昨日、ゼロ金利の解除時期と題して記事を書きましたら、あれれ..、公
定歩合が、突然引き上げられてしまいました。(本当は突然ではないよう
ですね。私がそう思ったわけです)
「公定歩合?」
そう思った方が多いと思います。
確かに、以前は公定歩合という文字がよく新聞に躍っていたものだ、
と。しかし、最近では、そんな言葉は殆ど聞かない、と。
そうそう、村上さんと仲が良かったと言われる福井総裁は、かつてこう
言ったものでした。
「公定歩合というのは、お蔵入りさせたい」と。
2006年7月に日銀がゼロ金利政策を解除したときの言葉です。少しず
つ思いだしてきたでしょうか?
そして、それから1年ほど経過した2007年8月、パリバショックが起き、
金融危機が勃発したのでした。
何とかしないといけない..、そしてFRBが打ち出したのが、先ずは、公
定歩合の引き下げだったのです。決して政策金利であるフェデラルファン
ズ・レートの引き下げではなく、公定歩合の引き下げであった、と。
そして、今回、FRBは、フェデラルファンズ・レートではなく、公定歩合を
引き上げることを決定したのです。
今回の公定歩合の引き上げは何を意味するのでしょう。これによって、
ゼロ金利政策が解除されたり、金融政策が変更されることになるのでしょ
うか。
FRBは、それについて次のように言っています。
The Federal Reserve Board on Thursday announced that
in light of continued improvement in financial market
conditions it had unanimously approved several
modifications to the terms of its discount window lending
programs.
「連邦準備制度理事会は火曜日、金融市場の状況の改善に鑑み、公定
歩合融資の条件を修正することを満場一致で承認したと発表した」
Like the closure of a number of extraordinary credit
programs earlier this month, these changes are intended
as a further normalization of the Federal Reserve's lending
facilities. The modifications are not expected to lead to
tighter financial conditions for households and businesses
and do not signal any change in the outlook for the
economy or for monetary policy, which remains about as it
was at the January meeting of the Federal Open Market
Committee (FOMC). At that meeting, the Committee left
its target range for the federal funds rate at 0 to 1/4
percent and said it anticipates that economic conditions
are likely to warrant exceptionally low levels of the
federal funds rate for an extended period.
「今月初めの異例の融資プラグラムの終了と同様に、この変更は、連銀
の融資制度の正常化を目的とするものである。ただ、この融資条件の変
更は、家計や企業に対する融資条件を厳しくするものとは予想されてお
らず、また、経済見通しや金融政策の見通しの変化を示唆するものでも
ない。金融政策については、1月の公開市場委員会(FOMC)の会合で決
定されたとおりのままである。その1月の会合で、同委員会は、フェデラ
ルファンズ・レートの誘導目標を0〜0.25%に据え置くこととし、経済状況
は、異例に低いフェデラルファンズ・レートを長期間において正当化しそう
であると述べた」
The changes to the discount window facilities include
Board approval of requests by the boards of directors of
the 12 Federal Reserve Banks to increase the primary
credit rate (generally referred to as the discount rate)
from 1/2 percent to 3/4 percent. This action is effective on
February 19.
「公定歩合融資に関する変更には、12の地区連銀の理事会によって要
請された承認事項が含まれる。それは、連銀融資の金利(一般的に公定
歩合と呼ばれる)を0.5%から0.75%へ引き上げることである。この措置
は、2月19日から施行される」
In addition, the Board announced that, effective on
March 18, the typical maximum maturity for primary credit
loans will be shortened to overnight. Primary credit is
provided by Reserve Banks on a fully secured basis to
depository institutions that are in generally sound
condition as a backup source of funds. Finally, the Board
announced that it had raised the minimum bid rate for the
Term Auction Facility (TAF) by 1/4 percentage point to 1/2
percent. The final TAF auction will be on March 8, 2010.
「加えて、理事会は、3月18日から連銀融資の最長期間をオーバーナイ
トに短縮化することを発表した。連銀融資は、連銀が十分な担保をとるこ
とを条件に健全な預金金融機関に資金支援として供与する融資である。
最後に、理事会は、ターム物融資(TAF)の最低ビッドレートを0.25%か
ら0.5%へ引き上げることを発表した。最後のTAFの入札は、2010年3
月8日に行われる」
Easing the terms of primary credit was one of the
Federal Reserve's first responses to the financial crisis.
On August 17, 2007, the Federal Reserve reduced the
spread of the primary credit rate over the FOMC's target
for the federal funds rate to 1/2 percentage point, from 1
percentage point, and lengthened the typical maximum
maturity from overnight to 30 days. On December 12,
2007, the Federal Reserve created the TAF to further
improve the access of depository institutions to term
funding. On March 16, 2008, the Federal Reserve lowered
the spread of the primary credit rate over the target
federal funds rate to 1/4 percentage point and extended
the maximum maturity of primary credit loans to 90 days.
「公定歩合の引き下げは、金融危機に対する連銀の最初の措置の一つ
であった。2007年8月17日、連銀は、フェデラルファンズ・レートの誘導
目標値に対する公定歩合融資の上乗せ分をそれまでの1%ポイントから
0.5%ポイントに引き下げ、そして、最長期間をオーバーナイトから30日
へと長期化させた。2007年12月12日、連銀は預金金融機関のターム
物資金へのアクセスを改善するためにTAFを創設した。2008年3月16
日、連銀は、フェデラルファンズ・レートに対する公定歩合の上乗せ分を
0.25%にまで引き下げ、公定歩合融資の最長期間を90日までに延長し
た」
Subsequently, in response to improving conditions in
wholesale funding markets, on June 25, 2009, the Federal
Reserve initiated a gradual reduction in TAF auction sizes.
As announced on November 17, 2009, and implemented
on January 14, 2010, the Federal Reserve began the
process of normalizing the terms on primary credit by
reducing the typical maximum maturity to 28 days.
「その後、金融機関同士の市場の改善を踏まえて、2009年6月25日、
連銀は、TAFの入札規模を徐々に縮小することを始めた。そして、2009
年11月17日に発表し、2010年1月14日に実行したところであるが、連
銀は、融資期間を最長28日までに短縮化することによって公定歩合融
資の正常化プロセスに乗り出した」
The increase in the discount rate announced Thursday
widens the spread between the primary credit rate and
the top of the FOMC's 0 to 1/4 percent target range for
the federal funds rate to 1/2 percentage point. The
increase in the spread and reduction in maximum maturity
will encourage depository institutions to rely on private
funding markets for short-term credit and to use the
Federal Reserve's primary credit facility only as a backup
source of funds. The Federal Reserve will assess over time
whether further increases in the spread are appropriate in
view of experience with the 1/2 percentage point spread.
「木曜日に発表された公定歩合の引き上げは、0〜0.25%とされている
FOMCのフェデラルファンズ・レートの誘導目標値に対する上乗せ分を
0.5%まで拡大するものである。この上乗せ分の拡大と期間の短縮化
は、預金金融機関が民間資金市場を利用するようになり、そして、連銀
の公定歩合融資は、それを補完するものとして利用することを促すもの
である。連銀は、今後、さらなる上乗せ幅の拡大が適当であるかどうか
を、今回の0.5%への引き上げの実績を踏まえて検討していくことにな
る」
さあ、如何でしょうか。
今回の公定歩合の引き上げは、決して政策金利の引き上げを意味す
るものではない、と言っています。
確かに、フェデラルファンズレートの誘導目標値は、0〜0.25%と変わ
っていません。ですが、政策金利の引き下げの前に公定歩合の引き下げ
が行われたことを思い出すならば、そして、そのことを連銀が率直に認め
ていることからすれば、今後、そう遠くない時期に政策金利は引き上げら
れるのではないでしょうか。
幾ら米国が出口戦略に着手しても、日本の場合には、政治家が金利の
引き上げには大反対するだろう、と思う方、クリックをお願いします。
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