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外から見る日本、見られる日本人

バンクーバーの日本人社長ヒロが仕事、生活を通じて感じた経済、経営、社会、日本人観などを綴っています。

日経新聞に愛知県の自動車関連会社では不足する人材を沖縄県出身者で補っているという記事がありました。沖縄県は全国で最も平均賃金が安いところで愛知県は日本で4番目に高いところだとのこと。その結果、収入は倍になるそうです。もっとも、生活費もかかるし、沖縄との往復の費用もかかるから実質の収入増はそこまでないにしても沖縄を離れ本土で就職する人が増えているのは事実。

僕が昔、建設会社の現場にいたころ、建設事業は繁忙期にあり、どこも極端な人手不足であったので現場の所長さんが現金を持って東北の方に人を探しに行ったりしていたのを思い出しました。あのころ、東北の人は冬の農業ができない時期にみんな出稼ぎに来ていたんだよね、東京あたりに。工場でもそうで、僕が担当してた日産自動車の関東地区の工場では季節労働者と称して冬の期間工をずいぶん雇っていました。

では世界に目を向けてみよう。
日本の労賃は先進国の中ではものすごく安い。何が安いかというと時給とか月給ではなくてもらえるものをもらっていないということなのです。残業手当とか、各種社会厚生費について外国ではきちんと払われているけど、日本では払われないケースが多い。前にも指摘したとおり、マクドナルド裁判は僕が指摘したとおり、日本の労働界を揺るがす大事件となっているのは知っていますか?
あの裁判結果が出てからというもののセブンイレブンをはじめ、大手の飲食、リテーラーが次から次へと店長の管理職手当てを下げ残業手当を支給し始めました。
日本の銀行も昔は支店長代理というよくわからない肩書きを作ることでこの人たちを全部管理職扱いにしたのが不当であるということになってしまいましたよね。

今日のポイントです。
日本には優秀な若者や将来に期待がかかる有能な中堅どころが多いのですが、みな、疲弊してしまっています。それは不当に安い賃金で働いているからです。同じ能力があれば海外ではもっと高い報酬を得ることができます。また、そんなに長時間働く環境にもなりません。それに気がついてきた若い人たちは少しずつ海外に転出しています。今後、日本の優秀な若者をハントする業者が増えてくることでしょう。そして、どんどん流出していきます。これを英語でBrain Drain(頭脳流出)といいます。
僕はこの言葉を大学の授業のときに習い、ある衝撃を受けたのを覚えています。というのは頭脳流出による国家の損失は金額以上に回復に時間がかかるためです。

さぁ、僕はこれから10年、この頭脳流出が日本で一気に加速すると見ています。野球選手だけではない、これからはあなたたちも流出するときが来たのです。

ではまた。

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