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【コラム】戸塚啓

パリ五輪の出場権獲得と、W杯への準備

[ 2024年1月2日 08:00 ]

インタビューに応じる、サッカーUー23日本代表の大岩剛監督
Photo By スポニチ

元旦の日本代表戦から、2024年の幕が明けた。

日本代表は1月12日開幕のアジアカップに挑む。15年はベスト8に、19年は準優勝に終わっており、11年以来5度目の戴冠が期待される。

4月にはU-23アジアカップが開催される。大会は2年に一度開催されているが、五輪イヤーの今回はパリ五輪アジア最終予選の位置づけを持つ。

U-23アジアカップは、FIFA(国際サッカー連盟)のインターナショナルマッチカレンダーに記載されていない。この時期に選手を招集するには、所属クラブの同意を得なければならない。

昨年11月に行なわれたチームの活動では、26人のうち8人が海外クラブ所属選手だった。この時点ではアルビレックス新潟所属だった三戸舜介も、海外組に仲間入りしている。同時期に日本代表に招集されたGK鈴木彩艶も、パリ五輪世代として大岩剛監督のもとでプレーする選手だ。

リオ五輪出場を争った16年のU-23選手権では、海外組はふたりだけだった。手倉森誠監督はスイスのヤングボーイズでプレーする久保裕也、オーストリアのザルツブルク所属の南野拓実を招集したが、南野は出場権獲得を決めた準決勝後にチームを離れた。さらに言えば、15年3月にマレーシアで行なわれたU-23選手権予選では、久保に出場試合数の制限がかけられ、南野は予選途中までしか帯同できなかった。

20年のU-23選手権では、すでにヨーロッパでプレーしていた板倉滉、中山雄太、三好康児、堂安律、菅原由勢、久保建英、前田大然らの招集は見送られ、当時ハーツ(スコットランド)に在籍していた飯野亮太郎の招集のみにとどめた。ホスト国として東京五輪出場は確定していたから、海外組中心の編成にする必要はなかった。

今回はパリ五輪の出場権をつかまなければならないが、ヨーロッパ各国リーグはシーズン中だ。国内へ目を移しても、Jリーグが行なわれている。クラブの利益を損なわないために、1チームからの招集人数に上限が設けられることも考えられる。

五輪のサッカーには「温度差」がある。ブラジルやアルゼンチンのように金メダルを狙いにくる大国があれば、ヨーロッパには出場を逃しても大きな話題にならない国もある。

日本はどうあるべきか。

4年に一度の五輪は、国民的なイベンドだ。それがいいかどうかはともかくとして、あらゆる競技がスポットライトを浴びる。そのなかにサッカーが含まれることは、やはり重要だと考える。Jリーグや日本代表に馴染みのない人にも、アプローチできる好機になるからだ。

もうひとつは、W杯への準備である。

22年のカタールW杯の日本代表には、21年の東京五輪に出場した選手が12人含まれていた。ケガで出場の叶わなかった中山雄太を含めれば、26人の登録選手の半分になる。

森保一監督のもとで1チーム2カテゴリーとして強化を進めたからであり、12人のうち3人はオーバーエイジだった。いずれにしても、U-23世代が五輪を経験したことで「世界での戦い」をより強く意識し、レベルアップ、キャリアアップをはかっていったのは間違いない。板倉滉、三笘薫、田中碧、堂安律、前田大然らが、カタールW杯で勝利につながる働きを見せたのは、東京五輪の経験を踏み台にしたと考えることができる。

今年4月のU-23アジアカップで、大岩監督が望むメンバーをどこまで揃えることができるのか。そのうえで、パリ五輪の出場権を獲得できるのか。はっきりしているのは、26年のW杯で世界のトップクラスと伍して戦うために、パリ五輪は貴重な通過点になるということだ。(戸塚啓=スポーツライター)

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