ロビンフッド税
そろそろ消費税の引き上げを議論する時期に来ている、というような
論調が多くなってきました。
昔は、増税の話といえば、大蔵省(現財務省)が仕掛けるのが当然で
したが、最近では、事情が変わっています。
そのことお気づきですよね。
最近の官僚は、増税をお願いしますとは言わないのです。
その代わり、政治家が増税の必要性を訴えます。勿論、増税を否定
する政治家も多いのですが..。
でも、どうして官僚は声高に叫ばなくなったのでしょうか?
それはもうお分かりですよね。
いろいろと不祥事もありましたし、その結果、名前まで変えられてしま
いました、財務省に。
それに、余り増税増税と叫べば、却って逆効果になることを学んだの
でしたね。
だって、官僚の言い分を聞いて消費税の引き上げを行った橋本総理
は、それ以降ボロクソに言われる羽目に陥りましたし..。
むしろ、黙っていた方が、却って有識者や国民が心配して、自然と増
税路線が出来上がるのではないかと、思っているのでしょう。
で、増税路線を正々堂々と主張しているのが、あの与謝野さん。
そして、それに反対するのが、上げ潮路線の中川氏。
私、個人的には与謝野さんに共感を覚えるのですが、では消費税を
引き上げるべきかとなると、はなはだ疑問なのです。
よく、年金や医療費の議論になると、「若い世代が負担するか、高齢
者が負担するかの、どっちかだ」というような一見もっともらしい意見が
聞かれます。
後期高齢者医療制度の問題では、福田総理は、「見直すといっても、
若い人たちは、本当にそれでいいの?」と、若い人の負担が急増するこ
とをほのめかしました。
そんなことを言われると、若い人も困ってしまいます。
後期高齢者の医療保険制度には賛成できないが、さればとて、自分
たち若者が、もっと負担することなんてできないよ、と。
でもねー、皆さん。
この議論の立て方が間違っているのです。
というか、騙されちゃっているのですよね。
税金や保険料の負担は、若者でもなく、年寄りでもない人でも負担で
きるのです。
「若くもなく、年寄りでもない?」
つまり法人ということです。
法人は、法人税を支払いますよね。
でも、いつのころか、法人税を軽くするのが世界の流れになっていま
す。
それに、お金持ちの所得税が軽くなったのも世界の流れです。
ということは、法人税を少し上げるとか、所得税の累進税率を少し戻
せば、税収は上がるのです。
しかし、そういう意見は殆ど聞かれません。
何故でしょうか。
それは、多くの政治家が、企業やお金持ちの味方になってしまったか
らです。
舛添大臣は「お金は天から降ってこない」と言います。
確かに、お金は天から降ってきません。誰かが負担する必要がありま
す。
でも、保険料や税金の増加分を、高齢者でも若者でもない法人が負
担することもできるのです。
しかし、そういう選択肢ははなからないような雰囲気になっているので
す。
ですから、私は、与謝野さんの意見には賛成できないのです。
日本の企業が、海外勢に比べ競争力をなくしているのならともなく、恒
常的な貿易黒字を続けておりながら、なお法人税を下げるという論理が
分からないのです。
それはそうと、ロビンフッド税という構想があるといいます。
貴方は、支持しますか?
「何、それ?」
実は、イタリア政府が、最近の原油高や食料品高に対処するために
出したアイデアだといいます。
強気をくじき弱きを助ける義賊のロビンフッドというイメージでしょう
か。日本なら、ねずみ小僧税とでも名づけられるかもしれません。
石油の値上がりで儲かっている石油会社に増税して、それを財源に、
国民には食料・電気代の割引券を配ると言います。
「それ、いいじゃん」
そうですね、食料高やガソリン価格のとどまるところを知らない上昇に
困惑している国民にとっては、まさに恵みの雨と言えるでしょう。
でも..
「何か、問題でもあるの?」
これで、本当の解決に結びつくのでしょうか。
まあ、一時的な措置としてなら分からないでもないのですが..。
「どういうこと?」
そんなことをして、ガソリン価格は、どうなるのでしょう?
もし、そのロビンフッド税の構想が、ガソリン代の割引券を配ることも
含んでいたとしたら..
「したら?」
ガソリン価格が上がっても、全然困らない国民は、これまで以上にガソ
リンを消費してしまうかもしれません。
そうなると、ガソリン価格は益々上がります。
「でも、割引券があるからいいじゃない」
確かに、割引券を貰えるとすれば、痛みは和らぐでしょう。
しかし、割引券を配った分、誰かがその負担をすることになるのです。
「それは、儲かっている石油会社が負担するだけだから..」
表面的にはそうです。でも、もし、石油会社が新たな税金を課された
ら、それをガソリン価格に上乗せする動きに出ることが予想されます。
で、通常は、ガソリン価格が上がると、消費者はガソリンの消費を抑
制しようとすることも予想されますので、そうした場合には、値上げもま
まならないかもしれません。
でも、割引券を配給されると、消費者はガソリン価格の値上げを簡単
に受け入れてしまう可能性があります。
ということで、割引券の財源は、実質的には社会全体として負担する
ことになるのです。
結局、ロビンフッド税も、形式的にはは石油会社に課せられるのです
が、実質的な負担者は社会全体ということになり、その分、他への支出
が抑制されてしまうことになるのです。
一瞬国民の生活を楽にすると思えたロビンフッド税も、長期的にみる
と、何の役にも立たないのです。
それどころか、ガソリン価格をもっと引き上げることになり、石油価格
が高騰することに賭けていた投機家を儲けさせるだけなのです。
フランスのサルコジ大統領もガソリン税減税を提唱しています。
米国のマケイン大統領候補も、ガソリン税の一時軽減を提案していま
す。
でも、そうした動きが広まると、益々原油価格は高騰します。
でも、やっぱしロビンフッド税は魅力的に見えるな、と思った方、クリ
ックをお願いします。
↓↓↓
人気blogランキングへ
- タグ :
- #原油価格