甘利大臣が辞任した。今、思えば、テレビに映る国会(委員会)中継で、答弁に待機する甘利大臣が映し出されていたが、疑惑の心痛を表す顔がアップされていた。「政治と金」は、今に始まったことではないが、こんな事件に出会うたびに、「またか」と。庶民感覚からすれば、別世界の話。
▼だが、油断することなかれ、誰にも当てはまる。人の心に住む卑しい「体質」に、隙あれば忍び寄る細菌でもある。政治家の裏口から侵入する危険な「口利き献金」という「バイ菌」で発病した。これを「自業自得病」という。
▼今回の辞任に追い込まれた原因には、また、事務所「秘書」の事務処理がいい加減であったと。脇の甘さがあったことで責任を取るという。前回の小渕大臣の辞職にも、同じようないい訳であった。安倍内閣が「ヤベー内閣」になるかもしれないことを暗示する事件になるかもしれない。
▼50年前の流行語は「白い巨塔」だった。当時の聖域だった医局制度や医学界の腐敗を鋭く追及した、「山崎豊子」の長編小説が映画化された。人の命を預かる著名な医者と、医学大学で教授を狙う野心的な男が、織りなすドロドロとした人間の確執をストーリにし社会小説だった。
▼「週刊文春」が甘利大臣の不正疑惑を報じなかったら、「小保方晴子」氏の「あの日から、今日までのこと」の出版に関する話題がトップだった、はず。しかし、不運ながら、「STAP細胞研究」を支援した仲間の逆襲にあって「理化学研究所」の、学者たちの人間臭いバッシングで消された手記が、「甘利」でかき消された。
▼「議員バッチ」の世界。「白衣」の世界。「学者」の世界。「制服」の世界である特権階級は、「お上」という厚いカーテンで仕切られた世界は、長い間「別世界」でもあった。庶民はいつも「土下座」しながら仰いでいた。そんな遺伝子が今日まで続いていた。
▼「黄門さま」のテレビ番組が、今でも超人気であることが実証された。「控え居ろう、頭が高い。ここにおわすは、先の副将軍」。水戸の光圀公がいないのが残念である。
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