中国を見習って円借款に政府保証を求めるなという読売の社説
■しかく はじめに
本日、読売新聞は、「円借款改革 国際受注競争へ機動性高めよ」と題する社説を掲載しています。
余り興味が湧きませんか?
円借款なんていっても、私たち国民の生活とは殆ど関係がありませんものね。
まあ、関心を抱くとしたら、海外に援助する金がそんなにあるのだったら、何故国民の生活向上のために使わないのか、というようなことだけでしょうか。
■しかく 読売の社説
いずれにしても、読売は何と言っているか?
一言で言えば、今年の9月、インドネシアの高速鉄道プロジェクトの受注競争で日本がインドネシア政府の保証を求めたために受注競争負けたことを受け、今後は、円借款を供与する場合、必ずしも相手方政府の保証を求めないとする安倍内閣の方針を支持するというものなのです。
こんな風に書いています。
「手続き期間を現在の3年から最大で1年半に短縮する。自治体や国営企業に対する融資条件も緩める。従来は、現地政府が返済を確約する「政府保証」を必須としていたが、相手国の経済が安定している場合などは免除する。
今年9月、インドネシアの高速鉄道計画の受注競争で、日本は中国に敗れた。中国は、インドネシア政府の保証を求めず、短期間で施工する提案を行ったという。
これを教訓に、円借款の機動性と柔軟性を高め、中国に対抗しようとする政府の方針は妥当だ。」
■しかく 政府保証を求める意味
この社説を書いた人間は、どれだけ円借款とか国際協力について知っているのだろうかと思ってしまいました。また、どれだけ政府や経済界のご機嫌取りの記事を書きたいのか、と。
物事には、何でも両面があるのです。
お金を貸す側が、例えば連帯保証を求めないとすれば、借りる側にすれば、なんとありがたいことか。
それはそのとおり。恐らくお金を借りたいという人が、国中から集まり行列ができてしまうでしょう。
しかし、連帯保証を求めないということは、安易に借金を申し込む人が増えるだけでなく、仮にその貸し付けが焦げ付いた際、貸した側が損失を被ることを忘れてはいけません。
そうでしょう?
ということで、確かに日本政府が相手方政府の保証を必ずしも求めなければ、日本政府に対する借金の申し込みは急増するでしょうが...しかし、今言ったように、そうなるとプロジェクトの中身について余り真面目に検討したとは思えないものが増える可能性があるのです。つまり、プロジェクトの箱ものは完成しても採算が合わず、日本側は元本の回収ができずに終わるものが増えてしまう、と。
■しかく 日本の受注を前提とする円借款とは
それ以外にも、気になる記述が多いこの社説。
先ず、タイトルですが、「国際受注競争へ機動性高めよ」とは、露骨過ぎないかと言いたい!
「優れた技術を生かし、強靱で環境に優しい道路や橋、海底トンネル、発電所などを建設することが相手国の長期的な利益となる。」
本当でしょうか? 確かに一般論として、そうしたインフラ整備が重要であるのは分かるものの、開発途上国にとってそうしたインフラ整備が常に緊急性や重要性を持つと言えるのでしょうか?
その前に、例えば義務教育の充実や農業技術の普及などが優先される場合もある筈です。
「こうした日本の姿勢が各国に評価されれば、日本企業のインフラ輸出の拡大にも役立とう」
「環太平洋経済連携協定(TPP)により、マレーシアやベトナムなどでも公共事業の国際入札が広がるとみられる。こうした商機を逃さないようにしたい」
要するに、この社説は、日本のプラントメーカーが、円借款を巧く利用して受注競争に勝つようにすべきだと言っているだけなのです。
まあ、受注競争に勝つことを私は否定している訳ではありません。
しかし、そんなことしか頭にないということは、国際協力なんていうのは単なる口実であって、結局、日本側の事情を優先した「円借款」でしかなことになってしまいます。つまり、相手国がどんなことに今、力を注ぐべきときか、などということには全く無頓着になり、ひたすら日本企業の利益だけを考えてしまう円借款ということになるのです。
■しかく アンタイド・ローンで注目を浴びた日本
1980年代の後半頃から1990年代にかけて日本輸出入銀行のアンタイド・ローンというのが海外から注目を浴びたことがありました。
アンタイド・ローンとは、ひも付きの融資ではないということで、日本企業が受注に負けても融資を行うという前提で供与するローンなのです。
今、安倍政権が力を入れているのは、それとは全く逆。相手方政府の保証はなくてもよいが、その代わり、日本の企業が受注することが絶対に必要だ、と。
そんなことでいいのでしょうか? それでは決して日本は、感謝も尊敬もされることはないでしょう。
中国がインドネシア政府の保証を求めないことにしたのには、それなりの理由があったからで、だからと言って、日本がそんな中国のやり方を真似する必要はないのです。
中国のやり方を真似する必要などないと思った方、クリックをお願い致します。
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本日、読売新聞は、「円借款改革 国際受注競争へ機動性高めよ」と題する社説を掲載しています。
余り興味が湧きませんか?
円借款なんていっても、私たち国民の生活とは殆ど関係がありませんものね。
まあ、関心を抱くとしたら、海外に援助する金がそんなにあるのだったら、何故国民の生活向上のために使わないのか、というようなことだけでしょうか。
■しかく 読売の社説
いずれにしても、読売は何と言っているか?
一言で言えば、今年の9月、インドネシアの高速鉄道プロジェクトの受注競争で日本がインドネシア政府の保証を求めたために受注競争負けたことを受け、今後は、円借款を供与する場合、必ずしも相手方政府の保証を求めないとする安倍内閣の方針を支持するというものなのです。
こんな風に書いています。
「手続き期間を現在の3年から最大で1年半に短縮する。自治体や国営企業に対する融資条件も緩める。従来は、現地政府が返済を確約する「政府保証」を必須としていたが、相手国の経済が安定している場合などは免除する。
今年9月、インドネシアの高速鉄道計画の受注競争で、日本は中国に敗れた。中国は、インドネシア政府の保証を求めず、短期間で施工する提案を行ったという。
これを教訓に、円借款の機動性と柔軟性を高め、中国に対抗しようとする政府の方針は妥当だ。」
■しかく 政府保証を求める意味
この社説を書いた人間は、どれだけ円借款とか国際協力について知っているのだろうかと思ってしまいました。また、どれだけ政府や経済界のご機嫌取りの記事を書きたいのか、と。
物事には、何でも両面があるのです。
お金を貸す側が、例えば連帯保証を求めないとすれば、借りる側にすれば、なんとありがたいことか。
それはそのとおり。恐らくお金を借りたいという人が、国中から集まり行列ができてしまうでしょう。
しかし、連帯保証を求めないということは、安易に借金を申し込む人が増えるだけでなく、仮にその貸し付けが焦げ付いた際、貸した側が損失を被ることを忘れてはいけません。
そうでしょう?
ということで、確かに日本政府が相手方政府の保証を必ずしも求めなければ、日本政府に対する借金の申し込みは急増するでしょうが...しかし、今言ったように、そうなるとプロジェクトの中身について余り真面目に検討したとは思えないものが増える可能性があるのです。つまり、プロジェクトの箱ものは完成しても採算が合わず、日本側は元本の回収ができずに終わるものが増えてしまう、と。
■しかく 日本の受注を前提とする円借款とは
それ以外にも、気になる記述が多いこの社説。
先ず、タイトルですが、「国際受注競争へ機動性高めよ」とは、露骨過ぎないかと言いたい!
「優れた技術を生かし、強靱で環境に優しい道路や橋、海底トンネル、発電所などを建設することが相手国の長期的な利益となる。」
本当でしょうか? 確かに一般論として、そうしたインフラ整備が重要であるのは分かるものの、開発途上国にとってそうしたインフラ整備が常に緊急性や重要性を持つと言えるのでしょうか?
その前に、例えば義務教育の充実や農業技術の普及などが優先される場合もある筈です。
「こうした日本の姿勢が各国に評価されれば、日本企業のインフラ輸出の拡大にも役立とう」
「環太平洋経済連携協定(TPP)により、マレーシアやベトナムなどでも公共事業の国際入札が広がるとみられる。こうした商機を逃さないようにしたい」
要するに、この社説は、日本のプラントメーカーが、円借款を巧く利用して受注競争に勝つようにすべきだと言っているだけなのです。
まあ、受注競争に勝つことを私は否定している訳ではありません。
しかし、そんなことしか頭にないということは、国際協力なんていうのは単なる口実であって、結局、日本側の事情を優先した「円借款」でしかなことになってしまいます。つまり、相手国がどんなことに今、力を注ぐべきときか、などということには全く無頓着になり、ひたすら日本企業の利益だけを考えてしまう円借款ということになるのです。
■しかく アンタイド・ローンで注目を浴びた日本
1980年代の後半頃から1990年代にかけて日本輸出入銀行のアンタイド・ローンというのが海外から注目を浴びたことがありました。
アンタイド・ローンとは、ひも付きの融資ではないということで、日本企業が受注に負けても融資を行うという前提で供与するローンなのです。
今、安倍政権が力を入れているのは、それとは全く逆。相手方政府の保証はなくてもよいが、その代わり、日本の企業が受注することが絶対に必要だ、と。
そんなことでいいのでしょうか? それでは決して日本は、感謝も尊敬もされることはないでしょう。
中国がインドネシア政府の保証を求めないことにしたのには、それなりの理由があったからで、だからと言って、日本がそんな中国のやり方を真似する必要はないのです。
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