成人式をつぶやく。
戦後70年を迎えた今年は、いろんな意味で「考えさせられる年」になりそうだ。私は、まさしく70年の「生き証人」でもあり、自分自身の歴史でもある。正確に言えば、戦中派になるのかもしれない。歴史の中の今日も「老人のつぶやき」を通して、時代の流れにしがみついている。
▼1月12日の成人式」には、違和を感じるひとりである。成人式の歴史は浅いが、その昔の男子15歳になった祝い事の「元服式」。女子も大人の仲間入りで、髪型や着物も大人用になった由来から、「小正月」とも言われていた1月15日の成人式が脳裏に滲みついている。
▼半世紀前に、わたしも二十歳の成人式に出て、主催した自治体から祝ってもらった。記念品に何をもらったかは忘れたが、忘れられない「成人検査」を思い出す。話しに聞いていた「赤紙召集令状」での「身体検査」に似た検査方法であった。各地から集まった同年が列をつくり、体型測定の最後は、検査員の前で男性性器を調べられる「性病検査」だった。たぶん「甲種合格」だったであろう。
▼今年は、昭和の元号でいえば「昭和90年」。昭和生まれの年齢が、即、暗算できる便利な年でもある。「明治は遠くなりにける」の言葉通りになった。高齢者の中にも明治生まれはほとんど現存していないと思う。
▼「成人式に騒ぐ」ニュースが、数年前から問題になって来た。二十歳の大人になったパホーマンスであろうが、やっぱり子どもじみている。戦争を知らない、平和になってからの親から育てられた子どもらは、大人になることが分かっていない。15歳で「元服式」を迎えた江戸時代から見ると「幼児化」は、昨今の「お年玉」を貰う年齢層にも現れている。子育て中の30代の親が、祖父や祖母から平気で貰っているという。