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外から見る日本、見られる日本人

バンクーバーの日本人社長ヒロが仕事、生活を通じて感じた経済、経営、社会、日本人観などを綴っています。

2008年02月

今、日本の2月29日午前11時前です。
米ドル-円の為替は要注意です。この形で行けば一気に100円を目指す展開になります。
まず、このところのアメリカ側の経済ニュースが弱気一辺倒なのです。特にFRBのコメントは経済のファンダメンタルが相当弱っているということを裏付けるものの何者でもありません。ブッシュがそんなことはないと打ち消すのは焼け石に水。
それにサブプライムの影響はCIBCをはじめカナダ側にもいよいよ波及してきています。
また、住宅に関しては僕はオルトAに相当の不良債権が含まれていると見ているのですが、パンドラの箱を開けたくないのか誰もそれに言及しません。仮にそれが発覚するとCityBankなどは厳しい状況に追い込まれるでしょう。

また、アメリカの消費者物価指数が思ったより高いということはスタグフレーションがアメリカでも起きている可能性が高い。そうすれば、ことは厄介で金利操作だけではコントロールできなくなる。
運悪くアメリカは大統領選を控え、大規模な経済対策は打ちづらくなってきています。民主党の代表争いも白熱しているものの今の段階では絵に描いたもち。

こんな外部状況で為替のほうは年度末を控えた円需要の高まりとアメリカを始めとする金利の低下によりキャリーの手仕舞いが一気に加速する可能性もあります。
そうなると今の円は介入という手段を持ちませんから一気に買い進まれることになるのです。

僕のブログでは今年の初めに円は100円から95円を目指す展開で長期的には80円の史上最高値を抜くと書いたと記憶しています。僕はチャート嗜好ではありませんがこういうときはチャートがすごくよくワークするのです。今のチャートは短期円高の抵抗線がなくなっていますからフリーフォールごとく円高ドル安がおきることになるかもしれません。
歯止めは100円を超えたところで目標達成感がいったん出ると思います。

さて予想は当たるか?
バッシングではありません、パッシングです。つまり、「通過」。
以前、僕のこのブログでも指摘したように日本の世界の中での存在感が薄くなってきました。このパッシングはもちろん、70-80年代に日本が輸出攻勢をかけたことに対しバッシングしたことを文字っているものでしょう。 僕は人によく、「日本はもう特急が止まる駅ではないのだよ」と説明しています。アメリカの次は中国に止まるので日本と韓国は通過なんですよ。なぜか?

要するに日本は世界の工場としての機能以上の何者でもないからです。人はよく働き、基本的に平和でみんなある程度の水準の生活が確保されているけれど、食ったり食われたりする欧米社会ではかわいい子羊ちゃん程度にしかとられていない。つまり、手のひらの上で「ころころ」されているようなものなのです。

昔、僕が青木建設の青木さんの秘書をしていたとき、青木さんが僕らに盛んに自慢するのですよ、「白人を論破してやった。」と。
いや、僕はあのころは青木さんは通訳もなく、外人を相手に対等にしゃべれることだけでもすごいと思いましたが、けんかして打ち負かすというのは宇宙人みたいな人だと思いました。

その後、バンクーバーにきて僕の上司がまたETみたいな人でこの人は日本人の普通のメンタリティと比べると銀河系の果てから来た機械でできたような精神力を持った男でした。この男もよく白人を相手に口論をし、相手を説き伏せていました。

多分、そんな影響も受けたのでしょう。僕は白人を相手に戦っています。というか、最近はいやな役を好き好んで買っているようなときもあります。もっと働けよ、もっと工夫してよ、もっと機敏に動いてよ、といいたくなることがよくあります。

日本人はいつも白人に対しておどおどして、小さくなってすぐ何でも同意してしまう癖があります。僕は長い北米の生活を通じて彼らのロジックが結構いい加減な時があることを知っています。彼らは「自己中」のロジックなのです。そういうときにどんどんものをいえるような環境を作るべきです。また、バッシングをするのではなく、理論的に論破するというスタイルで日本人の賢さを前面に出すことが大事だと思います。

僕はここでたくさんの日本人の方を知っていますが、どの方もすばらしい才能をお持ちで、その才能がもっと花咲けば海外における日本人の生活がもっと楽しくなるのではないかと思います。我慢するのではなく、問いかけてみる、あきらめず、ぶつかってみる、そういう気持ちで海外でがんばっていくことが大事でしょう。

ではまた。
日経新聞に愛知県の自動車関連会社では不足する人材を沖縄県出身者で補っているという記事がありました。沖縄県は全国で最も平均賃金が安いところで愛知県は日本で4番目に高いところだとのこと。その結果、収入は倍になるそうです。もっとも、生活費もかかるし、沖縄との往復の費用もかかるから実質の収入増はそこまでないにしても沖縄を離れ本土で就職する人が増えているのは事実。

僕が昔、建設会社の現場にいたころ、建設事業は繁忙期にあり、どこも極端な人手不足であったので現場の所長さんが現金を持って東北の方に人を探しに行ったりしていたのを思い出しました。あのころ、東北の人は冬の農業ができない時期にみんな出稼ぎに来ていたんだよね、東京あたりに。工場でもそうで、僕が担当してた日産自動車の関東地区の工場では季節労働者と称して冬の期間工をずいぶん雇っていました。

では世界に目を向けてみよう。
日本の労賃は先進国の中ではものすごく安い。何が安いかというと時給とか月給ではなくてもらえるものをもらっていないということなのです。残業手当とか、各種社会厚生費について外国ではきちんと払われているけど、日本では払われないケースが多い。前にも指摘したとおり、マクドナルド裁判は僕が指摘したとおり、日本の労働界を揺るがす大事件となっているのは知っていますか?
あの裁判結果が出てからというもののセブンイレブンをはじめ、大手の飲食、リテーラーが次から次へと店長の管理職手当てを下げ残業手当を支給し始めました。
日本の銀行も昔は支店長代理というよくわからない肩書きを作ることでこの人たちを全部管理職扱いにしたのが不当であるということになってしまいましたよね。

今日のポイントです。
日本には優秀な若者や将来に期待がかかる有能な中堅どころが多いのですが、みな、疲弊してしまっています。それは不当に安い賃金で働いているからです。同じ能力があれば海外ではもっと高い報酬を得ることができます。また、そんなに長時間働く環境にもなりません。それに気がついてきた若い人たちは少しずつ海外に転出しています。今後、日本の優秀な若者をハントする業者が増えてくることでしょう。そして、どんどん流出していきます。これを英語でBrain Drain(頭脳流出)といいます。
僕はこの言葉を大学の授業のときに習い、ある衝撃を受けたのを覚えています。というのは頭脳流出による国家の損失は金額以上に回復に時間がかかるためです。

さぁ、僕はこれから10年、この頭脳流出が日本で一気に加速すると見ています。野球選手だけではない、これからはあなたたちも流出するときが来たのです。

ではまた。
いきなり硬いタイトルなのでこれを読んでいる人もちょっと引くかな?
僕はこのテーマに関してはまるで素人、おまけにたまにテレビのニュースや新聞で目にするだけで特定の興味があるわけではないのであらかじめ申すぞよ。

このテーマ、要するに今、ガソリンの中に25円ぐらい道路を作るための税金が乗っかっているのでこれを取り除けばガソリン代が25円安くなるという民主党の主張に対し、自民党はこれがなくなると道路が作れないよという議論ですよね。

僕はこの議論がはじめて出てきたころ、笑っちゃったのですよ。だってねぇ、この議論、いかにも日本的でクリエーションがないなぁって。
僕が岡本党を作るならこうするな。

ガソリン25円安くなるのは大事だけど、今後も原油が上がればその25円はなくなりますよ。
ガソリンが高いのなら資源を節約する方法を考えるのが環境配慮では?
道路を作るという目的そのものが不純でしょ。はやり環境配慮ならバスなどの公共交通機関を充実させることに使うとか、シェアライドなどの新しいアイディアが必要。

だから、岡本党としてはだな、税金は安くしない。その代わりその使途を環境事業に転用することを前提として道路のインフラを充実させるという案。あくまでも道路新設に使うというより既存の道路で環境改善をする方法を考える。たとえば、立体交差でもよい、交差点の改良でもいい、そういう使いかたってあると思うけどね。

先進国の動きはいかに環境に配慮した先進的生活レベルの確保ができるかということにあるのよ。ここ北米では顕著。が、日本の今の水準は生活レベルがだんだん下がってきて、環境配慮ができなくなってきていることに問題。先進国は税金は基本的には下げず、余裕があるならそれをなるべく必要なほうにまわす知恵を出すという手法をとるよね。また、先進国であればあるほど基本的には税金は高くなるもの。

自民党はどうしても昔の建設会社との結託というイメージがあるので道路を作ることで票を確保しようとする。でも、もう、昔のような組織票はないのですよ。だったら、もっと正論を出すことが大事。

それと、自民党はいったん解散だな。それで、もっと、無党派議員のような党に所属せずに政治を運営する政治家を中心に議事ごとに冷静に判断できるようにしないといけない。
民主党の道路財源の削減案もあくまでも一般大衆の受け狙いで目先だけでしょう。だから海外居住の僕の目には自民と民主は幼稚園レベルの戦いにしか見えず海外の主要国もあきれてみているということにいまだに気がつかない。

情けないよね。

ではまた。


そういえば長いことバンクーバーの不動産のことを書いていなかった気がします。

企友会のビジネスコラムには実に2006年9月に書いて以来ということのようです。まぁ、このブログではもう少し書いていたような気がしますけどね。
で、時間が経ってみて改めて企友会のブログを読むとまぁ、そんな遠いことを書いていたわけではないのかなぁと思っています。



新聞を見ていると明らかにブームは沈静化したなぁという「匂い」を感じるのですが、これわかる人います?

ひとつは不動産の広告です。明らかに数が減っています。ただ、不動産開発はそう簡単にとまりませんからもう少しの間は高いレベルの供給がありますが、多分、2009年初頭から極端な新発売物件不足に陥ります。ただ一方で中古住宅と現在新築中の物件がそう簡単にさばけないでしょうから市場全体としては取引量の低下という形であらわれるでしょう。

もうひとつは家具屋の広告です。これは相変わらず多いのですが、夏のときほどではない。それと価格が下がった気がします。一時期は高額の家具を売りつけていた節もそろそろ減ってきています。

もうひとつはインテリアデザイン系の記事や雑誌も減ってきています。これも家が売れると家具を買い、インテリアを研究してといういわゆる「風が吹けば桶屋が儲かる」方式ですから、家のブームの沈静化はこういうところにも出てきます。

なにやら近いうちに日系団体が不動産の専門家を数名招いてパネルディスカッションをするそうです。あぁ、僕は呼ばれていませんよ。ただ基本的にこの手の人たちは業界が活況であることが前提ですのでいいことしか言いません。景気が悪くなるとか、家は買わないほうがいいというのはタブーですよね。僕が行くとそういう風にいってしまいますから困るのでしょうね。

よろしいですか、復習します。

サブプライムに端を発した不動産問題は隣の国の問題だけでは片付きません。僕は「オルトA」と称するサブプライムの次のカテゴリーが傷んでいると思っています。そうなるとお先真っ暗です。そうでないことを祈りますが。それと、アメリカは金利操作だけでこの難局を乗り越えようとしています。これは無理。日本のバブルのときに同じ手法をとったけど10年かかるわけです。欧州はもっとひどい。明らかなスタグフレーションに入っているのに中銀は金利を引き下げない。インフレには目をつぶらないとドイツ経済がかなり傷むというのに。
ということでサブプライムは根が深い。だから不動産は基本的にはしばらくは手を出してはいけません。売りたいひとは今が最後のチャンス。あとは4−5年先になります。
ではどんな投資がいいのということですが、僕は引き続き日本株しかないと思っていますけどね。後ね、どうしても不動産がいいならアメリカのほうが早く回復するからアメリカの物件を買い叩くか、カナダがいいならリゾートになりそうなところを探すしかないです。ケローナはよかったよね。あそこのウエストバンクは伸びる。あとはスコーミッシュだね。あそこはまだいけます。

ということでではまた。
週末、いつものように日経ビジネスを読んでいた。ぺらぺらとめくるとそこには懐かしい名前の人の特集インタビューがあるではないか。
僕はその3ページにわたる記事を目を皿のようにして読んだ。そして、また読み返した。それから数時間後にもう一度読み返した。
興奮させられた記事だった。僕の血が沸きあがるような、そんな気持ちよい興奮だった。

青木智栄子、ブルーツリーホテルズアンドリゾーツ会長兼CEO

そう、あの青木建設の元会長、青木宏悦のワイフ、智栄子である。青木がホテル事業を売却した97年以降、彼女はブラジルでホテル事業の立ち上げをしているという噂は聞いていた。その後、青木が倒産した後の2004年頃にはブラジルで大々的にホテルマネージメント会社をやっていることも聞いていたし、ブラジルの代表的女性起業家としても君臨していることも聞いていた。が、あらためてこういう風に雑誌で写真つきで見るとずいぶん、立派な会社を作ったのだと改めて感心している。

智栄子さんとは僕が青木宏悦の秘書をしている時に知り合った。その後、秘書時代は青木家のプライベートまでみる事が多かったので智栄子さんとも近いポジションでずっと仕事をしていた。彼女は決して日本人受けしなかった。が、僕はなぜか、智栄子さんには別の魅力を感じていたので同僚たちが言うほどの悪意はまるでなかった。智栄子さんも僕には考えすぎだろうが、いつも気遣いをしてくれた。が、その気遣いの智栄子さんから僕はずいぶん学ばせてもらった。僕は秘書の仕事から離れても数年間、青木家のことは面倒を見ていたので智栄子さんとも長年、やり取りをしていた。

記事は大変興味ある内容で一杯だった。 が、そのなかの記述でブルーツリーのホテルの宿泊客が外出している時、靴磨きをしておき、お客様に気持ちよく靴を履いてもらうという話はまるで僕に昔話を回顧させるようなものだ。僕には二つの靴磨きの話がある。一つは青木宏悦と始めてであったときの靴の話で宏悦さんは僕を木下籐吉郎と呼んだ。1987年ごろの話である。

それと、僕が秘書になって宏悦さんと智栄子さんと一緒にフロリダのオーランドで青木が建てたディズニーワールドのホテルのオープニングに行った時。あの時、朝、部屋にいつものように迎えに行くと宏悦さんが智栄子さんと夫婦喧嘩をしていて二人がものすごい剣幕で出発するとき、宏悦さんが「君は来なくていいからそのかわり洗濯と靴磨きをしておけ。」といったとき。まぁ、靴は磨いておいたが、宏悦さんはのちほど靴が磨かれているのを見て「うむ」という顔をしたのは覚えている。あれを智栄子さんはビジネスで今、実践しているわけだ。

僕はこの記事を単に懐かしむ意味で三度も読んだわけではない。智栄子はホテルの仕事を自分の子供のような熱意をもって接していたのに青木が倒産するという結果で失うのが悔しくてブルーツリーを立ち上げたのである。
僕もまさしく同じ理由だった。宏悦さんが青木最大の海外住宅プロジェクトと称したバンクーバーのベイショア住宅開発の仕事が会社の倒産で中途半端で終わるのがいやだった。だから僕は多額の借金をして会社を買収しプロジェクトの完成へと導いた。僕もそういう意味ではこのプロジェクトが僕の子供であり、成長する姿を見るのが楽しみだった。ちなみに僕の会社の名前もブルーツリーだ。

智栄子さんも僕もある意味同じ土俵にいるのだろう。そして、ブルーツリーの名前を引き継ぎながら青木のブラッドを生かしてきた。宏悦さんもある意味うれしく思ってくれると思う。

こういうとき、僕は本当の人生の満足感と仕事のやりがいを感じる。

ではまた。
この週末の最大のニュースでしたね、マイクロソフトによるヤフー買収提案。

マイクロソフトは昔からヤフーが買収したくて、何度か、買収提案を出していましたが、そのたびに断られていました。しかしながら今回の提案は非常に真剣な取り組みであり、かつ、その表明をマイクロソフトが全面的に一般公開したことが今までとは違うスタイルです。そして、僕はこれは価値あるものではないかと思うのです。
その理由は、

1 ヤフーは確か、7四半期か8四半期、連続して売り上げが落ちています。つまり、グーグルに押されっぱなしになっているのです。

2 マイクロソフトに関してはそのインターネット部門は確か赤字の状態ではなかったでしょうか?

3 マイクロソフトは本業のソフト部門でもアップル社の猛追撃を受けています。

4 グーグルは完全独走態勢を敷き始めています。

5 マイクロソフトのヤフー買収提案は素晴らしいプレミアムがついています。

以上からすると僕は今回の買収提案は成功してもいいのではないかと思っているのです。
IT業界もこの10年の間にずいぶん様変わりしてきています。それ以上にビジネスがいよいよ成熟産業化してきているような感じです。成熟産業化するとまず、利益率が急速に落ち込んできます。 次に業界の淘汰が行われます。今、マイクロソフトもヤフーもそういう意味ではそれぞれの分野で強大なライバルを抱え、革新的な対策を打ち出さない限り今後も衰退の一途をたどることになるのです。

メディアによると僕は見出ししか見ていませんが、グーグルがヤフーにホワイトナイトを申し出たとの事ですが、これはヤフーから見るとマイクロソフトとの合併に向けて背中を押されたようなものだと思います。ですから、これはグーグルの戦略ミス。
ヤフーが独立独歩路線をとるかもしれないという件はヤフーの株主をどこまで喜ばせることが出来るか次第だと思いますが、上述のようにこの業界は成熟化してきていますから、一気に化けるような大きなアイディアというのはそう簡単には出ないのではないかと思います。
それなら、株主としてマイクロソフトが提案する莫大なプレミアムをもらい、一緒になってグーグルに立ち向かうというほうが正しい方向ではないかと思います。

今日の授業はここまで。
ではまた。

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