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【コラム】戸塚啓

準備段階からツメを欠いた9月 10月の選手選考は!?

[ 2021年9月11日 12:00 ]

<サッカーW杯最終予選 中国・日本>試合前、記念撮影する日本代表イレブン(C)JFA
Photo By 提供写真

W杯アジア最終予選に、簡単な試合はない。

日本が入っているグループBでは、9月7日の第2節の3試合すべてが1対0だった。日本、オーストラリア、サウジアラビアがアウェイで勝利を収めているが、どの試合も一方的な展開ではない。オーストラリアに敗れたベトナムは、スコアできるチャンスを作った。オマーンは引分けに持ち込める内容だった。

ロースコアの攻防は、今後も続きそうだ。とりわけ、10月の2試合はライバルとの直接対決となる。アウェイでサウジアラビアと、ホームでオーストラリアと激突する。ピッチ外の準備から、戦いは始まる。

オマーン、中国と対戦した9月の2試合は、チーム編成に苦しんだ。8月末のメンバー発表後に板倉滉がケガで離脱し、昌子源を追加招集した。冨安健洋がアーセナル移籍に伴って合流を回避し、守田英正がコロナ禍に伴う入国期限に間に合わなかった。

オマーン戦で先発から外れた南野は、ベンチ入りしていたもののケガで起用できる状態ではなかった。東京五輪に出場した酒井宏樹は疲労の色が濃く、試合後にオーバーワークを考慮されてチームを離れた。

ホームゲームでも慌ただしく集合して試合に臨むのは、日本代表の宿命である。それにしても今回は、準備段階からツメを欠いていた。1カ月前から合宿をしていたオマーンとの落差は激しく、それでも「いつもどおりの準備」で勝とうとしたところに、そもそもの躓きがあった気がする。

中国戦を戦うドーハ入り後には、南野拓実がケガで離脱した。代わってオナイウ阿道が追加招集された。慌ただしい対応だったが、中国戦に勝利したことでチーム編成の甘さは指摘されなかった。

9月の2試合には24人の選手が招集されたが、10月はもう少し多く選んでもいいのではないだろうか。トラブル発生後に追加招集するのではなく、あらかじめ多めに集めるのだ。人数的には2人ないし3人を想定する。

アウェイのサウジアラビア戦は、日本よりヨーロッパのほうが移動距離は短く、時差の影響も少ない。この試合については、海外組からバックアップメンバーを選ぶ。

試合で使われずに「呼ばれただけ」の選手には、ストレスをかけてしまう。選手の所属するクラブ側にも、アレルギー反応を示されるかもしれない。しかし、最終予選を勝ち抜くためにも、クラブ側の理解を得るための働きかけをしていきたい。

そのための材料として、2人ないし3人は「サウジアラビア戦後にクラブへ戻す」ことを条件にする。選手には負担を強いることになるが、代表ウィーク後のリーグ戦に早く備えることができる。クラブ側を納得させる理由にはなるはずだ。

ホームのオーストラリア戦では、海外組ではなくJリーグのクラブから多めに選手を呼ぶ。ここでも選手とクラブに負担をかけてしますが、日本代表のW杯予選突破はサッカー界全体にとっての利益だ。ワンチーム、オールジャパンで戦うことを大前提に、Jリーグのクラブの協力を取り付けたい。

10月の2試合は序盤戦のヤマ場だ。オーストラリア、サウジアラビアは連勝スタートを切っているが、直接対決で叩けばオマーン戦の敗戦を挽回できる。

いつもどおりの準備で勝点を重ねるのが、もちろん理想である。しかし、オマーンや中国のように代表強化を最優先して最終予選に臨んでくる国もある。最大限の対策を講じて臨みたい。(戸塚啓=スポーツライター)

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