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外から見る日本、見られる日本人

バンクーバーの日本人社長ヒロが仕事、生活を通じて感じた経済、経営、社会、日本人観などを綴っています。

日本の政治

私がまだ中学生の頃、偏差値絶対主義の真っただ中で、日々の生活も学校も塾通いも進学と究極的には就職のための準備期間的存在でありました。その頃、教科書のレベルをはるかに上回るレベルの勉学とおびただしい数の試験、模試、そして各種ランクが年中発表され、一定ランクを維持できないと塾のクラスではランクを落とされるリスクを抱えていました。当然ストレスフルな日々です。その時、思ったことは今でも鮮明に覚えています。

早く大学卒業したいな。早く就職したいな。そうすればテストからも成績からも解放される、と。

当時は終身雇用が前提。つまり公務員も民間企業も同じ。公務員になれば給与は安いけれど恩給がつくぞ、民間は給与は魅力だけど競争社会だよな、でも仮に仕事ができなくてもクビになければ給与もらえるよなぁ、と。

それから高校生の時にこんなことも考えました。「俺、将来競輪選手になる。だっていつもビリでも年収1000万円が確保されているんだぜ」。伊豆修善寺に競輪選手養成学校があり、その横に高低差がある一周2キロの自転車レース場があり、普段は一般の人も走れます。自分の自転車を持ち込み、何度も走りました。この坂を登れば競輪選手になれるかもと。

終身雇用制度で原則的に解雇ができない日本のルールは労働者側にとっては「生活保険」のような制度だといってよいかもしれません。同じ釜の飯とはよく言ったもので同僚と一緒に過ごす時間が濃く、家族のような関係を築くことで落ちこぼれをなくすという美談も数多く生まれました。

これが変わったのがバブル崩壊。企業側が生き残りを賭けた点で大きく変わったのですが、雇われる側も変わったのです。この会社に一生いたくない、と。日本的ミーイズムが生まれる中で社畜に対する反感が一部で芽生えました。また、90年代を通して大手企業が次々倒産し、社会問題化する中で、会社に自分の人生を預託できるのかという単純な疑問が生じたのです。「うちの会社は大丈夫?」と。

今でも終身雇用に重きを置く経営者や労働者が多いのは知っています。全ての会社が倒産しなければそれでもいいでしょう。全ての会社が素晴らしい経営者のもとでガバナンスもしっかりしており、のびのびと仕事ができればよいでしょう。でもそんな絵にかいたような会社は一握りもないのです。私が中高生時代に思い描いた「社会人天国説」は現実社会では夢物語であったといってよいでしょう。それより飛んでくる罵声と灰皿をどうかわすか、こちら方が身を守るうえで重要だったのです。

小泉進次郎氏が解雇規制緩和を述べ、賛否両論になっています。まず一点クリアにしたいのは小泉氏は北米並みに解雇できる社会を作ろうとは述べていないのです。整理解雇の4要件の見直しを述べているだけで基本的にはフレキシビリティを持たせようとしているのです。

左派的な方からすればそれは解雇しやすい話ではないか、というかもしれません。が、今の雇用環境では一生の間に1−2度転職するのが当たり前です。絶対に解雇できないというのはわかりやすい例でいえば絶対に離婚できない夫婦こそが正しいことである、と言わんとしているのと同じように感じます。夫婦と会社勤めは相思相愛でないと成立しないのです。仮面夫婦や仮面社員あるいは、片思いでは無理。離婚して新しい人生が開けた方も多いでしょう。もちろん、雇われる側が辞めるのは自由、だから離婚の例えはふさわしくないと意見があるでしょうが、それではあまりにも片務的だと思っています。

私はアメリカとカナダで経営側として従業員と共に歩んできました。過去、残念な結果になり、解雇したことはあります。アメリカで一度に170名ほど解雇したことがあります。従業員を講堂に集め、30代半ばにもならない私が会社を代表して会社の惨状から解雇せざるを得ないことを述べ、これまでの協力に多大なる感謝の意を伝え、次の雇用先のあっせんをした旨を述べました。私は罵声の中、刺されるかと思いましたが、大きな拍手と従業員たちからの「世話になったな」という謝意があり、私の社会人人生の中で深く印象に刻まれた出来事となりました。

カナダで雇用をし続ける中で便利だと思ったのが3か月の試用期間という制度です。日本にも試用期間制度はありますが、根本的に意味が違います。カナダの場合はどんな事情でも労使ともに雇用関係を解消することが許容されているのに対し、日本は雇用条件や勤務評定に限定され、仕事ができないことを理由に解雇はできないと理解しています。

この3か月の試用期間は恋愛でいう「同棲期間」と考えてよいでしょう。お互い、一緒に住んでみて双方もう少し知ろうじゃないか、と。それでいいのです。会社は何が何でも雇うことが義務付けられているのではないのです。会社に貢献してくれるなら高い給与を払うという覚悟があるのです。

カナダでいろいろな方と話をしていると「ちゃんと仕事しないとクビになるので」ということをよく聞きます。スタッフレベルなら上司に言われたことを必ずこなすことでしょうし、マネージャークラスなら責任範囲の業務をどう取りまとめ、会社に貢献できたかを数字などで示すことが求められます。また顧客には「本日のサービスはどうでしたか?」というアンケートが頻繁に来ます。顧客が辛辣なコメントを書くとその従業員には罰点がつきます。つまり極めて高い緊張感の中で仕事をすることを求められます。その代わり給与も高いと思います。

日本で解雇ができる制度を取り入れるべきかという議論はいずれ避けて通れなくなります。理由は少子化で従業員が足りない事態になるので雇用の流動化を促進させ、リスキリングを含めた時代にマッチした能力と人材を適材適所として備えることが必要になるからです。例えば日本にはマスコミという名のもと、記者やフリーランスの物書きが非常に多く、安い報酬で一生懸命書いています。そのため、奇をてらいたいのか、功績を挙げたいのか、記者会見ではヤクザもどきの脅しをするような記者も目立ちます。私から見ればマスコミが多すぎる、よって薄給で雇われる物書きも多すぎる、だから記者会見は荒れ、品のない二流記事が蔓延するのです。ならば彼らをリスキリングでもっと違う世界にいざなうのはどうでしょうか?

つまり日本で多くみられるのは雇用の硬直化が時代の変化対応に極めて鈍く、従業員の意識の改善にもつながりにくいのです。大企業ならどうするかといえば数多くある子会社、関連会社に飛ばせばよいのです。実質には日本的解雇といってよいでしょう。金融機関にお勤めの方の悲哀物語を以前にもご紹介したのですが、それが本質的に何を意味するのか、私は問いたいのです。

会社勤めが面白くないと答え、それでも務めるのは生活のため、という現代社会の割り切り感が本当に人間社会を豊かにしているのか、政治家や知事や著名人がいかにも耳障りのよい話ばかりをするのが正しいわけではないのです。社会には流れがあり上り坂や下り坂もある、そしてそれは時代と共に全く違う価値観を伴うものである、と私は考えています。

では今日はこのぐらいで

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また明日お会いしましょう。
メディアは10名を超える自民党総裁選候補者の行方に振り回されていますが、こればかりはふたを開けてみないとどうにもわからない、そんな気がしています。それぞれの御贔屓の政治家を押したいのか、インフルエンサーがあぁでもない、こうでもないといろいろ書き立てますが、一種のファン投票的な話で冷静に中立的にとらえたものはあまりありません。

それと各候補者が次々と推薦人20名をクリアしつつありますが、これは自民党がすっかり割れていることを対外的に公表しているようなものだと思います。私を含め多くの方は11名出馬の意向を示していても実際に推薦人の枠を考えれば最終的に5−6名になるのでは、と思っていましたが、現状それより若干多めで展開しそうです。それだけ票が割れるということですが、党員党友の票が読みにくく、案外、保守的な展開になるとみています。

ところで話題になっているThe Matchという自民党総裁選のポスターと動画ですが、批判的な意見も多いようです。私は一目見た時、残念なものを作ったな、と思い、これがAIを利用して作ったと聞いた時、「そうか、AIはやっぱり過去を踏襲するしかできないのだな。今の自民党が変われないことを象徴しているような作品だ」と勝手に納得しておりました。

何が残念かいえばポスターのトーンが過去の栄光にぶら下がっていること、様々な不正や疑惑に対する反省がデザインに全く取り入れられていないこと、そして最大の欠陥は「なんで全員年配の男なんだ!」という点です。過去首相をやった人の顔写真が任期に応じて大きさを変えているという手法を使っているために極めて偏りのある現代社会にマッチしないものができた、これを平井卓也広報本部長が素晴らしいものができた、と自画自賛している点でやっぱり自民党は過去の産物ではないか、という気がしてしまうのです。

さて、タイトルの「選挙は自民総裁選だけじゃないぞー」は2つの選挙を指しています。1つは自民総裁選の数日前に行われる立憲民主党の党首選、もう1つは来年の早い時期に行われると勝手に予想している衆議院選挙であります。

まず、立憲の党首選ですが、現状、3名の候補に絞られているようです。現職の泉氏、前職の枝野氏、そして元総理の野田氏です。8月24,25日の毎日新聞の調査で立憲支持層の支持率は枝野氏37%、野田氏32%、泉氏6%なのでほぼ、枝野、野田両名に絞られているとみています。これは2か月ぐらい前の本ブログで野田−枝野の戦いになるのでは、との予想と一致です。泉氏は新味がない、功績も主張も限定的で再選はないと考えています。

それより更に1-2か月前のブログで枝野氏の返り咲きがあり得ると申し上げたのですが、その時は野田氏の登板を想定していませんでした。直近の流れからして野田氏は大いにあり得る、いや、むしろ野田氏が最終的に党首になるような気がしています。とすれば、これは自民党にとっては極めて厄介な事態になると踏んでいます。

なぜなら民主党時代の3人の首相の中で野田氏だけはまともだったこと、安倍元首相が認める政治家としての好敵手であり、ライバルでもあり、印象的なカウンターパートであったことを考えると自民の約11名の候補者を含め「近い将来の首相は誰が良いか」と国民に問えば案外、いい位置につける候補者ではないかとみています。

衆議院の解散総選挙はあるか、と聞かれればハネムーン期間の100日を考えると今年はないのですが、2025年の早い時期に次期首相は解散総選挙をやらざるを得ない状況に追い込まれるでしょう。国民の信任、及び仮に「野田人気」が盛り上がれば解散して決着をつけるというプロセスは避けて通れないからです。まさに「野田リベンジ」ということになります。

自民党は野田佳彦氏に勝てる人材を自民党総裁選で選べるか、ここまで考える必要があります。その間にアメリカ大統領選もあります。こちらも正直誰が大統領になるかふたを開けてみるまで分かりません。が、衆議院選挙で外交は主題にならないので、国政をいかにぐいぐい引っ張れるか、これにかかるのです。11名の候補者にこのような人物はいますかねぇ?なかなかの難問です。

自民党党員と党友及び議員はそこまで考えたうえで誰を推すべきか計算づくの選挙戦を展開すべきでしょう。仮に20人の推薦人をもらっても勇気ある辞退者が出ることはウェルカムです。今回の自民総裁選は相当神経質に行わないと政権交代が現実味を帯びる、そんな気がします。

では今日はこのぐらいで

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2024年08月15日10:00
メディアは「岸田首相総裁選不出馬」と報じています。もちろんその通りなのですが、個人的には「賞味期限到来による任期満了」とした方が理解がスッキリすると思います。任期中何度も噂のあった解散総選挙を一度も実行せず、ひたすら首相としての日々の責務を全うした努力は評価するべきでしょう。一部からは「不出馬は当然だ!」という声もありますが、それは日本人のマインドとして失礼千万だと思います。

岸田氏の不評とは企業の不祥事で社長がフラッシュがたかれる中、頭を下げる話と似ています。つまり岸田氏が何かやらかしたわけではなく、自民党総裁としての立場において党議員が次から次へと不祥事を引き起こし、その度に「頭を下げ続けた」、そんな責任の取り方であり、岸田氏がイキイキと力を発揮できたのは外遊しているときぐらいだったと思います。

お前は岸田氏に責任がないといえるのか、と聞かれればそれは日本的なウェットな思考方法と言い返すしかないのです。海外でそんな頭の下げ方はあまりお見掛けしないです。逆にそれに時間を割かれるので政権運営という重要な責務を果たす集中力を欠くことになるのです。ところが日本は国会で野党がねちねちとつまらないことで与党を攻めるのがお好きです。立憲という品格がない野党が逆に政治を停滞させている、そう感じるのです。まずは岸田首相に在任約1000日間、ご苦労様と申し上げます。

さて、この先についてメディアが明白な予想を出しているところはあまりお見掛けしません。それぐらい難しいし、誰が出馬するのか、そしてどのような党内の駆け引きが行われるのか、見えない力も加わることから軽はずみなことは言えないのでしょう。

お前はどう思うのか、と聞かれた場合、政治を再度、俯瞰する必要があるのかと思います。
1 日本は中道のやや左を求めるのか、やや右を求めるのか?
2 日本は政治に何を期待しているのか?
3 日本はまだ自民党に期待をしているのか?
4 国民との対話が上手なのは誰か?
4 内政と外交、実質的にどちらが重要になるのか?
5 アメリカの新大統領と組み、習近平と交渉できるのは誰か?

あくまでも個人的な意見を述べさせていただくと日本は全般に中道やや左は居心地が良い、そんな感じに見えます。日本が世界で最も成功した独特の社会主義(日本型社会主義)と指摘される中で内政と外交の二面性を見せてきたのが歴史だと思います。国内は中道、外交は保守です。この絶妙な使い分けが意図的にできる人がいるかどうか、です。

日本人は政治家に対する期待感は第三者的であり、自分たちの代表という意識は薄いと思います。言い換えれば政治と日々の生活を切り離しても一定の満足がある、だからデモもストライキも起きないのです。小池百合子氏が大きな改革をしない東京都で鎮座し続けるのと近いものがあると考えています。こうなると外交手腕のあるなしが首相の器の一つの決め手になるかもしれません。

自民党への期待感は薄れていると思います。まだ君臨しているのか、ぐらいの感覚です。何度も繰り返しますが自民党は割ればよかったのです。ところが古い世代にはその意味するところが理解できないし「お前はバカか?」というスタンスです。ですが自民党はバブル崩壊の90年代初頭で実質的な役割は終えていたと考えています。具体的には金丸信元副総裁が逮捕された93年が一つの終わりの象徴だったと思います。

国民との対話上手という点では岸田氏は悪くなかったと思います。一部ではそれを酷評する人もいるようですが、岸田氏は他の首相経験者と違い、威圧感がなかったのです。例えば菅氏は人のよさそうな感じがしますが、腹黒さで誰もそばに寄りたくなかったと思います。岸田氏は貫禄がなかったとも言えますが、話しやすさ、国民がアプローチしやすい点は継承されるべきでしょう。

内政と外交ですが、内政は既存の組織と壁があるのです。閣僚と官僚、更に野党と国民が取り巻くがんじがらめの世界であります。現在の首相候補者に壁を打ち砕ける人材はいないので逆に党内での人徳と人脈がある人がよりスムーズな政権運営をすることができるでしょう。

最後、アメリカの新大統領とタッグマッチを組み、習近平氏から小僧扱いされない貫禄となるとさて、難しいですね。求めすぎかもしれません。

自民党総裁選挙は党員、党友、及び議員票ですので世論とは次元が違うところで決まります。議員票を集めやすいのは茂木さん。ただ、党員党友では人気がありません。高市さん、石破さん、河野さんはその真逆。かなり根拠薄ですが、今、答えろ、と言われればえぇッと驚かれるかもしれませんが、石破氏と茂木氏の決戦になるような気がします。高市さんを推す声があるのは知っていますが、私には過大評価の気がします。首相として重圧に耐えられるでしょうか?

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東京都知事選の火ぶたが切って落とされたのですが、候補者が掲げる公約、政策に皆さんはどのように感じたでしょうか?私の思うところを記してみたいと思います。

まず、NHKが報じる上位4名の政策。ウェブニュースには各氏がフリップをもっているシーンが写真付きで掲載されています。小池百合子氏「首都防衛、命、暮らし、防災、経済」、蓮舫氏「若者の手取り増、都ガラス張り」、石丸伸二氏「政治屋の一掃」、田母神俊雄氏「結果を出す政治、都民の安全と豊かな暮らしを実現する」です。まず、このフリップの内容を見せられてピンと来るかどうかです。小池氏と蓮舫氏はまだ具体性がありますが、石丸氏と田母神氏はなんだかさっぱりわかりません。

公約や政策はややもすると抽象的になりがちです。しかし、選挙民がわかりやすく10文字程度でハッとさせるメッセージこそが有権者への印象付けとなります。よってここが第一勝負どころだったと思います。この時点で私は石丸氏と田母神氏はFAILとなります。

ところでなぜこの4人だったのかという疑問を都民は呈した方がいいと思います。もちろん、泡まつ候補の声に耳を傾ける時間はないとする意味もありますが、公共放送ですからここはある程度のバランスが必要かと思います。ただ、自分がやりたいことを提言するというのは思ったほど簡単ではないのです。そして時として実行不可能なチャレンジに挑む公約や選挙民の意志を無視した変革を目指すものもあります。私はそのあたりまで含めてみると小池氏の公約のほうが聞きざわりという点では蓮舫氏よりはるかによいとみています。つまり、高齢者と保守派が多い東京において「優しい」政策提言であり、蓮舫氏は数あるイシューの中のごく一部のそのまた一部を捉えているだけで実務経験不足を露呈したと思います。

さて、お前が公約を掲げるなら何を提言するか、と言われたら何を言うか、この数日、頭の体操だと思いながら考えを巡らせていました。

大局を捉えると都民の保守性とは経営者や事業者が多く、その事業基盤が揺らがず、できればもっと成長したり暮らしやすい社会が実現できれば良いと考えています。高齢者は長年住み慣れたその場所で安心安全を担保しながら余生を過ごすことが主体になります。つまり改革派ではありません。

今はベッドタウンという言葉は使わないと思いますが、バリバリ働く方とそのご家族は周辺県にお住まいの方が多いのです。では東京都だけ異質で異次元の政策で爆走すべきかといえばこれも正しくはない、このあたりのバランスをまずは示すべきだと思うのです。

そこで私はまず、東京都の外交戦略を打ち出すべきかと思います。つまり、東京圏(メトロ東京)を形成するために東京と往来がある神奈川、埼玉、千葉県と戦略的提携を結び、双方がリンクして共同政策を打ち出せるものは一緒にやる体制を明白にして共同歩調をとることが重要だと思います。もちろん、各県や都の独自性は必要ですが、それらの県と東京の関係は極めて密接であり、川向うは違うから、という時代ではないと考えます。

次に高齢化する東京への対策です。小池さんが木造住宅密集地の改革を掲げたのはさすがだと思いました。東京都を本当によく見ています。その上で私は更に、緑地が少ない東京、少子化の東京を逆手に取り、それを活用して大緑化政策を進めるべきかと思います。例えば極端な話、特定地域では小規模ビルは建てられないようにして区画の整理を再度進め、その際に建物の高層化と同時に緑地面積を今の2倍以上に増やすなどの政策はありかと思います。小規模不動産と木造住宅密集地の区画整理において東京都が関与する土地の一時所有会社/機関を設立して一時的に土地を所有するのもありかと思います。

少子化に関しては以前から繰り返していますが、生むのと育てるのは別の括りだと思います。よってお金をばら撒けば子供を産んでくれると考えるのは出産促進にはむしろ逆効果とみています。子育てにはプラスかと思います。そのあたりは先ほどの東京都の外交政策で周辺県に住み、東京都に勤める方々の利便性を最大限にする方策を考えるべきでしょう。シェアオフィスやサテライトオフィスの活用もありだと思います。横浜、大宮、千葉、立川あたりをサテライトタウンとするのも一案かと思います。

防災については数ある自然災害の中で何を対象にするかで対応は変わってきます。その中で私は携帯がつながらなかくなるリスクが思った以上に対応がなされていない気がしています。今の方々からスマホを取り上げるとほとんどの人は電話番号を他に控えていないから連絡が取れなくなるし、極端な話、自宅の住所すらいえない人が出てくるのです。まさかと思うでしょう。それが案外多いのです。その際の災害難民に関する対策を打ち出すべきでしょう。小池さんの富士山が爆発した時の対策というのはやや突飛な感じがします。

それと小池さんは国際金融都市構想を述べていません。あれだけ力が入っていたのに諦めたのでしょうか?私は特区を作るとか、これだけ外国人が増えた時代においてどう外国人を受け入れ、どうビジネスに結び付け、どう国際金融都市に発展させるか、そのあたりの深い構想は是非とも継続してもらいたいと思っています。

これからどんな政策論争があるのか、期待したいところですね。

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数日前に記載した「今週のつぶやき」で「個人的に注目しているのが二階氏への対処で、もしかすると処分前後に離党するというウルトラCが出てこないとも限らない気がします。それは氏のプライドと年齢的問題、さらには党内での求心力が弱っていることがあります。ただ、弱っているのはそれだけではなく、足腰もよぼよぼ。私にはもはや妖怪にしか見えません」と書かせていただきました。

私がなぜそんなことを書いたのか、というと二階氏は非常にプライドが高い方で数多くの議員に慕われていた立場上「処分」という評価は絶対に受け入れられないはずと考えたからです。月曜日に二階氏が記者会見での次期選挙への不出馬表明をしました。二階氏はある意味、素晴らしい計算をされたと思います。

まず、次の衆議院選に不出馬ということですが、それがいつなのか、であります。この読みについては様々な意見があり、判断が難しいところですが、私は自民党の総裁選までやらないのではないか、という気がしています。安倍氏は「首相の解散権」という伝家の宝刀を使うのが好きな方だったと思います。敵が多いので刀を振り回す必要があったのです。一方、岸田首相はどう見ても解散権を使うのは好みではありません。

そもそも海外でもSnap Election (解散総選挙)は時代の要請ではなく、非常に少なくなってきています。アメリカはその仕組みがないし、英国、ドイツも非常に厳しい規制があります。イタリアはしょっちゅう選挙をやっているイメージがありますが、大統領の専権事項で内閣ではありません。カナダでも最近、解散総選挙はほとんど記憶にありません。民主主義の国家においてすらもはや選挙を頻繁に行うのは政治運営手法として主流ではないということです。

よって日本の専門家が岸田氏がアメリカから帰国したら、とか夏には選挙といった憶測があるのですが、私は岸田首相は解散総選挙に興味がないとみています。特に秋に総裁選が行われるということは政権与党としての今回の顛末を含めた判断が自民党の中で行われるということです。そこではどう逆立ちしても安倍派の候補者が有利な展開をすることはないでしょう。すると岸田氏はあえて不人気で金がかかる解散総選挙をやることで更なる国民の不人気を買うようなことはせず、秋までに自身の評価を高める算段を考えるでしょう。

誰が総裁に選出されたにせよ、その後に解散総選挙、これがもっともロジカルで国民の信任を問うという意味で一番正しいやり方なのは自明だと思います。

二階氏はそのあたりの流れも計算したと思います。そのうえで自身が議員を辞めるという表明で裏金問題の処分をかわしながらも、もうひと転がり暗躍できるわけです。

もう一点大事なのが二階氏の「自民党愛」です。氏にとって自民党は自分そのものであり、3万人も党員が減ったという事態を重く、かつ責任感を感じたのが今回の不出馬表明の背景だとみています。よって自民党再生のために総裁選に影響力を残すなら「新生自民党」を生み出すための後押しをするのではないかと思います。もう一つ、二階氏はチームワークを非常に大事にされた方です。若手議員が二階氏のところに挨拶に行けば軍資金の札束を持たせてエールを送ったという、真偽は不明ですが、そんな話も聞こえてきます。とすれば二階氏が推挙するのは自民党を一つの輪、あるいは和として結束感を強めることができる人材、これが推されるべき方ではないかと推測しています。

これでやりにくくなったのが安倍派で名前が挙がる方々です。「ドン」が不出馬という責任の取り方をいち早く表明した以上、疑惑の方々がなにもしないというわけにもいきません。一方、罰せられるのをただ待つというのも芸がありません。一部の方は離党を含めた処罰される前の自身の判断を促す格好になることもあり得ます。また80名に及ぶ疑惑の方々は次回の選挙は不利だと思います。逆に言えば岸田氏はなおさら解散総選挙の宝刀は抜けないともいえるでしょう。

自民党の冴えない話が進む中、NNNと読売新聞の調査では「支持政党なし」がついに50%を超えてしまいました。つまり国民と政治の離反関係がより進んでしまったということです。個人的には小選挙区制がもたらす議員の守備範囲の視野の狭さが気になるところであります。今回の問題をてこにして日本の政治が国民意識と比べ30年ぐらい遅れていることを認識し、大幅な刷新と若返りをはかる契機になってもらいたいものです。

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あらかじめお断りしますが、私が岸田氏を応援しているとか、嫌いとかいった感情は抜きにして今日のストーリーを展開していきますのでその点、ご了承願います。

もしも何年後かに「岸田首相はなぜあんなに不人気だったのだろう?」という議論があった場合、どんな理由があるのだろうと考えてみたことがあります。巷でいわれる理由が必ずしもしっくりこないのです。岸田氏が首相になった当初、聞くチカラが売りでしたが聞く一方で岸田色が出てこない、というイライラを感じたこともありました。ですが、徐々に岸田氏は聞くチカラを蓄えて自らの行動力に転じていたことを割と見過ごしているように思えるのです。

先日、岸田首相の在任期間が田中角栄氏の886日に並ぶという日に「毎日毎日の積み重ねであるので在任期間の長さについては特段申し上げることはない」と淡淡と述べていたのが印象的でした。この毎日の積み重ねができる人は勉強したり何かに打ち込んだり、ビジネスをしたりする人には最も好まれる姿勢でありますが、政治家も当然ながらコツコツと積み上げることは重要です。

アメリカの大統領選でトランプ氏がなぜこれほど人気があるのか、という解説で3つのキーワードが上がっていました。物価高不満、特に海外などへのお金のバラマキ、移民問題だそうです。移民問題についてはアメリカとメキシコの国境を自衛するトランプ親衛隊もいるようです。それはともかく、この3つの問題にはすべて共通点があるのです。それは国民が国内目線で感じている点です。以前から何度も言っているように外交は選挙のネタにならないのです。国民は外国のことより今日や明日の飯のことが重要なのです。

これを日本の今の状態と照らし合わせてみましょう。物価は上がったとはいえ、欧米とは比較できないほど落ち着いています。また、ここにきて値下げに転じるアイテムも出てきており、物価は総じて相対的に見れば世界でも最もコントロールされているといって過言はないと思います。

経済はどうでしょうか?今年の春闘は今週集中回答日となりますが、昨年を上回る感じになりそうだというが現在の感触。また、この流れは中小企業にも広がる様子も見せています。以前にも書きましたが、最低時給も上がっていますが、場所により相当のプレミアムを付けないと人が集まらないという事態が続いており、賃金の底上げは比較的広範囲で展開されつつあるとみています。

ではなぜ、人は景気が悪いというのでしょうか?まず、それが口癖であることが日本人の性格である点はあるでしょう。それと社会の変化に対して自分の立ち位置を変えられなかった方がその不満をぶつけるからでしょう。特に日本は歴史的に「文句はお上に言え」です。きちんと努力している大半の方からすればそこまで景気が悪いという感じは街角景気の色合いからはやや違うのではないかと思います。

株価はご承知の通り史上最高値を付けました。実感がないというのは指数相場であることもありますが、そもそも株を買っている人はごく限られた方だけで過去30数年、株でだまされたと思っている人にとっては「オオカミ少年」ならぬ「見せかけの株価」ぐらいに思っているからでしょう。また、若い方で金銭感覚が非常に繊細な方々は株のように下がるリスクがあると競馬やばくちと同じ感覚になる方もいらっしゃいます。しかし「買わない宝くじは当たらない、買わない株では儲からない」と私は強く申し上げます。

経済の実態がよければ政権にはプラスの風が吹くのです。これはほぼセオリーといってよいのです。その点からすれば岸田氏の支持率が下がる一方であるのが不思議なのです。私はひょっとすると集団心理がそうさせているのではないかと思っています。つまり、岸田=ダメ首相=財務省のポチ=低人気=次はないという方程式です。誰も岸田氏を再評価しようとしていないのです。

なぜダメ評価を食らったのでしょうか?人事が悪かったことはあります。しかし、今回の裏金問題まで含め、それは岸田氏が悪いというより皆さんの大好きな自民党がそういう体質なのです。以前「自民党は腐っている」と申し上げたことがありますが、数ある議員の中からまだ汚染されていない部分を切り分ければ若手にはまだ有望株がいるでしょう。ただ、閣僚にはヒエラルキーの階段があり、これも昭和の風通しなのでしょう。例えて言うなら名門の体育会系のOBOG会のようなものです。もっとも自民党和歌山県議連の行動は阿呆の一言でしたが。

増税メガネともいわれますが、安倍さんは2度、消費税を上げているのです。たぶん、安倍さんには声を上げにくいけれど岸田さんには好き勝手言えるという大衆的なイメージがある気がします。私が岸田氏が就任直後、長くなる、と申し上げたのは「お上」のイメージではなく「そのあたりの居酒屋でワイシャツを腕まくりして飲んでいるのが似合う方」なのです。

最近の日経ビジネスの記事に与野党の一部の声として「岸田政権は低空飛行で続きそうだとの声がある」と報じています。詳細は記事に譲りますが、「岸田−麻生−茂木ライン」が崩れ、「岸田ー森山−浜田の首相官邸国対ライン」へのシフトがポイントです。最近、タブロイド系の記事では次期総裁は誰か、という話題が時折出始めていますが、5人も10人も候補の名前があるので岸田氏の線はないという話がそもそも間違っているのです。団栗の背比べで誰もこれという決め手の人がいないとみるべきで、それを言い換えれば岸田氏が案外有利という論理になります。

個人的には岸田氏はオネスト(正直)だと思います。行動力がないといわれていますが、そんなことはないでしょう。ウクライナにも行ったし、広島サミットも成功裏に収めました。派閥解散も政倫審にも自らの判断で動きました。自民党内では岸田氏への怨嗟の声があるという話も聞きますが、私は今、自民党の浄化作戦が進んでいるのだと考えています。しょうもない議員を振り落とす、それをするには案外岸田氏が最適任であるようにすら思えるのです。

あの薄ら笑いは余裕の笑いに見えます。一部の岸田嫌いのコメンテーター達はぼろくそに放言しているし、このブログをお読みの方はムカついている方も多いと思います。しかし見方はいろいろあるので、もう少しフラットな目線でいたいところです。私は秋の総裁選挙は案外見ものだと思っています。

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昔、秘書をやっていた時、政治資金パーティーはトップに同行するのでたまに行っていました。ホテルニューオータニの「鳳凰の間」は「あぁ、またあそこね」という感じだったと記憶しています。行くと高級そうなスーツに身を固めたいかにも会社の役職者と思われる方々があちらこちらで小さなグループを作りながら談笑をしています。

政治資金パーティーでも会社の役員が交替した時のパーティーでも秘書の一つの役目は親分になにか食べさせることで、小皿に適量によそってそれをタイミングを見てさっと差し出し、小腹を満たしてもらう、という感じです。あとはつかず離れずながらも「会長、あちらに〇〇社長がいらっしゃいます」と囁くと歓談中も「では失礼」といってそそくさとその次の方に挨拶をする、つまり上流社会の社交場であります。

その政治資金パーティー、結局、会社の総務部あたりに秘書が来て頭を下げられ、会社の稟議で「〇〇代議士の依頼によりパー券、20枚購入いたしたく」と来るわけです。もちろん、それを購入しても実際には2−3名しか出席しません。

そのパー券は政党の派閥が主体であり、その派閥所属議員が割り当てられ「お宅はまだ一期目だから50枚ね」といった感じで受け持つわけです。学生の集まりの際のパー券捌きと何ら変わりない訳です。彼らは一枚一枚売るわけにもいかないので秘書が企業訪問して「何卒よろしく」と頭を下げて買わせるわけです。大口になると代議士本人がトップのところにきて「よろしく」といってどんと割り当て量を置いていくわけです。

政治資金パーティーは法律的には問題ないのですが、代議士も人の子なり、と考えれば間接的にでも出してくれる企業さんには頭が上がらない、ということもあるし、逆に悪知恵のある人ならそれで政治家を利用することも出来なくはありません。

今回報道にあったキックバックというのは私は知りませんでした。学生パーティーの際に10枚売ると1枚ただでもらえるというのと仕組みに似ているのでしょうか。つまりたくさん売った方には褒美があるわけです。最大の問題はその褒美の金額が何処にも記載されておらず、それが総額で億単位になっており、特に安倍派の不記載がダントツに大きい、というのが今日発覚している話です。

果たしてこれが国会等でどこまで追及されるのか、実は私は見ものだと思っているのです。もしも野党がそれほど噛みつかなければ野党も同じことをやっている、ということです。東京地検特捜部も年末にかけて大忙しになるでしょう。個人的には何処の党でも大なり小なり似た体質ではないかと思っています。それを私は「体育会系旧態依然」と申し上げるわけです。

ところで世界のジェンダーギャップで日本は何年たっても世界百何十位で低迷していますが、理由の一つは政治部門のジェンダーギャップ遅延であります。が、日本の政治遅延はジェンダーギャップ問題だけではなく、政治体質そのものが昭和の時代から実態はほぼ変わらないのでしょう。儒教の教えかと思わせるような年功序列ならぬ当選回数主義もあるかもしれません。法律は政治家が作るので「自分に甘く、他人に厳しく」では改善しようがないのです。仮に勇ましい政治家が何人かいても多勢に無勢です。

この件について政治家も反論しています。「秘書10人、食わせられない」と。国からお金が出るのは3人まで。ならば残り7人の食い扶持は誰が出すのか、であります。秘書が10人は多い人の場合で5人ぐらいの人もいます。この差は企業努力ならぬ政治家の懐勘定の上での判断かと思います。しかし、秘書と言っても一部の方は代議士センセーの地元の選挙応援団、平たく言えば営業マンなんです。秘書と言うのは聞こえが良いだけ。営業マンがいるからこそ、政治家に当選したんでしょ、と言われれば政治家のコストとして税金控除してもらえればよいのですが、案外低所得者になってしまう代議士もいるかもしれません。少なくとも裏金で人件費を処理するなんてありえないし、それならば税務調査したら一発で不正がばれるはずです。だけど、政治家の事務所に税務調査なんて恐ろしくてやらないのでしょうね。一般企業にはすぐに来るくせに。

金がかかる政治を見直すこと、これが第一義です。スーツ着た人と企業の寄付が政治を支えているのではありません。全ての人のために政治家は選ばれているという精神に立ち返ればスーツ着たおっさんが高級ホテルに集まるのが政治ではないのです。建設現場で作業員と話す、介護施設でおばあさんと笑顔を交わす、スーパーマーケットで街の声を拾う、というごく地道な活動も政治家のあるべき姿なのに当選した瞬間、別人になり、運転手付きのクルマの人となるのは明らかに勘違い人生だと思いませんか?

では今日はこのぐらいで

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また明日お会いしましょう。
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