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【コラム】戸塚啓

求む スタジアムで観たいと思わせるサッカー選手

[ 2022年4月20日 22:00 ]

FC東京のMF松木玖生
Photo By スポニチ

佐々木朗希がすごい。4月10日に完全試合を達成し、17日も8回まで完全登板の離れ業を演じた。10日の試合では連続脱三振記録を64年ぶりに更新し、1試合19奪三振のプロ野球タイ記録も打ち立てた。17日も14奪三振だった。開幕からの4試合ですべて2ケタ奪三振を記録するなど、驚異的なスタッツを叩き出している。

北海道日本ハム戦を本拠地に迎えた17日の試合は、チケットが完売された。それも納得できる。佐々木は「スタジアムへ行って、生でピッチングを観たいと思わせる選手」だからだ。

Jリーグを見渡してみる。佐々木のように観戦意欲をかき立ててくれる選手が、果たしているだろうか。取材ではなくひとりのサッカーファンとして、スタジアムで観たいと思わせる選手は誰だろう。

すぐに思い浮かぶのはカズなのだ。同世代で全盛期を見てきたこともあって、ピッチに立つ彼を見たいと思う。

中村俊輔や現役続行中の黄金世代も、カズと同じぐらい気になる。キャリアの終盤に差し掛かっているアンドレス・イニエスタも、可能なかぎり観ておきたい選手のひとりだ。

サッカー選手は先発予告があるわけでなく、コロナ禍ではケガなどの情報も届きにくいので、試合に出るかどうかが直前まで分からないところがある。JFLの鈴鹿ポイントゲッターズでは先発が続くカズも、1シーズンを通したコンディション作りを考えると、休養するタイミングがあるだろう。

彼らの場合は必ず試合に出るわけではないので、スタジアムへ行っても見られないこともある。毎週日曜日にローテーションが回ってくる佐々木朗希との違いで、めぐり合わせの幸運も必要になってくる。

若い選手ではどうだろう。ここでは松木玖生が思い浮かぶ。

高卒2年目とは思えなく力強さと逞しさを見せる18歳は、近い将来にヨーロッパのクラブへ引き抜かれるだろう。Jリーグでプレーする彼を観られる機会は、実はそれほど長くないかもしれない。海外へステップアップするまでは、できる限りチェックしておきたいと思わせる選手だ。

注目すべきタレントは、彼以外にもいる。ただ、佐々木朗希には及ばない。完全試合後の日本ハム戦は、地上波で急きょ生中継された。当日夜から翌日の情報番組まで、佐々木、佐々木、佐々木である。大谷翔平にも見劣りしないほどの扱いだった。完全試合の条件を満たしたまま8回でマウンドを降りたことも、「続投させるべきか否か」という議論を呼び、それがまた彼のニュースバリューを高めた気がする。

佐々木朗希は紛れもなく逸材だろう。彼とJリーガーを比べるのはナンセンスかもしれないが、「スタジアムで観たいと思わせるサッカー選手が、果たしてどれぐらいいるのだろう」と考えてしまう。高卒で開幕戦デビューを飾った松木を知らなくても、佐々木朗希は知っているという人が、僕の周りで急激に増えている。

ちなみに僕も、佐々木の完全試合をきっかけに千葉ロッテの公式サイトをチェックするようになった。LINEの公式アカウントに友だち登録をして、完全試合記念画像を手に入れた。スマホの待ち受け画像にピッタリのサイズで、もう2年以上使っているカズのものと交換するべきかどうか、かなり悩んでいる。(戸塚啓=スポーツライター)

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