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【コラム】戸塚啓

さらにギアを上げる三笘薫

[ 2023年3月2日 21:00 ]

ブライトンのMF三笘薫
Photo By AP

三笘薫が止まらない。

現地時間2月28日に行なわれたFAカップ5回戦で、三笘が所属するブライトンはストークシティと対戦した。25歳の日本代表はスタメンでピッチに立ち、30分の決勝点をアシストしている。

自身も得点機を迎えたが、ネットを揺らすことはできなかった。それでも、2部相当のチャンピオンシップで下位に沈むチームを相手に、余裕を持ってパフォーマンスを発揮した。

今シーズンはここまでプレミアリーグ、FAカップ、リーグカップで合計23試合に出場しており、7ゴール3アシストをマークしている。昨シーズンのウニオンで記録した8得点4アシストは、確実に上回ってくるだろう。

リーグ戦で決めた5得点のうち4得点は、カタールW杯後に決めたものだ。そのうち2点が勝利に結びついており、2月4日のボーンマス戦の得点は決勝ゴールとなった。87分にあげた三笘の一発が、1対0の勝利を呼び込んでいる。

FAカップでの1得点2アシストも、1月以降に記したものだ。リバプールと対戦した4回戦では、90+2分に決勝点をマークしている。

目覚ましい活躍の原動力となっているのは、昨年12月5日のクロアチア戦だろう。PK戦で敗れた試合後、三笘はフラッシュインタビューで涙し、そのまま足を運んだミックスゾーンでも目を真っ赤にしていた。

ジョーカーの役割を果たせなかった悔しさに、全身が包まれていた。「自分が最後までドリブルで行ききれば。相手がふたりでマークにきても、行ききらないといけないので。1対1の場面もあったし、そこで行けなかったというのは......」と、自分を責めた。そして、4年後への決意を口にする。

「チームを勝たせる存在にならないといけない」

ブライトンでの得点とアシストは合計で「10」を数えるが、これはパスカル・グロスの7得点4アシストに次ぐものだ。ソリー・マーチの5得点5アシストと並んで、チーム2位タイとなっている。プレミアリーグで8位につけているブライトンで、勝敗に直接的に関わる存在となっている(順位は2月26日現在、以下同)。カタールW杯で胸に刻んだ思いを、結果で表現している。

プレミアリーグでは、首位のアーセナル、2位のマンチェスター・シティ、3位のマンチェスター・ユナイテッド、4位のトッテナムとの上位対決が残っている。10位に沈むチェルシーとのアウェイゲームもある。こうしたビッグクラブとの対戦で、どこまで決定的な仕事ができるか。

3月24日、28日には、日本国内でテストマッチがある。海外組の宿命とも言える厳しいスケジュールと時差のなかで、プレーのクオリティを保つことができるか。今回は招集されるだけでなく、スタメンで起用されることも濃厚だ。

28日のコロンビア戦を終えると、4月1日にはプレミアリーグが控えている。日本からの移動も含めて中3日で、しっかりとしたパフォーマンスを出せるか。

カタールW杯後の三笘は、賞賛に値するプレーを見せてきた。プレミアリーグで戦っていることを踏まえても、素晴らしいシーズンを過ごしている。

そのうえで言えば、ここからさらにギアを上げることができるか。試合の重みが増していくシーズン終盤で結果を残すことが、W杯のような大舞台でチームを勝たせることにつながっていく。(戸塚啓=スポーツライター)

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