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北京五輪 監視緩むクローズドループの境界線

[ 2022年2月9日 11:45 ]

メインメディアセンター前の公園のクローズドループ境界線。監視員の姿はなかった。
Photo By スポニチ

北京五輪は新型コロナウイルスの中国国内への流入を防ぐため、外部との接触を絶つ「クローズドループ」内で開催されている。大会組織委員会は閉鎖空間にいる人数を公表していないが、各国選手団、メディア、運営スタッフ、ボランティアらの総数の推定は5万人を超える規模。大会序盤を終え、クローズドループと外部の境界線の現状を探った。

記者が宿泊するホテルは北京国家体育場(通称・鳥の巣)から南に約3キロに位置する。敷地は高さ約2メートルの緑色の壁で囲われ、出入り口付近には24時間体制で警備員が常駐。現地入り翌日の1月13日に駐車場を出歩いていると「こっちに来てはダメだ!」と怒鳴られた。9日午前に再び駐車場を歩いたが、警備員は携帯をいじりながら目配せするだけ。ピリピリ感は薄れていた。

報道陣の活動拠点となるメインメディアセンター。建物の前には各会場、ホテルへの輸送の拠点であるバスターミナルを挟み、公園のような敷地がある。開幕日の4日には多くの警備員が配置されて厳戒態勢が敷かれていたが、現在は数名が巡回する程度。外部との境界線の仕切りは大人なら簡単にまたげる程度の高さしかないが、監視小屋に人がいない時間帯もあった。国家スピードスケート館、国家水泳センター、首都体育館などの競技会場も基本的に厳しい監視体制が敷かれているが、ランチタイムに警備員が不在になる会場があるなどベニューごとの温度差もある。

ホテルで夕食をとると日本円換算で最低でも2000円程度かかる。メディアセンターの食堂もコストパフォーマンスが高いとは言い難い。ロボットが配膳する目新しさはあるものの、一度体験すれば十分だ。バスから目にする"外界"には安価でおいしそうな大衆的な中華料理店が並ぶ。閉塞(へいそく)感は強いが、現時点で選手、関係者がループを脱出して問題となった話は耳にしていない。境界線の監視が緩みつつある中、安全に大会を運営するため、バブル内生活者のモラルも問われている。(北京五輪取材班)

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