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2016年07月

この1週間は、35度近くにもなる猛暑だった。暑さと対応はもう何十回も体験してきた高齢者だが、今年の夏は熱中症に気をつけている。公共施設の清掃員といえども、敷地の雑草駆除作業もある。梅雨明け時期の雑草は生長が早いから、あっという間に生い茂る。毎日の体調や天気の様子を見ながら、小1時間の作業でも例年とは違う猛暑を感じている。

▼これまでの戸外活動には、「水分補給を忘れずに」だったが、今年からは「塩分系」も忘れずに取ることを謳い文句に付け加えている。「いたせり尽くせり」のご指導も良いが、長年の智恵からすれば、夏の野外作業などでは「塩分摂取」は常識である。

▼「土用の丑の日」には、ウナギのかば焼きを食べて夏場を乗り切ろう。との、お節介にも耳を貸さずに、財布の中身を計算しながら、毎年食わずじまいで過ごしている。障害者施設での大量殺人事件や、「ポケモンGO」で、若者がウロウロと徘徊するニュースを見るたびに、熱中症にも掛からなった当方は、怒りっぽくなった認知症の初期症状を自覚する毎日である。

▼粗食ながら、往年の智恵を生かして、汗をかきながら高齢化社会に、当方は健康体に感謝しながら7年目を迎える。加えて、空き時間の「地域の活性化」のボランティア活動は、リーダーの飽くなき前向き姿勢にも、何とか追従できている。

▼「住んでよし、暮らしてよい」の、加賀市をアピールする動画を作成中である。不特定多数の市民から募った「私の好きな風景」写真を応募してもらって、既存の観光用動画に差し込む。全編に渡って、加賀市の四季に織りなす、白山連峰から日本海に沈む太陽の風景写真は、市内で活動するアマチュア写真家の作品が採用される。

▼「地域おこし」の原点は、官民一体となっての手づくり活動である。主旨に賛同した参加者には、テーマー音楽を作曲した地域外のグループもいる。猛暑のなか、「若手起業家支援センター」は、定住化促進に熱い市民活動の火を燃やしている。

軽度認知症(MCI)を回復させるテレビの「ドキュメンタリー番組」を、関心を持って観た。60歳の敏腕雑誌記者だった男性が、取材先をダブル・ブッキングしていた。そして、訪問先からの帰路が分からなくなった。53歳の調理人が、独立開業を前に味付けが分からなくなった。35年間の音楽教師だった小学校の先生が、定年後も学校に残る人気の先生だったが、ある日、嫁いだ娘さんが、貯金を全て取っていったと騒ぎ出し、母と娘との確執が生じた。

▼加齢が進むと、「もの忘れ」が多くなってきた昨今の当方も、他人事ではない。番組に取り上げられた「前触れ症状」はないかと、確認をしながらの2時間だったが、高齢者の独り暮らしの一人である現実には変わりない。

▼「認知症」は病気である。病気は加療で回復できる。そして、発病しない予防をしていれば大丈夫だと言うが、やっぱり発病したくない。戦中生まれで、戦後からの「生き証人」と自負しているが、貧しく耐えた時代には、目立たなかった「認知症」が、飽食時代には社会問題として脚光を浴びてきている。

▼豊かな便利社会になると、潜んでいたものを探し出す風潮が、ゲーム感覚として脚光を浴びてきている「ポケモンGO」の珍事。戦後、入学した小学校の校庭には、働きながら勉強する「二宮尊徳像」が、そのままの場所に卒業するまであった。

▼自然災害からの飢餓、戦争、病気を乗り越えても、また、繰り返す歴史の短期間を体験している当方だが、「人間の営み」には、「歴史は繰り返す」という言葉が思い出される。便利な「電波時計」が、テレビや冷蔵庫の家電に詰まった居間に掛けてあったが、最近、また狂ってきている。

▼改めて説明書を読むと、電化製品の近くに設置しないこと。と書いてあった。便利な家電から発する「電磁波」で、時計が正確に表示しないという。

例年だと、日本列島の梅雨明けは、関東地方が早く北陸はその後に来るのが通例だという。しかし、今年は北陸が早く関東は、聞きなれない「山背」現象の影響で、梅雨明けがまだという。東北・関東には北からの高気圧が日本列島を縦に走る山脈にぶつかり雨を降らしていて、乾いた風が北陸地方に吹き込み梅雨明けを早くしたらしい。

▼いつもながら、天気予報は気になるが、思うよういかないもの一つである。野外イベントを計画している立場の人たちの悩みの種でもある。「定住者促進」の花火を上げた歴町センター大聖寺の「活性化サロン」も、来月の定例会場は、「片野海岸の夕日」を見ながらを、テーマーにしている。

▼お盆の「サンセット」の時刻は、19時20分ごろだと分かっていても、雨だったらせっかくの計画の、夕日が雨で消されてしまう。幸いながら、仮説の「浜茶屋」には屋根があるが、雨風の強い浜辺の小屋には、囲いもないだろう。いろいろ想定すると課題がありすぎる。企画した当方は心配でならない。

▼しかし、当日まで3週間もある心配事を悩んでも仕方がない。神仏に祈るしかない。サロンの玄間前には「地蔵菩薩」が安置されている。由緒云々の「地蔵さま」というよりサロン開設に合わせてビル・オーナーの瀬戸氏が、町の発展を祈願して建立した仏像である。自らも、毎朝、手を合わせ、人々の幸せを祈る習慣が、あたり前に行われている。

▼最近、通りを行く高齢者も、手を合わせている姿を見掛ける。どこにでもあった「道祖神」に花を手向けて祈る、素朴な日本の美しい風景が、大聖寺の街中で見られるようになった。明日の天気より、家族を含め地域住民の幸せに、元気な自分への感謝の気持ちを素直に祈る。

▼早速、地蔵尊が答えてくれた。定例会の事前打ち合わせに赴いた、片野海岸の浜茶屋「サン・ルーカス」の責任者が、あなた方のボランティア活動に全て協力します。ただし、雨天の時は会場を変更してください。

「鍛冶町(かじまち)」「鉄砲町(てっぽうまち)」「弓町(ゆみちょう)」は名前の通り、大聖寺藩の武具の修繕を行う「鍛冶屋」「弓屋」、鉄砲足軽らの居住地と言われ、職人などが多く居住したという。鍛冶町は主要地方道・橋立港線に面し世帯数は二十八軒。橋立港線から西側に向って一方通行を中に入ると肉屋、雑貨屋、衣料品店、製茶店と多くの店が軒を連ねる。

▼戦前までは、願成寺は七百年以上の歴史を持つ浄土真宗の寺で、四月の蓮如忌には吉崎御坊参りを終えた市民が同寺に立ち寄ってお参りし、鍛冶町の商店は息つく間もなく大繁盛したという。と、三代続く同町で衣料店の奥さんが当時を振り返った。平成2年に掲載された北國新聞のコラムより抜粋転記した。

▼そんな願成寺の前に「山田宗美生誕の地」の石碑が、末裔が住む玄間口に建っている。山田宗美は、明治4年大聖寺藩御用の家系に生まれた。父親に象嵌(ぞうがん)・鍛金(たんきん)を学び、20歳の時に苦心の末「鉄打出技法」を創案した。その技は誰もが奇跡としか映らなかったという。

▼「鉄打出(てつうちだし)」とは、一枚の薄い鉄板を、熱を加えながら金槌を使って打ちのばし、打ち絞ることによって立体的な造形をつくりだす技法。・・・技法の詳細を伝える資料は残されておらず、現在は誰も再現できない「幻の技法」だという。

▼「山田宗美」没後100年を記念して、「鉄に生命を吹き込んだ男」として、「加賀市美術館」で7/9から9/4まで開催されている。全国から集められた宗美の作品が50点、弟子宗世の作品18点。「百聞は一見に如かず」で、美意識に縁遠い者でも圧倒された。。

▼「鉄は熱いうちに打て」と言うが、銅や銀とは異なり、冷えると弾力性がなくなりたちまち硬い物質にかえってしまう。当方の老体も冷え切った鉄に例えられる。伝承技法は誰もが分からないというが、「打出の小槌」のように、打てば何でも自分の好きなものが出来るという。老体のハートにはいつまでも熱いものを感じていたい。

きのうは、まだ梅雨明けではなかった。不安定な雲が空を動き、さわやかな風も吹く日だった。所属するNPOの「歴町センター」が管理する「大聖寺町並み景観広場」の草刈を志願して、周辺を残し中央部を見た目きれいに刈り取った。

▼熱中症対策の水筒には麦茶も用意して、サングラスで頬かむりの姿の6時間は、休憩を取りながら、涼しい風があったからせいか、思ったよりきつくはなかった。そんな風のときには、しゃがんだ姿勢から、立ち上がり腰を伸ばす。

▼「草刈に 風来るときに 腰伸ばす」。時々、見ているテレビ番組「プレバト!!」のカラ口先生だったら、どんな評価を受けるだろうかと、楽しい時間だった。特待生は無理だろうが、十七文字に収める言葉から宇宙へも広がる景色は、面白いと思うが、当方にはまだまだ先のことだ。

▼梅雨の晴れ間の、「山ノ下寺院群」の「歩きやすい道路」には、時折、観光客らしき人たちが連れ立って通る。そんな団体を目にすると、草むしりをしながら「どちらから来られたか」と声を掛ける。「三木や!」。「それは、遠いところから・・・」。すると、「おつかれさん」と声を掛けられた。竹本先生が引率する三木町の人たちだった。

▼独り歩きの老婦人は、「小松からです。お寺の方ですか?、御朱印をもらいに来ました」。隣は有名な全昌寺ですよと、教える。「寺横で 頬かむりして 草を刈る」と、また、一句。

▼平成16年に「全国町並みゼミ大聖寺大会」招致を記念して出来た「景観広場」。全国から集まったメンバーが、異口同音に「大聖寺の町は、日本の町の縮図」だとの感想を聞いたという。大会を招致した瀬戸達氏は、当時を振り返り感無量の思いで語った。

▼近くに「山の重伝建に海の重伝建あり、大聖寺川や柴山潟もある。加賀四温泉と城下町。古代からの歴史と文化・・・ないものがない豊かな加賀市」を、地元民が意識していない。これを全国にアピールして行くのが私の使命だと。

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