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【コラム】戸塚啓

日本代表が待ち受ける課題 時間との戦いも

[ 2022年9月16日 17:00 ]

オンラインで記者会見する日本代表森保監督
Photo By 共同

9月23日にアメリカと、同27日にエクアドルと対戦する日本代表が発表された。カタールW杯前の準備という意味では、今回が最後の活動となる。そのため、森保監督はいつもより多い30人を招集した。

W杯本大会を見据えると、大迫が気になる。

所属するヴィッセル神戸では、シーズン開幕当初から合流と離脱を繰り返している。J1リーグの出場は8月13日の札幌戦が最後で、9月3日、10日、14日の試合は欠場している。今回も招集されていない。

森保一監督指揮下では、チーム結成当初からメンバー入りしてきた。4-2-3-1でも4-3-3でもCFを任され、指揮官が厚い信頼を寄せるひとりである。自らの特徴を発揮しながら周りも生かせる彼は、取り替えの効かない選手となってきた。

日本代表でプレーしたのは、2月のサウジアラビア戦が最後だ。3月と6月の活動には参加していない。それでも、すでに構築されたコンビネーションがある。チームに復帰すれば、周囲と連携することはできるはずだ。

問題はやはり、時間である。

大迫が所属する神戸は9月18日に30節を消化し、その後はインターナショナルマッチウィークで中断に入る。リーグ戦の再開は10月1日で、この時点で残り5試合だ。再開後からスタメンに復帰しても、トップフォームを取り戻せるか。フィジカル的にもメンタル的にも負荷のかかるW杯の試合で、ドイツやスペインのDFと正面から対峙できるレベルまで、コンディションを上げられるのか。ゲーム感覚とゲーム体力をここから取り戻すのは、簡単ではないと思うのだ。

カタールW杯のグループステージは、中3日で3試合を消化していく。ノックアウトステージへ勝ち上がると、ラウンド16も中3日か中4日だ。いつものW杯より短期決戦の色合いが強い日程で、フルに機能できるのか。その点についても、疑問符を打たざるを得ない。W杯のメンバー入りができたとしても、これまでとは違う役割──たとえばスーパーサブ的な起用法を、考えるべきかもしれない。

そう考えると、アメリカとエクアドルとのテストマッチは、大迫抜きでの戦いをテストする貴重な機会になる。大迫に加えて浅野もいないなかで、これまでの4-3-3を選ぶのか。それとも、違うシステムで戦うのか。

最終予選で主戦術とした4-3-3は、鎌田大地、堂安律、久保建英らを有効活用できなかった。その一方で、ウイングではない南野拓実を3トップの左サイドで起用し続けた。

カタールW杯は、ヨーロッパのシーズン中に行なわれる。所属クラブでプレータイムを確保しているかどうかは重要なポイントで、南野は新天地モナコで定位置をつかめていない。これから序列を上げていくことも考えられるが、クラブでの立場を改善できないままW杯を迎える可能性も否定できない。

だとすれば、所属先で好調な鎌田や久保を先発で起用することも、今回の2試合では視野に入る。それに伴って、4-3-3ではなく4-2-3-1などにシステムを変更してもいいだろう。

ヨーロッパのシーズン途中に行なわれる今回のW杯では、事前合宿でコンディションを上げる時間も、ケガからの回復を待つ時間もない。心身の状態が整った選手を使っていくべきだ。そのためにも、選手の個性を無理なく引き出せるかどうかが重要であり、一つのシステムにとらわれなくてもいいと思うのだ。(戸塚啓=スポーツライター)

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