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【コラム】戸塚啓

コパ・アメリカ(南米選手権)ベスト4進出 注目選手は?

[ 2019年7月1日 16:20 ]

6月14日に開幕したコパ・アメリカも、いよいよベスト4が出揃った。南米の頂点を視野にとらえるのはブラジル、アルゼンチン、チリ、ペルーである。

開催国ブラジルで目を引くのは、背番号19を着けるエベルトンだ。ロシアW杯後の18年8月に代表デビューを飾ったニューカマーは、グループリーグ初戦のボリビア戦で81分に途中出場する。そのわずか4分後、左サイドからカットインして豪快な右足シュートを突き刺した。彼にとっての代表初ゴールでもあった。

ベネズエラとの第2戦も途中出場し、ペルーとの第3戦はスタメンに名を連ねる。ここでもエベルトンは結果を残す。31分、左サイドからカットインする得意の形から、低く鋭い弾道の右足シュートを決めたのだ。

チッチ監督がコパ・アメリカで採用する4-3-3の左ウイングは、本来ならネイマールの定位置だ。しかし、大会直前のケガでエースがメンバーから外れたことで、エベルトンにチャンスが巡ってきた。

ネイマールに比べて直線的なドリブルは推進力に優れ、密集をすり抜ける技術も併せ持つ。ブラジルが07年以来の頂点に立つことがあれば、この23歳の新鋭がクローズアップされているに違いない。

ブラジルと準決勝で激突するアルゼンチンでも、ロシアW杯後のタレントが躍動している。ラウタロ・マルティネスだ。

最前線中央にポジションを取るこの21歳は、リオネル・メッシとセルヒオ・アグエロの2枚看板を引き立てながら、自らもアグレッシブにゴールへ向かっていく。

グループリーグのカタール戦で、相手DFのミスを見逃さずに先制点をゲットした。準々決勝のベネズエラ戦では、技巧的な一撃でチームに先制点をもたらす。アグエロのシュートを右足ヒールで引っ掛け、コースを変えて流し込んだのだ。

ここまで2得点はエベルトンやエドゥアルド・バルガス(チリ)らと並んでトップタイだ。アルゼンチン人選手が大会得点王になれば、95年のガブリエル・バティストゥータ以来となる。ブラジルと激突する準決勝でも、伸び盛りの才能が爆発するのかに注目だ。

3大会連続優勝へ突き進むチリでは、中盤のアンカーポジションでエリック・プルガルが存在感を発揮している。

イタリア・セリエAのボローニャで経験を積む25歳は、日本とのグループリーグ初戦で先制のヘディングシュートを突き刺した。自らボールを持ち出してビルドアップにも関わるハードワーカーは、守備面でも高い貢献度を弾き出す。

コロンビアとの準々決勝では、両サイドバックが攻撃参加したスペースを確実に埋めた。守備のバランスを整え、最終ラインの負担を軽減していたのである。

16年大会の優勝メンバーのひとりだが、当時はバックアッパーだった。まぎれもない主力として出場している今回は、チリの隠れたキーマンである。

そのチリと準決勝で対戦するペルーは、堅守速攻を生命線とする。守備陣の踏ん張りが欠かせないなかで、準々決勝のウルグアイ戦ではGKペドロ・ガレセが勝利を引き寄せた。

0対0で突入したPK戦で、ウルグアイの一人目ルイス・スアレスのシュートをセーブする。28歳の守護神の奮闘が、15年大会以来のベスト4入りに結びついた。

ブラジルとのグループリーグでは、イージーなミスから失点を献上した。15年と16年のコパ・アメリカ、それに18年ロシアW杯で正GKを任された彼にとって、ブラジルに喫した0対5の大敗は屈辱的なものだっただろう。

それだけに、PK戦でのパフォーマンスには胸を撫でおろしたはずだ。もっとも、準決勝で対戦するチリには、15年大会の準決勝で1対2と敗れている。ペルーの国民はガレセに、さらに大きな仕事を求めているに違いない。(戸塚啓=スポーツライター)

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