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外から見る日本、見られる日本人

バンクーバーの日本人社長ヒロが仕事、生活を通じて感じた経済、経営、社会、日本人観などを綴っています。

2007年12月29日12:46
車のことを書くと大体、同意する奴が1/4、意見を挟む奴が1/4、反対する奴1/4で、残りが興味なしとなるのであくまでも僕の主観として聞いてください。

レクサスはBMやベンツに勝てるか?僕はまだ遠いと思うのです。レクサスが目指しているブランドにはどういう高級感があるのか?というのが素直に伝わってこないのです。
それは、部品やエンジンなど一つ一つの性能や品質ではなくて全体から出てくる華麗さがないのです。

レクサスのことをグランドセイコーの時計にたとえていた人がいましたが、なるほどうまいなぁと思いました。グランドセイコーって案外知られていないかもしれませんが、時計のセイコーが高級腕時計としてひとつ100万円とかで売っている奴です。
でも、時計のカタログを見ていてグランドセイコーにはっと目が留まることはない。やっぱりスイスの老舗時計がいいのですよ。ルイビトンが数年前から男性ものの時計を出し始めたけどいいとは思わない。なぜかといえばルイビトンは時計屋ではないから。
フェラガモの靴はいいよね。でも洋服はいまいち。だって靴屋だもん。

そう考えるとレクサスは僕にはカローラのトヨタが出した高級車にしか見えないんだ。実際、ESという車はカムリがベースだよ。トヨタの最量産車のひとつをベースにした車に別の化粧をしたということだね。日本人は高級品を性能とか故障しないといった数字での判断に任せるところがあるけど、歴史ある本当の高級品というのはアフターケアと長く使っても飽きさせないテイストではないかと思うのです。

日産がGTRを発売しました。ものすごい人気のようです。実際、僕も見ましたが、よさそうです。が、僕はある意味、ゴーンさんは間違ったコメントをしたと思っているのです。
「日産の持てる力をすべて出し、、、、」 きっとすばらしい車でしょう。それならあんな安い価格をつけてはいけない。1000万円台にすべきだったのです。確かあの車は777万円ではないですか?ライバル車と比べ半値で売りますか?天下の日産の持てる力はポルシェの半分ですか?GTRにはすばらしい歴史と実績があります。ゴーンさんはそれを安売りした。
でなければ、単に速いだけのテイストレスの車かどちらかです。

日本人は高級品を判断する洗練度が足りないと思うのです。見る目がないのです。なぜなら、その見る目は雑誌の評であり、流行であるのです。自分で判断できない。

僕がサラリーマンをやっていた5,6年前、北米駐在の社長さんが数人集まってタバコをすいながらお互いのネクタイの品評会をしてるんだ。が、よく見るとまず、ネクタイをぱっと裏返してブランドを見て「おっ、ポールスティュアートか。おしゃれジャン。」「お前はビトンかぁ。やるなー。」僕は洋服屋の息子です。ネクタイは裏のブランドタグで選ぶのではなく、表の柄で選んでほしいと思います。

言いたいこと、わかりますよね。ビトンならいくらだから高級品=いいものを着ている、という論理上で高級品の判断が行われるのです。

良い品というのは客が値をつけます。レクサスがものすごい値引きをしてでも売るというのは高級車市場のシェアを奪いたいというサラリーマン根性が出すぎているのです。そうじゃない。高級品は一人一人に丁寧に売っていかなくてはいけない。
レクサスのセールスマンに聞きました。「この車にはどんなスピーカーが何個ついていますか?」まったく予想していなかったのでしょう。ぜんぜん答えられません。セールスマンが車を愛していない証拠です。だから、そんな基本的なこともわからない。

高級品というのは難しいでしょう。育てなきゃいけないのです。育てるのは手間がかかるし、サラリーなんていう仕組みではなかなか育たない。一心同体にならなきゃいけないのですよ。レクサスがいまいちの評判なのはトヨタというでかい会社が出来上がってそこから高級車部門としての派生をしているからです。昔からある高級車は小さいときから良い育ちをしている。

レクサスがそこまで行くにはまだまだ遠い道のりだと思います。

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