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経済ニュースゼミ

小笠原誠治の、経済ニュースを通して世の中の動きを考察するブログです。地球温暖化阻止のために石油・石炭産出権取引を提唱します。産出権取引は排出権取引とは違います。みんな勘違いするのです。

2011年10月

ドル円が最高値を更新したなんてニュースが流れていたかと思っていたら、な、な、なんと一気に78円台に急落なのだとか。

とうとう介入に踏み切ったようなのです。

「投機的な動き続けば、断固たる措置をとる」と安住財務大臣が、自信なさげな表情で言えば言うほど期待は薄らいでいたので、私にとっては大いにサプライズです。

しかし..この後、どうなるのか?

本日は、継ぎ足す感じで、記事を書いていきたいと思います。

(午前10時55分時点)

安住大臣が、本日、約3か月ぶりに為替介入を行ったと発表したと報じられています。実施時刻は、午前10時25分。規模は不明です。
(午前11時10分時点)


安住大臣の記者会見のキーワードは..

「一方的な投機活動が続いている」 「納得いくまで介入する」

まあ、安住大臣の言いたいことも分からないではないのですが..余りにも素人っぽいところがあるのです。一方的投機活動などと言って、如何にも投機が諸悪の根源のように言い、そして、円高をしかけているのは欧米のヘッジファンドだと想像しているように思えるのですが..

しかし、今回は、別に円高をしかけているというよりも、欧州危機が原因であると言えるのです。

それに、ミセスワタナベの行っている取引は、投機ではないのか? さらに、日本の輸出メーカーが円高による損失を最小限度にくいとめるために、為替の先物予約をすることも、円高の圧力をかけているのを知らないのでしょうか?

納得のいくまでやるなんて言い方も、気持ちは分からないではないのですが..

いずれにしても、素人っぽい感じが気になるのです。
(午前11時45分時点)





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野田総理が、TPP交渉に参加することを決めたと報じられています。

でも、頂けませんよね..参加するにしろしないにしろ、もう少し自分の意見を国民に説明したうえで決めないと。

まあ、それはそうと、私の考えを述べてみたいと思います。

TPPの交渉に参加すべきかどうか?

その問いには、なかなか答えづらい。

では、農産物を含め貿易の自由化をもっと進めるべきか?

基本的には、それは正しい方向だと信じます。何故ならば、そうした方向で歴史は進んできた訳ですし、またそれによって世界の経済が発展してきたのはそのとおりだからです。但し、自由化を急速に進めると、それによって撤退を余儀なくされる産業が出てくるので、徐々に自由化は進めるべきであると信じます。

TPPに参加して、国内農業が壊滅的打撃を受けていいのか?

でも、農産物の輸入の自由化を進めたからといって、国内の農業が壊滅的な打撃を受けるとは限りません。但し、そうはいっても、海外の安いコメが入ってくると、日本のコメ農家が影響を受けるのはそのとおりでしょう。

この点に関して、私は、日本の農地を大規模集約化して、コストの削減を図るべきだという考えを支持することはありません。そんなことをしても、アメリカやオーストラリアの農家にかなうはずがないからです。これ、あくまでもコスト面の話です。

しかし、コストは高くても、日本のコメが売れる方法がある。それは美味しくて、しかも安全なコメを
作ればいいということです。海外では、お寿司がブームになってもう久しい訳です。当然コメを食べる
ことにも慣れてきており、そうなると次第にコメの良し悪しにも注意を向けるようになるのです。そこで、農薬の使用を極力控えた、あの夕日がきれいな棚田で作ったコメだ、というイメージを作り上げればいいということです。

まあ、いずれにしても、私は、基本的に貿易の自由化を進めることには賛成なのですが..でも、このTPPの交渉の進め方には不可解なことも多いのです。

環太平洋といいながら..カナダ、メキシコ、グアテマラ、エルサルバドル、ニカラグア、パナマ、コロンビア、エクアドル、インドネシア、フィリピン、中国、韓国、ロシア、それに太平洋の島国は入っていないのです。どうして?

交渉に参加していない国の方が圧倒的に多い。

それに、沖縄の基地移転についての話し合いもとん挫しているというのに、どうしてTPPの方ではアメリカと妥協することができると考えるのか? おかしいでしょ?

だから、貿易の自由化や様々な分野での非関税障壁の撤廃について、どう考えるかという総論的な問題と、外国との間で、そうしたことについて交渉を進めるべきかどうかという各論は、分けて考える必要があるということなのです。

アメリカが、本当に全ての非関税障壁の撤廃について賛成するというのであれば、何故むしろ
WTOの交渉を進めることに積極的にならないのか?

つまり、アメリカも自分の都合のいいように物事を進めようとしているということです。


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お知らせ

リカードの「経済学および課税の原理」改訳版の配布先数が、91名様になりました。
貴方も申し込んでみませんか?

欧州の包括戦略が合意され、マーケットは少しだけ回復している訳ですが..どうも不可解なことがあるのです。

サルコジ大統領は言うのです。

「ギリシャのデフォルトはあり得ない。ギリシャがユーロから離脱することはあり得ない。そんなことをすれば、ギリシャは物々交換の時代に戻らなければいけなくなる」

どう思います?

物々交換に戻るのですって。ドラクマを復活させればそれで済むことではないのでしょうか。どうも政治家のいうことは誇張が多くて嫌なのです。原発を止めれば、江戸時代に生活に戻ってしまうぞ、という意見と似たようなものなのです。

まあ、それはそれとして..何故今でも、ギリシャのデフォルトはあり得ないなんてフランスの大統領は拘るのでしょう。これが、まだ、銀行側に元本の削減を強要しない段階であるのであれば分かるのです。しかし、実際には、銀行が保有している国債は、半分しか償還されないことになってしまったのですから、これは、デフォルトというべき事態であるのです。

でも、報道によれば、50%の債務削減は、銀行側のボランタリーベースの話なのだからデフォルトには該当しない、という声があるのだとか。

本当に不可解です。何故、そこまでデフォルトでないと拘るのか? 何か匂いませんか?

クレジット・デフォルト・スワップというのがありましたよね。つまり、ギリシャの破たんに備えた保険というか、ギリシャがデフォルトに陥るかどうかについての賭けです。つまり、ギリシャ国債を購入した銀行のなかには、ギリシャの破たんに備えてCDSを購入したところがある訳ですが、今回の50%債務削減がデフォルトに該当するかどうかで、保険金が下りるかどうかの微妙な状況にあるのだとか。

そして、もちろん、デフォルトに該当するということになれば、CDSを売却した者が保険金を銀行側に支払わなければいけない羽目になるのです。

サルコジ大統領は、CDSを売却した者とひょっとしたら関係があるのではないのでしょうか?

3回目のストレステストが実施されるといいますが、CDSの件を含め、もっと情報を公開すべきです。そうしないと、金融システムが本当に落ち着くことはないでしょう。

それに、他にもいっぱい不明な点があるようです。来年の6月末までに、欧州の銀行はコア資本を現在の5%から9%へと引き上げることが合意された訳ですが、その一方で、フランスやドイツなどは公的資金を注入する計画は今のところないのだとか。しかし、銀行が自力でコア自己資本をそんなに短期間で引き上げることが可能なのでしょうか?

それに、4400億ユーロから1兆ユーロに引き上げるとされているEFSFについても、誰がお金を
出すのか決まっていないのです。

これで本当に安心していいのかどうか..


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お知らせ

リカードの「経済学および課税の原理」改訳版の配布先数は、88名様になっています。貴方もよかったら挑戦しませんか?

ギリシャ債務の50%削減が効いたようですね。マーケットは好感しているようです。

では、これで、ギリシャ危機は収束に向かうのか?

不良債権問題が発生した場合には、不良債権の発生を率直に認め、思い切って処理することが先決です。日本でも、不良債権問題が発生したとき、その初期対応が遅かったことが思い出されます。

大手銀行のなかで、一番最初に行動を起こしたのは、住友銀行ではなかったでしょうか? で、赤字覚悟で不良債権の処理に踏み切ることが発表されると、市場は大歓迎をしたのでした。これで、不良債権の処理が進む、経済回復のきっかけになるであろう、と。

しかし、その後、現実はどうなったかといえば..危機は収まるどころか、悪化していったのです。何故ならば、どれだけ不良債権を処理したつもりになっても、なかなか不良債権が減ることがなく、銀行の体力が次第に衰えていったからなのです。

つまり、不良債権の処理には当然のことながら手を付ける必要があるのですが、それに合わせて銀行の資本を増強する必要がある、と。しかし、国の内外を問わず、国が銀行を救済することについて一般国民の理解を得るのは難しい。

何故、銀行だけ助けるのか? と。

ということで、今回の欧州の包括戦略合意も、それ自体にケチをつけることはしませんが、これで終わりだということでは決してないことに注意をする必要があるのです。

では、今後、どんなことに注意をする必要があるのか?

包括戦略合意の柱は3つです。

一つ、ギリシャの債務を50%削減する。これによって、ギリシャの対GDP債務比率を現在の160%から2020年までに120%へ低下させる。

二つ目は、欧州安定化基金、EFSFの拡充。現在の4400億ユーロから1兆ユーロに拡大する。

三つ目は、欧州の銀行のコア自己資本比率をこれまでの5%から2012年6月までに9%に引き上げる。

この三つの目標、大変に結構なことなのです。そして、そうしたことを達成できないと危機からの脱出も難しいでしょう。しかし、言うのは安く行うは難し!

というのも、債務削減に応じて、不良債権を処理するということは、それだけ銀行の資本が毀損される訳ですから、放っておけば自己資本は低下してしまいます。でも、この合意案では、むしろ自己資本を高めると言っている訳ですから。

これが、5年先、10年先の目標であれば、本業で稼いで資本を充実することも考えられる訳ですが、1年もしない間に自己資本比率を高めることなど、例えば公的資金の注入などなしには考えることはできないのです。

では、各国の政府は、自国の銀行の資本を増強するために、公的資金を投入することができるのか? それは、簡単なようであって難しいのではないでしょうか? しかし、ぐずぐずしているとまた信用不安が起きるのです。

私、一番心配しているのは、ギリシャの銀行についてです。

海外の銀行がギリシャ国債を大量に保有しているのはそのとおりですが、ギリシャの銀行もギリシャ国債を保有しているのですが..この扱いがどうなるのか? ギリシャの銀行も50%の債務削減に応じるのか? そして、仮にそうなれば、ギリシャの銀行の資本が毀損される訳ですが、それをギリシャの政府が公的資金で救うのか?

おかしいでしょ? ギリシャの銀行が政府に対し、借金を半分を帳消しにしてやって、そのお返しに、ギリシャの政府が債権者の銀行に対し公的資金を注入するなんて..

だったら、ギリシャの銀行は、50%の債務削減に応じなくてもいいのか? でも、そんなことになれば、ドイツやフランスの銀行が黙っていないかもしれません。

ということで、取り敢えずギリシャ債務の50%削減が決まったのはいいとしても、実際の扱いがどうなるのか? そして、銀行の資本増強が思ったように進むのか? それが今後のキーポイントになるでしょう。

最後に、もう一つ気になることが..中国が保有しているギリシャ国債の扱いはどうなるのでしょうね?



中国が、ギリシャ国債の50%削減を呑むなんてことはない、と思う方、クリックをお願い致します。
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このブログの記事を書いている私は、リカードの「経済学および課税の原理」の解説付き改訳版を作成しました。

何故かって? それは、これまでの岩波文庫の訳では、なかなか分かりにくいところがあったからです。原文と照らして読んでみると、あれっ、勘違いしているのでは..なんて訳もありました。

ということで、リカードが好きで、英語も好きな方には、この改訳版をお読みになることをお勧めします。

但し、読破するには、相当の熱意と根気を必要とするので、その旨予めご承知下さい。

現在までのところ、84名の方に配布したところです。

貴方もこれを読んで、経済学の筋力を強化しては如何でしょう。



[画像:David Recardo]
読みたいという方は、次のところまでメールをして下さい。

seiji@cj9.so-net.ne.jp

三分冊に分かれていて、取り敢えず第一分冊だけ送ります。

それを読み終えたら、またメールをください。続きをお送りします。

もちろん無料です。




やっとギリシャ債務の50%削減が認められることになりました。遅かったですよね。それに順序の間違いがある。言葉を換えれば手順前後。

つまり、民間銀行側の大幅な債務削減を見届けたうえで最終的にIMFも協力するのが、モノの順序だというものなのに、ヨーロッパのリーダーたちは一大事になることをおそれて、IMFに先に関与させたところに大きな間違いがあったのです。

最初から、こうすべきであったのです。しかし、民間銀行側の損失を少なく済ませたい..なんてスケベ根性があったものだから、甘い見通しですませてしまったということなのです。

しかし、そうしたリーダーたちの見通しが甘いということは、ストレステストの対象にされた銀行自身がよく承知していたので、何度も何度も危機がぶり返したのです。

では、今後は巧くいくのでしょうか?

この50%の債務削減策と、銀行の資本増強と、そして、EFSF(安定化基金)の増強の3つによって危機を乗り切る作戦だと聞くのですが..問題は、今後ギリシャにお金を貸す人が現れるか、ということです。

もし、貴方がバンカーだったとしたら、今後ギリシャにお金を貸すようなことを考えるでしょうか? つまり、ギリシャの国債を引き受けるか、いうことです。

まあ、それは大変に困難でしょう。何故ならば、貴方はバンカーとして、ギリシャに対する債権を5割も帳消しすることが求められているのに、その一方で、新たな融資などできる筈がないからです。

そうでしょ?

恐らく、今回、ギリシャ債務の削減に応じる銀行団が、再びギリシャ国債を引き受ける日が来ると
しても、それは、相当先のことになるのではないでしょうか?

では、ギリシャは、今後どうやって資金繰りを受けていくことになるのか?

もちろん、税収で賄える範囲に歳出を抑え込むことができれば問題ないのですが、景気の悪化に伴い税収が落ち込むことも当然予想されるのですが、もし、そうなったら、ギリシャは誰からお金を借りることになるのか?

そうなれば、EFSF(安定化基金)やIMFの出番になるのでしょうが..、しかし、そうした機関は、ギリシャの財政収支の改善が軌道に乗ることを条件とするでしょう。つまり、ギリシャの経済がまた巧く回るようになればいいのですが..しかし、そう簡単にギリシャの財政事情が改善するとも思われないのです。

最近のデモなどの影響で、今暫くは観光業の不振が続くことでしょう。国民の多くはリストラされたり、給与や年金をカットされているので、景気が落ち込むのは目に見えているのです。そうした中で一体全体、ギリシャ政府はどうやって資金繰りをつけていくことができるのか?

20年ほど前のメキシコの債務危機のときには、そうしたニューマネーの供与の役割を日本政府が
果たしていたのですが..欧州がそのようなことを日本に期待するなど、とてもプライドが許さないの
です。

いずれにしても、この借金の棒引きの措置は、フランスやドイツなどの銀行が損失を被ることによって実現される訳であり..そして、そうした銀行の資本が不足し、その結果、そうした銀行に公的資金が注入されることになれば、フランスやドイツの国民が、結局、尻拭いをすることになるのです。

ギリシャ国民は、今回の措置をどう感じているのでしょう?


借金を棒引きにしてもらうことが当然視されるようになってはならない、と思う方、クリックをお願い致します。
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東京市場でもドル円が75円台を付けたと言います。日本経済の実力から言えば、そんなに円高になる理由はなさそうな気もするのですが..でも、消去法で円が買われているというのです。

アメリカは、失業率が高止まりするなかで、財政出動にも制約が課せられ..そして、欧州は、欧州危機とでも言うべき状態に陥ってしまっているから、結果、日本の円がセーフヘーブンの役割を果たすのだとか。

確かに、欧州の銀行は、ギリシャ国債など大量の不良債権を抱えている訳ですが..では、日本の銀行は大丈夫なのか?

大震災があった地域の金融機関の経営は大丈夫なのか? 東京電力に融資している銀行の経営は大丈夫なのか? それに東京電力の株も社債も多額に保有している訳なのです。本当に大丈夫なの?

だから、本当のことを言えば、円も安くなる要素こそあれ、強くなる要素は殆どないのです。

こうしたなか、安住財務大臣は、円高を食い止めるためなら何でもするなんて言っている訳ですが、なかなか介入に踏み切れないでいるところを見ると、やっぱり米国を意識しているということなのでしょうか?

アメリカは言うのです。為替のことは市場に任せるべきである、と。では、アメリカ人というのは、本当に市場経済の原理を重視していると言えるのでしょうか?

確かに、国民皆保険の制度がないことなどを考えると..市場経済を信奉しているとも思われるのですが..でも、よく考えると、都合のいいときにだけ「市場経済」なんてことばを口にするのです。だって、本当に市場経済の原理を重視するのであれば、農家にあれだけの補助金を支給することなんてありえないからであるのです。

それに、オバマ大統領は、次のようなことまで言っているのです。

There are still millions of Americans who have worked hard and acted responsibly, paying their mortgage payments on time, but now that their homes are worth less than they owe on their mortgage, they're having trouble getting refinancing even though mortgage rates are at record lows.

「一生懸命に働き、責任を持って行動し、そして決められた期日に住宅ローンの支払いを行っている国民がなお何百万人もいる。彼らの住宅の価格は、借りたローンの金額を下回っているが、彼らは、住宅ローンの金利が歴史的な低さにあるというのに、なかなか借り換えることができない」

So let me just give you an example. If you've got a 250,000ドル mortgage at six percent interest rates, but the value of your home has fallen below 200,000,ドル right now you can't refinance - you're ineligible. But that's going to change. If you meet certain requirements you will have the chance to refinance at lower rates.

「1つ例を挙げよう。仮に貴方が、25万ドルの住宅ローンを抱えており、それに6%の金利がかかり、その一方で、貴方の保有する住宅の価格が20万ドル未満に低下しているために、借り換えができないとしよう。貴方には資格がないのだ。しかし、それが変わることになる。もし、貴方が一定の要件を満たせば、貴方は低い金利で借り換えをすることができるようになるのだ」

Which could save you hundreds of dollars a month and thousands of dollars
a year on mortgage payments.

「そうすることによって、月に何百ドル、年間何千ドルもの支払いを節約することができるであろう」

確かに、借り換えが認められれば、住宅ローンを抱えた家庭にとっては恵みの雨。それによって、景気回復の助けになるかもしれません。

しかし..

お金を借りた人の金利負担が軽くなるということは、お金を貸した側の金利収入が少なくなるということで..何故ならば、政府がその安くなる金利分を補助するようなスキームではないからです。

それに、この借り換え計画は、今後具体的な中身を詰める必要があるらしく..借り換えが認められる家庭の数が限られる恐れもあるのだとか。

まあ、このような案をオバマ大統領が打ち出すのも、何かをしない訳にはいかないということであるのでしょう。

で、そうした案を打ち出しても、それほど効果があるとは市場が思わないので、円が益々強くなる、と。

最後に、なかなか安住大臣は、市場介入に踏み切ることができないでいるようです。

何故か?

アメリカの意向を気にしているのか?

それもあるでしょう。しかし、本当の理由は、もし、介入をしても円高が止まらない場合には、さらに円高を加速させる恐れがあるものだから、なかなか踏ん切りがつかないということもあるのでしょう。大臣の表情からそんなことが推測されるのです。


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TPP参加を巡る議論が活発になっていますが、どうも政治家の態度が..などと思っていると、説得力のある論文を発見しました。東京大学鈴木宣弘教授によるもので、要点を紹介させて頂きます。

「TPP議論を巡る議論の間違い 東京大学 鈴木宣弘教授」

1. TPPはアジア太平洋地域の貿易ルールになるから参加しないと日本が孤立する

これは間違いである。米国は、自らはNAFTA(北米自由貿易協定)などで「米州圏」を固めつつ、アジアが米国抜きで「アジア圏」を形成することには強い懸念を表明してきた。米国が以前から提唱しているAPEC21ヵ国全体での自由貿易圏FTAAPは、その実現をめざすというよりも、ASEAN+3(日中韓)などのアジアにおける連携の試みを攪乱することが主たる目的と考えた方がわかりやすい。(以下省略)

2. 中国も韓国もTPPに強い関心を示しており、やがて入ってくる

これは間違いである。韓国は、韓米で、コメなどの最低限の例外を何とか確保して合意したばかりなのに、それらもすべて明け渡すようなTPPに入る意味は考えられない。(以下省略)

3. TPPに入らないと、韓国に先を越された日本の経済損失が取り戻せない

これは間違いである。冷静に見れば、米国の普通自動車の関税はすでに2.5%でしかなく、現地生産も進んでいるのだから、韓国に先を越されると言っても日本の損失はわずかであろう。(以下省略)

(4,5 は省略)

6. 例外は認められるから大丈夫、不調なら脱退すればよい

最近のTPP推進議論でよく聞くのは、「とにかく入ってみて交渉すれば、例外も結構認められる。不調なら交渉途中で離脱すればよい」といった根拠のない「とにかく入ってしまえ論」である。しかし、「すべて何でもやります」という前提を宣言しないと、TPP交渉には入れない。カナダは、「乳製品の関税撤廃は無理だが、交渉に入りたい」と言って門前払いになっている。(途中省略)
ただ、米国を含めた世界各国が、国内農業や食料市場を日本以上に大事に保護している。たとえば乳製品は、日本のコメに匹敵する、欧米諸国の最重要品目である。米国では、酪農は電気やガスと同じような公益事業とも言われ、絶対に海外に依存してはいけないとされている。でも、米国は戦略的だから、乳製品でさえ開放するようなふりをしてTPP交渉を始めておいて、今になって、米豪FTAで実質例外になっている砂糖と乳製品を、TPPでも米豪間で例外にしてくれと言っているオーストラリアよりも低コストのニュージーランド生乳については、独占的販売組織(フォンティラ)を不当として、関税交渉の対象としないよう主張している。つまり、「自分より強い国からの輸入はシャットアウトして、自分より弱い国との間でゼロ関税にして輸出を増やす」という、米国には一番都合がいいことをやろうとしている。
こうした米国のやり方にならって、「日本も早めに交渉に参加して例外を認めてもらえばいい」と言っている人がいるが、もしそれができるなら今までも苦労していなない。米国は、これまで自身のことを棚に上げて日本に要求し、それに対して日本はノーと言えた試しはない。特にTPPは、すべて何でもやると宣言してホールドアップ状態で参加しなくてはならないのだから、そう言って日本が入った途端にもう交渉の余地はないに等しい。この交渉力格差を考えておかなければならない。米国は、輸出倍増・雇用倍増を目的にTPPに臨んでいるから、日本から徹底的に利益を得ようとする。そのためには、たとえばコメを例外にすることを米国が認める可能性は小さい。交渉の途中離脱も、理論的に可能であっても、実質的には、国際信義上も、力関係からも、不可能に近い。また、「例外が認められる」と主張する人の例外の意味が、「コメなら関税撤廃に10年の猶予があるから、その間に準備すればよい」という場合が多い。これは例外ではない。現場を知る人なら、日本の稲作が最大限の努力をしても、生産コストを10年でカリフォルニアのような1俵3,000円に近づけることが不可能なことは自明である。現場を知らない空論は意味がない。

(7,8省略)

9. 貿易自由化して競争すれば強い農業ができる

これは間違いである。大震災で被災した東日本沿岸部に大規模区画の農地をつくって競争すればTPPもこわくない、という見解もあるが、それでも、せいぜい2ha程度の1区画である。それに対して、TPPでゼロ関税で戦わなければならないオーストラリアは、1区画100haある。農家一戸の適正規模は1万ヘクタールというから、そもそも、まともに競争できる相手ではない。土地条件の格差は、土地利用型農業の場合は絶対的で、努力すればどうにか勝てるという話ではない。車を工場で造るのと一緒にしてはならない。牛肉・オレンジなどの自由化も、牛肉や果物の大幅な自給率低下につながったことを思い起こす必要がある。
だから、TPPのような徹底した関税撤廃は、強い農業を生み出すのではなく、日本において、強い農業として頑張っている人達を潰してしまうのである。コメで言えば、日本で1俵9,000円の生産コストを実現して大規模経営している最先端の経営も、1俵3,000円のコメがゼロ関税で入ってきたらひとたまりもないのは当然である。欧州の水準を超えたというほどに規模拡大した北海道酪農でも、平均コストは1kg70円くらいであり、1kg19円のオセアニアの乳価と競争できるわけがない。残念だが、これが、土地条件の差なのである。



鈴木教授の意見は、現実を踏まえたなかなか説得力のあるものである。我々は米国のしたたかさを決して忘れてはならないのである。そして、そのアメリカの強かさは、中央官庁に席を置き、アメリカとの交渉に携わったことのある役人経験者であれば、誰もが感じているところなのだ。

だいたい、日本に毎年何千億円もの思いやり予算を拠出させるアメリカと、どうやって対等な
交渉ができるというのか? しかも、TPPの交渉参加国は、殆どがアメリカの方を向いているというのに。

しかし..しかし、である。我々は、ながーい目で物事を考える必要がある。人間の歴史を振り返ってみれば、取引を自由にしたからこそ、経済が発展してきたのは事実であるのだ。織田信長の時代楽市楽座もしかり。

但し、取引の自由化を進めるということは、弱肉強食の世界を認めることである。しかし、弱いものが退出し、強いものが生き残るから、全体として発展するというのもそのとおり。

従って、ながーい目で考えれば、農業の自由化もいつかは覚悟しなくてはいけないことなのである。

そして、農産物の取引の自由化をすぐに実施すれば、鈴木教授の指摘するように、日本は壊滅的な打撃を受ける恐れがあるのもそのとおり!

但し、日本の農業が絶対に潰れるかといえば、そうではないのだ。

確かに、日本がアメリカ式の農業を目指す..つまり大規模集約化を目指すのであれば、勝ち目はない。しかし、今の、例えば、棚田の農業を受け継ぐようなことをし、安全で美味しい、農薬を殆ど使用していないコメを世界的に大々的に売りに出せば、それはそれでかなりの支持を受けることは間違いがないのではなかろうか。

問題は、そのことに、農家や政治家が殆ど気が付いていないということである。

日本の農業は必ず生き残る。しかし、アメリカ式農業を目指せば、その可能性は極めて小さい
であろう。



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リカードの「経済学および課税の原理」の改訳版の配布を始めてから2週間ほどが経つのですが、今までに57名の方にお配りいたしました。

実にいろんな方がいらっしゃるようで..サラリーマン、高齢者、大学院生、英語教員、翻訳業の方、東南アジア在住の方、電力会社の方、国富論を原書で読破された方、社員の教育用に欲しいと仰る方、コンサルタント、経済学部の学生。


[画像:David Recardo] えっ、貴方はまだ注文されていない!? どうして? 難しそうだから..? でも、ゆっくり時間をかけてもいいのです。3か月かけても、半年かけても、或いはそれ以上でも..きっと真に経済学というものが分かるでしょう。

菅さんなども、基礎ができていなかったから..結局、人気取りに走ったとも言えるのです。林議員と乗数議論なんかしましたよね。でも、自信がなさそうでした。

ということで、経済学の筋力をつけたいと思う方に、リカードをお奨めします。

えっ、リカードよりケインズを読みたいというのですか?

しかし、リカードは、証券ブローカーをやっていて、若くして財をなすことができた人です。それに対して、ケインズは投資に失敗をしたのです。ケインズは、リカードを読んでからに致しましょう。

リカードの学説に関することで、割と多くの人が知っていることを挙げておきましょう。

<比較優位の原理>

リカードは「比較優位の原理」で、自由貿易のメリットを証明するのに成功した人。このことは、高校の政治経済学の教科書にも登場するので、これだけは押さえておきたいところです。

<差額地代論>

次にリカードの学説として有名なのは、差額地代論です。つまり、地代が発生する原因は何かを明らかにしたリカードのユニークな議論です。比較優位の原理については、仮にそれを知らなくても、「経済学および課税の原理」を読破するのにそれほど支障はありませんが、「差額地代論」を理解することなくして「経済学および課税の原理」を理解することはできません。

非常に論理的で面白い議論ですが、ただ、実際にはどうかと言われると多くの疑問が浮かびます。

<穀物法>

リカードは、英国が穀物の輸入を自由化すべしと主張したことでも有名です。そして、その件でマルサスとも論争をしているのです。では、何故、リカードは、穀物の輸入自由化を主張したのか? それには、マルサスの「人口論」が大きな影響を与えているのです。しかし、結論として、マルサスが穀物の輸入自由化に反対したのは皮肉なことと言えるでしょう。

<賃金と利潤の関係>

以上の3つは、一般の方でも、割とリカードに興味を持っていれば知っていることかもしれませんが、賃金と利潤の関係に関する考えはリカードのユニークな学説と言えるでしょう。

皆さんは、賃金が下がると、モノの価格は下がると思いますか? 多くの方は、当然そうなると思うでしょう。逆に賃金が上げれば、モノの価格は上がり、インフレになる、と。しかし、リカードは、そういう風には考えないのです。

非常に変わった考え方をするリカード。最初は戸惑うかもしれません。しかし、リカードの考えを知ると、なるほど..と。本当に興味が尽きないのです。


リカードの考えを極々簡単に紹介すれば、以上のようなことになるのですが、やっぱり本当は原書を読んでもらうのが一番です。

でも、原書を読んでリカードの言うことを理解できる人は少ないと言っていいでしょう。というか、幾人かの手による翻訳を経ても、なお幾つもの誤訳が放置されているのです。

また、それが、私が敢て改訳を試みた理由でもあるのです。

皆様も、是非、リカードの本をお読みになることをお薦め致します。

でも、手っ取り早く経済の知識を身に着けようとする人には余りお薦めできないのもそのとおりです。時間をかけて、経済学の筋力を付けようと考えているような人にお薦めと言えるでしょう。

改訳版「経済学および課税の原理」の注文先は次のとおりです。

↓↓↓

発行者メールアドレス:seiji@cj9.so-net.ne.jp

もちろん、無料です。

突然ですが、ドイツの言い分とフランスの言い分、貴方はどちらを支持しますか? なんてことを聞かれても、一般のかたはチンプンカンプン。或いは専門家でも、分かりやすく解説できる人は少ないかもしれません。

それに、ドイツとフランスが対立しているなんて、テレビを見ている限りそんな雰囲気はありません。先日も、サルコジ大統領とメルケル首相がそろって記者会見をしていたことだし..

なんて考えている人は、少しばかり甘い。

これが、先進国と途上国の議論であれば、非常に分かりやすい光景が見られるのでしょうが、なんせフランスとドイツですから、大人の行動しかしないのです。つまり、心の中と行動に相当の差がある、と。逆に言えば、二人でそろって記者会見するということは、それだけ考え方に相違があることの証拠でもあるのです。

さて、私が何について言っているかといえば、ギリシャ危機、南欧の財政危機、或いは欧州危機と呼ぶべきものに対する対応の仕方についてです。

欧州危機について、我が国総理は、先月国際デビューしたときに、そもそも欧州が1つにまとまることが重要だ、なんて言っていましたね。

欧州は、EUとして既にまとまっているのではないのか? 総理の言いたいことはそうではなく、ギリシャ危機に関して、欧州内で意見の対立があるが、それを先ずなんとかしなければ、域外の日本として支援するわけにもいかないということです。

では、欧州内でどんな意見の対立があるのかといえば..今、EUをリードしているのは、ドイツとフランスであるわけで、この二つの国には、欧州危機に対する取り組み姿勢で決定的な違いがあるということです。

どう違うのか? フランスはなんと言い、ドイツはなんと言っているのか? お分かりでしょうか?

まあ、二つの国とも、これまでいい加減なストレステストで済ませてきたことや、ギリシャにデフォルトを起こさせないことでは一致していると言っていいのでしょうが..でも、今の危機脱出法に対しての姿勢に大きな違いがあるのです。

先ず、どちらの国がより危機感を抱いているかといえば、フランスであるといっていいでしょう。

フランスは、最近、安定化基金の拡充や欧州中央銀行の関与をもっと強めるべきであると主張している訳なのですが、ドイツはどうも消極的であるのです。単純に言えば、フランスは危機回避のために財政出動の範囲を広げるべきだと言っているのに対し、ドイツはそうでもないのです。

では、何故ドイツは消極的であるのでしょう? ギリシャ人はあまり働きもしないのに、何故勤勉なドイツ人が助ける必要があるのか、と考えているからなのでしょうか?

もちろん、そうしたこともあるとは思いますが、ドイツ人の記憶には、第一次大戦の苦い経験が染み込んでいるのです。つまり、ハイパーインフレの経験です。ああいう思いは二度としてはいけない、と。つまり、ドイツとしては、幾ら欧州危機を鎮める必要があるにしても、余りにも財政が野放図になると、過去の過ちを繰り返すことになって、元も子もないと考えているのでしょう。

でも、この際、ドイツの判断は適切であるとは思われないのです。確かに、長期的にみれば、健全財政を維持することは大変に重要であるのです。しかし、今は、金融危機が再燃しかねない状況にあるのです。それに、日本の例を見れば、すぐにわかるでしょう。日本は、不良債権問題を処理するために、政府が公的資金の注入に踏み切った国です。とんでもない額の公的資金が注入されたことは記憶に新しいと思います。そしてまた、小泉政権に至る前は、景気を回復させようと何度も大型の
補正予算が組まれ、そういったこともあり、日本は世界一の借金大国になっているのです。でも、これまでのところ、インフレは起きていないのです。だったら、今の欧州においても、金融危機を鎮める目的のために、財政出動するくらいのことでいきなりインフレを招くとは到底思えないということです。

ということで、普段であれば、フランスよりドイツの肩を持ちたい私ですが、今回の件に関しては、ドイツが譲歩すべきではないかという考えます。もちろん、以前も言った通り、公的資金を投入するからには、責任問題をはっきりさせる必要がありますし、それ以前に、思い切った不良債権の処理に手を付ける必要があるのです。

ドイツをはじめとするEU全体の価値観は分からないでもないのです。ユーロの着実な発展のためには、何よりも財政の規律を守り、インフレを起こさないことが肝要である、と。しかし、ユーロ加盟国を増やすことをより重視したばかりに、財政内容を偽装していたギリシャを参加させたのは欧州自身であるのです。

先ずは、ギリシャを破綻処理する。そして、一時的にユーロから退出させ、自国通貨を復活させる。欧州の銀行は、思い切った損失処理に当たり、資本不足が発生するようであれば、財政出動する。

そういうことではないのでしょうか?

いずれにしても、破綻処理とか損失処理をすると、責任問題が発生し、そのことがスピーディな処理を阻害している本当の原因かもしれません。


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