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2015年10月

ブームになっている、全国の「ご当地検定」がピークを越えたらしい。検定を主催する各地の商工会議所も2009年以来廃止するところも出てきているという。そんな中、ご当地の加賀商工会議所は3回目の「加賀ふるさと検定」試験が1129日に行われる。

▼そんな、各地のご当地検定に挑戦する「マニア」も増えているという。目的は知識を溜め込んで、ツアー・コンダクターを目指す人もいるだろうが、多くは、ふるさとの歴史を学び、地域への活性化に寄与したいという奇特な人たちかもしれない。

▼2回目受験の私の場合は、観光ボランティア活動に生かす基礎的知識を深めるという、高尚な目的もあるが、硬くなりつつある前頭葉の老化防止策の方が強い。検定の合否よりも、受験する前向きな姿勢の維持を目指している。「駄じゃれ」風に言う、高齢者がかぶる「ボケ帽子」。

▼毎週1回ボランティアとして、地域活性化の観光案内所で待機していると、いろんな目的でJR大聖寺駅を降りた旅人が立ち寄る。

▼先祖の墓参りに高齢化した子孫が、毎回立ち寄る。現役時代に、納品に訪れた老舗の店の安否を訪ね寄る元営業マン。関東在住の人が、子どものころから聞かされた父親のふるさとが大聖寺だった。他界した父親が懐かしんでいた場所を、探しにきたというリタイア後の旅行者。

▼最近、興味ある話を聞いた。リタイア後に地域貢献で、ボランティア・ガイド役をしている仲間が、数年前に金沢からのグループを観光案内した。そんな縁で親しくなった老女から、時折、直接連絡があり、大聖寺の散策に付き会ったという。今回、独り杖をつきながら来聖。しばしの時間、話し相手をしたという。大聖寺に嫁いだ娘に、母親が会いに来たという情景が思い浮かぶ。

▼「ふるさと検定」で得た知識は、橋立漁港にあがった魚の刺身を、盛り付けた「九谷焼の大皿」のようなものである。旅人は、「九谷焼」でなく、季節毎の味やふるさとの匂いを楽しみ来る。そして、人情にも触れに来る。

わが家の庭に、まだ、「アサガオ」が咲いている。初夏から晩夏のころに満開していた地植えの朝顔の群生は、役目を終えて種をつけたまま枯れ枝にぶら下がっている。

▼少し離れた場所には、地植えのバラがある。その近く、アサガオのこぼれた種が、初秋に地面から芽を出して、一週間前に咲きだした。支えの竹の棒もないから、上に伸びるために近くのバラの茎に巻きつき、板塀のすき間や木目にすがりつくように上に伸びている。

▼地植えのバラの枝に、巻き付いたころから観察していたが、健気に生きる姿に感動して、そのままにしていたら、四季咲きのバラにも秋の花が咲き出し、アサガオも同時に咲き出した。秋晴れが続く朝の庭は、朝露に光る「薔薇と朝顔」の競演が見られた。

▼目を転じると「石蕗(つわぶき)」の黄色い花が、「わたしも見てほしい」と庭の隅で手を振っている。大きな常緑葉は夏の強い日差しの中でも、黙って目立つこともなく陰にいたが、このときこそと言わんばかりに「火傷や傷」にも効くよと、存在感をアピールしている。

▼春から晩秋にかけて、わが世を謳歌した草花たちは、忘れることもなく子孫を残す種を付け、来年に備えている。当たり前の自然界の営みを毎日目にしている。この摩訶不思議な生態を、若いころには目にも止まらず、考えもしなかった。

▼選ばれた草花だけを植えて、鑑賞する「園芸趣味」もいいけれど、「雑草」だって生き物だ。お盆を過ぎたころから、気ままに生える草たちを摘み取らずにしておいた。共存共栄する地球に生きている「名もある雑草」と共に、同じ環境にいる「わが身」も、一生懸命に生きている「路傍の人」。

▼目に触れる「一期一会」を大切にして、日々を過ごす毎日でもある。

子どものころ、読み漁った「西遊記」を、連続テレビ放映の「人形劇」で見ていた。孫悟空(ソンゴクウ)や猪八戒(チョハッカイ)、沙悟浄(サゴジョウ)が三蔵法師のお供をして、さまざまな妖怪に遭いながら、天竺(てんじく)へ大乗経典を得て帰るという物語に夢中になったころがあった。

▼サンスクリット語で書かれた経典を、三蔵法師が漢字に翻訳したものが、日本に伝来して聖徳太子が国内へ広めた。という歴史は、誰もが何となく知っている由来でもある。大昔の中国の僧侶に偉い人がいたものだ。とも、思っていたころがあったが、すっかり忘れていた。

▼古代インド語をサンスクリット語ということを知ったのは、大人になって歴史に興味を持ち始めたころ。そんなサンスクリット語を、今でも読めるという人に出会った。

▼三蔵法師とは、固有名詞でなく、仏教の「経蔵・律蔵・論蔵」に精通した僧侶を指す尊称で、「三蔵法師」と呼ばれていた。「西遊記」の三蔵法師とは「玄奘三蔵(げんじょうさんぞう)」を指す。そして、彼は漢字が読めるインド人僧侶だったという。

▼「ウクレレ」教室の先生に、なんでそんな事を、詳しく知っているのかと尋ねると、仏教大学院生だったころにサンスクリット語を覚えたという。「ウクレレ」は単なる趣味の世界で、実は、コンピュータープログラマーでもあり、そんな技術を駆使したデザイン事業の経営者でもあるという。

▼最先端の仕事に携わっていると、時々、ストレスを開放するために、趣味のハワイアン音楽を教える時間も必要になるのかしれない。秋の夜長に、4弦に人差し指が均等に触れて、良質の音が出るように、繰り返し手首が動く動作を、辛抱強く見守ってくれていた。

▼「老いては子に従い」。そんな年齢さもある師弟関係。冷えた帰路の空には「中秋の名月」。奈良時代「行基」が開湯し、戦国武将「明智光秀」も入湯した、「古総湯」の明かりは消えていた。

「東大教授」の講義を9月5日に受けた。そのDVDが出来上がり、再現画像でじっくりと講義を受けた。当日は、聴講者の椅子でメモしながら受講という状態ではなく、撮影者という役目の立場で、移動しながらであったから傾聴できなかった。

▼第2回「赤瓦の里セミナー」の「基調講演」の講師は、「西村幸夫氏」。現、東京大学先端技術センター所長。元東京大学副学長。日本イコモス国内委員会委員長。元世界遺産記念物会議副議長などの経歴のある著名人。

▼数年前、南砺市「「瑞泉寺」境内の一室で行われた、「西村幸夫町並み塾」に初参加して知った。その後の懇親会でも、何度か遠くからお目にかかっている「顔なじみ」の先生。しかし、まだ、名刺交換もしていない別世界の先生でもある。私は、そんな場でも、末席で裏方に徹していた。

▼柔和な顔立ちで、物腰や立ち振る舞いも上品で、世界中を飛び歩いている国際人。やっぱり何かが違う、オーラーを放つ人。再会の都度に感じている。

▼DVDが届いた日は、秋空が続いた1021日。午後より、うす雲に覆われてきた。その日の夕日は、まぶしさが取れた太陽の輪郭も、くっきりと確認できた。「真っ赤に熟れた柿のような夕日」だった。そんな太陽を感じさせる人の講義は、パワーポイントの画面と併用し分かり易かった。講演は「小さな城下町の個性と特色」と題した、「大聖寺城」のある町への提言だった。

▼全国にも数ある城下町に比べると、かなり複雑な大聖寺城下町である。だからこそ、人をワクワクさせる魅力のある城下町にもなる。しかし、そんな個性的な城下町の芽を見つけ出し、日々磨かなければ、物語を産むことができない。

▼そんな物語への課題は、難しいかもしれない。しかし、次にバトンタッチするまでに、芽を見つけ出すことが出きれば最高だろう。奇しくも、「赤瓦の里」は、夕日に映える「甍(いらか)」の波。真っ赤な夕日は、数ある古代色で、どの赤色に該当するのか、調べてみたいと思った。

「腹八分に医者いらず」のコトワザがある。一般的には、「腹八分目ぐらいの満腹感が、ちょうど良い」という。胃に負担をかけさせないから、病気にもならない。まさしく、現代の生活習慣病の根幹をなす言葉でもある。

▼「耳が痛い」ことを、自戒を込めて記述している。「分かっちゃいるけど、やめられない」習慣病を、意識しだしたのは5年ほど前。改善策は適度の運動、「恥ずかしながら」まだ、効果が出てこない。こんな現状を、主治医の処方箋でカバーしている。「バカは死ななきゃ直らない」のことかもしれない。

▼身近に、「すべては腹八分」という、生き方をしてきた御仁(ごじん)」がいる。これまでも、他人との関係を修復し、友好関係に結び付けている。例えの話では、「困っている人を助ける時も、100%援助しない」。8割にして、残りは本人のために残しておくことが、ポイントだという。自活するためには、残りの「2分」の部分を努力して、自活力を身につけてもらうことが、本当の支援だという。

▼「生き方も八分」。常に縁のあった人にも、その人の人生観の「二分」を尊重して、愛情を持って認める。そんな人生観は、少年期に親の背中を見て育ち、多くの失敗体験の中から立ち上げた事業も軌道に乗り、現在も順調に動いている。そして、支給されている国民年金を、すべて歴史的景観を残す活動資金に導入しながら、残りの人生を楽しく、地域社会に還元している。

▼「言うは易く、行うは難し」。「聞くは一時(いっとき)の恥、聞かぬは末代の恥」。お寺へ行って説法を聞く習慣もない者にとっては、ありがたいことに、身近に聞く体験談の中からの「処世訓」。聞くたびに、熱い息吹が染みる。そして、勇気をもらっている。

▼私の人生も、あと「二分」残っている。過ぎた「八分」をベースに、「自分なりの人生を謳歌」したい。論語「七十而従心所欲不踰矩」。七十にして心の欲する所に従えども矩(のり)を踰えず(こえず)。に、ちょっと「腹八分」のアクセントをつけて生きてみたい。

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