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経済ニュースゼミ

小笠原誠治の、経済ニュースを通して世の中の動きを考察するブログです。地球温暖化阻止のために石油・石炭産出権取引を提唱します。産出権取引は排出権取引とは違います。みんな勘違いするのです。

2016年04月

NHKのニュースです。

「アメリカ財務省は各国の為替政策に関する最新の報告を公表し、通貨を意図的に安く誘導する為替操作への監視を強化するため、中国や日本など5つの国と地域を新たに設ける「監視リスト」の対象にして動向を詳しく分析していくと発表しました。」

米財務省が半年に一度、議会に対して各国の為替政策に関して、レポートを提出しているのをご存知でしょうか?

そうです、為替操作をしている国がないかを報告するための制度です。

1988年からこの制度は始まっていて、1980年代から1990年代にかけて台湾、韓国、中国が為替操作国に認定されたことがあるものの、1994年以降は、どこの国も為替操作国には認定されていないといいます。つまり、近年の中国でさえ為替操作国には認定されていないのです。

「中国を認定せずして、どこの国を認定するのだ!」

そんな批判が予想されます。つまり、中国の行為を指摘しないのであれば、そのようなレポートは意味がない、と。

しかし、まあ、中国を為替操作国に認定してしまうと、米中の関係が益々ぎくしゃくしてしまうので、現実問題としてそれは大変難しいのです。ただ、その一方で、産業界からは絶えず他国の為替介入行為に対する不満の声が上っているので、政府としては、それなりの努力をしているという姿勢も見せない訳にはいかない、と。

そうした妥協の産物が、この為替報告書の制度ということになるのではないでしょうか。

いずれにしても、為替報告書に関しては、そんな思いを抱いていた人が多いと思うのですが...上にニュース報道にあるように、ルー財務長官がびっくらぽんをくらわしたのです。

つまり、為替操作国ではないものの、今後、中国、日本、韓国、台湾、そしてドイツを監視リストに入れて監視を強化する、と。

そもそも為替操作国として認定される要件としては、

(1)対米貿易黒字が大きいこと

(2)経常黒字が大きいこと

(3)常時、一方向の為替介入を行っていること

の3つを満たす必要がありますが、それら3つの要件のうち2つを満たしている国を要監視国に指定すると言うのです。

Pursuant to the Act, Treasury finds that no economy currently satisfies all three criteria, however, five major trading partners of the United States met two of the three criteria for enhanced analysis.

「法律に従い、米財務省は、現在、3つの要件全てを満たす国はないと考えるが、米国の5大主要取引相手が3つのうちの2つの要件を満たし、さらなる分析を要すると考える」

Treasury is creating a new "Monitoring List"that includes these economies: China, Japan, Korea, Taiwan, and Germany.

「米財務省は、『監視リスト』を新たに作成し、そこに、中国、日本、韓国、台湾、そしてドイツを入れる」

China, Japan, Germany, and Korea are identified as a result of a material current account surplus combined with a significant bilateral trade surplus with the United States.

「中国、日本、ドイツ、そして韓国は、対米貿易黒字が大きく、かつ経常黒字が大きい結果、指定された」

Taiwan is identified as a result of its material current account surplus and its persistent, one-sided intervention in foreign exchange markets.

「台湾は経常黒字が大きく、かつ、常時、一方向の為替介入を行っていることから指定された」

Treasury will closely monitor and assess the economic trends and foreign exchange policies of these economies.

「米財務省は、こうした国(地域)の経済動向と為替政策を注意深く監視する」

ということで、中国だけではなく、日本やドイツまでもがリスト入りとなったのですが...

でも、何故今、という思いを禁じ得ません。日本が現に今でも頻繁に為替介入を行っているというのであれば、分からないでもないのですが、そうではないのですから。

それに、ドイツはユーロ圏に属しているため、自国の独自通貨を所有してもいないのに何故監視されなければいけないのか、と。

この報告書が日本やドイツについて、どのように論評しているのかみていましょう。


Japan has a significant bilateral trade surplus with the United States and a material current account surplus.

「日本は、対米貿易黒字が大きく、経常黒字も大きい」

Japan has not intervened in the foreign exchange market in over four years.

「日本は、過去4年間、為替市場に介入していない」

Given Japan’s fragile growth outlook,it is increasingly important that the authorities use all policy levers, including a flexible fiscal policy and an ambitious structural reform agenda, to lift near-term growth.

「日本の成長見通しが脆弱なことを考えれば、当局は、短期的な成長を支援するための柔軟な財政政策や野心的な構造改革を含む全ての政策を用いることが重要である」

Treasury assesses that current conditions in the dollar-yen foreign exchange market are orderly, and reiterates the importance of all countries adhering to their G-20 and G-7 commitments regarding exchange rate policies.

「米財務省は、ドル円の為替市場の最近の状況は整然としたものであると評価し、全ての国が為替政策に関するG20及びG7の約束事項を守ることが重要であると重ねて強調する」

退屈な論評ばかりですが、各論に入ると、本音が窺える表現も出てきます。


In January the Bank of Japan (BOJ) surprised markets by introducing negative interest rates on a portion of excess reserves, with BOJ Governor Kuroda saying the BOJ will continue to do whatever it takes to achieve its 2 percent inflation target.

「1月、日本銀行は超過準備の一部に対するマイナス金利の導入を決定し、また、黒田総裁は、2%のインフレ目標を達成するために必要であればどのような措置も採り続けると言って市場を驚かせた」

After initially depreciating in the days following the BOJ decision, the yen resumed its appreciation against the dollar and, as of end-March, stood 8.9 percent stronger since its recent low in mid-November.

「日銀の決定後暫く、円は安くなったが、その後、再び対ドルで値を上げ、3月末時点では昨年の11月央につけた最近の安値から8.9%円高になっている」

Japanese authorities characterized exchange rate movements as "quite rough" and said that they would "continue to watch the foreign exchange market with a sense of tension, and . . . act appropriately if that becomes necessary."

「日本の当局は、こうした為替レートの動きを、『極めて荒っぽい』と評し、緊張感をもって外為市場を注視し続け...また必要な時には適切に対応すると述べた」

要するに、米国としては、日本が今にでも為替介入しかねないので、その前に釘を刺しておきたかったということなのでしょうか。

次はドイツです。

Germany has both a significant bilateral trade surplus with the United States and a material current account surplus.

「ドイツは、対米貿易黒字及び経常黒字がともに大きい」

Germany's 2015 current account surplus, at almost 290ドル billion, accounted for the bulk of the euro area’s surplus, and pushed the surplus of the euro zone to over 3 percent of GDP.

「ドイツの2015年の経常黒字は、おおよそ2900億ドルで、ユーロ圏の経常黒字の大部分を占めていて、ユーロ圏の経常黒字をGDPの3%にまで押し上げている」

The European Central Bank (ECB)has not intervened in foreign currency markets since 2011, and did so then as part of a G-7 concerted intervention to stabilize the yen following Japan’s earthquake and tsunami.

「欧州中央銀行は、2011年、日本で地震と津波が起きた直後に円を安定化させるためにG7の一員として協調介入した後、為替市場への介入は行っていない」

Nonetheless, Germany has the second largest current account surplus globally.

「しかし、ドイツは、世界で2番目に大きな経常黒字国である」

This represents substantial excess saving—more than 8 percent of GDP—that could, at least in part, be used to support German domestic demand, while reducing the current account surplus and contributing markedly to euro-area and global rebalancing.

「このことは、GDPの8%以上の過剰な貯蓄の、少なくてもその一部を国内の需要を支援するために用いることができることを意味する。そうすれば、経常黒字の縮小と、ユーロ圏と世界のバランス調整に貢献できる」

In Treasury’s view, Germany has adequate policy space to provide additional support to demand.

「米財務省の見解では、ドイツは、需要に対する追加支援を行う十分な政策余力がある」


ドイツについては、依然疑問が残ります。確かにドイツの経常収支が大きいのは事実でしょうが、ドイツはユーロ圏に属しており、為替操作などできる筈がないのに何故リスト入りさせる必要があるのか、と。

それにドイツがユーロの価値を安くしようとして、超緩和策を声高に叫んでいるのであれば別ですが、ドイツは、むしろ超緩和策には反対する姿勢で臨んでいるからなのです。

結局、米国にとっては、経常黒字国は、全て怪しからん国だということになるのでしょう。

米国では大統領候補指名争いでトランプ旋風が吹き荒れています。そうしたなか、中国や日本の為替政策に対する批判の声が高まっているので、民主党のオバマ政権としても、そうした批判の声を抑えるために、自分たちもしっかりとそうした国を監視しているのだという姿勢を見せる必要があったということなのではないでしょうか。

いずれにしても、オバマ政権がそのような考えである以上、今後は円高ドル安の流れが強まるとみていた方がいいのではないでしょうか?

この為替レポートで黒田総裁が名指しされ、マイナス金利政策にまで言及されたところをみると、この先、マイナス金利幅を大きくするような政策も採りにくいのではないかと思われます。


米国も他の国ばかり批判しないで、自ら経常赤字を縮小する方策を考えたらどうかと思う方、クリックをお願い致します。
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日銀のゼロ回答に対するマーケットの失望ぶりは大変なものだったようです。

私、昨日の黒田総裁の会見を見ていたのですが、グレーのネクタイと渋い表情が如何にも黒田総裁の心情を物語っているように思われました。

いずれにしても、黒田総裁と安倍総理のシナリオには今回、追加緩和策を打つという選択肢は元々なかったのではないでしょうか。

にも拘らず、ブルームバーグの記者が憶測記事を書いてしまいマーケットの期待を大いに盛り上げてしまった、と。そして、これは遺憾とばかりに、本田参与が打消しの発言を行った、と。

本田参与が「今週、日銀が行動に出るとは限らない」と、敢えて否定的な発言をした訳ですから、その意味をもう少し考えるべきではなかったのでしょうか。そうすれば、ここまで失望することもなかった、と。

いずれにしても、マーケットを大いに失望させた黒田総裁です。

黒田総裁に対する信頼は地に落ちた言うべきかもしれません。身内とも言うべき金融界のなかからもマイナス金利政策に対する批判の声が出ています。メガバンクの会長が日銀の政策を批判するなんて普通は考えられないのです。

ただ、私、思うのですが、このまま黒田総裁が自分たちのやってきた政策の誤りを認めることはないと思います。そんなことをしたら、安倍総理の顔に泥を塗ることになってしまうからです。

いつやるかは別にして、もう一度、何かぶっぱなしそうな気がします。

ところで、読者の方から、黒田総裁に関する感想が寄せられました。

「インフレが一番の目的ではなかったように思われます。旧大蔵省出身の日銀総裁の復活(黒田さんで復活)と消費税増税を成し遂げるために、円安と株高さえ演出できればいいという考えだったのではないでしょうか? 旧大蔵省の省益だけを考えたストーリーだったような気がしますが。旧大蔵省の人間が国民の生活や経済のことなど気にするはずがありません。(言い過ぎでしょうか?)今後の日銀の政策は、ある程度の株価を演出するため、適切なタイミングで適切な金融緩和をすることだけに集中するのではないかと思います。そして、消費税が10%になったら日本の経済はどうなってしまうのか? ということをこれから考えた方がいいように思われます。冬支度です。」

如何でしょうか? 貴方も、賛同されるでしょうか?

しかし、私は違う見方をしています。

この方は、マイルドなインフレにすることが目的だったのではなく、消費税増税が最大の目的ではなかったのかと仰います。そして、そのために円安と株高を実現する政策が必要だった、と。

でも、黒田氏は、それまでの大蔵省出身者で日銀総裁になった人たちとはタイプが違うのです。

黒田氏は、あくまで財務官経験者であり、事務次官は経験していません。それに、それまでの大蔵省出身者で日銀総裁になった人は、金融政策等に関し独自の意見を持っていた人は少なかったのではないかと推測します。よく言えば融通無碍。悪く言えば、いろんな人の意見を聴いて、一番常識的な道を選ぶ、と。

しかし、黒田氏はそうではなく、金融政策について拘りがあったのです。日本がデフレを脱却するには、物価目標政策が是非とも必要であるし、それによって必ずマイルドなインフレを起こすことが可能であったと考えていたのです。

その点、本来であれば副総裁から総裁の座に横滑りする筈だった武藤氏とは大いに異なります。武藤氏は、インフレ目標政策がそれほど効果があるとは考えていなかったのではないでしょうか。しかし、その一方で、否定する訳でもない、と。つまり誘導無碍。

従って、黒田氏にとっての目的は、マイルドなインフレを実現して日銀の名総裁として名を残すことにあったと言えるでしょう。

但し、消費税増税の実現をサポートする気持ちがあったのは事実でしょう。何故ならば彼は主税畑のタックスマンでもあるからです。

旧大蔵省出身の日銀総裁復活を実現させるという仮説は、私からみたら当たっているようには思われません。何故なら、繰り返しになりますが、黒田氏は事務次官経験者ではないからです。黒田氏が日銀総裁に選ばれたのは、旧大蔵省出身者あるからではなく、安倍総理と同じリフレ派政策を強く信奉する人間であったからであるに過ぎません。

つまり、黒田総裁の実現のために旧大蔵省が組織として働きかけた事実はないのです。あくまでも黒田氏が個人的に動いただけなのです。

旧大蔵省の人間が国民の生活や経済のことなど気にする筈がありません、とも仰っていますが...どうして断言できるでしょう。

組織ですからいろんな人がいるのは事実です。国民の生活よりも自分の出世、自分たちの組織を守ることを優先する人が多いのは否めないでしょうが...しかし、だからといって、全く国民の生活や経済について無頓着である筈がありません。彼らは彼らなりに日本の経済について考えているのです。

予算はぶったぎるし、税金を上げることしか考えていないではないかと、不満を口にしたくなるのは分からないではありません。しかし、そのような役割を演ずる人がいないとしたら、この日本という国家はどうなってしまうのでしょうか?

例えば、毎年、財務省が要求もしていない予算まで付けてくれ...その上、景気がなかなかよくならないからこの際、消費税は5%どころかゼロ%に戻そう、なんてことになったら、税収不足は大きくなるばかり。そうなると、益々国債を発行せざるを得ないのです。

そうやって景気がよくなり、なおかつ、減税した額以上に税収が増えるという見込みがあるのなら別ですが、そのようなことを期待するのは楽観的過ぎるというよりも無責任と言うべきではないのでしょうか?

減税して税収が増える筈だという社会実験は、米国が、レーガン大統領時代に実際にやってみて失敗したではありませんか?

いずれにしても、黒田総裁のことですから、このまま黙って引き下がることはないでしょう。

ヘリコプターマネーなんてことが噂されていますが、私は、ドローンで各家庭にお金を配るドローンマネーなんてものを打ち上げるのではないかと思っています。




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なんとしてでもデフレから脱却しなければならないという安倍総理の主張を踏まえて実施されている日銀の異次元の緩和策というか、量的質的緩和というか、インフレ目標政策というか、マイナス金利付き量的質的緩和というか...

否、どんな呼び方でもいいわけですが、要するに、日銀がじゃんじゃんお札を刷ってインフレにしようという作戦が全く功を奏していないのです。

本日、3月の消費者物価指数が発表になりました。

生鮮食品を除く総合で、前年同月比マイナス0.3%となったのです。

どうなっているのかと言いたい!

食料(酒類を除く)及びエネルギーを除いた総合指数でみても、前年同月に比べて0.7%の上昇にしか過ぎないのです。

この3年間ほどの間に、260兆円も日銀の国債の保有高が増えたにも拘わらずです。

少なくても、エネルギーを除いた総合指数でみた場合には、2%以上のインフレ率になっていなければおかしいではないですか。

ということは、安倍総理と黒田総裁が始めたインフレ目標政策が完全に失敗したということなのです。少なくても物価を上げることには失敗した、と。

だったら、反省すべきではないでしょうか。

でも、この人たち、どういう訳か反省はしないのです。

それにしても、リフレ派の人々は何故物価を上げることが何よりも重要であると言い張っていたのでしょうか?思い出してみて下さい。

そうなのです。最大の理由は、金利がゼロパーセントより下らない状況で物価の下落が続くと、実質金利が高くなり、従って、お金を借りる人たちの金利負担が大きくなりすぎる、と。そうなると、設備投資などの経済活動が抑え込まれてしまうから、というものでした。

例えば、インフレ率が5%のとき、名目金利が5%であれば、実質金利は0%

インフレ率が3%のとき、名目金利が3%であれば、実質金利は0%

インフレ率が2%のとき、名目金利が2%であれば、実質金利は0%

インフレ率が1%のとき、名目金利が1%であれば、実質金利は0%

インフレ率が0%のとき、名目金利が0%であれば、実質金利は0%


しかし、名目金利が0%を下回ることができないのならば...

インフレ率が−1%のとき、名目金利が0%で、実質金利は1%

インフレ率が−2%のとき、名目金利が0%で、実質金利は2%

インフレ率が−3%のとき、名目金利が0%で、実質金利は3%


インフレ率がマイナスにあるデフレ状態では、このように実質金利は、物価の下落率と歩調を合わせて上昇し経済活動を阻害してしまう、とリフレ派は考えたのです。

実際に、このような状態が日本で起きていたと言うのであれば、リフレ派の主張も相当の説得力を有すると思います。

しかし...

グラフをご覧ください。

実質金利の推移


1986年以降の実質金利の推移を示したものです。

名目金利=期間10年の国債の利回り(各年の最終取引日の利回り)

インフレ率=生鮮食品を除いた総合指数の前年同月比(各年の12月の数値)

実質金利=実質利回り=名目金利−インフレ率、となっています。

(注)2016年の数値は、名目金利は3月末の数値、インフレ率は3月の数値です。


このグラフから分かることは、デフレの傾向が顕著になった1990年代の後半以降、むしろ実質金利は低下傾向にあるということなのです。

要するに、1990年代後半以降デフレの傾向が現れたものの、日銀による超緩和策の影響でインフレ率が低下する以上に名目金利の低下が起きていたということなのです。

つまり、アベノミクスがスタートした時点では、実質金利が高いことが原因で経済活動が阻害されていたという事実などなかったのです。

だとしたら、なんのためのインフレターゲットであったのかと言いたい!

百歩譲って、それでもなおインフレ率を引き上げることが可能であれば、或いは名目金利をマイナスの領域に誘導することができれば、実質金利が低下するのは事実ではあるのですが...でも、そのような政策を採るということは、お金を借りる立場の人には易しく、そして、反対にお金を貸す立場の人には厳しく接するということになるのですが、安倍政権は、お金を借りる側の企業に対して、労働者の賃金をもっと上げてやれと言ったり、或いは、お金を貸す側の国民の消費を支援するような相矛盾する政策を採用してきたのです。

デフレの状況にあって多額の貯蓄がある家計部門は、貨幣価値の上昇によって不当な利益を得ているというのであれば、本来、家計部門を支援する必要などない筈です。

しかし、実際には、上のグラフで分かるように実質金利はデフレの状況にあっても低下傾向にあった訳ですから、家計部門は得べかりし利子所得を失っていたのです。

だったら、なおさら何のためにインフレにする必要があったのでしょうか。

要するに、物事を深く考えることなく、単にリフレ派政策は正しいと信じ切って、インフレ目標政策をスタートさせたものの...しかし、所期の効果が発揮されることはなく、仕方なく今、マイナス金利などというとんでもない手段に手を出しているのです。


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三菱自動車の相川哲郎社長が、「会社の存続にかかるほどの大きな事案」と言っています。

なんのことかお分かりですね。

燃費偽装の件なのです。

でも、存続にかかわるというよりも、1991年からずっと偽装を続け、しかも、本件以外に過去2回もリコール隠しをした「前科」からすれば、もはや猶予の余地はないと言うべきでしょう。

実際、三菱自動車自身、平成16年5月、「自動車メーカーとして存続する、これが最後の挑戦であるとの気概をもって今回の再建計画を作った。安全、品質を第一とする基本に立ち返る」と宣言していた訳ですから。

最後の約束が守られなかった以上、退場は当然。

そう思いませんか?

でも、私だって、本当は三菱を少しは応援した面もあるのです。

何故かと言えば、私は今、島原市に住んでいますが、島原市のある長崎県の長崎市は、三菱の企業城下町と言われる土地柄であるからです。

長崎では、「三菱の方、県庁の人、市役所んもん」という言い方をするなんてことが昔から冗談半分に言われていました。それほど三菱のステータスは高いのです。

さらに言えば、三菱自動車の相川哲郎氏の父親で三菱重工の社長、会長を務めた相川賢太郎氏(現在は相談役)は島原半島の出身でもあるからです。

言ってみれば、郷土の誇りみたいに思われていた人なのです。

でも、その相川賢太郎相談役は、次のようなとんでもない発言をしているのです。

「買う方もね、あんなもの(公表燃費)を頼りに買ってるんじゃないわけ」

「実際に乗っとる人はそんなに騒いでないと思うんだけどね」

もう開いた口が塞がりません。盗人猛々しいとは、このことではないでしょうか。

私、毎日、日経の「私の履歴書」を読んでいます。4月は、三菱地所の福澤武元三菱地所社長が執筆していますが、結核にかかってしまったため、入社が28歳になったということを知りました。企業文化を変えるために大変努力したとも。

でも、三菱グループとして、まだまだ変えなければいけないもの多く残っているような気がします。

三菱自動車を支援してしまえば、変えるべきものも変えることはできません。

一旦は、破綻させるしかないと思います。




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本田参与が、ウォールストリート・ジャーナルのインタビューで、日銀が今週行動に出ると限らないと述べています。

余談ですが、本田参与は3月11日に駐スイス大使に任命されるも、スイスへの赴任は6月上旬位になりそうだというのです。

そんなに大使の仕事って暇なのでしょうか? だったら、この際思い切って大使の数を減らしたらどうでしょうか、と言ってみたくなりました。

まあ、それはそれとして...内閣官房参与の立場にある者が、日銀は今週、行動しないなんてことを言う必要があるのでしょうか?

おかしいではありませんか? だって、日銀は政府から独立して政策決定を行うことになっているからです。

先日、麻生財務大臣が、米国の財務省が為替について話をするのはおかしいという珍説を発表しましたが、言うのであれば、内閣官房参与が日銀の行動を事前に牽制するようなことを言うことこそおかしい!?

違いますか?

いずれにしても、本田参与は、今週の追加緩和をやんわり否定し、やるのであれば6月になる可能性があると述べているのです。

これまた、小さな親切、大きなお世話ですが...私が昨日指摘したように、やっぱり選挙との絡みを考慮しているということではないのでしょうか?

或いは、巷間、市場は既に織り込み済みだから、日銀が行動しないと市場は失望してしまうだろうと言われているので、日銀が突然期待を裏切るような行動に出るより、本田参与を通じて余り期待が高まらないようにしようという作戦なのでしょうか?

1月にマイナス金利を導入し、そして、まだ3か月しか経っていないのに...かつ、ひと頃の円高圧力は弱まっているというのに...私は、ここで日銀が行動に出ることはないと読んでいます。

但し、黒田総裁のことですから、何をしでかすか分かりません。

はまだ、ほんだ、くろだの3人を重用する安倍総理。

「おじいちゃん、最近見かけなかったけどどこかに行っていたの?」

「はまだ。浜で潮干狩りしてた。」

「あら、大使ではありませんか。ところで経済はどうやって学んだのですか?」

「ほんだ。」

「総裁は、最近、AI碁と碁を打ったそうですね。白を持ったのですか?」

「くろだ。」


経済運営に関して余計な口出しをするよりも、潮干狩りとか、読書とか、囲碁でもやっていて欲しいと思います。



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今週の27日と28日に日銀は金融政策決定会合を開きます。金融政策決定会合とは、正に読んで字のごとく金融政策の内容を決定する会合です。

ということは、現状維持で行くか、何か新しい政策が追加されるかが決定されることになる訳ですが...市場では、例えば日銀による市中金融機関に対するマイナス金利の貸出が導入されるのではないか、なんて噂されているのです。要するに、追加緩和策が打ち出されるであろう、と。

しかも、市場関係者はそのことを織り込み済みだと言うのです。従って、実際にそれが不発に終わると失望感から株は売られるであろう、と。

まあ、そういう論理で日銀を脅かしているのです。

でも、そんな作戦の乗せられて日銀がいい加減な決定を下すとしたら、一体日銀はなんのために存在するのかと思ってしまいます。

株価が上がりさえすれば、それでいいのか?!

円安に誘導できさえすれば、それでいいのか?!

おかしいでしょう?

しかし、誰もおかしいとは言わない。神経が摩耗しているのです。

それに、日銀が市中金融機関にマイナス金利で貸出を行えと主張しているのは、元日銀副総裁の岩田一政氏であり、何故そのような措置を導入すべきかという理由は、年間80兆円ものペースでマネタリベースを増やす今のやり方は、日銀が高値で国債を買い取ることが必要なために8兆円もの損失が発生しており、これ以上耐えられないからと言うのです。

だったら、そもそも今やっている大量の国債の買取の是非について議論を尽くす必要があるではないですか。

そのような議論もせず、徒に追加策を求めるだけの市場関係者!

全ての市場関係者がそうだとは言いませんが、それにしてもおかしい。

一言で言えば、薬物中毒にかかったようなものなのです。

それに、日銀が追加策を打ち出す目的は、デフレからの脱却、つまりインフレ率を高めることにある訳ですが、金利を異常に低くしたり、或いはマイナスにすることによって何故インフレが起こるのかを国民に説明する必要があるのです。

企業にとって調達コストが低くなるということは、それだけ経費が安く済むので、だったら製品価格を引き下げ他社を出し抜こうと考えるだけではないですか。

今の日本のような状況では、どれだけ金利を下げても物価はなかなか上がらず、上がるのは株価などの資産価格だけなのです。つまり、バブルを起しているだけだ、と。

いずれにしても、再び円安に振れ、株価も上昇している(本日は、もたついていますが)のですから、私は、現状維持かなと予想しています。

やるなら選挙直前ですよ。それが良いことだとは思いませんが。


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再び円安に流れが変わり、株価が上昇しています。

アベノミクスが不死鳥のように蘇りつつあるのでしょうか?

つまり、この流れが今後も続き、目標としている2%のインフレ率を達成することも十分あり得るのか、と。

私は、その可能性は極めて小さいとしか思えません。

というのも、第二次安倍政権発足以降、あれだけ円安が進んだのにも拘わらず、インフレ率はたいして上がらなかったという事実があるからです。それに、円安が進んでも輸出数量は全然増加しなかったでしょう?

輸出回復の遅れに対して、黒田総裁は、Jカーブのなせる業で、時間の経過とともに輸出は回復するなんて豪語していたのに、その気配は未だになし! というよりも、輸出数量は減少しているのです。

クルーグマン教授も、もう少し待て、なんて言っていましたが...

やっぱり、アベノミクスは失敗に終わるのでしょうか? 黒田総裁は、運がないのでしょうか?

私は、そうは思いません。黒田総裁は強運の持ち主なのです。また、だからこそ事務次官を経験していなくても日銀総裁の座に就くことができたのです。

では、アベノミクスはいずれ成功するのか?

そうは思いません。黒田総裁は強運であるが故にアベノミクスは成功しないのです。

何故か?

仮に、今のマイナス金利政策が功を奏して、今後益々円安が進むとともに、インフレ率が少しずつ上がり始め、ついに2%の目標値を軽く突破する事態が訪れたと仮定しましょう。例えば、インフレ率が3%とか4%に達した、と。

そうなると、賃上げもしやすくなるでしょう。

しかし、流石にそうなると、今度は金融を引き締めにかからなければなりません。そのまま放置しておくとインフレが酷くなる恐れがあるからです。

でも、そうなると、日銀が利上げを急がなくても金利は自然に上昇し始めます。

金利が上昇し始めるということは国債の価格が下がるということですから、今日銀が保有している350兆円以上もの国債は不良債権の山と化す訳です。もちろん、満期まで国債を保有すれば評価損が実現化することはありませんが、金融を引き締めるためには日銀が保有する国債を売り払って市中から資金を回収する必要があるので、どうしても損が生じてしまうのです。

その一方で、政府の国債の利払い負担も急増してしまいます。つまり、予算が組めない、と。

インフレになると税収が増えるから、自動的に財政再建を実現できるなんていう意見がありますが、仮にインフレになって税収が増えても、物価が上がっているのですから歳出も増えるのです。どうして、それで財政再建ができるのでしょうか?

ついでに言うと、国内の金利が上昇をし始めると、これまで海外に向かって流出していた大量の資金が逆流を起す訳ですから、大変な円高をもたらすでしょう。

そうなると、円高対策のために金利を引き下げる必要がある訳ですが、インフレ率が低下しないうちは、なかなか金利を下げる訳にもいかないのです。

ということで、経済は大混乱してしまうでしょう。

そんな事態になるくらいだったら、今のままの方がマシかもしれません。

だから、黒田総裁は運がいいのです。

いずれにしても、お金を借りる政府がマイナス金利のプレゼントをもらったり、また、市中金融機関に日銀がマイナス金利で融資をするようなバカなことをするのであれば、皆、円に愛想を尽かし見向きもしなくなってしまうのではないでしょうか。






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岩田一政という人がいます。日銀の副総裁をやっていた人です。

その岩田氏が21日都内で講演を行い、日銀による市中金融機関への融資をマイナス金利で行うこともあり得ると述べたのだとか。

昨日から急激に円安が進み、本日は1ドル=111円台をつけていますが...その主な理由が、日銀が追加緩和策を打つ、具体的に言えば、日銀が市中金融機関にマイナス金利の融資を導入するのではないかという噂が流れているからなのです。

私、昨日、日銀が市中金融機関にマイナス金利の融資を導入するかもしれないというニュースに接したとき、そんなバカなことが本当に行われるのかと思ったのですが、どうやら震源地は岩田氏にあったようなのです。

貴方も、バカバカしいアイデアだと思うでしょう?

だって、日銀からお金を借りると、マイナス金利分だけ儲けになるのですから、市中金融機関のみならず誰だってお金を借りたいと思うのは当然だからです。そして、市中金融機関がお金を借りて得をした分、日銀は損失を被る、と。

それでは、日銀の経営が成り立たないではないですか!?

それに、そんなことをしても、必ずしも市中金融機関が日銀から借りたお金を一般の融資に回す保証はないのです。

ただ、岩田氏の弁護を敢えてするならば、岩田氏は、市中金融機関が一般企業に対して実際に融資を行うことを条件にマイナス金利を適用すべしと言っているようなので、日銀からお金を借りた市中金融機関が、それをそのまま使わずに持っておくことはできないのです。

では、仮に岩田氏のアイデアが実現したとして、これまで余り動きのなかった市中金融機関による融資が大きく伸びることが期待できるのでしょうか?

まあ、でも、殆ど効果はないのではないでしょうか。

というのも、今、日本の企業は多額の内部留保を保有しているので、設備投資を行う場合でもそれほど金融機関の世話にならなくてもできる状況にある一方で、そうであるにも拘わらず設備投資が盛り上がらないということは、設備投資が盛り上がらない原因は、融資条件に問題があるというよりも、国内の需要が弱いことや、賃金の内外格差があるからに外ならないからです。

いずれにしても、では何故、日銀によるマイナス金利融資を岩田氏が提案しているかと言えば...

「日銀が高い価格で国債を買うことで過去3年間で既に8兆円超の損失が生じている。これを償却するには1年で1兆円程度が必要となる。財務上の理由から、これ以上の量の拡大は難しい」

なんですって。

黒田総裁が3年前に始めた大量の国債購入計画のために、日銀は8兆円も損を被っているのだ、と。

しかし、日銀の財務諸表を見る限り、そのようなことは分かりません。つまり、狭義の損失には該当しないのでしょう。

日銀の国債保有高は、過去3年間で260兆円ほど増加していますが、その約260兆円として計上している国債は、実際には252兆円の価値しかない、つまり252兆円しか償還されないという意味なのでしょうか。

で、岩田氏は、日銀による国債の大量購入はそれほど大きな損失が伴うものだから、限界であって、だから他の方法、具体的には、マイナス金利の融資を始めたらどうかと言っているのです。

でも、マイナス金利の融資を行えば、これまた日銀が損失を被るのは明白です。

岩田氏は、マイナス金利の融資の場合には、損失は被っても、それほど大きな損失にはならないと言いたいのでしょうか?

しかし、いずれにしても、お金を借りる側の市中金融機関がマイナス金利のプレゼントをもらえるなんておかしいといったらありゃしません。

こんなでたらめな金融政策を続けていていいのでしょうか?

本日は、最後に読者からのコメントを紹介させて頂き、終わりにしたいと思います。

「新聞やテレビは、大本営発表ですから。今、いくら借金が増えても日本は破綻しないとか言ってる人がいます。実は昔も同じことを言ってたんですね。国民としては、外貨を買うなりして、備えるしかありません。

>「六、国債の将来
(1)国債がこんなに激増して財政が破綻する心配はないか 国債が沢山殖えても全部を国民が消化する限り、すこしも心配はないのです。 国債は国家の借金、つまり国民全体の借金ですが、同時に国民が其の貸手でありますから、 国が利子を支払つてもその金が国の外に出て行く訳でなく国内に広く国民の懐に入っていくのです。」
「隣組読本 戦費と国債」(発行:昭和16年/制作:大政翼賛会)より

大政翼賛会と同じことを言ってる人がいますね。歴史は繰り返します。

隣組読本7



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突然ですが、国債の市中消化の原則というのをご存知でしょうか?

国債の市中消化の原則とは、政府が国債を発行する場合、原則として日銀に国債を直接引き受けてもらうことはできず、市中金融機関や個人に国債を買い取ってもらわなければならないことを定めたルールです。

何故、このようなルールがあるかについて、日銀のサイトでは次のように説明されています。

「これは、中央銀行がいったん国債の引受けによって政府への資金供与を始めると、その国の政府の財政節度を失わせ、ひいては中央銀行通貨の増発に歯止めが掛からなくなり、悪性のインフレーションを引き起こすおそれがあるからです。そうなると、その国の通貨や経済運営そのものに対する国内外からの信頼も失われてしまいます。これは長い歴史から得られた貴重な経験であり、わが国だけでなく先進各国で中央銀行による国債引受けが制度的に禁止されているのもこのためです。」

(中略)

財政法第5条:
すべて、公債の発行については、日本銀行にこれを引き受けさせ、又、借入金の借入については、日本銀行からこれを借り入れてはならない。但し、特別の事由がある場合において、国会の議決を経た金額の範囲内では、この限りでない。

では、日銀が国債を保有する市中金融機関等から国債を買い上げることは認められるのでしょうか?

それについては、一旦市中金融機関が買い取った国債であるので、日銀の直接引き受けには該当しないということで認められています。

なんか、少々微妙な感じがしますよね。

何故かと言えば、日銀がそうした市中金融機関をダミーとして利用する場合も考えられるからなのです。

もし、市中金融機関がダミーとして利用されたということが立証されれば、幾ら形式的には直接引き受けに該当しなくても、財政法5条の脱法行為と言うべきでしょう。

では、どのような場合に、市中金融機関がダミーとして利用されていると考えることができるのでしょうか?

私は、後日日銀が、市中金融機関から相場とかけ離れた不自然な価格で国債を購入することが容易に予想されるかどうかがポイントになると考えます。

では、現在起こっている現象をどう理解すべきでしょうか?

市中金融機関は、日銀が後日、自分たちが購入した国債を買ってくれるかどうかが定かではなくても、マイナス金利の国債を購入するようなことをするのでしょうか?

市中金融機関が国債を購入する原資は、預金者から集めた預金です。そして、その預金の利息は、ゼロにしてもいいが、マイナスにしてはいかんと日銀から釘を刺されているのです。

つまり、預金金利はゼロになることはあっても、マイナスになることはない。その一方で、そうして集めた預金を国債に投資すれば...

償還期まで保有すれば、損を被ることは明らか!

誰が、そのような国債を購入したいと思うでしょうか?

しかし、それでもマイナス金利の国債を購入しようとする市中金融機関が存在する訳です。

どうしてでしょう?

それは、日銀が、自分たちが買った価格以上の価格で、その国債を買い取ってくれると信じているからです。

だとしたら、そのような金融機関と日銀の間に特別な約束がなくても、事実上、了解が成立しており、日銀はそのような金融機関をダミーとして利用しているのは明らかではないのですか。

つまり、黒田総裁は、財政法5条の脱法行為を指揮しているということなのです。

こうした日銀の大量の国債購入について、財政ファイナンスに当たるとの批判があるのをご存知の方も多いと思います。そして、そうした批判に対して、黒田総裁は、「「あくまで2%の物価安定を実現する金融政策の目的であり、財政ファイナンスではない」と強弁しているのですが...

財政ファイナンスとは、国債のマネタイゼーション(国債の貨幣化)とも呼ばれ、政府の発行した国債を中央銀行が直接引き受けることをいいますが、今日銀がやっていることは、事実上、国債を直接引き受けするだけでなく、政府にマイナスの金利までプレゼントしている訳ですから、財政ファイナンスに加え、借金の一部肩代わりをしていると言うべきなのです。

黒田日銀は、中央銀行の存在意義を否定するようなことをしているのです。

どうしても、そのようなことを続けたいというのであれば、国会で議論した上で、財政法を改正することが先決です。




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2日前、私は、麻生・黒田コンビは、長期金利を低下させることによって円高を阻止する作戦ではないかと書きました。

「為替介入はダメだと米国のルー財務長官から釘を刺された麻生・黒田コンビが、あっ、そうと引き下がる筈がありません。介入がダメなら、さらに長期金利を引き下げればいいではないか、と。

つまり、さらに長期金利を引き下げ、何がなんでも円高を阻止するつもりになっているのではないでしょうか。

リスクオンの雰囲気が強まるなかで、日本の長期金利のマイナス幅がさらに大きくなれば、それなら流石に円安圧力がかかるでしょう。

但し、この作戦、あくまでもリスクオンの雰囲気が強まったという援護射撃があってこそ成功しているのです。」

グラフをご覧ください。

G20後の日米金利差


私が、言ったように日本国債の利回りのマイナス幅はどんどん大きくなっているのです。G20会合終了前に-0.113%であったのが-0.134%となりました。その一方で、米国債の利回りは1.76%から1.85%へと上昇しています。結果、日米金利差は1.873%から1.984%と拡大しているのです。

つまり、作戦が見事に的中し、円安誘導が実現できたということなのです。

では、今後もこの作戦を継続することによってさらなる円安を実現できるのでしょうか?

私は、この作戦の効果には限界があると考えます。というのも、国債の利回りのマイナス幅の拡大には限度があるからです。

今、こうして日本国債の利回りがマイナス0.134%まで低下しているのは、決して国債に対する自然な需給関係の結果そうなっているのではなく、あくまで日本銀行が額面を超える価格で国債を買い占めているからそうなっているだけの話しなのです。

つまり、日本銀行は、国債の流通市場というものを破壊してしまっているのです。

そのようなことを、どうしていつまでも続けることができるでしょうか?

そもそも、リスクオンになっているのに、国債の利回りが低下するのが自然に反する出来事ではありませんか? リスクオンになったら、国債などのリスクの低い投資先から資金を回収し、株などのリスクの高い投資に回す筈。

つまり、リスクオンになったら、米国がそうなっているように金利が上昇しないとおかしいのです。

しかし、日本ではそうならない。それは、日本銀行が損得抜きにして国債を高値で買うようなことをしているからなのです。

日本に政策金利は何%であるかご存知でしょうか?

日本の場合、政策金利とは、無担保コール翌日物の金利とされ、0.1%に誘導することとされています。

しかし、今やその政策金利は殆ど意味がないと言っていいでしょう。何故ならば、政府は、それよりも低い、というかマイナスの金利で資金調達ができるようになっているからです。つまり、政策金利が本来一番低い筈の金利であるにも拘わらず、実際には、それを大幅に下回る金利が存在しているのです。

その一つが、上に述べてきた残存期間10年の国債の利回りですが、その国債の利回りをどう決めるべきかということが、日銀の審議委員会で細かく議論されることなく総裁以下の執行部に丸投げされてしまっているのです。

こんなことでいいのでしょうか?

考えれば考えるほど、今日銀がやっていることはおかしなことばかりなのです。

いずれにしても、我が国の長期金利の引き下げに限度があるとすれば、あとは米国の長期金利次第ということになるでしょう。つまり、米国の景気が良くなれば円高は止まるであろうし、そうでなく米国の景気がもたつくようであれば、またぞろ円高圧力がかかることになるでしょう。


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