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外から見る日本、見られる日本人

バンクーバーの日本人社長ヒロが仕事、生活を通じて感じた経済、経営、社会、日本人観などを綴っています。

2013年11月

日本人がどれだけ勤勉で努力家でテストの成績がよかったとしても一歩外国に出れば何でここまで下手なのかと思わせるのが英語です。インターネットから雑誌にいたるまで英語教育の宣伝があふれ、高齢者向け語学レッスンから幼児の早期英語教育まで息の長いブームともいえるのですが結果として言えるのはやっぱり上手くならない、ということであります。

では、長い海外生活をしている私は英語がうまいのか、といえば決してそうではありませんが、ある気づきから注意するようにしたらすっきりしたことがあります。そしてそれは今までの英語教育とはまったく発想を異にするかもしれません。

日本の英語の授業。ネイティブスピーカーの先生が生徒に指導します。「はい、ではこれを英語で言ってみてください」「いいえ、それはこういう風に発音しましょう」「ここはこういうイディオムを使ってみましょう」...。ごく自然の流れだと思います。生徒は先生の口の動き、指摘事項を一生懸命真似るようにします。

私はこの英語教育は英語がきれいに聞こえるようになるかも知れないけれどしゃべることを目的とするカリキュラムではないと断言できます。この教育スタイルは実は上から目線である点にお気づきでしょうか?ネイティブの先生は生徒が下手だという目線で見ているのです。いや、すべての学校教育において日本では「先生」は偉い人であり、その人のいうことは(基本的に)100%正しいというスタンスで入ります。実はここに問題があるのです。

ハーバード大学のマイケル・サンデル教授の白熱教室を見た方は多いでしょう。あの授業でサンデル教授の立ち居地はどこだったでしょうか?教授という上から目線というより会議の議長ではなかったでしょうか?さまざまな意見が並ぶ中で教授は手際よくそれを交通整理し、一定の結論に到達させています。その間、生徒は議論をするのです。

私が10年以上も前、バンクーバーである英語のクラスに参加した時、先生はあるテーマを与え、それについてクラスの中で議論をさせました。まさにサンデル教授と同じスタイルです。先生は私たち日本人が主張するある論点について「なぜ」を繰り返し、我々はそれを必死になって説明するという流れでした。これは非常によいクラスだったと思います。

つまり、生徒に求められるのは自分の考えをいかにうまく表現し、人を説得し、伝えるのかということに尽きるのです。

では、日本人の英語がなぜ下手か、その理由は自分の常識、認識、理解、知識を話す相手に押し付けているからであります。押し付けるとは自分目線をベースに話すことに問題があるのです。これでは余程あなたのことを理解している人以外あなたの英語を理解することは出来ないのです。海外には宗教、生活、社会、風習、歴史など我々の常識感とは全く違う環境の下に育った人々がほとんどです。その人たちはたった一つの日本の常識すら理解できないのです。日本人が喋る英語は実にぶっきらぼうで丁寧ではないところに相手が理解してもらえない最大の弱点が潜んでいます。そして大半の英語のクラスでは残念ながら相手を理解させる英語教育を行っているところが少ないかもしれません。

私の英語は状況やバックグラウンドをごく手短に話すことからスタートし、要点を伝えるというスタイルにしています。導入部分が誰でも理解できる事実関係から入ることで聞き手が類推しやすいようにするのです。多くの日本人英語は「これ、使えない」「壊れている」といった赤ん坊が言葉を発するのと同じしゃべり方になっていることが多く見受けられます。この点を直せはあなたの英語は意外とすっと相手に理解してもらえるようになるはずです。是非とも一度試してみてください。

今日はこのぐらいにしておきましょう。

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ではまた明日。
2013年11月29日10:00
カテゴリ
経営
自己啓発
起業する目的が金稼ぎや格好良さだとしたら成功しないと私は何度もいい続けてきました。ビジネスにはパッションをもって体当たりすることが重要だとずっと信じています。外資は苦しい会社を見つけては買い叩き、安値で取得し、それを高値で売り抜け、儲けてバイバイし、抜け殻になった日本の企業を見て同じ日本人がこれを真似てもらいたくないといつも思っています。。

たとえば東京の私鉄である西武鉄道やプリンスホテルを経営する西武ホールディングスは日本側とアメリカサーベランスの熾烈な戦いが続いています。一時の険悪なムードでサーベランスの一方的なプランの発表が日本の世論を賑わせたのは金儲けのためなら経営効率を高め、それにより不便が生じようが構わない、という姿勢そのものでした。それはすべてが金だけで判断される経営を知らない者のつまらないプランだったといえます。

JALの再生は稲盛和夫氏がほとんど何のメリットも求めず愛を注ぎ込んだから出来た技であります。もしもアメリカの事業再生会社がJAL再生を担当したとしたら徹底的な不採算路線のカットでひょっとしたらアメリカの航空会社の傘下に押し込むぐらいの感覚で望まれていたでしょう。つまり、金と効率のためなら非情そのものなのです。

ところがアメリカで経営学を学んだり少しかじったりした若手ビジネスマンにはこの金と効率に陶酔してしまっているきらいがあるケースもまま見受けられます。勿論、私は北米で20年以上にわたりビジネスをしていますから北米流のビジネスを批判し、浪花節のやり方に戻ろう、などとはひとつも思っていません。アメリカ式のビジネスはドライであり、感情を殺すという特徴を知っての上で日本企業としてそれを生かす部分と捨てる部分を理解することが大事なのです。日本のやり方には経営的に多くの素晴らしさを持っているのです。

私が起業独立する前、アメリカのあるゴルフ場事業の再生を担当していました。数年努力したものの収益が水面から顔を出すことはなく、密かに売却が決定されました。従業員に売却を発表する日、社長は「俺は(発表会場に)行かない。お前、一人で行け」といいます。理由は従業員が暴れ、刺されたら困るからと冗談とも本気ともつかないことを言われたのです。

何十人という従業員を前に突然の発表をするに当たり私はビジネスへの愛を訴えました。「我々はこのゴルフ場再生のために努力を惜しんだことはない。だが、親会社から売却の引導を渡され、我々雇われの身としては残念ながら力が及ばなかった。申し訳ない。だが、皆さんの雇用は新たにこの事業を引き継ぐ会社が最大限の努力をして面倒見てくれることになっている。皆さんと一緒に仕事できたことを誇りに思う」という趣旨だった記憶があります。

スピーチが終わった瞬間、大きな拍手がわきました。カナダに戻った私に社長は「刺されなかったようだな。」とつぶやかれました。

もしも経営側と従業員がお金だけの関係であれば仕事は受身で何の想像力もわかないでしょう。マネージャーがスタッフを追い回す、まるで「鵜飼と鵜の関係」になってしまいます。そんな雇用関係でよい仕事が出来るでしょうか?経営陣がどれだけすばらしい経営能力を持っていたとしても従業員末端までに仕事をする悦びは伝わるのでしょうか?

欧米は奴隷という歴史を過去に持っています。それが大きく形を変え、経営と従業員の関係に繋がっています。つまり、ヒエラルキーと上から目線がそれを支配します。ですが、日本はチームという形、社長が現場に率先して出て行くという熱意があります。刑事ドラマを見ていて「現場百回」という言葉は何度も聞いたことがありますよね。ビジネスも同じで現場に行かないとわからないことは非常に多いのです。更には社長と平社員が飲み交わすという仕組みを作っている会社もたくさんあります。その中で従業員は少しずつ、仕事に愛を感じ、一体感を作り上げるのではないでしょうか?

勿論、効率は大事です。しかし、あまりに数字に捉われすぎていると見失うものが出てくるようなこともあるのではないでしょうか?

今日はこのぐらいしておきましょう。

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ではまた明日。
私が学生の頃、まるで花嫁修業のように社会人アイテムの必須だったのが運転免許。当時は車も運転できない人は就職に不利と言われ皆、競うように教習所に通いました。当然ながら免許を取れば運転したくなるもので10万円ぐらいの中古の車を買って「俺の『新車』でドライブしようぜ」などという仲間も多かったものです。当然ながら車の運転ができるのが当たり前でしたが、その後、マイカーブームが去り、車そのものを運転しない人が増えてきました。そこで起きたのがペーパードライバー。そして、いまや、車そのものをまったく運転しないので免許を持たないという人もちらほら見かけるようになりました。事実、20代の免許取得率は下がる傾向にあります。

免許有りの人に「じゃあ、この車運転してしろまるしろまるに行ってこれ買ってきて」というと「出来ません」と言われたと思えば運転経験はろくすっぽないのに「出来ます、やります」というケースに良く出くわします。自己判断で出来ないと言ってもらうほうがまだ可愛いもので、ほとんど実践がないのに「免許あるので大丈夫です」という返事を聞くと恐ろしく不安になります。

日本では資格ブームがあり(今でも根強い人気かもしれません)、「将来のために」「就職のために」という名目で実にたくさんの資格をお持ちの方がいらっしゃいます。もちろん、資格を持つというのは基礎知識を持つという意味ですので構わないのですが、それが実践に役立つ思われたら大きな勘違いで資格取得はその道のスタート地点でしかないないのです。

私の知り合いが就職のためにアメリカの公認会計士の資格を取ろうと勉強しております。本人のやる気に水を差すわけにもいかないのであまり強くも言えないのですが、この人はアメリカに住んでいるわけでもないし、会計の仕事をしているわけでもないのです。ただ、突然思い立ったように「就職に有利だから」「給与がいいから」だけの理由で猪突猛進、勉強をしているのです。この知り合い、実務経験はどうするつもりのか気になるところです。

何事も深堀するということは大事です。これが駄目ならあれがあるという浮気心の発想では何も身につかないのがオチでしょう。ところが日本の社会にはまだまだこの深堀するシステムは根付いていません。その典型は企業人事。

一流企業の人事ローテーションは3年、4年でポジションが変わっていき、30歳過ぎぐらいまでの間に3部署ぐらい、まったく違う分野を歩くことも多いでしょう。例えば営業と経理と現場といった具合なのですが、理由はジェネラリスト養成のためと本人の「向き」を探すためとされています。つまり、日本の会社は10年近くかけて人材を探り、その人の才能を最も発揮できる部署に配属するというシステムとも言えるのでしょうか?とすればそれは恐ろしく非効率な人材育成だったと思います。財務省のエリート新人君が入省後数年で税務署長になるのと同じシステムを一般企業に取り入れているようなものです。

ジェネラリストは経営者としての素養があるものだけに絞り込んでよいと思います。つまり、企業人はある分野の専門家として世界にも自慢できる深堀をさせた方がウィンウィンであり新入社員は少なくとも7-8年ぐらいは同じ部署でプロとしての養成をすべきだと思うのです。そして専門家の中から経営的才能があるものは経営者コースに戻せばよいのです。

銀行や商社が確かそうだったと思うのですが、経営陣に残る人はある意味とんがっていなくてバランス感覚が優れていて社内営業がうまい人であります。外に出される者は比較的枠に収まらず、癖があり、その癖がその出向先に絶妙なテイストとなるといったらよいのでしょうか?私が銀行や商社に在籍していたら間違いなく出向組です。銀行でも商社でも今後、本体より出向先のほうがはるかにポジションは増えるだろうし面白い仕事にありつけるかもしれません。例えばローソンの新浪剛史CEOは三菱商事から出されたのですが、素晴らしい仕事をしてきたと思いませんか?

私は形だけの資格や経験は要らないと思います。その道の実務に本当に精通し、プロとしての視線があることが企業人として売り物になるのだろうと思います。そのためにはどうすればよいのでしょう?汗をかくのです。ある程度歳を取ると汗も出なくなるのですからかけるときにかく汗は意味があると思います。

今日はこのぐらいにしておきましょう。

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また明日。
今年の1月16日起こったアルジェリア人質事件を契機に国家安全保障会議(日本版NSC)創設へと与党が再び動き出したという記憶が残っている方はどれくらいいらっしゃるのでしょうか?

この事件によって海外邦人救出の術、外務、防衛、各省庁の縦割りをなくし情報が官邸に迅速に届けられ、状況を分析し行動を起こすために日本版NSCの必要性が前面に押し出されることになりました。これは、第一次安倍内閣の時から提唱されていたものであります。

この日本版NSC創設に新たなるアングルが加わったのが今年の6月に起こったエドワード・スノーデン氏による情報収集の手口の暴露でした。

この話を進める前に本家アメリカのNSCがどういうものなのかを簡単に整理してみましょう。

アメリカ国家安全保障会議(National Security Council)はアメリカの安全保障のトップであり大統領を議長とし、大統領への政策助言、安保立案、各省庁の調整という機能を持ちます。そして、大統領直轄で情報収集のために中央情報局(CIA)が設立されました。スノーデン氏は元CIAと国家安全保障局(NSA)の職員という記述がありますが、NSAはアメリカ国防総省下の諜報機関であります。CIAはスパイなどの人を使った諜報活動を担当するのに対し(Humint)、NSAは情報機器を使った情報収集活動とその分析(Sigint)という面においてそのアプローチを異にしています。

ところで山崎豊子著の「運命の人」の題材となった西山事件の全貌が2006年に国立公文書記録管理局(NARA)で保存されている日米外交記録によって明らかになりました。NARAでも全ての記録が閲覧できるわけではなく、NSCからの指示に従う情報安全保障監督局(ISOO)によって公開・非公開などの分類を行い管理しているようです。

さて、ここで日本版へと戻りましょう。アルジェリア事件を受けてNSC創設に向けて動いていたものがスノーデン事件によって必ずしも注目されていたとはいえない特定秘密保護法に照準が切り替わり、世論をも巻き込んでしまいました。

スノーデン事件を通じて個人情報が勝手に吸い取られていたことへの驚愕と遺憾があり、政府側でも政府要人の盗聴、外交機密の漏洩に対する脅威があったことと思います。一方で他の先進国にはすでに秘密保護法案が存在するものの日本にはないためにアメリカが日本への情報提供を渋る向きがあるようです。つまり特定秘密を扱う公務員や民間人へのチェック体制、期間、指定範囲が曖昧であるとの指摘があったのであります。

ここで、注目して頂きたいのが、本家アメリカでは大統領が頂点で組織体系的にも明確であり、前述したCIA,NSA,NARA,ISOOからなる体制によって管理されていることです。日本の場合は第一次安倍内閣時に一度そのたたき台の会議が設立されたのですが、福田内閣時にその必要性を認めず、解散した経緯があります。そう考えると安倍総理が本件について並々ならぬ熱意を持っていると見受けられますが、安倍総理の後の総理がそれをどう捉えるかで足元はぐらつく可能性は秘めています。

また、CIAが公安、NARAが公文書館と言えたとしても残ったSigintを行うNSAや機密情報を扱うISOOの二組織にあてはまるものがありません。たとえば今日本で議論されている文書の公開期間についてはアメリカではISOOが担当するものの日本ではそのあたりが不明確になっています。

特定秘密保護法案は日本版NSC創設の一部であると言えるでしょう。ただ現在の報道を見る限り秘密保護法案の細部に目が行き過ぎて全体が見えなくなっています。安部首相は最終的に何をしたいのかそこが見えません。

日本版NSC創設を検討する意味は日本が体制・制度的にも先進国に比べてかなり遅れている実態にあります。日本の国際化が今後どんどん進展し、外国企業の日本誘致も進む中、邦人や日本企業の安全を目指し、本家NSCに倣う本気度があるのならそれなりの体制作りを行う必要がありますが、なし崩しは失敗のもとではないでしょうか?

今日はこのぐらいにしておきましょう。

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ではまた明日。
中国の尖閣を含む東シナ海への防空識別圏設定は大きな波紋となっています。日本側は安倍首相を始め、各方面から厳しいコメントが出され、中国側の即座の撤回を求めています。一方、中国側は当然の行為としてその撤回を行う気配は今のところ見られません。この小島を巡る争いは再び、世界の注目となるのでしょうか?

1937年7月7日、日中戦争のきっかけとなる盧溝橋事件がおきました。北京郊外の盧溝橋では日本軍、中国軍が双方にらみを利かせ、緊迫した空気がありました。その中、一人の日本兵が行方不明になったことから一気に事が動き、それに反応した中国側の発砲(誤発砲との見方が強い)で双方がぶつかる事件と発展、歴史的には日中戦争の引き金とされる事件であります。この事件は現時点でも必ずしもどちらがどうだったという決定的な確証がなく歯切れの悪い終結だったことがキーではなかったかと思っています。私が気にしているのは日中の間にはこのような双方の言い分が食い違うことを発端とした争いがしばしば起きているということです。

尖閣にしても日本側の論理と中国側の論理はまったく相違しています。ただ日本の報道ではアメリカはさも日本側についているという報道も見受けられますが、アメリカは尖閣の「施政権」について述べたのみであり、「所有権」については明言を避けているのです。日本側の主張どおり、歴史的に日本が所有しているという点は確かに説得力があるのですが、海外から第3者としてどちらの肩を持つ、というクリアなボイスはアメリカを含め明確でない点は留意が必要かもしれません。

非当事者国からすれば南シナ海に浮かぶ小島を巡り世界第2と第3の経済大国が争っているという理解しがたい状況にあるのです。しかも前回、尖閣の問題が生じたとき、世界は両国が戦争でもするのではないかというぐらい震撼させたのであります。当然ながらその裏にはたかがこれぐらいのことも当事者間で解決できないのか、という目線や批判もあったという点は含みおくべきです。

もちろん、戦争の歴史を見れば第一次世界大戦に於いてサラエボ事件という非常にスペシフィックな事件があのような大戦に繋がったわけですからその批判は正しくないのかも知れません。が、問題はそれ以降、戦争への反省があったにもかかわらず、国際間のいざこざを扱う機関は限られ、国際紛争解決がスムーズではなかったということでしょう。その点、近年のロシアは国境が不確定だったところについて北方領土以外すべて解決した点において交渉力を見せつけていると思います。

さて、この防空識別圏は双方が譲らなければ将来予期せぬ事故が起きる可能性は否定できません。その際、事故の原因についてお互いがお互いの主張をすればそれこそ盧溝橋事件のように泥沼の関係を築く公算があります。習近平国家主席は日中間の経済関係と南シナ海の統治については「別物」とし、経済関係は徐々に関係を強めていくとしながらも領土問題については断固とした姿勢をとるとしています。

問題は経済問題と領土問題を含む国家間の関係を切り離せるのか、という点ではないでしょうか?習国家主席の論理は都合が良すぎるように見えます。

一番気をつけなくてはいけないのは日本と中国には折り合えない部分があるということです。折り合えないのだからそこを根本的に解決することは不可能であって、むしろ、そこに入り込むことを未然に防ぐことが国際紛争解決の方法だともいえます。訒小平氏が日中間の潜在問題の先送りをした意味はそこにあります。とすれば、島のあり方も「さわらずに距離を置く」というスタンスも意味があるものと思います。安倍首相は白黒をはっきりさせたいのかもしれませんが、すべてがクリアカットにできるものではないことは歴史が証明していると思います。

本件は実に憂慮すべき事態かと思います。

今日はこのぐらいにしておきましょう。

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ではまた明日。
歴史的合意、とキャプションを打ったメディアもありました。イランの核開発に対してけん制をしてきた欧米。それは厳しい経済制裁となり、日本もイランからの原油輸出が出来なくなるなどの影響を受けています。が、アメリカとイランの歴史的電話会談を経て今般の核開発の段階的凍結に至りました。しかもアメリカ、イギリス、フランス、ロシア、中国という主要国が合意の上で到達したものです。

合意そのものは素晴らしいことです。ただ、急速に進捗したこの合意はさまざまな利害関係の中で生まれた妥協の産物であったかもしれません。実を言うと私はこのニュースに初めて接した時、一番先に頭に浮かんだのが幣原喜重郎の軟弱外交でありました。

幣原喜重郎は戦前の日本を代表する外交官であり、終戦直後、総理大臣もした人です。ただ、終始、目立たない人であり、総理になると発表された時、「あの人はまだ生きていたのか」と言われたのは氏の歴史を知る人には有名な話です。この幣原氏は外務省では吉田茂、広田弘毅の上役であり、当時の吉田、広田と幣原の関係や影響は日本の外交史としては必読だと思います。

その幣原氏は軟弱外交として有名であり、強硬な軍部に対して宥和路線を強く押し出していた人であります。外交史の中では必ずしも高い評価とはいえませんが、あの時代によく踏ん張ったという意味で私はもっとも興味をそそられた人物の一人です。

さて、イランですが、なぜ、この合意だったのでしょうか?

最大のトリガーはイラン側にあったと見るべきです。経済制裁によりインフレと失業率で国内経済は壊滅的な状態になっています。そのため、穏健なロウハニ師としてはまずは国内経済の建て直しは最重要と考えた節があります。

次にシリア問題が小康状態にあることもあるでしょう。一時期シリアと欧米の関係が最大限に緊迫した際、ロシアのうまい手引き、そして、欧州でなし崩し的にシリア攻撃への反対ボイスがあがったことでオバマ大統領は窮地に追いやられてしまいました。

もともとオバマ大統領がシリアを攻撃するというスタンスになること自体が不思議であったのですが、どうにか、あげた手を下ろすことが出来ました。しかし、そこには支持率という大きな代償があったことも事実です。

今回、イランとの暫定合意はオバマケアなどから目線を逸らすためという共和党からの厳しい指摘もありますが、それもまんざらうそではないと思います。

ですが、私は最大の暗躍者はロシアだったのではないか、と見ています。ロシアは中東問題をうまくまとめあげることで窮地にあるアメリカとの政治手腕と外交関係においてその差を縮めようとしているように見えます。

米ソ冷戦時代は1991年のソ連崩壊でパクス・アメリカーナが完成したわけですがその繁栄の時期は10年後の911で崩壊したわけです。その後、ロシアはBRICsの一角として一時的な経済的繁栄を通じて新たなる冷戦時代を作り上げる準備を着々としてきています。中国との「都合のよい関係の構築」はその一例でしょう。シリアやイランへの影響も勿論あります。が、それ以上にエドワード・スノーデンがロシアに転がり込んできたことでプーチンを狂喜乱舞させたのです。このたった一枚のカードで世界のゲームはすっかり様相が変わってしまったのです。ゴルフでいう「オナー」は今、ロシアにあるといってよいでしょう。

私が幣原喜重郎を思い出したのはバラク・オバマ大統領がまさに重なって見えるのです。幣原のボイスは当時、かき消されることが多かったのですが、それは氏の影響力がなかったともいえるのです。オバマ大統領が6カ国との話をまとめたというのを歴史的合意とすればそれは美談であり、深堀されていない気がします。

パクス・アメリカーナの終焉からロシアー中国というラインが政治的により強固なものに組成されていくのならこれは厄介です。理由は焦点がアメリカの弱体化に向かうからであります。こう考えれば日本はこの合意そのものとそこに含まれる外交をどう捉えるか、一考の余地はありそうです。

今日はこのぐらいにしておきましょう。

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ではまた明日。
なぜまたこんな時に、この人が、こんな多額のお金を、こんなグレーな形で所有していたのか、と疑問符だらけ、いや、疑惑だらけの5000万円です。

渦中の医療法人徳洲会グループから今年のヒーロー(であるはず)の一人、東京都の猪瀬知事に渡されていたこの「選挙対策資金」と称するお金は公にすることなく、個人の借用で猪瀬知事の奥さんの貸金庫にひそかに仕舞われており、今年初めには返却するはずがずるずるとオリンピック開催決定の頃まで金庫に寝ていました。

勝手な想像力のもとで猪瀬知事の心理を代弁すると「お金は邪魔じゃない」ということだったと思います。つまり、ばれない限り、使わない限り、返却できる限り手元に置いておいてもよいだろうと思っていたはずです。これはまず間違いないでしょう。特にこの資金は初め、ご本人のいう選挙対策資金でしたが、それも使わずに無事終わり、ほっとしたところでオリンピック誘致という大仕事が待っていました。ここでいざ何時の資金がいるかもしれないと思ったのが本音ではないでしょうか?ばれない限り置いておく、というのは普通の人間の心理だったかもしれません。

ところが世の中、そう簡単ではなく、徳洲会の資金は逮捕者を出す事件と発展してしまいました。これは当然、知事にとって「想定外」であったはずです。そこで疑惑の種を早く消すために特別秘書なる人(鈴木氏か石元氏のどちらか)が返却することになったのです。

ではほかの選挙関係資金は公にしたのになぜ、これは隠したのかといえば、そういう性格の資金もいざとなれば必要になる時が来ると思ったか、そうしたほうが良いと吹き込まれたかのどちらかです。まぁ、残念であります。

先日、賄賂という内容のブログを書いたばかりでしたが、その時、もらう側に弱みがあるとしました。無利息、無担保で借り入れ期間も不明瞭なこの資金はその定義からすれば一種の賄賂といっても過言ではありません。ただ、法的立証が難しいでしょうからその処置からは逃れられるかもしれません。ただし、社会的処置はそう簡単ではないかもしれません。

上に立つ人に求められるのは人望です。それはクリーンでまっすぐであり、純粋な意味で「先生」でなくてはいけないのです。稲盛和夫氏のような仏のような深さが必要なのです。ですが、知事は残念ながらその部分においては普通の政治家と同じであり、最悪なことに徳洲会からの資金がばれたというストーリーに落とし穴があったといわざるを得ません。

ましてや報道からすると提供する側としてもらった側で話が食い違っていますが、知事は1億円を借りようとしたがとりあえずの5000万だったということですからどうみても要求したのは知事でしょう。ではなぜ、この借り入れだけ隠したか、あくまでも想像ですが、貸し手の徳田虎雄グループ創設者が病気でしゃべることが出来ないことがあったかもしれません。

猪瀬知事が今年、たたかれるのは二度目。一度目はオリンピック誘致の際、トルコなどに対する不適切発言で大きな問題になりかけたことであります。オリンピックの誘致成功についても安倍首相を初め選手や功労者は大きく名前が取り上げられましたが猪瀬知事は比較的影が薄かった気がします。

このところメディアも「たたく人」がいなくなりつつあったところですから猪瀬知事には黄色信号が灯っている気がしないでもありません。この先の展開がありそうな気配がします。

今日はこのぐらいにしておきましょう。

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ではまた明日。
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