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外から見る日本、見られる日本人

バンクーバーの日本人社長ヒロが仕事、生活を通じて感じた経済、経営、社会、日本人観などを綴っています。

2019年07月

2019年07月31日10:00
黒田日銀総裁は顔にこそ出さないものの相当悩んでいると私は思っています。昨日の日銀の定例の金融政策決定会合では現状維持を7対2で決定した上でそのステートメントで「物価目標に向けたモメンタムが損なわれる恐れが高まる場合は『ちゅうちょなく追加的な金融緩和措置を講じる』との文言を新たに追加」(ブルームバーグ)とあります。

私の違和感は「物価目標」であります。正直、黒田氏が総裁に就任してから一度も目標に達していないだけでなく、その達成時期もたびたび延期しています。結局、今年の物価見通しも本年を1.2%に下方修正、来年度は1.6%となっています。2%が目標でしたから遠い感じがします。

来年度がポンと跳ね上がっているのはオリンピック開催に伴う消費の一時的盛り上がりを見込んでいるのかもしれません。ただ、通常、オリンピックそれ自体の景気というのは局地的なもので割と広がりはありません。むしろ、オリンピックは入場チケット数という枠がある上にそれが理由で海外からの訪日客が観光時期をずらす傾向もみられるため、思ったほど数字が伸びないものなのです。

個人的には来年1.6%の物価上昇は手が届かない目標だとみています。不動産市況が緩くなってきており、企業の景況も冴えないことを考えれば下方修正は必至とみています。

金利が通常レベルにあるならばともかく、ほぼ下限を這いつくばう状態の中、技巧的手法による金融政策の物価コントロールは功を奏していません。にもかわらず「追加的金融緩和を辞さず」というのはもはや物価調整は大義名分であり、円の通貨防衛であるとみています。明日、アメリカで開催されるFOMCでは10年ぶりの利下げが実現されると見られています。また、欧州中央銀行も金融緩和姿勢で臨んでいます。トランプ大統領はドル安にするためにツィッターで吠えていますが、ドル安というよりドル独歩高を阻止するという防戦にあります。

アメリカが今時金利を下げる理由などあまりないと私はこのブログで何度か申し上げてきました。ようやく、一部の機関投資家や巨大ファンドのトップたちが「今は下げるべきではない」と言い始めているのは世界の中で見るアメリカ経済は「強すぎる」状態にあるからでしょう。

なぜここまで強くなったかといえば資本と人材と支配という三つの武器を持ち合わせているからで世界経済がアンバランスな状態にあるとも言えます。

そんな中、アメリカが利上げをすればドル独歩高がさらに進む、さりとて、利下げをすればアメリカ経済が更に強まるというジレンマに陥っているというのが私の見る今の世界経済の情勢であります。

日銀の金融政策の目的は物価と労働市場の調整という名目があります。ただし、世界経済がここまでリンクしてくるとそれが為替に大きく影響するという副作用が発生します。そして中央銀行は言葉にこそしませんが、今や、副作用対策が本質的な問題になっているとも言えます。

なぜなら為替によって国家の経済力は大きく左右され、自国通貨を比較的安めに誘導すれば輸出ドライブが効き、結果として雇用が改善し、国内経済が活性化、物価も上昇するというシナリオが描けるのです。

ならばいっそのこと、リブラ通貨で政府紙幣の影響力を下げよという毒舌すら吐きたくなります。

日銀の今のスタンスで行くと円は買われる方向にあります。購買力平価を考えても中期100円割れは妥当なところかもしれません。日本人が北米でまともなホテルにすら泊まることができない物価なのは為替レートそのものがおかしいか、アメリカの経済力だけが一人旅を続け、我々がはるかに引き離された、という課題を抱えているかのどちらかでしょう。

極めて難しい問題です。もう一歩突っ込んでいけば金融政策による経済調整機能の限界に達してきている可能性はあるのかもしれません。経済政策主導型をもっと取り込むべきで日銀に全てを背負わせる時代はもう終わっているかもしれません。

では今日はこのぐらいで。

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また明日お会いしましょう。
日本に派遣労働という仕組みが定着したのち、企業は安い労働力を駆使して激戦のビジネス界を戦ってきました。いわゆるデフレ経済の一翼を担ったのはこの低賃金化と企業の従業員お抱え方式からの解放があったことは否定できないでしょう。

ただ、近年になり、企業が優秀な派遣社員を社員へ登用するなど派遣社員の待遇改善はだいぶ進んできました。併せてベアなどを通じた賃金の底上げがこの5−6年進み、極端なデフレマインドからは脱却しつつあります。

その中で最近の企業トレンドの中に一部業種で圧倒的人材不足が見られ、給与の急上昇が見られます。特にAI関係といった最先端のテクノロジー分野では日本では人材確保が追い付かず、富士通のように海外に特定研究分野を移す企業も見受けられるほどになっています。

併せていわゆる団塊の世代が経営陣から退く年代となっており、世代交代が進む中でより優秀な若手を登用する動きも出ています。ファストリテイリングが日本事業のトップに据えたのは弱冠40歳の赤井田真希氏であります。想像ですが、柳井正氏にとって履歴美人ではなく、ウマが合う人材だったのだろうと思います。氏の「1勝9敗」の敗北経験からの判断でしょう。

働き方改革を通じて残業をせず、ワークライフバランスを重視する会社が増えてきました。ただ私から言わせると従業員はその表層的な言葉に騙されてはいけないと申し上げます。企業が言う「NO残業」とは今まで10時間12時間と会社で過ごしていた時間を8時間に効率アップせよ、と言っているに過ぎないのであります。つまり、皆さんの作業効率を2割から4割改善せよ、ということです。

そこには無駄な会議はするな、社内の判断決裁をよりスムーズにせよ、権限を委譲せよといった経営者目線以上に働き手の意識改革を促すものであります。これは期待として捉えています。

一方でこの歯車が回り始めた時、必ず落ちこぼれる社員はいるものです。会社のルールは極端に言えば明日変わるかもしれません。しかし、人の働き方は長年染みついたものがあり、ひょっとすると根本的にもう変えられない人も多いはずです。この人たちが組織から弾き飛ばされる可能性すら否定しません。そういう人が入る企業のお仕置き部屋、つまり書類保管庫業務や資料整理室などと称する何もしない部署で日々苦痛を耐え忍ぶような人が増えないとも限りません。

もう一つはこれから社会人になろうとする人たちへの懸念です。企業の大きな地殻変動が起きつつあるのに教育システムが変わっていないことで企業のニーズに合った学生が十分育っていないということが考えられます。企業はその場合、海外に人材を求める公算はあり、日本の若者の社内競争は世界との戦いにされされる可能性も指摘しておきましょう。

年金問題で話題になった「平均値」は今の教育基準の原点であります。平均値主義つまり、偏差値主義なのですが、これを根本から崩すべく時代に来ていると考えています。今の教育制度、つまり一定点を取り、大学で一定の単位をとることでバランスという名の平均的若者の大量生産はもう変わらねばなりません。小学生の時に何か打ち込むものを2−3つ経験し、自分で探る癖をつける、そして秀でた人材をもっと引き上げる、そんな教育が必要です。

東大より難関といわれる東京芸大の入学試験を乗り越えた学生は一歩間違えれば変人に近いような方もいらっしゃるようですが、人の才能をとことん磨き上げるとこんなに尖がっちゃうんだな、とびっくりします。

「能あるものは給与で賄われる」時代になってきました。同じ同期入社で5-6年後に100円、200円の給与差しかつかない子供騙しの給与体系は終わりました。新興企業では100万円、200万円の差がつく時代です。そこにはかつてない熾烈戦いが繰り広げられるかもしれません。

勝ち組とそうではない組(負け組とは言いません)の違いが出てくるとも言えそうです。そこを生き抜くには自分が光る能力を磨くことが重要ではないでしょうか?

では今日はこのぐらいで。

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また明日お会いしましょう。
2019年07月29日10:00
カテゴリ
経営
経済一般
こうなると好きとか嫌いとか言っている場合ではないかもしれません。孫正義氏には2つのGood Newsが飛び込んできました。一つはソフトバンクビジョンファンド第2号の発表、もう一つは懸案のアメリカ通信会社スプリントのTモバイルによる買収承認であります。

ソフトバンクビジョンファンドは第1号がサウジアラビアからの資金というイメージが強かったのですが、12兆円にも上る第2弾にはサウジの色はなく、ソフトバンクが約35%、それ以外はアップル、マイクロソフト、日本の3つのメガバンク、生保、証券会社が参画します。さらに、ゴールドマンサックスなども検討しているとされています。ある意味ビックネームを全部合わせたような強大なファンドであります。

なぜこんなチームが組成できたかといえばビジョンファンド1号のリターンがソフトバンク分でみると62%というとてつもない成果を上げたことで「乗り遅れるな」という雰囲気になったのだろうと思います。特に今回は成長産業であるAIを中心に資金を投じていくようですのでAI関係の未上場、あるいは新興企業はごっそり孫正義ファンドの色に染まる可能性はあります。企業側は喉から手が出るほど欲しい資金に手が届く上にファンド内、ないし孫正義氏の企業関係図の中で「成長の組み合わせ」を可能にし、絶対優位なポジションに仕立て上げる勝利の方程式を提供できる強みがあると言えます。

もう一つのTモバイルによるスプリントの買収ですが当局の承認を得たトリックは一部資産を衛星放送サービスの「ディッシュ社」に売却することで競争が寡占にならない折衷交渉ができたものと思われます。もともと孫氏にとってスプリントの買収は失敗に近いものでしたが相当努力し、同社の経営そのものを立て直す支援を継続すると同時にオバマ政権時代に失敗したTモバイルとの「恋愛交渉」がようやく実りつつあるということかと思います。まだ最終ではありませんが、大きなハードルは乗り越えたと思います。孫氏の粘り勝ちでしょう。

実はソフトバンクがこれら2つのGood Newsを発表する前からアメリカのアナリストからは同社の株価は約半値に安値放置されていると指摘されてきました。つまり、ざっくり日本円で1万円ぐらいまで株価が上がってもおかしくないというわけです。同社株式はガサが大きいので海外投資家、機関投資家好みになり、それなりに買い上げられる可能性は高いとみています。

ところで好き嫌いを言っている場合ではない、というのは海外から見ても孫氏のビジネススタンスは世界のトップレベルである点であります。先を見る力、安いところをごっそり買い、育て上げる能力は格段に強化されており、世界の投資家や企業家から高く評価されている点であります。

先般、稲盛和夫氏の盛和塾について本稿で書かせていただきました。典型的な日本的経営であります。一方、孫氏はある意味、真逆に近いレバレッジとパワープレイと言えます。どちらが良いということではなく、ケースバイケースで使い分けるぐらいの器量を持つことが大事なのだろうと思います。ある意味、日本電産の永守重信氏もユニクロの柳井正氏もセブンで長く君臨した鈴木敏文氏も剛腕型でありますが稲盛氏のようなところもあるし、孫氏のようなところも持ち合わせています。

私は経営とは誰かに従事するというより世界中にいる素晴らしい経営者の中からこれは、と思う方をある程度深堀しながら、自分のスタイルにどれが一番近いのか、あるいは自分に欠けている部分はどこなのかを知り、それら先人の貴重な勉強材料をうまく自分に身に着けることだと考えています。

そんな中で最近、日本からゴッツイ経営者が少なくなってきています。有名経営者はみなそろそろバトンタッチするような年齢です。日本人は割と他人に影響を受けやすい傾向があります。とすれば「俺も第二の孫正義を目指してやる」ぐらいのガッツがある人材が育ってほしいと思っているのです。国内はコンプライアンス重視で経営全体が「醤油型企業」になっています。かつての「ソース型企業」は一歩間違えればブラックというレッテルは張られてしまいます。

そんなことしている間に世界では企業の巨大化、国際企業化、寡占化する市場の一角を狙い弱肉強食の激しい戦いが繰り広げられています。株価を見ても失望と狂喜の中で勝ち抜きが進んでいきます。それがよいのかどうか、議論はあるところですが、私は孫正義氏の経営スタイルには少なくとも学ぶべき戦略が大いにあると考えています。

では今日はこのぐらいで。

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2019年07月28日10:00
日本人の政治離れが指摘されています。今回の参議院選挙でも戦後二番目に低い投票率になったわけですが、若者だけに限ればそれを更に20ポイントぐらい下回る、とされています。どうせ俺の一票なんて、ということなのだと思います。

一方で香港で続くデモは一国二制度を守らなくちゃいけないという将来を危惧した若者たちの声であります。一人ひとりの声が集まると大きなパワーになることはフランスでも韓国でも同様の運動があり、記憶に新しいところです。

当地、バンクーバーにおいて政治を語るとき、残念なことに連邦議会にも州議会にも市議会にも日系と名の付く人は誰もいません。誰も、です。数年前にはお一人いたのですが、今はいません。

私もカナダの政治にさほど興味があったわけではありませんでした。しかし、慰安婦像の問題や南京事件記念日制定などの問題が起きた際、いやでも政治に関与しなくてはいけない事態になりました。なぜならそれらを止めるようお願いする相手は政治家である場合が多いからです。その時、日系の政治家がいないことに大変残念な思いをしてきました。

それらの問題がとりあえず収まっていつもの平和な時が戻ってきた今、私は平時だからこそ、政治家との関係をきちんと作らねばならないのかもしれないと思い始めています。何かあった時、突然知らない政治家に「この問題にどうにか対応を!」といってもご都合主義のように思われます。

私はビジネスの立場やNPOを含め、政治家との接点が多くなってきました。州の経済担当大臣とは時々お会いしますし、連邦議員とのやり取りもあります。そんな中で「日系に議員がいないなら私が手伝います」と言ってくれているのが台湾系のある州議会議員です。彼女とはよく会いますが、先週も彼女の政治資金パーティーがあり参加すると、かなり上席を用意してくれたのみならず、私にHiroと何かにかけて何度も名前を呼びながら話しかけてくれるのです。当然、他の席の人もいるわけでやや恥ずかしい思いすらします。

同席には州の司法長官がいらっしゃったのである案件で日本の事を考慮、応援してくれたこともあり、周りの人に分からないようにお礼を述べる機会も得ることができました。

私が思ったのはカナダでは政治家と一般人の距離が非常に近いということでしょうか?日本では黒塗りの車、秘書といった政治家のガードの固さがまず一番にあります。もちろん、セキュリティ上の問題もあるのでしょう。一方、こちらの政治家と食事をしながら会食をする際は案外、そのあたりの普通の店で唐揚げやらチャーハンやらを食べながら普通に話をします。2-3か月前に大臣2名を含む議員5人と10人ほど集まった交流会でもごくざっくばらんな感じで親交を深めた感じです。

政治に興味がないのは政治家との距離が遠いこともあるのでしょう。政治家ももっと気さくにいろいろなところに足を運び、居酒屋で胡坐をかきながら一杯飲みかわす、というのもあり、スポーツバーで一緒に盛り上がるのもありだと思います。私は時々安倍首相動向を見るのですが、多い日には一日に3度ぐらいディナーがあったりします。多忙もあるのでしょうが、精力的にいろいろなところに出向く努力をされていると思います。

政治に興味がないのを現代の病のように評することもありますが、もっと政治家が若者に身近であるべきだと感じます。ちなみにもしも政治家と食事ぐらいするならあまり高くない店なら私は喜んでごちそうします。(日本の政治家は格好つけて奢ろうとするのがダサいと思います。)

では今日はこのぐらいで。

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2019年07月27日10:00
長く大雨に悩まされた九州四国地方がようやく落ち着き始めたと思いきや、晴れない上に台風の追い打ちとなる東海、関東は弱り目に祟り目、と思っているビジネス関係者も多いでしょう。屋外プールは大打撃のようです。観光なども伸び悩んでしまうと思いますが、ここは気を取り直して台風一過に期待しましょう。きっとカラッとした夏空が待っています。

では今週のつぶやきです。

市場は夏休みモード
ネタはあれど全然盛り上がらない市場は参加者が夏休みに入っているからでしょう。アメリカの4-6月GDPは2.1%成長と1-3月期の3.1%から減速しましたがアナリストの事前予想1.8%を上回ったことでまずまずの着地となりました。来週のFOMCでの利下げ幅は0.25%でほぼ決まりと見てよいでしょう。とすれば市場はその引き下げ幅を完全に織り込んでいますのでパウエル議長のステートメントに注目が集まると思いますが、あまり刺激的な発言をされない方ですので9月にもう一度引き下げをするかという早読みになると思います。引き下げの可能性はあり得ると思います。

今回のGDPでも出ているのですが、個人住宅関連が弱いことと投資部門、特に建築投資がマイナス10%となっているのは懸念されるところで企業が先行き不安感を持っているとみられます。

とはいえ、日本ほどではないにせよ、北米市場も夏休みモード全開でしばし休憩でしょうか?

新党「N国」に思うこと
「NHKから国民を守る党」、略称N国が参議院選で議席を確保したことが話題になりました。私はスルーしていたのですが、一言だけ。

このブログのコメントでもNHKに対する苦言はあります。税金を投入し、かつ受信料をほぼ強制的に取る上に「ほとんど見ない」「報道姿勢が気に食わない」といったことでしょう。しかし、民放に比べたら安定感があるのと緊急時の放送体制、情報提供能力と全国の網羅という点では民放とは立ち位置が違っています。

また海外向けの放送もしっかりしており、日本をお届けするという意味で海外在住の日本人のみならず日本のボイスを海外の人に伝達する一種のプロパガンダという使命も持っています。

とすればN国が主張するお金を払った人だけが見られるスクランブル放送では課金放送と同じで本来の趣旨と全く外れてしまいます。そうではなく、NHKがその放送内容をより広く国民に受け入れられるよう改善、改革を促すと同時に経営の効率化を図り、受信料を引き下げるべく努力を促す、これがN国の本来の役目だろうと思います。税金ももう少し投入して課金部分を減らす施策を打った方がいいでしょう。

ところでN国の立花孝志代表はあの丸山穂高クンにラブコールしています。こりゃセンスがなさ過ぎるわ。

ワーケーションってなんだ?
Workation、仕事とバケーションを一緒にするというアメリカ発の造語です。日本では基本的に考えにくい発想かもしれません。

私の顧問弁護士は10年以上前から年に数カ月はバンクーバーから数百キロ離れたところにある別荘から仕事をしています。電話をしてもメールをしても普通に返事がきますが、相手は事務所ではなく、眺めの良い開放感あふれる別荘で仕事をしているわけです。

そうなると一日の過ごし方はまるで変ります。まず、通勤がありません。その分時間を有効に使えます。朝、ジョギングをしてゆっくり朝食をとってからでも十分です。誰にも邪魔されない仕事ですから効率的で捗り、夕方も4時ぐらいには終われるかもしれません。

私も日本で仕事をするときは日本時間の朝6時前からカナダとのやり取りでスタートし、遅くとも午後3時ぐらいには一旦終わります。夜のアポがあればそれまでの3-4時間はフリータイムになるし、あとは塾で教えたり、という感じでしょうか?邪魔をされない仕事環境、これが私の中でのワーケーションであります。

ただ、日本でこれが根付くのは至難の業。なぜなら会社の仕事をパソコンで行わなくてはいけないので業務内容を外に持ち出すことになります。これはコンプライアンスやセキュリティで禁止されているところが多いでしょう。また、一人仕事をするようなポジションの人も少ないはずです。AさんがいなければBさんがその代行をするというのが日本の仕組み。ワーケーションができるような日本の働き方改革はあるんでしょうかねぇ?

後記
めったにないのですが、高校野球岩手決勝をバンクーバーでライブ放送で見ていました。(今はネット放送でこんなマイナーな放送も鮮明画像で見られるのです。)もちろん目的は大船渡の佐々木投手を見たかったからであります。が、結局出ず。試合はかつて菊池雄星を出した強豪、花巻東の一方的試合で終わりました。個人的には監督の采配ミスかなと思います。花巻東とは総合力が違い過ぎて仮に佐々木投手で勝ったとしても大船渡の力ではないような気もしました。佐々木クンの芽はきっとプロの世界で大きく育つのでしょう。

では今日はこのぐらいで。

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2019年07月26日10:00
カテゴリ
韓国関係
国際
「きな臭い」、そんな言葉すら出てくるような雰囲気です。日韓だけで揉めているならこれは二国間問題となるのですが、先日のロシア軍用機が竹島付近を領空侵犯し、韓国側が360発あまりものの警告射撃を行ったこともよくわからないし、その時、中国も同様に同地域で領空侵犯していました。

ところで、北朝鮮は世界食糧計画を通じた韓国からの5万トンのコメ支援を断りました。喉から手が出るほど欲しいコメを断ったその理由について韓国メディアは8月に予定されている米韓合同軍事演習への反発だとしています。また、昨日には新型の短距離弾道ミサイルを再び飛ばしています。これについてもやはり合同演習へのけん制ではないか、と見られています。

一歩下がって考えてみたいと思います。まず、日韓の問題ですが、このところ異様にヒートアップしているのが韓国。日本も報道は多く、今まで以上に一般の人の関心も高まっていると認識していますが、日本政府が比較的冷静な立場を貫いており、安倍首相からも特段目新しいコメントは聞こえてきません。ということは日本側は粛々と、韓国側はワンワン大騒ぎ、の違いがあります。

この二か国間の不仲ぶりは今や世界では誰もが知るほどの犬猿ぶりであり、誰もそんなところに首を突っ込みたくないというのが本音なのでしょう。WTOでもほぼスルーされたのはご承知の通りです。

では文大統領から仲介を頼まれたトランプ大統領はどうでしょうか?ボルトン大統領補佐官は訪韓の際、もしも何らかの使命をトランプ大統領から受けていたらそれなりのやり取りや姿勢は見せたはずですが、これもほぼスルーでした。つまり、アメリカはとりあえず「知らんぷり」をしています。

この構図は勝手にヒートアップする韓国を放置プレイしていると考えられないでしょうか?そうだとすればなぜでしょうか?

このところ、私は違うシナリオがあるのではないか、という気がしています。そのキーは北朝鮮であります。北朝鮮のコメ拒否や新型ミサイルは何のためにやっているのか、ですが、米韓合同軍事演習そのものではなく、金正恩委員長が大好きなアメリカが韓国と仲良くすることに対し、嫉妬しているのではないか、とする方が素直に理解できるように思えるのです。

ほとんどのメディアのトーンは北朝鮮がアメリカに挑戦しているという書き方なのですが、そうではなく、私は北朝鮮が初めからそんな大それたことは考えておらず、彼らの示威行為とは韓国へのプレッシャーであり、アメリカには「こんなおもちゃもあるよ」という子供同士が自分の宝物を見せ合うような感覚ではないかと考えています。

換言すれば、北朝鮮は韓国がお嫌い、とした方がシナリオがすんなり理解できるように感じるのです。

北朝鮮が何故韓国が嫌いか、と聞かれればそれは朝鮮半島の歴史を紐解いてほしい、と言うほかありません。過去2千年の半島の歴史は基本的に半島の付け根が南を支配する構図となっています。理由は中国に近く、中華思想における中心円により近い距離にあるから、とだけここでは申しておきます。

となれば北朝鮮が描くシナリオとは韓国の支配であり、韓国から米軍がいなくなれば自分の友達と思っているアメリカと戦わなくてよいのでやりやすくなる、というストーリーラインが描けないでしょうか?

これをニヤニヤしてみているのが中国やロシアです。アメリカは日韓なら日本につかざるを得ないものの今、それを明白に表明できないので「我、関せず。ただし、ABEが何か言ってきたら考えるよ」だと思います。

これならばどの国も距離を置く韓国に対して中国とロシアが竹島の傍で挑発したのも分かります。日本は竹島のあたりは防空識別圏にないので自衛隊の緊急発進がないことぐらいはロシアも分かっており、韓国政府を少し困らせてみようか、ぐらいの感覚であったかもしれません。

戦略的な半島は歴史上、常に様々な問題を抱えることが多くなっています。朝鮮半島はその最たるものです。今回の問題はチャンスを虎視眈々と狙っている国々が数多くあるように感じます。それは経済的価値が限定的な北朝鮮ではなく、韓国へ視点が移ってきているのかもしれません。

日本は引き続き、クールな立場を取り続けるのが賢明であり、紳士的かつ論理的にやるべきことをやっていくというスタンスでよいのではないでしょうか?このままでいけば韓国の国内世論が分裂する可能性もありうる気がします。これもまた「歴史は繰り返す」であります。

では今日はこのぐらいで。

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2019年07月25日10:00
カテゴリ
経営
経済一般
ある程度は予想していたことですが、4-6月期の日本企業の業績が想定上に悪化しているようです。それも様々な業種に及んでいることが気になります。

最新の記事だけでも日産自動車営業利益は9割減が見込まれ、日本電産は営業利益が前年同期比39%減で3期連続マイナス、キャノンは19年12月期の連結純利益を下方修正し37%減、LINEは1-6月期が最終赤字266億円(前年同期が29億円の黒字)と広範な業種にマイナスの数字が躍ります。今週から決算発表が続くため、個別銘柄のサプライズのみならず、場合によっては日本企業の体力や潜在能力、成長性ということが問われる可能性はあります。

ただ、どの会社も手をこまねいているわけではなく、すでに対策を打ったり、対策の結果という場合もあります。日産は人員削減規模を1万人レベルまで引き上げる可能性が指摘されます。日本電産は前期のように「突然落ち込んだため対策のしようがなかったが、今は対策もできており固定費も下がっている」(永守会長)という企業もあります。キャノンは構造改革費用を100億円積み増した結果ですし、LINEはLINEペイなど成長事業への投資がかさんでいることが主因とされます。

ただ、アメリカの企業の4-6月決算の発表が事前予想を上回る好決算が7割以上である状況に対して相反する状態にあると言えそうです。一つには多くの日本企業が中国での下振れを吸収しきれなかったことがあります。次の四半期である7-9月期には韓国向け販売の落ち込みが業績をヒットする企業も出てくるでしょう。もう一つはレッドオーシャンでもがき、場合によっては敗戦し、撤退を余儀なくされている事業も多々出てきそうです。

外から見る日本企業ですが、正直、非生産部門の人が多すぎます。作業の効率化もないし、権限の委譲もできていません。少人数精鋭と言っても「精鋭」がいないのです。この場合の「精鋭」とは東大など有名国公立大学を出た人という意味ではなく、経験豊かで実務に長け、指導力を持った若手であります。

残念ながら日本企業はほとんどこの若手の芽を潰してきました。「お前ら、余計なこと、やるんじゃないぞ」です。結果として旧態依然とした体制の中で社員が「そういう決まりですので」で理解しがたいやり方を顧客に押し付けるわけです。(顧客はおかしいと思っても社員がおかしいと気が付いていないので顧客側は馬鹿々々しいと思うことすらあるでしょう。)

実際に私は今、日本の最大手と称されるある企業と契約締結のさなかにあるのですが、私から見れば契約は半日で終わる作業ですがすでに1週間たってまだ終わらないのです。作業上の問題は何一つないのですが、そのプロセスや確認作業でとてつもない時間がかかっている上に契約後も社内手続き完了まで約3週間かかります、と言われています。これが欧米企業なら「では取引は中止です」というかもしれません。

今や国内事業のみで業績好調という企業は少数派になってきていると思います。どこも海外戦略が一つのキーワードになっているはずです。しかし、最前線を行く海外進出企業では進出先の人間にやらせる、というスタンスが強く出てきています。つまり人材は現地調達であります。となると日本人はどこに行けばよいのか、ということになります。

確かに今、失業率は2.4%といわゆる完全雇用に近い状態になっています。しかし、賃金が上がらないとか闇営業しないと食えないといった実態を見ると企業の給与支払い能力が十分ではない程度の稼ぎとも解釈できます。日本の人口は4月発表の統計でこの1年に26万人減っています。東京ドームが5万人収容とすれば5つ分ずつ人口が毎年減るペースです。人口が減ればGDPも下がります。国力も下がります。企業はリストラと称して雇用関係を見直すでしょう。この傾向は今後増えるはずで当然、実質的な消費への影響は出てきます。(消費メンタルが委縮するという意味です。)

もう一つは契約という発想です。日本には契約があまりにもなさ過ぎます。吉本の芸人たちも契約はないようです。私が日本で取引している企業も契約書がない会社は複数あります。「契約書は?」と聞けば「?」という状態なのです。

また契約書はハンコを押せば何でもよいと思っている社員が多いでしょう。中身なんて誰も読んでいません。先日も「この内容なんですけど、実情とまったく合わないんじゃないですか?」と指摘したら驚かれ、「そこは汲んで頂いて」というわけです。つまり契約書は直さず、取引の実態も違うけど了解して、というのです。ここまでくると心の中で「ふざけんじゃない」と叫びたくなりますが、それが横行しているのが事実なんです。こんなこと、企業の社長さんは知らないでしょう。

これでは日本企業は勝てません。世界で生き残れません。トランプ大統領がちょっと中国を虐めただけで日本企業の業績ががたがたになるようではプロの経営者が少なすぎるというものです。

この問題は後々必ず着目されると思います。日本企業の足腰は思ったより弱いかもしれないと思い始めています。

では今日はこのぐらいで。

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