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経済ニュースゼミ

小笠原誠治の、経済ニュースを通して世の中の動きを考察するブログです。地球温暖化阻止のために石油・石炭産出権取引を提唱します。産出権取引は排出権取引とは違います。みんな勘違いするのです。

2015年11月

しかく はじめに

本日、読売新聞は、「円借款改革 国際受注競争へ機動性高めよ」と題する社説を掲載しています。

余り興味が湧きませんか?

円借款なんていっても、私たち国民の生活とは殆ど関係がありませんものね。

まあ、関心を抱くとしたら、海外に援助する金がそんなにあるのだったら、何故国民の生活向上のために使わないのか、というようなことだけでしょうか。

しかく 読売の社説

いずれにしても、読売は何と言っているか?

一言で言えば、今年の9月、インドネシアの高速鉄道プロジェクトの受注競争で日本がインドネシア政府の保証を求めたために受注競争負けたことを受け、今後は、円借款を供与する場合、必ずしも相手方政府の保証を求めないとする安倍内閣の方針を支持するというものなのです。

こんな風に書いています。

「手続き期間を現在の3年から最大で1年半に短縮する。自治体や国営企業に対する融資条件も緩める。従来は、現地政府が返済を確約する「政府保証」を必須としていたが、相手国の経済が安定している場合などは免除する。

今年9月、インドネシアの高速鉄道計画の受注競争で、日本は中国に敗れた。中国は、インドネシア政府の保証を求めず、短期間で施工する提案を行ったという。

これを教訓に、円借款の機動性と柔軟性を高め、中国に対抗しようとする政府の方針は妥当だ。」

しかく 政府保証を求める意味

この社説を書いた人間は、どれだけ円借款とか国際協力について知っているのだろうかと思ってしまいました。また、どれだけ政府や経済界のご機嫌取りの記事を書きたいのか、と。

物事には、何でも両面があるのです。

お金を貸す側が、例えば連帯保証を求めないとすれば、借りる側にすれば、なんとありがたいことか。

それはそのとおり。恐らくお金を借りたいという人が、国中から集まり行列ができてしまうでしょう。

しかし、連帯保証を求めないということは、安易に借金を申し込む人が増えるだけでなく、仮にその貸し付けが焦げ付いた際、貸した側が損失を被ることを忘れてはいけません。

そうでしょう?

ということで、確かに日本政府が相手方政府の保証を必ずしも求めなければ、日本政府に対する借金の申し込みは急増するでしょうが...しかし、今言ったように、そうなるとプロジェクトの中身について余り真面目に検討したとは思えないものが増える可能性があるのです。つまり、プロジェクトの箱ものは完成しても採算が合わず、日本側は元本の回収ができずに終わるものが増えてしまう、と。

しかく 日本の受注を前提とする円借款とは

それ以外にも、気になる記述が多いこの社説。

先ず、タイトルですが、「国際受注競争へ機動性高めよ」とは、露骨過ぎないかと言いたい!

「優れた技術を生かし、強靱で環境に優しい道路や橋、海底トンネル、発電所などを建設することが相手国の長期的な利益となる。」

本当でしょうか? 確かに一般論として、そうしたインフラ整備が重要であるのは分かるものの、開発途上国にとってそうしたインフラ整備が常に緊急性や重要性を持つと言えるのでしょうか?

その前に、例えば義務教育の充実や農業技術の普及などが優先される場合もある筈です。

「こうした日本の姿勢が各国に評価されれば、日本企業のインフラ輸出の拡大にも役立とう」

「環太平洋経済連携協定(TPP)により、マレーシアやベトナムなどでも公共事業の国際入札が広がるとみられる。こうした商機を逃さないようにしたい」

要するに、この社説は、日本のプラントメーカーが、円借款を巧く利用して受注競争に勝つようにすべきだと言っているだけなのです。

まあ、受注競争に勝つことを私は否定している訳ではありません。

しかし、そんなことしか頭にないということは、国際協力なんていうのは単なる口実であって、結局、日本側の事情を優先した「円借款」でしかなことになってしまいます。つまり、相手国がどんなことに今、力を注ぐべきときか、などということには全く無頓着になり、ひたすら日本企業の利益だけを考えてしまう円借款ということになるのです。

しかく アンタイド・ローンで注目を浴びた日本

1980年代の後半頃から1990年代にかけて日本輸出入銀行のアンタイド・ローンというのが海外から注目を浴びたことがありました。

アンタイド・ローンとは、ひも付きの融資ではないということで、日本企業が受注に負けても融資を行うという前提で供与するローンなのです。

今、安倍政権が力を入れているのは、それとは全く逆。相手方政府の保証はなくてもよいが、その代わり、日本の企業が受注することが絶対に必要だ、と。

そんなことでいいのでしょうか? それでは決して日本は、感謝も尊敬もされることはないでしょう。

中国がインドネシア政府の保証を求めないことにしたのには、それなりの理由があったからで、だからと言って、日本がそんな中国のやり方を真似する必要はないのです。



中国のやり方を真似する必要などないと思った方、クリックをお願い致します。
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世の中には軽減税率の導入に熱心な人々がいます。

公明党の関係者です。

まあ、公明党の関係者でなくても、少しでも税金が安ければそれでいいという人は、軽減税率を支持するかもしれません。

しかし、何度も言いますが、軽減税率なんて人気取りの政策に過ぎないのです。

それに、低所得者層を守ってやりたいとしても、他に方法は幾らでもあるのですから。

いや、軽減税率の導入に反対する人が殆どいないというのであれば、それなら私も何も言いません。

しかし、経済学者や財政学者のなかで、どれだけ軽減税率を支持する人がいるのでしょうか?

それに一般の人々であっても、軽減税率の弊害を懸念する人は多いのです。

それだけではありませんよ。昨日は、日本スーパーマーケット協会など7つの団体が軽減税率に反対するための緊急集会を東京都内で開いたというのです。

どんな意見が出ているかと言えば...

・システムの構築には早くとも1年半はかかるので間に合わない。

・合理的な線引きが困難で混乱や不公平が生じる。

・低所得者対策としては、高所得者にも恩恵が及ぶ軽減税率ではなく、簡素な給付措置などで対応すべき。

・店内で食事をする場合と、持ち帰る場合で税率が異なることになれば、お客さんが困る

・単品の刺身と盛り合わせで税率が異なることになれば、客は理解できるのか。小売りの現場を無視している。

・複数税率になれば、税率ごとに区分して計算する必要があり、事業者の負担が増える。

・商品を仕入れた際に請求される消費税の税額が正しいかどうかの確認や、消費者からの問い合わせに備えて品目ごとに消費税額を把握しておく必要がある。


言われてみたら、ごもっともな意見ばかり。要するに現場の人間に不必要な事務を押し付けることになるのですよ。それでなくても人手不足が懸念されているというのに。

軽減税率の導入は公約したことでもあるので、今更撤回できないというのでしょうか?

だったら、現場の人々が困らないで済むように、殆ど全ての商品に軽減税率を適用するようにすればよい。

例えば、お酒とタバコ以外は全て軽減税率を適用するようにする。これなら、現場の事務負担が増えることは殆どないでしょう。

それでどうだ!

しかし、そうなると、必要とされる消費税率の引き上げ幅が大きくなり、従って、軽減税率もそれに合わせて引き上げる必要が出てくるのは我慢して下さい。

そんなバカバカしいことを公明党はやろうとしているのです。



酒とタバコ以外は全て軽減税率を採用する案はいいかも、と思った方、クリックをお願い致します。
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公明党が軽減税率を加工食品にまで適用しろと言っています。

それに対して、自民党は、減税財源は4000億円しかないのだから生鮮食品にしか適用できないと言っています。

私は、自民党に聞きたい。どこにそんな財源があるのか、と。

消費税率を10%に引き上げると、税収が歳出を4千億円ほど上回るというのであれば分かります。しかし、現実は消費税を10%引き上げたところで相変わらず多額の国債を発行しなければ歳入は賄えないのです。

いずれにしても、直ぐには折れそうにない公明党。

そこで今度は、自民党が、軽減税率の適用対象を将来的に拡大するからそれで納得してもらえないか、と。

私は再び自民党に聞きたい。

軽減税率が適用される品目が多数に及んでしまうと、何のための消費税を導入したか分からなくなってしまうではないか、と。

でも、国民がどのように考えようと、与党の政治家たちは聞く耳を持たない!

それならいいでしょう。いっそのこと公明党さんの要望どおり、どんどん軽減税率の対象を拡げて行けばいい!

「衣食住と言いまして、着るものも大事です。是非衣料品にも軽減税率を適用して下さい」

OK

「東京オリンピックに備えて、子供たちが使う運動用具を軽減税率の対象にして下さい」

OK

「ノーベル賞を受賞する日本人が増えるように、顕微鏡や望遠鏡や理科の実験道具などを軽減税率の対象にして下さい」

OK

「女性が社会で活躍するためには、それなりにお化粧をする必要があるので、化粧品を軽減税率の対象にして下さい。それに女性が化粧を上手にすると、結婚に結びつく可能性が高くなり、そうなると出生率も上がると思います」

非常にいいアイデア! OK

「地域おこしのために故郷の名産品は軽減税率の対象にして下さい」

OK

「子供たちの音楽の才能を伸ばすために、楽器を軽減税率の対象にして下さい」

OK

「ピカソのような偉大な画家が生まれるよう、絵具やクレヨンを軽減是率の対象にして下さい」

OK

こんな風に考えていくと...むしろ、軽減税率を適用しないでもいいと思われる商品の方が少ないのではないでしょうか?

ということで、次から次と軽減税率の対象を増やしていくと...行き着く先は、全てに軽減税率を適用することになり...皆、同じ税率になってしまうのです。

よかったですね、公明党さん!

しかし、それではどうやって税収を確保することができるのでしょうか?

簡単です。消費税を上げればいいのです。

8%の消費税を12%に引き上げる、と。

しかし、同時に全ての品目を軽減税率の対象にして軽減税率は10%とする、と。

そうなると2%分、税率が上がることになるのです。



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軽減税率の適用範囲について、自民党と公明党がまだ揉めています。

生鮮食品に限定しようとする自民党に対して、加工食品にまで対象を広げるべきだとする公明党。

公明党は、コンペイトウにも軽減税率を適用したいということなのでしょうね。

冗談はさておき...

なかなか首を縦に振らない公明党に対して、自民党の方は、段階的に対象を拡大する案を提示しているようですが...皆さん、どう思いますか?

まあ、1円でも税金が安く済めばそれに越したことはないと思う人は、軽減税率の対象が増えれば増えるほどありがたいと感じるのでしょうか?

でも、だったら、例えば消費税率を8%から10%に上げずに、9%で留める案だって考えられる訳なのです。

例えば、国民の負担が同じだと仮定して、一律に9%の消費税を掛ける場合と、税率は10%であるものの、一部に8%の軽減税率が適用されるものがある場合と、どちらが望ましいと国民は感じるのでしょうか?

私は、それだったら明らかに消費税率を9%に留め、軽減税率を導入しない方が望ましいと考えます。

何故かと言えば、どちらも国に入る税収(イコール国民が負担する税金)が同じである一方、軽減税率を導入するとそのための事務が増えてしまうからなのです。つまり、手間とお金がかかる、と。

それに軽減税率を導入することが弱者の保護につながるならともかく、軽減税率を導入しても、むしろお金持ちの税負担が軽くなるだけだなんて議論もある訳ですから、必ずしも弱者の保護につながるとは言えないのです。

それに、高級な牛肉やカニやマツタケやメロンなどを購入する場合にも、軽減税率が適用されるのです。

おかしいでしょ?

つまり、仮に軽減税率を導入するにしても線引きが大変難しいのです。

でも、公明党は軽減税率に拘る!

本当に国民のためを思うなら、軽減税率の導入に拘るのは止めて欲しいと私は言いたい!

それに自民党も自民党。将来的に軽減税率の適用範囲を拡大していきたいなんて言うのであれば、何のために消費税の導入に今まで力を入れてきたのか、と。

国民が幅広く平等に(形式的意味での平等ですが)税を負担することが望ましいと考えたからでしょ?

仮に軽減税率の適用範囲を将来的に拡大するというのであれば、そのための財源が必要になるのに、他方では法人税を20%台にまで低下させると明言しているではありませんか。

法人税を下げれば益々財源が不足する訳ですが...そうなると一方で消費税率を上げつつ、他方でそうした高い税率が適用されない品目を多く認めるというつもりなのでしょうか?

でも、そうなると、いろんな業界から自分たちの商品も軽減税率の対象にして欲しいという陳情が後を絶たなくなるでしょう。つまり、自民党の税調には、陳情者たちが日参することになる、と。

どうやって裁くつもりなのでしょうか?

案外、全部を軽減税率の対象にする、なんちゃって。

でも、だったら、次回の増税は8%から10%への引き上げではなく、8%から12%の引き上げとするが、新聞を除く商品は全て10%に軽減税率を適用するなんてことにしてもいいでしょ?

新聞も軽減税率を適用しろ?

だったら全部軽減税率を適用して、税率は10%。

いずれにしても、対GDP債務比率では世界一の借金大国になっていながら、未だ政府に余裕があるかの如く振舞う政治家たち。

確かに、日本の国債の利回りは他国に比べ依然として格段に低く、今すぐ財政が破綻するなんて兆候がある訳ではないのですが、それも日銀が年間80兆円のペースでマネタリーベースを増やすためにガンガン国債を購入し続けているからそのような状況になっているとも言えるのです。

皆さん、お聞きしたいと思いますが...日本もいつかインフレになることがあると思いませんか?

例えば、原油価格が何らかの要因で反転して、インフレ率が2〜3%にまで上昇したって、全然不思議ではないでしょ?

でも、仮にインフレ率が2〜3%にでも達したら、いつまでも日銀が国債を買い続ける訳には行かないのです。

そうなるとどうなります?

一気に国債の価格は低下してしまうでしょう。仮に、そうした事態を避けようとして日銀が国債の購入を続けようとすれば、今度は、インフレ率の上昇を抑えることができず、そうなるとまたまた国債に売り圧力がかかってしまうのです。

そのような事態が容易に予想されるのに...それでも軽減税率の対象をさらに拡大するからなんて、と。なんと悠長なことを自民党は言っているのでしょうか。

谷垣さん、しっかりしてくれと私は言いたい。





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安倍総理が最低賃金を年3%程度引き上げ、時給1000円を目指すと表明しました。

なんと素晴らしいことか! これで消費も活気づき、景気の好循環が生まれる、とお考えの人も多いのではないでしょうか。

本当にそうなればいいのですが...

でも、実際にはそうはならない可能性の方が高いのです。

というよりも、それで景気の好循環が生まれるのなら、ずっと昔からやっていた筈ですから。

それに、経済学者で最低賃金制度を積極的に評価する人は少ないのです。

では、何故最低賃金を引き上げてもプラスの効果をもたらすとは考えにくいのか?

その問いに答える前に、誤解のないように一つだけはっきりさせておきたいと思います。

もし、労働者を採用する企業側が、優越的な立場にあることを利用して不当に賃金を低く抑えているという事実があるのであれば、それなら最低賃金制度を大いに活用する余地はあるでしょう。

その意味では、最低賃金制度の意味は大いにあるのです。

しかし、そうではない状況ではどうでしょう? つまり、企業側にそれほどの余力がないのにも拘わらず最低賃金を一方的に引き上げるとどうなるのか?

もちろん、法律に基づく制度であり、罰則もある訳ですから、従わざるを得ないのです。ですから、仮に企業側に余力があれば、賃金を引き上げることになるでしょう。

では、その余力がない企業は?

最低賃金を支払うことができなければ、労働者を解雇せざるを得なくなってしまうのです。

最低賃金が上がっても、それだけの賃金は払えないからと企業側に言われたら元も子もないではないですか。

そうでしょう?

それに、そもそも最低賃金が適用されている労働者の数は300万〜400万人程度であるらしく、従って、現状で最低賃金が仮に24円程度(賃上げ率3%に相当)上がっても、その人たちの収入の増加額は1000億円程度にしかならないのです。GDPが500兆円として、0.02%分にしかなりません。

誤解しないで下さいよ。0.02%にしか相当しないから上げる必要がないなんて言いません。そうではなく、上げたとしても、それで日本の景気が一気によくなるほどの効果はないと言いたいだけなのです。

それに、そもそも近年、最低賃金がどのように推移しているかと言えば...まあまあの伸びを示していると言っていいでしょう。

グラフをご覧ください。

[画像:最低賃金]

アベノミクスによってベースアップが実現したなんて言われていますが...アベノミクスがスタートする以前から最低賃金は着実に上がり出していたのです。

2007年頃から着実に伸びているのがお分かりになると思うのです。

では、労働者の生活水準は向上しているのか?

でも、実際に聞こえてくることと言えば、生活は大変に苦しい、というようなことばかりではないですか。

私思うのですが、本当に企業側に余裕がありながら低賃金を強いているというのであれば、最低賃金を引き上げることの効果は大きいと思うのですが...そうではなく、これ以上の賃上げにはなかなか応ずる余裕がないというのであれば、幾ら最低賃金を引き上げたところで実効性は伴わないと思います。

まあ、罰則もあるので表面的には最低賃金を支払った形を取るでしょう。しかし、労働者に支払うことのできる財源が限られているとすれば、例えばサービス残業を強要したり、研修費というような名目で労働者からお金を取ったりして帳尻を合わせるだけの話ではないでしょうか。つまりブラック企業が増えるだけだ、と。

安倍政権は、そのようなブラック企業については企業名を公表すると言っていますが、しかし、中小零細企業は対象外になっているのです。

最低賃金を毎年3%引き上げ1000円を目指すと言うのであれば、安倍総理は、それだけの余裕が日本の産業界にあると考えているのでしょうか?

そこのところを是非聞いてみたいものです。

しかし、日本商工会議所の三村会頭は、「現実的な状況を踏まえてやってほしい」と不満の意を示していますよね。



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麻生財務大臣が本日、軽減税率を適用するのに必要な財源が4000億円を超える場合には福祉を減らすことになると述べた報じられています。

軽減税率に反対する私としては、「軽減税率を適用するのに必要な財源が...」ではなく、そもそも「軽減税率を適用するのであれば、福祉を減らすことになる」と言って欲しかった。

しかし、そこは、軽減税率を導入することで自民と公明の間で話が付いていた訳ですから、今更何もなしという訳にはいかないのでしょう。

公明党さんに言いたい!

もういい加減に手を打ってはどうか、と。

これで一応公明党の顔も立ったではないか、と。

でも、そうやって軽減税率を実施したところで、公明党に感謝する国民はそれほどいないでしょう。

確かに、国民の多くが軽減税率の実施を支持したのは事実。でも、それは単に少しでも税負担が少なくなることを望んだ結果に過ぎないのです。

それに、公明党が軽減税率の適用範囲をさらにを広げたいというのであれば、そもそも消費税の増税に賛成すべきではなかったのです。

いずれにしても、この線で進むならば新聞が軽減税率の適用対象にはならないので、その意味では大変に良かったと思います。

新聞社が売り上げ部数が減るのが怖いというのであれば中身で勝負すべきなのです。

官庁の発表することを単に伝えるような記事ばかり書いているから面白くないのです。材料は、官庁が発表したものであっても、独自に取材した材料や分析結果を反映させれば、それなりに面白い記事が書けるのではないでしょうか。

最近の記事って、余りにも政権に気を使ったようなものが多いと思いませんか?

それにしても、新潟日報の報道部長の件には驚いてしまいましたね。

何がって...

しばき隊で暴言を吐いていたのが、よりによって新潟日報の報道部長と言うのですから。

「不確かな情報を流すのはやめてください。電話をかけて」

「いやだね。クソハゲと電話で話す必要あるわけ?はよ、弁護士の仕事やめろ。プロのハゲとして生きろ。ネトウヨ弁護士。クソ馬鹿ハゲ野郎!」

それにしても、この男、ハゲを異常なほどにバカにしています。

プロのハゲって、どういう意味なのでしょうか。

それに、因縁を付けられた弁護士さんの方は、「私はそれほど禿げていません。」と言っています。



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本日の日経のグローバルオピニオンのコーナーには、大変興味深い主張が掲載されていました。

意見の主は、米国防総省顧問のマイケル・ピルズベリー氏で、タイトルは、「対中国、「甘い幻想」を捨てよ」

ご存知ですか、この人物。なんでも「China 2049」というタイトルの本を著し、ベストセラーになっているのだとか(原書のタイトルは、The Hundred-Year Marathon )。

で、本日掲載されていた記事の何が私の興味を引いたかと言えば、米国が中国に対して秘密裏に行ってきた具体的な協力の内容です。

「1972年にニクソン大統領が訪中して以来、米国はあらゆる支援を通じ、中国が強くなるのを手伝ってきた」

「中国が強大で豊かになれば、ジーンズやロック音楽を好む中間所得層が生まれ、米国のような国になっていく。やがて民主化も進み、中国は米国の同盟国になるにちがいない。中国を助けのは、こんな前提を信じたからだ」

実際にどのような支援をしたかと言えば...

(1)敵対していたソ連軍の師団やミサイル基地がどこにあり、何発の核ミサイルを持っているかを知らなかった中国にそうした機密情報を教えた。

(2)ソ連のアフガニスタン侵攻の際、中国から20億ドルの兵器を買い上げ反ソ連勢力に流した。

(3)80年代に、カンボジアからベトナム勢力を追い出すために、米中がタイ、シンガポール、マレーシアと組んで、秘密工作を展開した。

さらに、ピルズベリー氏によれば、オバマ政権は、中国のイノベーションを促す会議を発足させ、科学者や起業家がノウハウをてほどきしているのだ、とも。

まあ、そんな裏話を聞かされると、そんなことを米国はしていたのかと、思ってしまいます。

そうでしょう?

しかし、ピルズベリー氏は、こうした米国のやり方は今から考えると間違っていたと断言します。何故なら、中国は米国の同盟国になる可能性がないばかりか、米国に対抗する戦略を有しているからだ、と。

「彼らは(建国100周年の49年までに米国を抜き、世界派遣をにぎるという)マラソン戦略を着々と進めている。対抗するには中国が崩壊するという言説に惑わされず、米国の競争力を強めることが大切だ」

ピルズベリー氏の言いたいことが大体分かったと思うのですが...ここで質問です。

この記事のタイトルの「対中国、「甘い幻想」を捨てよ」と一体誰に対して言ったものなのでしょうか?

タイトルだけみると、思わず、この記事の読者の日本人に対して言ったと思ってしまうでしょう。

しかし、そうではないのです。彼は、ワシントンに対し、今でも中国が自分たちの協力相手になれるとの希望的観測を持っていることが甘いと言っているのです。

要するに、米国が中国に抜かれて世界一の座を明け渡すのが悔しい、と。だから、日本とは殆ど関係のないことなのです。

それとも、中国がさらに軍事的プレゼンスを高めれば、日本にとって益々脅威になるから日本もうかうかしていられないぞ、と言いたいのでしょうか。

でも、そうだとしても、先ずワシントンを説得することが先決でしょう。

それに、米国はどうすべきだとこの人は考えるのでしょう?

中国に対し協力するようなことを止めたとして...それで中国の発展を阻止し、反対に米国の発展を促進することができるのでしょうか?

そうではありませんよね。米国が今後も発展を続けるためには中国との関係を強化した方がいいと思っている。だから中国に配慮しているということなのです。

戦略的互恵関係という言葉にその考えが如実に表れているではないですか。

ついてでに言っておくと、この人、日本にもお節介をやくのです。

「米国は米中秘密協力について、日本には一切、教えてこなかった。日本は憲法の制約上、他国には軍事支援できない上、秘密工作を担う機関もないので、知らせる必要はないと考えられてきたのだ。米中間でどのような協力が進んでいるのか、日本は今からでも米政府に情報の提供を求めるべきだろう」

私は、この人が何を言いたいのか意味が分かりません。

日本が米国政府に要請すれば、情報が得られるのでしょうか?

いずれにしても、米国が過去、仮に中国を支援したことがあるとすれば、それは対ソ連との絡みで行ったに過ぎないか、或いは中国の巨大な市場を睨んでのこと。結局、自分のためではないですか。

それに、仮に中国が米国を追い抜き派遣国家になろうという野望があったとしても、それが単なる経済発展の結果に過ぎなければ、誰も何も言えない筈。

そんなに中国の発展を阻止したいのなら、中国からの輸入をストップすればいいだけの話。でも、そうなると困るのは米国の人々。だから、輸入は止められない、と。

取材をした秋田浩之編集委員は、「裏を知り尽くした人物だけに、机上の対中強硬論にはない説得力があると」と褒め称えていますが、私には、米国が常にナンバーワンであることを望む人々の心情に訴えた主張にしか聞こえませんでした。

米国という国は自国の利益しか考えておらず、日本を含め、他国を常に巧いこと利用しようとする米国の本音が垣間見えた主張でした。





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本日は、日銀の審議委員ともあろう者が、こんなことを言うのかという話。

もっとも、日銀が国債を買い上げれば国民の借金を減らすことになる、なんてとんでもないことをいう委員からみれば、まだましなのかもしれませんが...

本日の主人公は、白井さゆり委員。

[画像:白井]
日銀の白井さゆり委員が、サンフランシスコで開かれた討論会で、次のようなことを述べたと日経が報じています。

・(消費者物価が目標である2%に向けて上昇すると)家計には2%を上回る物価上昇率と実感され、受け入れがたいと感じられる可能性がある。

・(家計の物価上昇への警戒感を取り除くには日銀が)賃金の上昇と消費の持続的な拡大を伴う緩やかな物価上昇を目指していることを理解してもらう必要がある。

如何でしょうか?

家計(イコール国民)が物価上昇を嫌う傾向があるという指摘はそのとおりでしょう。

しかし、だからと言って、それは家計の理解不足であるから、理解してもらう(教育する)必要があるというのは如何なものでしょうか?

まるで国民がバカだから日本はインフレにならないと言っているようなものではないですか。

でも、彼女は本当にそんなことを言ったのでしょうか。日銀のサイトで確認してみました。

「もうひとつ重要な傾向は、両国とも家計の予想インフレ率が実際のインフレ率を上回ることが多く、いわゆる「インフレ予想の上方バイアス」の可能性があることです。ここには家計が食品・日用品やガソリン等の身近な物・サービスの値段をもとに回答する傾向が影響していると思われます。しかし、バイアスの大きさには違いがあり、一般的に、日本が米国より大きくなっています。

ここで、長期予想インフレ率と総合物価指数の伸び率の平均値の差がバイアスを反映すると仮定しますと、2014年10月の原油価格急落以前の約10年間は、日本では平均約2%程度、米国では平均約1%程度でした。すなわち、日本の家計の長期予想インフレ率が先に見たとおり一見2%程度で安定しているのは、単に上方バイアスの結果である可能性があります。こうした上方バイアスが存在する下では、日本銀行が掲げる物価安定目標2%に向けた物価上昇は、家計には2%を上回る物価上昇と実感され、受け入れがたいと感じられる可能性があります。

日本の家計の上方バイアスが大きい要因として、収入見通しの違いが影響していると考えられます。例えば、両国で比較可能な「1年後の予想収入D.I.」(上昇回答割合と下落回答割合の差)を算出しますと、日本のD.I.は常にマイナスの領域にあり、直近でもマイナス30%前後となっています。すなわち、日本の家計は常に将来の収入の低下を予想しており、予算のタイト化を意識した強い生活防衛意識の結果として、将来のインフレ予想の上方バイアスが大きくなっている可能性があります。その場合、家計の物価上昇への抵抗感を除いていくうえでは、日本銀行が目指しているのは賃金の上昇と消費の持続的な拡大を伴う緩やかな物価上昇であるとの理解が広がることが重要になります。」

如何でしょうか?

白井さんは、国民がバカだからとか、国民の知的レベルが低いからなんて言い方はしていません。しかし、バイアスが存在するとは言っているのです。

バイアス?

バイアスとは、統計上見られる偏りのこと。先入観とか偏見といってもいいでしょう。

つまり、国民の側に先入観や偏見があるから、国民はインフレ率について、実際のインフレ率より高く感じる傾向があると断じているのです。

私も、国民にそのような先入観というか偏見があり、従って、インフレを警戒する気持ちが強いのは、そのとおりだと思います。オイルショック時のことが未だに脳裏にある人も多いことでしょうし...また、そのような経験がない若者でさえ、物価が上がれば、生活に響くので嫌だと思うのは当然なのです。

しかし、そのような気持ちを国民が持ってはいけないのでしょうか?

白井委員は、そのような考えを国民が持つので、それがインフレ実現の障害になり、従って、そのような考え(バイアス)を改めてもらう必要あるというのです。

私は、おかしいのは白井委員の方ではないかと思います。

繰り返しになりますが、国民がそう考えるのは当然のことなのです。国民の側に、インフレ率に関し、実際のインフレ率よりも高いと考える傾向があるにしても、それ自体は何も悪いことではない。

問題なのは、国民とはそのような考えをするものだという前提で、それに相応しい金融政策を考案できない日銀にあるのです。

それに、そもそも何故インフレが良いことだなんて、消費者が思わなければいけないのか?

そうでしょう?

安い方が良いに決まっているではないですか。

企業だって同じです。否、企業はそれよりも酷い。特に大企業は、下請け企業に無理やり値引きを飲ませるようなことさえするからです。

教育が必要なら企業を教育したらどうなのでしょう?

でも、それも間違いなのです。企業だって、家計だって自分の利益のために行動しているだけなのですから。

いずれにしても、白井委員の言いたいことは、家計(イコール国民)がインフレに対して警戒感を持ちすぎるから、だから企業も製品価格の引き上げを躊躇し、従ってインフレが起こらないという意見なのです。

おかしいでしょ?

家計も企業も自分たちの防衛本能の赴くまま行動しているだけなのですから。

それに、この白井委員の考えは、物価が上がると家計は消費を抑制するということを前提条件としておいていることにも注意する必要があります。

もちろん、その前提条件が間違っているというのではありません。まさにそのとおり。物価が上がるなかで収入が増えなければ、どうしても実質消費は落ち込みます。

しかし、そもそもインフレターゲット論者の意見は、インフレが起きれば、人々はモノやサービスの価格が上がらないうちに買おうとするから、消費は刺激されるというものだったのではないでしょうか。

そんな風にクルーグマンは言っていたでしょ?

デフレの状況下では、人々がモノの購入を先送りするので消費が沈滞し、逆に、インフレの状況下では値上がりする前に買おうとするので、消費が活発化する、と。

インフレターゲットを掲げている日銀の審議委員が、インフレターゲット論者の考えと違う考えを前提にしているのです。

もう、本当におかしいと言ったらありゃしません。

いずれにしても、国民の教育が必要だみたいな意見にはまいってしまいます。

「しらい君、国民は怖いぞ!」

「くろだ様こそ、国民の怖さを知らずに増税を主張しているのでしょ?」

「だから、はらだの言うとおりに、日銀が国債を買えば、国民の借金は減るのです」





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今週後半は、クルーグマンの心変わりをテーマにいろいろ考えることができました。

私は、率直に言って、クルーグマンは自分の主張の一番柱となる部分を変えたと思います。

だから、インフレターゲットの理論はガラガラと音を立てて崩れている最中である、と。

何故かと言えば...

(1)そもそも日本の経済パフォーマンスは決して悪くはなかたった(労働力1人当たりのGDP成長率でみれば、日本は欧米に負けていないし、潜在成長率に近い成長率を維持している)とクルーグマン自身が認めているから。

(2)日本の自然利子率はネガティブ(マイナス)の状況にあるが、人口減少が続く中、それは永遠に続くように見えるので、人々にインフレが起きると期待(予想)させるのは困難だ、とこれまたクルーグマンが認めているから。

(3)その一方で、クルーグマンはインフレターゲットをむしろ強化すべき(インフレ目標値を引き上げるべき)で、そのためには積極的な財政出動が必要と言っているが、仮に放漫財政を続けることよってインフレが実現できたとしても、それは人々の期待(予想)に働きかけた結果というよりも、単に放漫財政の結果そうなったというべき性質のものであり、従来の主張とは大きくかけ離れてしまったから。

それに、かつて、筋金入りのリフレ派は、インフレターゲットを掲げた上で幾らでもマネーを放出すれば、インフレは簡単に引き起こすことができると言っていたことを思い出すべきなのです。つまり、彼らはインフレを起こすのに財政出動など必要ないと言っていたのです。そのことを考えると、財政出動なしにインフレは実現できないとの意見に変更したクルーグマンは、もはやリフレ派と呼ぶのは相応しくないでしょう?

しかし...それでも私の記事にコメントを寄せてくれた人のなかには、「インフレターゲットの理論自体が崩壊した訳ではありません」と仰る人がいる。

確かに、クルーグマンは、インフレターゲットを撤回しろとは言っていません。それどころか目標値を引き上げろとさえ言っています。しかし、彼の考え方とインフレ達成のための手法は全く当初のものと変わっているではありませんか。

だから、インフレターゲットの理論はガラガラと音を立てて崩れていると言うべきなのです。

但し、リフレ派の政策というか、アベノミクスの金融政策が円安と株高を実現したのは事実。

それは素直に認めましょう。

もっともアンチリフレ派の中には、円安になったのはユーロ危機が収束した影響が大きく、アベノミクスはそのきっかけになったに過ぎないという人もいます。

私も、その主張にはある程度説得力があると思います、しかし、ここは百歩譲って、アベノミクスのリフレ派政策のために円安になったと認めましょう。

そして、株価の方も、総じてみれば明らかに上昇を続けている。

つまり、日銀の量的・質的緩和策は、円安と株高をもたらした、と。

しかし、同時に皆が気が付いていることは、インフレにはならなかったという事実です。インフレ率は、最近、ゼロ%近辺で推移しています。

では、為替と株価の2つについては良い結果をもたらすことができたのに、物価だけは何故所期の目標を達成できていないのでしょうか?

何故なのでしょう?

私は、これは、期待(予想)に働きかける政策が有している限界によるものだと考えます。

そもそもマネーを市場に大量に放出すると、何故インフレが起きると考えられるのでしょう?

そんなことを私が質問すれば、恐らく多くの人は、そんなの当たり前ではないかと思うのではないでしょうか?

何故かと言えば、マネーが大量に放出されると言えば、国民一人ひとりにお金が沢山支給されるようなイメージがあるからです。

実際にそんなことが行われれば...例えば、毎年政府が国民1人ずつに100万円を支給するようなことをすれば、確かにモノは飛ぶように売れ、従ってインフレになるでしょう。

しかし、そのような政策は金融政策の範疇にあるものでありません。それは財政政策なのです。

金融政策としてのマネー放出策にあっては、国民や企業に国からお金が支給されるなんてことはないのです。ただ、日銀が例えば国債を購入することによって、その代金が市中銀行の口座(日銀当座預金)に振り込まれるだけなのです。

では、再び質問します。日銀が、金融政策としてマネーを大量に市場に放出するとインフレになると期待できるのでしょうか?

今度は、「待てよ...」と多くの人が考え込むでしょう。日銀が単に市中銀行から国債を買い上げただけでインフレが起きるのだろうか、と。現に、今その社会実験をやっている最中だが、所期の効果は出ていないぞ、と。

しかし、その一方で、円安は起きたし、株価も上がりました。

何故、そのような違いが生じたのでしょうか?

それは、アベノミクスがスタートし、日銀が市場に大量に資金を放出することを約束したのだから、円安になるのが当然だと漠然と想像した人が多かったからではないでしょうか。そして、その際、重要なことは、円安になるとドル買いによって儲けることができるので、その波に乗らない手はないと思う市場関係者が多かったという事実です。

だから、ドル買い円売りの連鎖が続き、円安が進行してきたのでしょう。

ドルの価値が上がるなか、それを黙って見ていると損をしてしまうでしょう? だから、市場関係者は、ドル高に賭けた、と。そして、ドル高に賭けた者が儲ける姿を見て、益々ドル高に賭ける人が増えたのです。

まさに、アベノミクスを信じればこそ大儲けができたのです。

同じようなことが株価に関しても言うことができます。

つまり、マーケット関係者が、心底アベノミクスの効能を信じていたかは別として、結構効き目はあるのではないかと思い、少なくても市場の大勢は効き目があると思っている筈だと感じたからこそ、皆アベノミクスを信じた格好になり、まさに信じる者は救われる状態が出現したという訳なのです。

では、何故物価の方は上がらなかったのか?

原油価格が下落したからだ、と言いたい人がいることは承知していますが、それは理由にはなり得ません。何故なら、仮に原油価格下落の影響を除去したとしても、直近の物価上昇率は1.2%程度のもので、2%の目標には依然及ばないからです。

何故物価については、人々の期待(予想)に働きかける政策が功を奏さなかったのでしょうか?

それは、為替や株の場合と違い、物価の関しては、モノの価格が上がることが自分たちの利益に直接関係しないから...もっと言えば、為替がドル高円安になり、そして株価が上がれば市場関係者の多くは儲けを得ることができるのに反し、自社製品の価格が上がればむしろ不利になるので、だから物価がそう簡単に上がるとは思えなかったからではないでしょうか。

端的に言えば、仮に物価は上がるかもしれないと多くの企業関係者が思ったとして、彼らは、自社製品の価格をいち早く上げようとするでしょうか? 或いは、労働者の賃金をいち早く上げようとするでしょうか?

そんなことはしないでしょう?

何故かと言えば、そのようなことをすれば、自社の競争力が相対的に落ちてしまうからです。

企業経営者たちが、自社製品の価格を引き上げようとするのは、原材料費や人件費が上がった後、どうしても値上げしないと利益が確保できないと判断した場合の話なのです。

つまり、最後の最後まで企業経営者たちは自社製品の価格引き上げを回避しようとする、と。それが自分たちの利益に適っているからです。だから、幾ら日銀が人々に物価は上がるぞと暗示をかけても、人々は動かなかったのです。

それが、物価と為替や株価の違いではないのでしょうか。

要するに、為替市場や株式市場は、アベノミクスの信者で溢れかえっているが、その一方で、実体経済の参加者、イコール全ての国民のなかにおいては、アベノミクスの信者は僅かなものでしかなく、また、その僅かなアベノミクスの信者でさえも、自社製品の価格や従業員たちの賃金を上げろという教えにはついて、どうしてもついていくことができなかった、と。

当たりまですよね、そんなことすれば、自分たちが苦しむのが分かっているからです。

で、そうなると、物価や賃金に関しては、人々の期待に働きかける政策に効果がないということですから、それでもなおインフレを起したいというのであれば、クルーグマンの言うように国民にお金をばら撒くような手段しか残っていないということになるのです。

でも、その政策は、改めて考えるとヘリコプターからお金をばら撒く政策のことですよね。

[画像:Ben_Bernanke]

今週の結論、クルーグマンはベン・バーナンキになった!


















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本日は、近年の金融政策の足取りをまとめてみることにします。

本来金融政策とは金利を引き下げて景気を刺激するのが本筋。そして、それを実施するのが伝統的な手法ですが、金利を下げていくといつかはゼロ%に達する訳です。

では、ゼロ%に到達した後、何をするのか?

そこでいろんな方策が考えられたのです。

でも、ご承知のように、なかなか効果がないのですよね。

では、次の表をご覧ください。

[画像:近年の金融政策]

何故インフレターゲットが導入されたかお分かりになったでしょうか?

この表では分かりやすくするために敢えて単純化してまとめています。

インフレターゲットを導入した理由は、インフレを起せば実質金利が下がり、そうなると名目金利はゼロの壁にぶつかっていても実質金利を下げることができるので、経済活動を刺激することができるから、ということにしています。

他にも理由はあるでしょう。

例えば、賃金を上げるために、と。インフレになれば、自然と賃金が上がることが予想されるからです。

いずれにしても、そうして我が国もインフレターゲットを導入した訳ですが、インフレ率は上がっていません。

では、どうするか?

最近では日銀まで、賃上げをすればインフレになるなんて言う始末。

でも、賃上げを実現するためにインフレを起こす必要があるのではなかったのでしょうか?

もう、むちゃくちゃでござります。

でも、少しは、頭の整理ができたのではないでしょうか。




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