなされますが、日本ではまずありません。店主に「おい、そんなところで油を売っているんじゃない」と怒られるからでしょう。それは間違いだと思います。客からの素直な声を聴けるのは店主ではなく、サーバーさんだと気が付けばビジネスの切り口は大きく変わってくると思うのですが。

では今日はこのぐらいで。

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また明日お会いしましょう。
2019年02月23日10:00
堀ちえみさんが長時間にわたる舌がんの手術を行ないました。前週の池江璃花子さんに続いて2週続けてがんが話題をさらいました。そんな中、体内に遺伝子を入れて病気を治す「遺伝子治療薬」が今年5月にも日本で初めて登場の見込みで、足の血管を再生する薬と血液治療薬の承認が了承されることとなりました。医学の進歩は目覚ましく、がんが克服できる日が遠くないことを祈りたいところです。

さて今週のつぶやきです。

私は何故、市場のことを毎週この欄に書くのか?
不思議に思っている方もいらっしゃるでしょう、どんなに大きなニュースがあっても「今週のつぶやき」では私は市場のニュースを一番に取り上げてきました。もちろん、投資をしているということもあります。それだけなら別に皆さんに披露しないで個人の中に仕舞っておけばよいだけです。私がここに書く理由は最も安定的に連続性を持った数値だからです。

世の中、日々刻々、様々なことが起きています。しかし、それらの事件、イベント、出来事は不連続で突発的なことばかりです。ところが金融市場だけは世界中の何処でも平日は確実にオープンしており、それら世の中の動きを株価や為替といった数字に表し、且つ、連続性をもってその動きをみることができるのです。

例えば政治の世界では世論調査が行われます。しかし、あれは調査機関によって数値に大きな差が出るのはご承知の通りです。日本では世界大手の調査機関が世論調査を行わず、報道各社が独自にやるために数字に偏りが生じています。つまり、統計そのもののクオリティが低いのです。

ところが金融市場は巨大で参加者も多く、そんなごまかしは基本的にできません。そこから生まれたデータは少なくとも十分に信用に値するものである、と私は考えています。それ故、一週間をまとめるには最も的確なものなのです。

ぶったまげた「はやぶさ2」の実力
「はやぶさ2」が小惑星「りゅうぐう」に着陸し偉業を達成したという報に接した瞬間、嬉しくて涙が出そうになりました。地球から3億キロメートルも離れたところに探査機を飛ばし、たった6メートルの狭いスポットに向けて着陸し、貴重な小惑星物質を採取したようです。NASAもそのテクニック、教えてくれ、と言うほどの技術のようです。

日本もやるじゃないか、と思うと我々はもっと自信を持ってよいのではないでしょうか?

今回のJAXAの成功の裏にははやぶさの1号機が小惑星「いとかわ」からサンプル採集をしてよれよれになりながらも帰還したあのドラマのようなストーリーが背景にあることは疑う余地がありません。もう不可能、と言われながらも何度もチャレンジするプロセスにおいて問題発生とその解決方法をじっくり学んだことは大きかったでしょう。

目的意識をもって絶対に成功させる、という執念の賜物が成功に導くのでしょう。まだ、次の実験があるようですが、まずはおめでとうございます、と言いたいですね。

トランプ大統領の次のディール
米中貿易協議が終盤に差し掛かってきている中でどうやらトランプ大統領は切り札の「ファーウェイ」を取引に使う可能性が出てきました。トランプ大統領は従来、中国の通信機器会社の締め出しに躍起で、このファーウェイ社に於いては創業者の娘のCFOをカナダで軟禁状態にしています。

一方でファーウェイ製品が世界中に浸透していたことも事実で日本ではソフトバンク系列に大きなダメージがあるとされていました。

トランプ大統領の変身ぶりとはいつものツイッターで「米国は進んだ技術を排除するのではなく、競争を通じて勝利したい」と述べたことにあります。中国との貿易協議で最後の一押しをする駒としてファーウェイ社の扱いをより緩和的にする方向にするのかもしれません。トランプ大統領を方向感のない司令塔と称するケースも多いのですが、何かを人質にとり、それを取引のネタにするという姿勢は一貫しているところからトランプ大統領には本意とか信念というよりゲーム好きな「ゲーマー」ではないか、という気がします。

来週は注目の交渉期限3月1日を迎えます。また米朝首脳会談もあります。目が離せそうにありません。

後記
北海道の地震、今回は被害が比較的少ないようでよかったです。が、それよりも鳩山元総理の炭酸ガス地中貯留実験による人災だというツィッターに多くの人は固まってしまったのではないでしょか?北海道警察はこれをデマ情報と認定しましたが、この方が本当に総理だった時代があったことを信じたくないと思う人は相当多いのではないかと思います。「気違いに刃物」という表現がありますが、「鳩山さんにツィッター」と言いたくなります。

では今日はこのぐらいで。

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2月27,28日に開催されるベトナムでの米朝首脳会談に関して昨年のシンガポール会談ほどの盛り上がりを見せないのは何故でしょうか?数多くのニュースをチェックしても今回の主題が何で、駆け引きの中身と落としどころ、それによる影響の可能性を報じているものはあまりありません。

私はもともと二度目の米朝首脳会談は米中貿易交渉に一定の決着がついた後に中国と外交的下地を作ったうえで交渉するものと期待していました。ところが米中貿易交渉は現在、佳境に入っているものの最終決断となるトランプ大統領と習近平国家主席の会談は目先、組まれていません。トランプ大統領は首脳会談の席が決着の場と言っていますので少なくとも2月27,28日には間に合いそうにもありません。

次に今回の会談は何が主題なのか、であります。もともと「完全かつ全面的に検証された非核化」を目指していたのですが、19日にトランプ大統領が「北朝鮮の非核化について『(弾道ミサイル発射や核の)実験がない限りは急がない』」(日経)と発言しています。これにより今回の会談の成果は大きなものにはならないと判断せざるを得ません。

もともとは米朝首脳会議で非核化確認→制裁緩和ないし解除→南北の戦争状態終結→駐韓米軍を含むアメリカの東アジア政策の見直しという大枠の構想があったと思いますが、「思ったより時間がかかる」というスタンスに切り替えたものと思われます。

北朝鮮は核以外に何もない、と言われています。これを方程式にすると、北朝鮮ー核=ゼロ となり、更に組み替えると 北朝鮮=核 となり、非核化とは北朝鮮の存在を否定することを意味しています。北朝鮮の存在否定といっても2500万人の人口と国土と未開発の資源がありますので実態としては金王朝の存在否定ということになります。

ところが歴史的に振り返ると冊封関係を理由に中国との関係が深い朝鮮半島の北部が半島全体を支配しやすい構造になっています。(中華思想は円を描いており、中心に近いほど思想上、重要となっています。よって朝鮮半島に中国が強い影響力を持ち続けるという前提に立てば北朝鮮が主導するのが自然な流れとなります。これは政治的というより民族的、儒教的、歴史的立場に立つものと考えます。)

トランプ大統領が仮にこの歴史的背景を理解しているとすれば北朝鮮には段階的緩和策を提示する方針変更を行った可能性は大になってきます。

では今回はどんな言質をとるのでしょうか?豊渓里と寧辺の核施設の廃棄検証やミサイル施設の破棄が進んでいるかどうか、という点に留まるのではないでしょうか?想像できるのは「金正恩委員長は私とのシンガポールでの約束を確実に履行してことが今回分かった。あいつは本当にいい奴だ!」というツィッター声明でしょうか?どう見てもわざわざトランプ大統領が会うほどの成果はないはずなのです。

それにもかかわらず会談をする理由をどこに求めるか、であります。私は北朝鮮の周りの国との外交戦略ではないか、と考えています。

中国にはアメとムチで貿易交渉がうまくいけば北朝鮮の影のコントロール権を与える、韓国には北朝鮮との和平を通じて韓国に恩を売り、米軍駐留費をもっと巻き上げ、何かあれば撤収するぞという脅しをかけ続ける、日本には「ほれ、ロケットはもう飛んでこなくなっただろう」と安倍首相のポイントゲットのアシスト役を買って出るわけです。これだけでアメリカはどれだけ儲けることができるでしょうか?日本がアメリカ製の戦闘機を買う一翼も担っています。これらを合わせると東アジア諸国から巻き上げた金額は巨額となるはずです。トランプ大統領がビジネスマンと言われる所以であります。

トランプ大統領は政治家ではありません。ビジネスマンです。駆け引きの中に必ずマネーが見え隠れします。マネーのにおいがしないところにはトランプはあらず、なのです。いや、別にトランプ大統領に限らず、ブッシュ元大統領もマネーは大好きでした。アメリカの体質なのでしょう。

ただ、マネーぐらいで平和が維持できるならそれに越したことはない、ともいえるのだろうと思いますが。

では今日はこのぐらいで。

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