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中井孝治氏 歩夢が2度成功した「トリプルコーク1440」ライバル勢はどこで繰り出してくるか

[ 2022年2月9日 05:30 ]

公式練習を行う平野歩夢(AP)
Photo By AP

【今日のツボ教えます スノーボード・ハーフパイプ男子・中井孝治】スノーボード・ハーフパイプ(HP)男子は9日に予選が行われる。メダル争いの鍵を握るのが、平野歩夢(23=TOKIOインカラミ)が公式戦で2度成功している斜め軸に縦3回転、横4回転する「トリプルコーク1440」だ。プロスノーボーダーの中井孝治氏が解説する。

1回のランで5、6回のトリックをつなげる必要があるHP。長い助走路を使って一発技を競うビッグエアと違い、トリプルコーク1440を成功させるにはスピードを出す技術が必要になる。回りきらないと「死」を覚悟しないといけないほど。だからこそメダルの行方を左右する。

今季の公式戦で2度成功した平野歩だが、特に先月のXゲームで決めた2度目は圧巻だった。テークオフ、ランディングは完璧で、転倒はその次に試みたスイッチスタンスからの4回転の着地箇所がボトムに寄ってしまったこと。技の単体としては完璧で、超大技の使い手としては他の選手をリードしている。

戸塚や平野流も雪上練習では成功しており、決勝に向けて温めているはずだ。複数の選手が試みるとなれば、勝負のポイントは技の構成やオリジナリティーが重要になる。平野歩の2度の成功はいずれもファーストヒットだが、コンボ(連続技)や1本の試技の中で前半と後半の2度試みる選手も出てくるかもしれない。平野流はキャブ(逆)とメインの両方向で練習しており、一つのランの中で両方成功させればかなりの高得点になる。

気になる他国のライバル勢だが、五輪を3度制したホワイト(米国)は尻上がりに調子を上げてきた印象がある。年齢(35歳)もあり、シーズン当初は金メダル争いには届かない調整具合だったが、W杯最終戦で3位。やはり不気味な存在だ。Xゲームを制したジェームズ(オーストラリア)は、最近になってスイッチバック1260を披露するなど、他選手がやらないトリックを成功させている。こうした個性がどのように評価されるのかは気になるところだ。(スノーボード・ハーフパイプ五輪2大会連続代表、プロスノーボーダー)

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