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外から見る日本、見られる日本人

バンクーバーの日本人社長ヒロが仕事、生活を通じて感じた経済、経営、社会、日本人観などを綴っています。

2014年03月

2014年03月31日10:00
カテゴリ
日本の社会
経営
日本でスマホの普及率が他国に比べて圧倒的に低いその理由の一つにその料金体系にあるとされています。ガラケーの時はあった無料通話のおまけもスマホはありません。結果としてスマホにしたけど止めた、という人の声もよく聞きます。

先日高校のクラスメートの集まりの際、なんとなく話題になったのが携帯。そして、「俺も」、「私も」もと取り出したのはスマホとガラケーの二刀流。通話はガラケーでということのようでした。私のようにあまり鞄を持ち歩くのが好きではない者にとってはスマホがポケットに入っているだけでもうっとうしいと思うことがあるのにその上、ガラケーまで持たなくてはいけないかと思うとぞっとします。

一昔前、高校生がアルバイトをする理由は携帯をもって通話料を払うため、というのを聞いて仕事とはそんなものではないと呟いていたのですが、学生のように使える小遣いが限定されている中、スマホだけは絶対に止められないという社会で育った子供たちはある意味かわいそうな気もします。午後4時ごろの電車に乗れば学校帰りの高校生に出くわすことがしばしばですが、男子生徒が3人集まればスマホと携帯型ゲーム機、更にガラケーまで持ち、両手を駆使してゲームとメール、チャットでうつむきながら当たり障りのない会話をしているシーンに時々出くわすのですが、もはや、スマホもゲームの端末としての機能が優先されているような気がします。

私にとってスマホの最大利点は海外との無料通話でしょう。カナダに居る時は家でもオフィスでも現場でも行きつけの飲み屋でもNPOの活動場所でも全部WiFi環境にあって自動接続しています。つまり、外を歩いているとき以外はネットにつながりやすい、だからLineでもViberでもKakaoでも繋がりやすいのです。日本に行けば持ち歩くのは嫌ですが一応、WiFiルーターがあります。更に株式のトレードでも使えますからどこにいても売買注文が出せるのは便利かと思います。

さて、日本でスマホが高いのは基本料金に上乗せされるインターネットへのパケット料金。さまざまなタイプが出ていますがパケット定額となればそれだけで5000円程度になり、様々な料金を足しこんでいけば1万円近くいくことになるのでしょう。そしてその料金体系は複雑怪奇で一般の人が読んでも結局どれが得か分からない仕組みにあることがスマホが普及しない最大の難点である様な気もします。

そんな中、回線を借りて安い金額のSIMを提供するビジネスが出てきていたのですが、スーパーのイオンがSIMにスマホを合わせる形のビジネスを立ち上げました。結果として端末と回線で月2980円と大手の半額以下に抑える価格を実現できるようです。私のように日本には出張ベースでしか行かない人間でもガラケーだけでは不便で日本用のスマホを買うかどうか悩んでいた時だけにこれは便利になると思います。

高齢者を含め、携帯の使用頻度はかなり限定されるという人は多いものです。一日1度鳴るかどうか、売り込み以外の本当のメールも一日数件という人は相当に上るはずです。それにもかかわらず、いつの間にか高い使用料を払っている人はかなり多いはずです。そういう人がもっとシンプルな料金体系の下、安心して加入できる格安のスマホは非常に意味があります。そしてイオンというネームブランドがそれを支えることになります。今後、この手のビジネスはかなり出現してくるとみられます。それこそ、イオンがやるならコンビニ各社が目をつけないはずはないでしょう。つまり、今まで通信とはその手の専門会社のもの、という時代から明らかに事業間の壁が崩れた点についても注目すべきです。

このイオンの取り組み、私は非常に期待しています。先週はヤフーが携帯第四位のイー・アクセスをソフトバンクから買収することになりましたがそれを受けて株式市場ではアナリストが「買収の効果不明」としヤフーの株は大幅に下落しました。私はこのアナリストの見方が狭いと思っています。世の中、ビジネスの展開ネタはゴマンと転がっています。今後の参入業者とマーケティング次第では携帯三社の構造は大きく変化する可能性が出てくるとみています。

今日はこのぐらいにしておきましょう。

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2014年03月30日10:00
カテゴリ
経営
社会一般
海外送金は多くの日本の方には縁がないかもしれません。海外旅行はクレジットカードと小口現金で用が足りますから海外からの送金は正に海外で居住した人や居住する人への送金という関係がほとんどだろうと思います。これを裏返してみれば日本が国際化していない一面かもしれません。

これが海外に出てみるとかなり多いことに気がつきます。私の知り合いのカナダ在住のロシア人社長は本国に定期的に多額の資金を送金しており、氏の出身地の町では英雄扱いされているとのことでした。送金理由は本国にいる親せきや出身地への寄付など多岐に渡ります。

香港に出稼ぎに来るフィリピン人は週7日働いて稼いだお金の7割を本国の家族に送金するとされています。私の周りにいるフィリピン人もそうしている人がほとんどです。自分よりも家族や親せきを思う気持ちはメキシコ人でも東南アジア系の人でも東ヨーロッパ系の人でも非常に高く海外送金への需要も当然高いものになります。ただ、一回当たりの送金額は決して多額ではなく、むしろ、ちょっと資金ができればすぐに送金するという手軽さが彼らにとっては重要なファクターのようです。

私がカナダで取引しているロイヤルバンクの場合、一日当たり2500ドル(約23万円)までなら手数料は13.50ドル(約1200円)でインターネットバンキングで24時間、簡単に送金できます。また、日系の銀行でもカナダドル建ての送金ならいくらでも確か35ドルで送金してくれます。つまり、送金する側は比較的ハードルが低いのです。

ところが日本の問題は受け側にあったりするのです。まず、日本にカナダドル建ての送金をするには日本にカナダドル建ての口座を持っている必要があるのですが、このカナダドル建て口座を作れる銀行はなかなかないものです。私の知る限りりそな銀行で作れるのですが、案外メガバンクでも米ドルやユーロならともかくあまりメジャーではない外貨の口座は扱っていないことが多いのです。それ以外にはシティバンクなどが一般的だろうと思います。

次に送金をすると受け手銀行が決して安くないリフティングチャージなるもの(送金を受けた費用)を取ります。更にいつかはカナダドルから円に換えるわけですからその際の為替手数料もかかってきます。もちろん、海外の銀行で円転して送ればそれらの問題はほとんどありませんが、銀行にすれば円転が最も美味しいビジネスの一つですから為替手数料はよくよく確認する方がよいでしょう。

もう一つの注意点は100万円以上の送金の場合、財務省に報告義務があるということです。銀行が代わっていちいち書類を書き込んで報告してくれます。そのためにまず、送金すると受け手の確認の電話がかかってきて、送金の目的を銀行から聞かれます。銀行は好きで聞いているのではなく、財務省に報告する義務があるのでそうしているのですが、最終的にそれは税務署に筒抜けになります。よって、あまりに多額の送金をすると税務署から「お尋ね」の手紙を受領することになります。税務署は税金を取ることを仕事としていますから送金されたお金が課税対象になりかねないのでかなり注意が必要です。

ここまで書くとなるほど海外送金はなかなか面倒くさいものだと感じてもらえるのではないでしょうか?

一般的には海外送金が多いのは移民を積極的に受け入れている国で新興国からの人が多い場合でしょう。アメリカでもメキシコを含む中南米への送金は多いでしょう。ビットコインが流行した元々の背景も海外送金の手数料の安さがポイントでした。そういう点からすれば日本の銀行システムを通じた海外との資金のやり取りは世界水準で見れば相当立ち遅れているのですが、移民も限定されている中、その必要性もないということなのでしょうか?

国際化ニッポンとしては盲点の一つでありましょう。

今日はこのぐらいにしておきましょう。

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ではまた明日。
2014年03月29日10:00
カテゴリ
経営
日本経済
パナソニック、日本の家電の代表的企業でソニーやシャープと共に一般消費者にはもっとも親しみある会社であります。一方で2012年3月期に7000億円以上の赤字を計上し、ソニー、シャープとともにその先行きが危ぶまれました。そして三社とも当時、社長が交代し、新たなる競争が始まったわけです。

同社が昔「松下」の社名であったころ、陰で「マネシタ」と言われていたのは他社のアイディアを改善して商品化する商売の仕組みがうまかったことからかもしれません。つまり、ソニーのように世界初の商品を開発する企業マインドに対して儲けることに徹していた、とも言えます。だからこそ、もう一つの陰の名前が「松下銀行」だったわけです。

そんな会社が昨年夏ぐらいからライバルのソニーやシャープに明らかに差をつけ始めました。それはビジネスの構造改革にまい進し、結果が出たということかと思います。汐留の不動産売却、富士通とシステムLSI事業統合、確定拠出年金の導入などを含め、対策が矢継ぎ早に出たうえにパナソニックヘルスケアの過半の株式を売却し、なりふり構わぬ事業整理を行ったことが大きかったのでしょう。

例えば同時期にソニーはサードポイントから同社のエンターテインメント部門を分離上場させるよう意見されたものの平井社長はそれを最終的に受け入れませんでした。ソニーのセグメント別の利益を見れば金融が稼ぎ頭でエンターテインメントがそれをサポート、エレキ(電機)が足を引っ張るという構図はこの数年変っていません。そしてソニーは常にそれをテレビのせいにしているのですが、社内の体質に問題があることは数多くの寄稿、書籍、記事がそれを指摘しています。

つまり、変れるかどうか、というのがそのキーであったのでしょう。

変わると言ってもパナソニックには連結ベースで従業員は28万人もいる会社です。そのかじ取りは容易ではないですし、そう簡単に方向転換ができるわけでもありません。その社内広報で「世界一の山に登るのは他の企業がやればいい。パナソニックがやるべきことは新しい山を作ることだ。」「変化に挑戦するからこそ苦悩があり、変化を継続するからこそ発見がある」(日経ビジネスより)といった意見が自然と出てきているところからいわゆる体質改善されつつあるのかと思います。

また、津賀一宏社長の方向はBtoCからBtoBへのシフト。だから自動車関連とか住宅関連の事業がめっきり太くなりました。一般消費者向けプロダクトの最大の欠陥は相手にする卸、量販店が多いうえにその値引き要請は販売量とともに非常に厳しいものがあるということでしょう。私は何年も前に日本企業が値引き圧力から脱したいなら海外に行け、ということを指摘したのですが、いわゆる法人向けも理不尽な値引き要請というより法人がパナソニックのその製品を使いたいか、というむしろ指名型の購入に展開しやすいメリットがあるのです。そして、他社とは違う何かがあれば価格が他社より10%高くてもその価値そのものを評価してもらえやすいわけですから均一的な価格競争になりにくいことは事実でしょう。

パナソニックがBtoBにシフトする以上、同社が必要なのは他社が追随できない新しい商品と大量納入による価格競争力をつけることです。

日本の電機メーカーは最早沈没したといった記事も散見するのですが、それは大きな間違いです。一般消費者向けプロダクトについては確かに競合も激しく厳しいものの日立、東芝、三菱の重電各社は構造改革をさらに進めていますし、村田製作所のようにスマホを作るのにこの会社がなければ絶対に無理、といった技術を持った目立たないが大きな会社は両手の数では全く足りない程あるのです。

一方、同社は日本の会社では唯一のオリンピックの正式スポンサー。そういう意味で日本を代表する会社であり続けるでしょうし、同社が仮にBtoBに大きく舵を取ったとしても同社の製品はやはり、多くの日本の家庭の中に必ず存在し続けることになるでしょう。

企業経営とは世の中の変化に対してどれだけ先読みし、先手を打つかにかかっています。その読み合いの戦いという意味ではソニー、シャープとの横一線の戦いはパナソニックが明らかに独走態勢に入ったともいえるかもしれません。最終的には売上10兆円企業を目指すということですが、それよりも私としては利益を5000億円にもっていく体質を強化していただきたいと思います。

今日はこのぐらいにしておきましょう。

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ではまた明日。
50代から上の日本の人にとっていわゆる「元祖買いだめ」とは1973年の石油ショックの際、トイレットペーパーが街から消えたあの事件ではないでしょうか?歴史を紐解けばいわゆる買いだめはコメを舞台にした事件が多い気がします。しかし今やコメがなくても小麦があればよい時代となったもののトイレットペーパーはさすが戦後直後のように新聞紙で代替というわけにはいかないでしょう。

消費税が導入された時、3%から5%に上がった時、そして今回と日本人は大体駆け込み消費をすることがパタン化しています。消費税だけではなく、たばこが値上がりするとき、政府の補助金政策があったテレビや自動車の時もそうでした。つまり、駆け込みとは日本人の典型的な行動であり、消費税が上がることへのささやかな抵抗というより、半ば本能としてそういう動きに出るのでしょう。

カナダで一般消費者の行動パタンを見るといわゆる所得の少ない人ほど小口買いをし、ゆとりがある人はまとめ買いをする傾向にあります。例えば、あまり裕福ではないエリアのスーパーに行けば売れる商品はパッケージが一番小さく価格の安いものでありますが理由は手元にお金がないからであります。買い物をしてレジに並んでいると時として支払いでトラぶっているケースを見かけます。レジの合計が100ドルで支払いをデビットカードでしようと何度トライしてもデクライン(支払い不可)になる人です。その場合、いくらならOKなのか分からないので客は適当に「これとこれを除外して」とレジの人にお願いし、再度精算するという長いプロセスを後ろに並んでいる人たちの苛立ちも気にせず平気でやるのです。

そういう海外の世界を見ながら日本の様子を見ていると買いだめするほど金がある、という見方もできなくはありません。

ではトイレットペーパー。カナダでは30ロールぐらい入って1300円ぐらいですから消費税が上がろうがどうしようがこれ以上買いだめしたら置くところがないという問題に直面します。つまり、消費税増税に対抗して買いだめする方が面倒なことなのです。大体トイレットペーパーは家庭内の消費量が決まっていますから買いだめするより、必要な時に必要な分だけ購入する方が消費税を節約するより良いこともあるはずです。つまり、日本人は目先の価格で踊らされやすいともいえるのです。

最近ではあまり聞かなくなりましたが新聞のチラシをみて奥様方はあっちのスーパー、こっちのスーパーとママチャリを飛ばして目玉商品を買いあさり、10円得した、20円得した、という自慢をしていたものです。最近その会話をあまり聞かなくなったのは新聞を取らなくなった家庭が増え、チラシを見るチャンスがないこととネットスーパーの宅配を含めたネットショッピングが増えたことが原因でしょう。自転車を飛ばしてあちらこちら買いに行くメリットは奥様が自転車を通じて健康になることぐらいで10円節約するために30分時間を使うその理不尽さはあまり考えなかったのだろうと思います。

日本ではあまり論理的になってはいけない国であります。ロジックではそうだけど、実態は違う、ということは耳にタコができるほど聞かされてきました。特に私のように外国に長くいると明らかに判断基準が変わってきます。浪花節などはあり得ないのであります。(笑)ですが、賢い消費者とは何か、というのは考えるべきでしょう。狭い日本の住宅に買いだめした商品が鎮座するよりももっと大事なことがある気がします。

一方、売る側も売れるのだから値引きはそれほど強く打ち出さなくてもよいことになります。ならば、消費税増税後に需要が落ちたところで安く買うという可能性も残っています。

3%の節約は多くの家庭にとって非常に重要な意味合いがあるでしょう。が、それに乗じた売り手側の心理に踊らされないよう気を付けることも重要かと思います。

今日はこのぐらいにしておきましょう。

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ではまた明日。
G0、つまり、世界に圧倒的なリーダーが存在しない中、どの国家も均等な権利と義務を持ち合わせながら世界の平和と発展を目指す、ということかと思いますが、正直、非常に難しい時代に突入したとも言えます。その中で日本の立ち位置はどうなのか、今後、日本がどう振る舞うべきなのか、このあたりを考えてみたいと思います。

戦後、冷戦を通じてアメリカとソ連という二大大国が世界地図の色を塗り分けていました。いや、戦前も世界は様々な形でブロック化し、同様であったと思います。国家がチームを組んで他の連合チームと戦うという構図でした。アメリカとソ連という超大国は直接対決こそなかったもののいわゆる代理戦争は数多く、朝鮮戦争もベトナム戦争もその一環でありました。

この冷戦体制が終焉したのはソ連の崩壊でありますが、いわゆるソ連型社会主義システムがワークしなくなったことが直接的原因であります。ソ連型システムは初期には機能していましたが、時間の経過とともに弊害が多くなり、労働生産性が格段に落ち、ソ連の人はウォッカ漬けになってしまったことで経済よりも社会そのものが崩壊したとも言えます。

アメリカとしてはそのソ連の崩壊を見てアメリカが支配する世界(パクスアメリカーナ)が始まったと思われたのですが、911やイラク戦争などでアメリカ人のマインドは大きく変化しました。私もアメリカとは1980年代初頭からの付き合いですが、あの頃のアメリカと今のアメリカは目つきが違う気がします。一言で言えば、ロータリークラブ、ライオンズクラブ、キワニスクラブより自分の家庭、職、財布という目線の位置の変化でしょうか?近視眼的な感じがします。

先進国首脳会議、G7がG8になり、G20になりました。一般的にはG20は世界のGDPの9割、世界貿易の8割、総人口の3分の2をカバーする広範な取り組みであり、先進国主導型から新興国も交えた対話を生み出すという趣旨でありました。しかし、それが具体的に大きな成果を上げているという話は聞きません。あえて言うなら国連の経済版ということかもしれません。

それは利害関係がより複雑になり、誰が誰と仲良しか、ということがよくわからなくなっていることが挙げられましょう。

例えば今回のクリミアの件にしてもロシア、ヨーロッパ、アメリカのボイスの温度は完全に相違しています。そして、ヨーロッパの中でもドイツ、イギリスとポーランドでは全く違うでしょう。それゆえにいわゆるチームとしてのまとまりが取れない状態が生み出されているのです。

オランダで行われていた核サミットはむしろ、本題より、各国首脳の力の見せ合いの場と化しています。例えば日米韓の首脳会議は実に表面的な形だったと思います。北朝鮮問題にしても同国をめぐる利害関係が何年たってもまとまらず、嫌な言い方をすればあの小国をアメリカ、中国、ロシアという大国が居ながらしてなかなか方向づけができないということであります。

ならば、これからの外交とは二国間が更に重要になってくるということかもしれません。もともとは所属意識という中での国家の立ち位置でした。日本は「アメリカ派」として色付けされていたのです。ですが、アメリカは日本を同盟国の一つとは思っていますが、重要度は大きく後退したと思います。それはオバマ大統領の奥様とお子様が中国で1週間も過ごしたことが好例かと思います。

日本のアメリカ色が薄まるとすれば何色にするか、というのが安倍晋三首相の最大のチャレンジであると思います。首相の答えは日本色であります。G0の時代に突入した中で日本は自立するということを求められています。アメリカの庇護の元、ぬくぬくと育ちましたが、いい加減にアメリカと同等の立場になるだけの器量と力量と政治力を持たねばなりません。日本はヨーロッパにおけるイギリスのようなポジションを目指すことになるのでしょうか?

国家間の付き合いは以前に比べより緊密化しているように見えますが、私にはSNSのような薄っぺらで表面的な利害対立の構図も目立つような気がします。だからこそ日本は自分の立ち位置をしっかり固めなくてはいけない、そんな時代にいることをすべての日本人が認識しなければならないと思います。

今日はこのぐらいにしておきましょう。

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ではまた明日。
2014年03月26日10:00
カテゴリ
不動産
日本経済
ブルームバーグは積水ハウスが開発する東京、白金の30階建て高層マンションで大成建設が手抜き工事をしたことをすっぱ抜きました。大成が自社の検査で補強筋が一部入っていないことが判明、コンクリートを壊して再度やり直すという事態になっています。

一方、三菱地所レジデンスが開発していた青山の高級マンションは竣工検査に入っているところでインターネットの書き込みからコア抜きが多数行われているという情報がもたらされ、施工業者である鹿島に確認したところその日の夜のうちにあっさり事実を認めました。こちらの方は完成間際だったこともあり、事態は深刻で結局ところ、すべての売買契約を一旦解約というとんでもない事態に発展しています。

まず両方の物件に共通するのは日本を代表する建設会社において発生した事件であるということです。しかも、一昔前の小さい物件であれば実質的には下請けに丸投げに近い形で施工するのですが、今回の両物件はそれなりの規模があり、現場体制もある程度整っていたはずです。にもかかわらず、このようなミスが起きたということは何かおかしな状況があると考えるべきです。

特に鹿島のケースは施主である三菱地所レジデンスが問い合わせてすぐにそれを認めたということは鹿島の社内ではわかってたということです。そして、竣工間際であったということは黙っていたらばれないかもしれないという淡い期待があった可能性は大いにあるでしょう。

一方、大成のケースは時間軸から鹿島の事件が表面化し、鹿島に多大なる損害賠償がかかってきていることを鑑み、30階建てのビルで鉄筋が足りないなどということが将来ばれればとんでもないことになるリスクは取れなかったのでしょう。当たり前ですが。

鹿島は施工やり直しに約1年かかると言われています。内装はほぼ完了していた中でウォータージェットで補修していくため、建物は一旦水浸しになります。つまり、内装は作り直しになります。売り主の三菱地所レジデンスはマーケティングをやり直さねばなりません。しかも「パークハウスグラン」シリーズの第一弾プロジェクトということで戦略的に非常に重要な物件でした。もちろん、遅延の金利もかかります。勿論、工事保険でカバーされる部分も多いのですが、三菱、鹿島という両ブランドにとってとんでもない代償となってしまったのです。

私が思う可能性としては施工管理できる組織が十分ではない気がしています。両社とも年間施工高が1兆700億円前後の最大手の建設会社でありますが、アベノミクスを受けた受注額も大きくなる中、ここ数年施工高があまり変化ないのは施工をこなしきれない状態になっている可能性はあります。

工事の請負において一般には現場作業員が不足していると言われていますが、施工管理者も不足しているのであります。そこで今まで5人で管理していた現場に一人抜け、と上から言われれば仕方なく4人で管理する体制になってしまいます。施工管理ミスはこういうところから発生します。つまり、現場が忙しすぎて細かいところに手が回らないのです。ましてや経験が少ない若い管理者(=現場監督)に任せていても上司はどこまでやったかすべて把握できないものです。「図面チェックしたか」という質問に「はい、やりました」と言われれば「そうか」で終わるケースが多いというのが現場の実態だと思います。

日本はこういう問題が見つかり始めるととことん追求する癖があります。マスコミもこぞって追いかけるかもしれません。今回のケースのように施工中の物件ならまだ救いようがありますが、完成引き渡し後の物件で問題が出たらもはや手の施しようのない状態になりかねません。この手の話題がニュースに出始めるのは姉歯事件以来だと思いますが、同じ業界にいる人間としてちょっと恐ろしいものがあります。

今日はこのぐらいにしておきましょう。

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2014年03月25日10:00
山手線日暮里駅。京成スカイライナーの切符を2400円でゲットして飛び乗るその車内が混んでいた試しはほとんどありません。ゆったりと乗れるという点から乗客としては嬉しいのですが、新幹線と同じ足回りの最新鋭の車両で時速160キロのサービスに対する会社のリターンがはて、どれ位あるのか、思わず心配したくなります。

そういえば最近は価格と時間面から乗らなくなったJRの成田エキスプレスもなぜか外国のパスポート所有者に限り何処でも1500円なる割引チケットを販売しています。この価格は出発場所にもよりますが大体半額以上の割引になります。遠い成田へスピードと価格で鉄道会社も必死のマーケティングということでしょうか?

それを横目に3月30日から羽田の国際線枠拡大で欧米の長距離線も利便性の良い時間に利用することが可能になります。私も次回の東京行きは羽田を試してみる予定です。多分、全く違う雰囲気を感じるかもしれません。それは機内の乗客であります。

以前も申し上げましたがバンクーバー線はドル箱路線だと思うのですが、理由は乗客の多くが非日本人である点でしょうか?実は前回、成田に着いた際に非常に珍しい「事件」に遭遇しました。飛行機の荷物室のドアが凍り付いて開かないという珍事であります。年に数回あるようですが、今回は2時間半待っても結局開かず、荷物は後に宅配されました。その際、飛行機は85%ぐらいの搭乗率だったはずですが、そこで荷物を待つ人は50人もいなかったかもしれません。

北米からインドを含む直行便のない地域などへは成田をハブとしているからでしょう。最近は乗客もインド人がめっきり増えて機内食もハラルやベジタリアンがあちこちで提供され、気のせいか、一般食もカレーを食材に使ったものが多い気がします。つまり、成田をベースにする飛行機には新たなる生き方が求められるということでしょう。

一方羽田については国内のハブという役割を果たすことが可能になります。今まで地方空港には成田で一泊などということもよく聞きましたが羽田になれば少しは改善されるでしょう。むしろ、それまで韓国のソウルあたりが日本の地方空港のハブになっていたのですがこれが一気に羽田にシフトすると考えてもよさそうです。これは日本経済にとっては極めて有効なインパクトとなるはずです。(当然ながら韓国線は地方を中心に減便されるかもしれませんが。)

つまり、日本の長年の夢であったハブ空港が名実ともに稼働し始めるということかと思います。この10年以上、日本はアジアの主要空港の中でその地位が徐々に後退し、アジア各地に作られる巨大空港に乗降客をさらわれていました。

私はハブ空港として今後必要だと思うのは空港が「楽しく」あるべきだと思います。それは様々な施設があり、長時間の待ち時間でも退屈しないで過ごせる場所を提供できるか、ということです。

例えばフィットネスセンター、サウナ、日本式ふろ、映画館、アーケード、子供のプレイエリア及び託児所、日本文化や食品などを紹介するセンター、祭りや商店街のモチーフ、地方物産の販売、秘書サービスがある様なより使いやすいビジネスセンター、仮眠室(ロンドンには時間ごとチャージされるカプセルホテルがあったはずです)などなどいくらでもアイディアは浮かびます。ところが成田空港がいつもつまらなく感じるのはそこに存在する店がありきたりのレストランと土産物店、免税店しかなく興味ない人には全く素通りになってしまうということであります。だいたい第二ターミナルは出国手続きを終えたベストロケーションにJTのアンテナショップですから私には不動産価値の創造という点からは最低だと思っています。それこそ渋谷の109あたりの運営方法を研究していただきたいと思います。

ハブ空港とはまさにホスピタリティの固まりである、という発想のもとに空港の運営という観点からわくわくする空港という領域に一歩踏み出していく必要があるかもしれません。

今日はこのぐらいにしておきましょう。

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