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外から見る日本、見られる日本人

バンクーバーの日本人社長ヒロが仕事、生活を通じて感じた経済、経営、社会、日本人観などを綴っています。

2016年05月

ヘリコプターマネー、つまり札束を空からばら撒け、という言葉は経済学者のミルトン フリードマン教授が1969年にその論文の中で提案した言葉であります。その後、FRBの議長だったベン バーナンキ氏がかつて日本にそれをしたらどうか、といったことでむしろバーナンキ氏の言葉として有名になってしまいました。

このヘリコプターマネーの真の意味とは国民に広く薄くマネーが行きわたるという意味なのですが、世界の中央銀行の金融緩和は似て非なるものであります。

金融緩和で金利が低くなると法人と個人はお金を借りやすくなるメリットがあります。ところが問題はどちらもその借り入れをするためにはハードルがあり、一定の信用がある人のみ、その恩恵を受けられることになっています。例えば個人ならば正社員として一定期間の勤務経験があり、その会社に今後も在籍し、給与も安定しているならば住宅ローンを引き出すことが出来ますが、非正規の方や個人事業主となると5年、10年後の安定感を提示する際になかなか苦労するはずです。

法人の場合にも事業資金を貸してくれるのは長いお付き合いがある、上場している、担保価値を十分に確保できるなどであって、起業したから安い金利の金を貸せ、と言っても銀行はそっぽを向きます。

つまり、世界各国で金融緩和をしているものの実際の貸し手の窓口である銀行が口を締めている限り、ヘリコプターマネーにはならないのです。

ということは安い金利のマネーは何処に行ったか、といえば信用能力が高い大企業、儲かっている企業、そして不動産担保が取れる不動産デベロッパーなどに必然的に向かいやすくなります。さて、ここからが問題です。

北米に於いてお金の出し手は銀行だけではありません。投資家が市場に放つマネーも大きなポーションを持っています。富裕層の個人投資家は銀行、証券などで運用する以外に不動産投資をしたり、更には大きく化けるかもしれない事業投資(エンジェル投資)を行います。実はその投資に対する期待リターンが下がってきてしまうという現象が起きつつあります。

私の会社の事業に不動産のインキュベーション事業があります。当地では通常、不動産事業会社が土地取得から設計、許認可取得、販売準備、更に工事着手前販売により一定の売上が達成されるまで事業資金を銀行から調達するのは困難です。当社は約2年程度のその間のつなぎ資金を提供するシンジケーション団のメンバーで不動産事業を後ろから支えています。

当地の様に不動産事業が多い地域ですとこのタイプの資金需要は非常に多く、且つ、かなり高い金利が設定されます。2年ぐらい前までは実は二桁金利が当たり前でした。ところが、徐々にその金利が下がり、先週締結した物件はわずか6.5%まで下がっています。リスクマネーなのにここまで金利が下がったかと思うと結局、マネーが溢れすぎて資金をパーク(運用)するところが無くなり、投資家がかなりアグレッシブに資金供与をしているとしか思えません。つまり、金利のディスインフレーションです。

国債なども利益が出にくくなったビジネスですが、不動産融資事業も利益が出にくくなったのです。これは世の中に資金が溢れてしまい、少しでも金利が高いところで運用できるよう皆が競う為に全体のハードルがどんどん下がってきているのです。

では不動産事業者は安い資金調達が出来るから儲かってしょうがないだろう、と思いきや、需給がひっ迫する建設費が嵩み、工期が延び、売値が特別高くなるわけでもないため思ったより羽振りはよくないのです。これではいったい誰が儲かっているのかさっぱりわからないのです。

ヘリコプターで国民均一にばら撒くのではなく、中央銀行を通じて一定の仕組みの中で金融緩和の効果を期待するのは格差を助長するのみならず、効果が得られない可能性があるように見えます。

全員に行き渡るのは例えば政府紙幣のようなもので国民に「好きに使えや!」とばら撒くことでしょう。ここで気をつけなくてはいけないのは全員均等に分けることでしょうか。所得幾ら以上の人にはあげないなどというけち臭いことをしてはいけません。お金の手離れは案外お金持ちの方が早く、且つ、1万円の商品券ならば5万円ぐらい使い、「2割引きで買えた」ぐらいの波及効果をもたらすのです。

今日のポイントはヘリコプターマネーということばがちらちら聞こえてくるのですが一般庶民が今、体験しているのはヘリコプターどころか探してもどこにも見つからない金融緩和のマネーです。一方、消費税は一般大衆から等しく吸収するわけですから日本で消費税がなぜ不人気だということを役人もそろそろ気が付かないといけないということでしょう。

では今日はこのぐらいで。

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また明日お会いしましょう。
ドーナッツのクリスピークリーム、食べたことがある人も多いかもしれません。6,7年前、新宿のサザンテラスの前を通りかかった際、長蛇の行列に「たかがドーナッツになぜ?」と思いました。その後、何度か食べる機会もあったのですが、日常的に食べるものではないし、一人当たりのドーナッツ消費量が世界で一番のカナダから来た者にとってドーナッツ屋の行列はお祭り騒ぎの一環なのかなという気がしました。

ハワイにあるエッグ アンド シングス。朝食にフルーツ盛りだくさんのパンケーキなどで著名な店でハワイにあるどの店舗でも1-2時間待ちというケースが多く、ちょっと遅めの朝に行くと朝食ではなくて昼食になってしまう、ぐらいの感覚です。この店も日本に進出した際、大変な話題になったのですが、私はあれの何処がうまいのか分からなくて味覚音痴かと自分を責めてみたりしたのですが、自分で作るパンケーキのほうがやはり旨いと思います。

パンケーキのブームもどうなのでしょうか?そろそろ沈静化したのでしょうか?大学生の時、アルバイトでファミリーレストランの厨房で働いていたのですがパンケーキの仕込み、お客さんへの提供を嫌というほどやっていました。粉物は原価が安くてその店も確か、2枚重ねで簡単なトッピングをつけて180円で提供していたと記憶しています。それが今さらまた、と思うのですが、ブームは循環するのでしょう。

さて、クリスピークリームドーナッツが店舗数を64まで増やしたところで一気に17店舗閉店することになり、嫌なうわさが流れたようです。クリスピークリームはアメリカ資本でロッテとリヴァンプが日本の営業権を取得し、2006年から事業を進めていました。社長さんはリヴァンプから来ています。リヴァンプは投資を通じた経営支援サービスをする会社でかつてユニクロ、今はローソンの玉塚元一氏も在籍していたことで名前を聞いたことがある人もあるでしょう。

行列ができる店をここまで一気に縮小させるのは並大抵のことではないと思いますが、なぜ、そのような判断をしたのでしょうか?同社の社長が述べたのは「適正収益をしっかりとりたい」、だから地方の様に営業コストがかかるところは閉め、三大都市圏に集約すると。

私は社長の判断は正しいと思います。理由は外資で日本での営業権だけですからクリスピークリームの店でパンケーキは提供できないのです。つまり、はやり廃れの激しい若い女性向けの食ビジネスに於いて変化球が出せないのであれば、華のあるうちに絞り込むというのは将来的損失を事前の抑え込むという意味で良い判断だと思います。

もしも日本での営業権で自由度があるのなら違う製品を投入すればよいのです。日本のマクドナルドもテリヤキシリーズを出して日本ではヒットしました。余談ですが、実はそれはのちにカナダに逆輸入されました。すごくチープなラジオのコマーシャルに「日本をバカにしているのか」と言いたくなった記憶があります。商品も全然ヒットしなくてすぐに消えました。

女性の甘味を中心とする流行はせいぜい数年のような気がします。そして街中には恐ろしいほど甘味が溢れています。デパ地下に行けば本当においしそうなケーキに和菓子もずらっと並びます。ドーナッツに関していえばセブンやローソンなどで売り出したことでドーナッツブームになるのかと思いきや、多分、失敗したのではないかという気がしています。理由はドーナッツは作りたてが命なんです。マックのハンバーガーの食材も短時間で廃棄するようになっていますが、ドーナッツもそれと同じぐらい鮮度が重要にもかかわらず、配送されてきて棚に置いてあるドーナッツは何時のもの、ということかと思います。つまり、ドーナッツブームになりかけていた熱を冷ましたのがコンビニドーナッツではないかという気がするのです。

ドーナッツのメッカ、カナダでも私が旨いな、と思わせる店があります。元々はこだわりコーヒー店。そこにドーナツの製造販売を併設したのです。この作り立てのドーナッツを食べると作り置きのドーナッツは脂っぽく、サクサク感の違いがすぐ分かります。

ならば、クリスピークリームの大量閉店はコンビニドーナッツが招いた悲劇かもしれません。その作りたて感をもっと前面に出せばセブンなんて赤子をひねるぐらいの感じでやっつけられたかもしれません。言い換えればクリスピークリームの社長さんにも問題があったということです。今の社長さんは自動車販売会社からリヴァンプを経ています。食品や若い女性のハートともあまり経験がないように見受けられ、さすが投資会社として銭勘定に力点を置いたな、という気がします。嫌味な言い方をするとリヴァンプにクリスピークリームは経営できないのだから銭が減る前に店を閉めるだけ閉めた方がよいとも感じ取れます。

投資して簡単に儲けられる時代は過ぎたと思います。商社がなかなか稼げなくなったのはマネーと影響力の行使でビジネスを強引に進めてきたからです。本当の専門分野をもっと作り上げないとこれからのビジネスは失敗しやすいという警告なのかもしれません。

では今日はこのぐらいで。

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2016年05月29日10:00
たまに会う人に「最近、どう?」と聞かれると「貧乏、暇なしだよ」と答えています。聞く方は自重しているのではないかと思われるようですが、本当にバタバタして余裕がないことが多いのです。多分、これは性格の問題で余裕があると必ず何かを詰め込んで24時間を濃縮圧密状態にしてしまう貧乏性が招いた結果なのでしょう。

サラリーマンをしているとき、ある上司が「仕事なんて深堀すればいくらでも溢れてくるんだから結局、何処であきらめるか次第だよね」と述べていたその言葉を忘れられません。9時-5時で終わらせようと思えばそれで終わるし、週末も根詰めないとダメな様に追い込むことが出来ます。これは一種のワークライフバランスで悪い言い方をすれば仕事が好きな人ほどライフを切り詰めるわけです。仕事があまり好きでなければなるべく定刻で終わってライフの比重を上げるかもしれません。

ビジネス系のコンサルタントなどは猛烈型の人が多くて、睡眠時間さえ削って仕事せよ、勉強せよ、営業せよと吠えている人も多く見受けられます。それは当然の話で彼らはお金を取ってその人の給与なり社業を改善しようとするのですからもっと働かせることで成績を向上させないとコンサルタントの価値がなくなる訳です。

ここでコンサルの言う通り頑張ると「さすが、しろまるしろまる先生、おかげで売り上げがこれだけ伸びました」といったお礼状が届き、それを顧客からの声として宣伝に使う訳です。ところがこのコンサルも使い続けないとだんだん効果が薄れてくるわけで「やっぱりしろまるしろまる先生がいないとだめだ」というコンサルの術中にはまるわけです。英語で言うpump up(気合を入れて頑張ろう!)というのは自転車のタイヤの空気入れではないですが、ちょっと抜けてきたらそこでまた足すようなものなのでしょう。

私の場合、何がバタバタしているのか、といえば現状に絶対に満足せず、常に改善を考えているからだと思います。業務がスムーズに行われるのは当然ですが、顧客がどうやったら更に満足するのか、どうやったらライバルと圧倒的な差をつけることが出来るのか、ここにフォーカスしています。

その中で海外で仕事する私が最近心がけていることがあります。それはコミュニケーションです。電話、会議、メールなど媒介手段は何でもよいのですが、とにかく相手と徹底的にやり取りし、こちらがどれだけ顧客に熱心であるか、その姿勢を見せることにしているのです。このスタイルは海外における日本人としてはかなりユニークかもしれません。言葉の問題もあるのですが、一番大事なのは相手を説得させるだけの論理性であります。

やり取りをしながら「このお客様は我々に何を期待しているのだろう?」と推測し、その期待をどこまで現実化させ、水平展開できるか、を探っていきます。もしも似たような声がいくつもあるのならそこが当社のサービスで絶対的な弱点ですから資金を投じてでも改善していくのです。

例えばセキュリティに対して高い期待があるかもしれません。顧客サービスがいつでも受けられることを望んでいるかもしれません。そのボイスに対してすぐさま対応して細かくコミュニケーションすることで私は顧客との信頼関係を築いています。

BtoCの業務の場合残念ながら相手の声は9時-5時、月-金の枠では収まりません。ですので例えばマリーナは7日営業が普通ですし、レンタカーや駐車場は24時間営業で対応しているのです。

そこまでしたら稼いでいるだろうと邪推されると思いますが、せいぜい人並みです。理由は安く提供するからでしょう。当社のサービスが安いのは理由があります。少人数、本社等のオーバーヘッドがない、宣伝広告費もほとんどなく口コミでお客さんが集まってくることがあるでしょう。

実はインターネットマーケティングで最近思うことはかつてはウェブなどでいかに格好良く見せ、検索で上に上がるようにするかが絶対不可欠なテクニックだと思われていました。が、今はSNSの時代で顧客が友人を含め、勝手に繋がっています。ここで「ヒロさんのところのレンタカー、良かったよ」とか「彼はすごくいい人だよ」とか「彼に言えばどうにかしてくれるよ」という口コミがSNSを通じて拡散してくればそれでOKなんです。

つまり宣伝技術ではなく、そのサービスを受けた人が良かったよ、とつぶやいてもらえる本当の満足度を提供することが全てなのです。私のビジネスはここに全精力を投入しています。スタッフから「このお客さん、クレームがひどくてたまらない」と嫌がる客を引き受け、そのわだかまりを10日ぐらいで解消させるのは引き受けてからまめなやり取りと論理的アプローチで相手に納得させることしかないんです。

これは私が零細企業の社長だからこそできる即断即決と電話越しに思いついたアイディアをすぐにオファーできるフレキシビリティがあるからでしょう。

ですが、さすが外国です。一つひとつのやり取りは十人十色。ここが一番難しくマニュアルもなければ解決方法の答えも全部カスタムメードです。これが私を貧乏暇なしにさせる最大の理由です。ですが、お客さんとやり取りして説得できた時は嬉しいものです。こんなささやかな幸せを求めて今日も暇なしの日を送っています。

では今日はこのぐらいで。

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2016年05月28日10:00
まずはサミットとオバマ大統領の広島訪問が無事終わりよかったと思います。テロなど問題が発生しないことがホスト国として最大の使命であります。特に訪日外国人も多く、先般の14億円のクレジットカード不正引き出しに100人以上もかかわったとされる問題も外国の犯罪グループの気配があります。当然、筋の良くない人も入国しやすいという点において前回の洞爺湖サミットの時とはセキュリティレベルは雲泥の差だったと思います。

このセキュリティー問題は2020年にオリンピックを開催することで更に重要になってくるでしょう。そういう意味では元アイドルが重傷を負った事件などはどう考えても警察のへまが二重、三重であったわけでもう少し緊張感をもって職務に当たってほしいと思います。

ところでやっぱり、と思ったのは広島で韓国人グループがオバマ大統領に謝罪を要求したというニュースでしょうか?もちろん、大統領に直接言ったわけではありませんが、韓国人らしい墓場まで憎しみを持ち込み、その子孫もそれを引き継ぐという韓国人らしさを見せつけました。日本側がオバマ大統領の広島訪問を前向きに捉えているのに対してなぜ、隣国の人はいつもこうなのか、理解の度を越えています。

さて、アメリカの利上げについてイエレン議長が金曜日、ハーバード大学での講演でヒントを提供しました。「『これまでにも述べているが、金融当局が時間をかけて緩やか、かつ慎重に政策金利を引き上げていくのは適切だ』とし、『恐らくは、今後数カ月のうちにそうした行動が適切になるだろう』と続けた。」(ブルームバーグ)この発言からすると「リーマンショック級の問題」が起きない限り7月か9月がそのタイミングを示唆しているように聞こえます。個人的には9月がベンチマークの会議になりますから可能性が高い気がします。但し、「ゆっくり」のペースは変わらないため、為替市場に与える影響は思ったほど高くない気がします。

サミットを意識してか、為替市場は小動きとなっており、世界の株式市場もやや方向感がなくなってきました。特に東京市場は売買高が2兆円を7日続けて下回っており、金曜日はサミットにもかかわらず1年9か月ぶりの閑散相場となりました。夏枯れには早すぎるのですが、外国人投資家がガンガン売っているわけでもありません。ただ、マネーが循環しないという表現が正しい気がします。

東証一部の株式を見ている限り値動きが極端に小さくなっており、上がってもその後すぐ下がる結果、中長期的に投資の面白みに欠けて来ています。個人は新興市場にシフトしていましたがマザーズ指数は創薬会社のそーせいの値動きが15%も影響力を持っており、大きく振り回されるいびつな指標であります。「第二のそーせい」もなかなかあとが続かない状態で投資家もこっちでちょっと儲けてもこっちで大損、という傾向が出てきているかもしれません。

さて、消費税引き上げ再延期観測。野党は内閣不信任案を提出し、アベノミクスは失敗だと吠えるようです。政策の失敗を糾弾するのは政治家として理解できるのですが、では野党はどうしたいのか、そこを聞いてみたいと思います。批判するのは簡単なのです。そうではなく、政策論争で野党が与党を打ち負かすというスタイルをみせてもらいたいものです。

例えばアメリカの大統領選はトランプ氏とクリントン氏がこれから最後の大バトルを繰り広げるはずですが、それは相手の批判をすると同時に「自分ならどうする」という意見を述べ、それを国民が賛同、反対のボイスを上げるという仕組みです。日本の場合は与党にバッシングし、辞めさせる、叩く、これがまずありきであるところは直していかねばいけないでしょう。民進党他の論理的な政策プランをぜひ聞かせてもらいたいと思います。(あればですがね。無ければ内閣不信任案を提出する資格はありません。)

安倍首相は6月1日に再延期を正式に表明すると思われますが、これだけ事前に再延期の噂があるにもかかわらず、市場が全く盛り上がりがないのは尋常ではありません。どう見ても個人と企業の先行きの「景観」が悪いという感じに見えます。まるで達観した仙人のような日本の展開に外国から見ると「ビジネス展開は難しい」と感じざるを得ません。北米と言えばポジティブシンキング(前向きの発想)のメッカでありますが、日本はネガティブシンキングのオーラが漂っているいるようにさえ感じてしまいます。

根本治療には西洋医学がよいのか、漢方治療がよいのか、はたまた両方服用するのがよいのか、政治家も政策プランナーも意見の集約に紛糾しているのでしょう。少なくとも今は明るいムードが必要ではないでしょうか?熊本の地震でまた、不安を抱える日々を送るようになったのですが、スカッと打ち上げ花火を上げて気分転換することが日本には一番効き目がある良い薬のような気がします。

では今日はこのぐらいで。良い週末をお過ごしください。

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2016年05月27日10:00
「安倍晋三首相は2008年のリーマン・ショック並みの危機が再発してもおかしくないほど世界経済が脆弱になっているとの認識を表明し、各国に財政出動を含む強力な政策の実施を促した」(日経)。G7に於ける議長、安倍首相の戦略はこの言葉にあるかと思います。

この発言に異論が出たとも記されていますが、私も「リーマンショック並の危機の再発」が即座にテーブルに上がる状況にはないと思っています。唯一の懸念は中国ですが、それにしても下振れリスクを異様に強調しすぎている気がします。個人的解釈はそれをもとにサミット後、多分、国会の会期である6月1日までに消費税引き上げ時期の延期を発表するための道筋をつけたものと思われます。

つまり、議長のこのトーンは日本国内経済とその政策的導線を作るため上手く方向づけたのでしょう。

数日前に開催されたG7財務相中央銀行総裁会議では世界経済危機や下振れの話は出ていません。「世界経済は落ち着きを取り戻しつつある」(麻生太郎財務相)、「それほど神経質な状況ではなくなった」(ショイブレ独財務相)であり、アメリカでは6月ないし7月に利上げをするオッズは5割まで上がってきています。

昨日発表されたカナダの中央銀行政策会議の中身を見ると概ね最悪期を脱し、徐々に回復に向かうというトーンに読み取れます。短期的にはアルバータの森林火災がもたらした影響がありますが、資源価格が底打ちしていること、合わせてカナダドルが対米ドルで中期的には底入れから反発に向かっています。他の資源国も同様の回復を辿るとみています。

基調としてはドル安で資源価格回復、新興国経済の回復というシナリオですからアメリカは6月に利上げをするのは本質的に芳しくありません。イギリスのEU離脱の可能性はますます下がってきており、G7でも主たる議題になっていないようですからこれも世界経済にはポジティブな流れかと思います。

パナマ文書についてもどのように議論されたか分かりません。多分、あまり主題としては上がっていないと思います。この文書流出の意味合いについていろいろ考えを巡らしてみたのですが、これは誰をターゲットにしたものか、といえば税逃れや税システムへの問題提起と共に中国の不正マネーを締めあげるつもりだったように思えるのです。中国が不動産のみならず、世界の企業をあちらこちらで買いまくっている実情を鑑み、そのマネーの流れを変えたかったように見受けられます。

今、アリババがアメリカのSECの調査にかかっていますが、同社も中国政府にべったりの会社であります。つまり出過ぎた杭は打たれる、ということかと思います。これは中国の異様なまでの急速な世界進出のスピードを調整させ、世界経済のバランスを維持するという意味からは効果的なクスリではないでしょうか?

こうしてみるとやはり、今回のG7は以前にも指摘したように議題があるようでないイベント的色彩が強いものではないでしょうか?先進主要国とは日本を除き、白人国家でキリスト国家であります。日本は戦前から欧米から一目置かれていたアジアの国です。国際連盟では常任理事国でしたし、「美白効果」で白人社会からの一定の評価を維持しています。

今日、世界経済に本当に影響力を持つのはカナダでもイタリアでもありません。中国であり、イスラム諸国であります。アジアの時代を迎えていることも踏まえ、G7が形骸化しつつあるような気がしてなりません。

為替の安定化については引き続き、対策を打ち続けなくてはいけませんが、これほど「国情」が入る事象もないわけで今回G7で議論された内容に期待しましょう、などとは微塵も思っていません。本当の安定化を図りたいなら通貨バスケット方式など多通貨をベースにする方式に変えるか代替通貨が今後飛躍的に伸びることを前提にバスケットに代替通貨も組み込み、ドルの基軸化を崩していくしかないような気がします。

少なくとも今回のG7が緊切の事案を持っておらず、平和な日本と広島を結びつけた点でオバマさんにとっては最高で最後のサミットの舞台となるのではないでしょうか?

では今日はこのぐらいで。

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また明日お会いしましょう。
鈴木敏文氏というカリスマの独裁者が舞台から降りた瞬間、セブン&アイホールディングスを巡るニュースが急増しています。巨大化した組織やM&Aで次々と手にした事業の今後のかじ取りは容易ではありません。オムニチャンネル事業を鈴木氏の息子の康弘氏に託したことで社内にうまれた不穏な空気をどう収めていくかといった話題もあるでしょう。近いうちに話題にしますが、セブンのドーナッツ事業にも疑問符、さらにイトーヨーカドーの不良在庫100億円分を創業者の伊藤家に押し付け、それを海外に寄付させるというトンデモアイディアを持ちかけた鈴木氏が巻き起こした伊藤家との決定的関係というのもありました。これからまだまだセブン&アイホールディングスにとって面白くない話が続出するだろうと思っていました。

そこに飛び出したのが14億4000万円の巨額不正引き出し事件であります。海外のクレジットカードで現金の引き出しを行えるのが日本には2行しかなく、セブン銀行はそのうちの一つだったことも狙われる原因だったのでしょうか?

先日、民泊のトピを書かせていただいた際、日本人は脇が甘い、と指摘させていただきました。私の様に海外に24年も滞在し、なおかつ、BtoCの業務を通じてカナダでさえもどれだけ危ないか、ということを身をもって経験している者からすれば犯罪者がその気になれば日本人はちょろくてイチコロであります。訪日外国人が2000万人も来る時代となりましたが訪日客の全員が善人ではありません。悪さをしようと考えている人間はゴマンといます。また、海外ではそれら犯罪者を収容できる刑務所は圧倒的に不足している為、ちょっと「お勤め」してはすぐに出てきてまたやらかす、の繰り返しなのです。

その中で発生したクレジットカードの不正利用ですが、手口を見る限り磁気カードの悪用のようです。北米では今、磁気カードはほとんど流通しておらず、チップカードに変わっています。このカードは支払いの際、リーダーの端末にカードを軽く叩く(英語でタップするといいます。)だけで一定金額以下(100ドル程度)ならば暗証番号も押さずに支払が済ませられます。大きな支払の場合にはリーダー端末にカードを差し込み、暗証番号を打ち込む仕組みになっています。

磁気カードの場合、暗証番号入力がなく、顧客からサインをもらう方式となっています。その為、例えば盗難されたカードが磁気カードであればかなり簡単に使用可能となります。

実はチップカードでも私の会社で一度トラブったことがあります。当社のスタッフが犯人の言うなりにボタン操作をさせられます。ここでクレジットカードがまだ使えることを確認、そこから「ある処理」をしてチップをバイパスし、マニュアル操作に切り替え、客(犯人)から通常のサインをもらうプロセスにするのです。クレジットカード会社は顧客からのクレーム等で処理方法を調べ、ルール違反だと分かりますので、当方にカード処理の方法が通常処理ではなかったから一切合切の責任はリーテーラーである当社にあるとされ、全額負担させられたのです。

一方、クレジットカードを通常より多額に使用するとすぐに電話がかかってきたり使用不可になることもあります。私がカナダのカードを日本で使い続けていると盗難されたのではないかと疑われ使用できなくなります。先日は当社がリーテール側として売上をクレジットカードで一気に数千万円分処理したところ、やはりカード会社から速攻で電話がかかってきてひと悶着となりました。当社が違法に他人のお金を引き出していると思ったのでしょう。

では14億円を不正引き出しされたセブン銀行ですが、責任はないのか、と言えば一定の責任逃れは出来ないと思います。それはかなり大掛かりに短い時間帯に一斉に引き出されたというガードの甘さがネグリジェンス(negligence,注意義務違反)になると思われるからです。ただ、その損失負担以上にセブン銀行は相当のシステム強化とATMの監視体制の拡充を求められるでしょうから盗まれた14億円以上の投資を行わざるを得なくなるかもしれません。

ところでコンビニのトップが次々と変わっています。ファミマは名物社長だった上田準二氏からリヴァンプより来た澤田貴司氏にバトンタッチしました。ローソンはカリスマ新浪剛史氏がサントリーに抜けてユニクロ、リヴァンプから来た玉塚元一氏が社長となったものの今回素早く会長になり、社長に三菱商事出身の竹増貞信氏をはめ込みました。ローソンは三菱食品と三つ巴となる完全なる三菱商事包囲網です。

つまり、セブンイレブンが圧倒していたコンビニ業界勢力地図に変化がないとは言えません。セブンへの納入は三井物産と伊藤忠が競っているはずですが、鈴木敏文氏と物産の関係が悪くなった経緯があり、ここで物産が巻き返しを図る必要があります。もともと物産はバックエンド型の商社とされアグレッシブさが目立つ商社の中ではかなりおとなしい会社であります。伊藤忠はタイのCPグループと提携、CPはタイでセブンを7600店経営しています。このあたりのコンビニを取り巻く背景も実は商社間で大激戦中です。

セブン及びセブンアイの巨艦グループがこの逆境をどう克服するか、経営学的にも非常に注目に値すると思います。また、孫正義、柳井正氏などカリスマ性の強い企業のバトンタッチの手法という点でもセブン&アイグループの動向からは目が離せないと思います。

では今日はこのぐらいで。

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また明日お会いしましょう。
2016年05月25日10:00
カテゴリ
経営
日本経済
かつて従業員は幾らでもいて人海戦術に頼ることも往々にしてありました。今、その従業員はあちらこちらで少しずつ減っていきます。この世界は一体どこに向かうのでしょうか?

私がカナダで不動産開発事業をしていた時、チームはほぼ3人で推進していました。トップと現場担当と販売や法務など事務方を担当する3人です。日本の不動産開発では絶対にありえない少人数主義を95年から貫いていました。では実際にその仕事をどうこなしていたのか、といえば事業ごと、分野ごとに専門家や業者と契約し、それぞれの分野で第一人者を集めることで最高水準の仕事を達成するのです。

なぜ、日本式にプロジェクトに何人も何十人も投入しなかったか、といえば人件費の問題もありますが、それ以上にカナダの右も左も分からない日本人を雇う理由が一つもなかったし、成果ベースの専門家との契約ならば成果が出なければさっさと契約破棄して他の会社に乗り移ることが出来る気軽さがありました。ドライと言われると思いますが、3人のオリジナルチームのうち二人はアメリカに長く、残り一人は私でしたから完全北米スタイルがうまく機能したとも言えます。

今、私の会社は現場スタッフを別にすると私を入れて2人で管理しています。3人で不動産事業をやっていた時は円ベースで年間売り上げ20億円以上こなしていたわけですから今の数億円規模なら全く無理はありません。但し、3人でやっていた時は外注が主体でしたが現在は自前で作業することが半分以上である点は相違します。例えば経理は通常、どの会社でも一人から数人抱える重要部署。ところが私のところは経理ソフトで我々2人の片手間作業で終わります。

90年代と今の最大の違いはテクノロジーの発達、部品や製品の飛躍的発達と価格の下落、コンピューター化に情報検索のしやすさでしょう。かつての少人数業務とはコーディネーター的発想でしたが、今は少人数ながらも専門的認識と細かい現場作業の積み上げを経験値として取り込めるようになったということでしょう。

私どもの業務の一つである駐車場運営も徐々に機械化が進んできています。駐車場の料金徴収係は一部の商業ビルなどを除き、本当に少なくなってきました。料金取り損ないの損失より人件費の方がはるかに高いということです。(日本の機械式駐車場は原則こちらの法律に適合しないため、自販機で駐車券を自発的に買うという仕組みです。)

そういえばバンクーバーの通勤用鉄道の駅では最近、ようやく自動改札がフル機能をスタートさせました。今までは違反者を取り締まる鉄道会社の社員や警察が多かったのですが、これからは減るのでしょう。

ホテルからの請負業務をしていて思うことは例えばフロントなりサービスマネージャーなりがお客様に説明する内容が人によりバラバラ、中には事実と異なることもごく普通にあるということでしょうか?つまり、人海戦術的な性格であるホテルを含むサービス業の場合、情報の理解度が従業員でもまちまちでそれが混乱をきたす原因になっています。ところがトップにそれを直訴すると「それはマネージャーに任せているから全く把握していない」という脇の甘さがあります。

私が取引しているあるカナダの銀行。取引額が小さいので気にしていなかったのですが、最近、最新の月次取引明細をみてびっくり。なぜならこの1年、全く取引をしていないのにこのふた月だけでも5-6件の知らぬ取引。多くは入金で銀行側が間違いに気が付いた場合はかなり時間が経ってから勝手に差し引かれるのですが、放置されているものも多く、基本的にこの1年で残高が数百万円ほど増えています。(私は引き出して盗んだりはしませんが危険でしょうね。)

先月もこの銀行のマネージャーにクレームしたばかりなのですが理由は銀行の各支店の端末からの入金処理ミス。日本では考えられない事態ですが、この10年、この間違いは一度も改善されたことがありません。これも人の処理ミスから来ているものです。私ならこれを解決するのにまず私の口座を違う口座番号に移設してみることだと思います。これも思いつかない銀行のレベルも知れています。

人を雇うことは作業ムラ、理解度ムラ、習熟度ムラなどバラバラなレベルをいかに揃えるかにかかっています。アメリカでは様々な手法で社内教育に相当の時間をかけてきました。が、私はこのスタイルはもう続かない気がします。スターバックスは従業員のコーヒーの知識、技量に多大なる資金を投入していますが、それなら自動で美味しいコーヒーが出来るマシンを作った方が早いでしょう。かつてはそういう発想をしませんでした。が、今の自動コーヒー抽出器のレベルは上がっています。長蛇の列でようやく手にしたコーヒーカップを持ってオフィスに行くという朝の風景自体がナンセンスな時代です。

世の中は生き残れる人とそうではない人が出てきます。そして残念なことに多くの中高年層はこの時代の変化のギャップについて行けず、いやおうなしに労働市場の片隅に追いやられることがより進むはずです。また、若年も機械に飲み込まれてしまっている人がほとんどです。機械に使われる人間には私はなりたくないですね。このままでは私の存在意義は機械以下になるという危機感が私を奮い立たせます。

では今日はこのぐらいで。

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