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【コラム】戸塚啓

オールジャパン 監督やコーチの人材交流

[ 2018年11月8日 14:00 ]

11月4日J2<横浜FC・大分>視察に訪れた日本代表の森保一監督(左)と談笑しポーズを取る三浦知良
Photo By スポニチ

11月7日に発表された日本代表のメンバーは、誰にとっても予想の範囲内だっただろう。

戦線離脱中の長友佑都に代わって山中亮輔が招集されたのは、所属クラブでのパフォーマンスを見れば十分に想像が及ぶ。鈴木優磨の初代表も、J1で自身初の2ケタ得点をマークしていることに加え、小林悠がケガをしていること、浅野拓磨のプレー時間が伸びていないことなどを踏まえれば妥当である。

むしろ目を引いたのはスタッフだ。森保一監督を支える人材として、斉藤俊秀コーチ、秋葉忠宏コーチが加わっているのだ。

今月16日にベネズエラと、同20日にキルギスと対戦する日本代表の活動とほぼ同時期に、U−21日本代表がUAEへ遠征する。このため、日本代表の横内昭展コーチがU−21日本代表の監督代行を務めることになった。それに伴って、斉藤、秋葉両コーチが日本代表をサポートすることになったのである。

斉藤コーチはU−16日本代表の、秋葉コーチはU−19日本代表のスタッフである。どちらも選手、指導者として世界大会を経験しており、来年開催の年齢別W杯のアジア予選を突破したばかりだ。貴重な経験を積んでいる。森保監督と選手をつなぐ立場としてだけでなく、彼らが選手に伝えられることも間違いなくあるだろう。

日本代表をはじめとする各カテゴリーの代表スタッフは、定期的に集まってミーティングを開いている。世代をこえて日本サッカーの方向性を共有していくためだが、指導の現場での人材交流は限られていた。その大きな障壁となっていたのは、日本代表の監督が外国人だったことだろう。

ロシアW杯を前に当時のヴァイッド・ハリルホジッチ監督が解任され、西野朗監督のもとで体制が一新されると、「オールジャパン」との表現が使われた。日本人でスタッフが固められたことによるものだが、U−16やU−19のスタッフが登用されたことで、「オールジャパン」の色合いはさらに強くなった。

秋葉コーチはリオ五輪代表でコーチを務めており、遠藤航、山中亮輔、中島翔哉、南野拓実、室屋成、三浦弦太、三竿健斗らは当時のメンバーだ。年齢別代表に関わった監督やコーチは、日本代表選手を以前から知っていることが多い。既知の間柄なので、関係成立に時間がかからない。その意味でも、世代を越えた人材交流には無理がないのだ。

U−16やU−19の選手たちにとっても、斉藤コーチや秋葉コーチの代表スタッフ入りはプラスに働くはずだ。日本代表というチームの雰囲気や海外組のメンタリティなどを、より身近な存在から伝えられる意味は大きい。

今回のコーチングスタッフの編成は、日本代表とU−16、U−19の活動が重ならなかったことによるものだろう。今後も同じように対応できるとは限らないが、監督やコーチの人材交流は進めていくべきだ。それこそが、真の意味での「オールジャパン」だろう。(戸塚啓=スポーツライター)

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