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グローバル・エイズ・アップデート

世界のHIV/AIDS情報を日本語で配信中!

2022年10月

【2022年9月6日 (アメリカ)】米国ニューヨークにある大学、ペース大学 Pace Universityのエリカ・ゴルブ教授 Professor Erica Gollubとラベン・ヴォーン教授 Professor Raven Vaughanは、食品や医薬品などの安全性・有効性を確保するため、販売・流通の許可、違反品の取り締まりを行うアメリカ合衆国の政府機関 食品医薬品局(Food and Drug Administration:FDA)によるダピビリン含膣リング(膣リング)の拒否は危険な前例となると主張し、「米国女性のHIVリスク低減法としての膣リングの欠如は、女性の選択の幅を狭め、予防可能なHIV感染をさらに増やす結果になる」と危惧している。続きを読む
【2022年9月20日 イスラマバード/ジュネーブ(パキスタン/スイス)発】途上国のエイズ・結核・マラリア対策に資金を拠出する国際機関「グローバルファンド」(世界エイズ・結核・マラリア対策基金、Global Fund)は、被災したパキスタンで、必須医薬品と医療システムへのアクセスと供給を保障するために、1000万ドルの緊急資金を承認した。グローバルファンドの緊急資金は、災害、紛争、あるいはその他の緊急事態が、HIV、結核、もしくはマラリアの治療や予防、その他医療サービスに影響している国が対象である。続きを読む
【2022年 9月26日 ニューヨーク(米国)発】サハラ以南アフリカ6カ国の11万2千人以上の成人のデータから、食料の確保に困難を抱える家庭では、女性のHIV感染リスクが2倍になることが示された。一方、男性では有意なリスクは認められなかった。食料難の女性は、物品との引換えの性行為、早期の性行為開始、強制性交、年上の男性との性行為の割合が高く、HIVステータスが不明か、陽性の人とコンドームなしの性行為が、リスクをさらに高めていた。また、公的な食料支援を受けることで、女性のHIV感染リスクが64%低下することも明らかにした。コロンビア大学のアンドレア・ロウ博士 Andrea Lowらの研究は、イギリス医師会雑誌 BMJ Openに掲載された。続きを読む
【2022年10月3日 ジョハネスバーグ(南アフリカ共和国)発】南アフリカ共和国東ケープ州の海岸沿いにあるハンバーグ村Humburgで培われてきた、HIV陽性者やHIVの影響を受けてきた人々によるアートプロジェクトが、完成後15年以上の時を経て、同国の最大都市ジョハネスバーグに展示された。カイスカンマ・アートプロジェクトKeiskamma art projectは、HIVそしてAIDSが南アフリカ共和国を襲った2000年代初頭、その時からHIVに翻弄されてきた130人以上の女性たちが、自分たちの痛みや喪失だけでなく、未来への希望を紡いだプロジェクトである。続きを読む
国連、パンデミックへの備えと対応に関するハイレベル会合の2023年開催を決定

国連総会は7月29日、オーストラリア、カナダ、ニュージーランド、南ア、インドネシアなど11か国が提案した、「パンデミック予防・備え・対応に関するハイレベル会合」開催の提案を採択した。これにより、2023年9月に「パンデミック予防・備え・対応」(PPR)に関する国連ハイレベル会合が開催されることとなった。

2021年・22年は、9月の国連総会の時期には、国連で保健分野に関するハイレベル会合は特段開催されなかったが、この決定により、2023年9月の国連総会時期には、もとから決まっていた「結核ハイレベル会合」(前回は2018年)、「ユニバーサル・ヘルス・カバレッジ(UHC)ハイレベル会合」と並んで、3つもの保健課題のハイレベル会合が乱立することとなる。続きを読む
「パンデミック条約」の制定に向けた多国間の交渉が、世界保健機関(WHO)をベースに本格化している。2022年7月には、各国から出た論点を網羅した「ワーキング・ドラフト」が、この交渉をリードしている「多国間交渉主体」(INB)から発表され、同主体の第2回会合で討議された。また、この「ワーキング・ドラフト」に関するステークホルダーからのコメントの募集が9月15日を期限に呼びかけられた。

国際保健に取り組む日本の市民社会ネットワークである「GII/IDI懇談会NGO連絡会」(英語名:Japan CSO Network on Global Health、以下「連絡会」とする)は、同交渉主体の「ステークホルダー」のうち、「付表E」(Annex E)に掲載されている団体の一つとなっている。この「付表E」団体は、INBに対して、直接意見表明が出来る立場である。連絡会は、この「ワーキング・ドラフト」に関して、9月15日にコメントを送付した。


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保健系国際機関で最大の増資目標額

長らく世界中で猛威を振るってきた三大感染症、エイズ・結核・マラリア。途上国の三大感染症対策に資金を供給する国際機関、グローバルファンド(世界エイズ・結核・マラリア対策基金)の2024-26年の資金を確保するために、今年の2月に開始された「第7次増資」を集約する、「第7次増資誓約会合」が9月21日、米国のバイデン大統領が主催して、米国ニューヨークで開催された。

グローバルファンドの増資プロセスは3年周期で行われる。前回の「第6次増資」は2019年2月、インドが増資準備会議を主催し、140億ドルを目標額として行われ、フランスのリヨンで開催された増資誓約会合で目標を達成して終了した。この資金は、2021-23年の3年間で活用される資金であったが、2020年から始まった新型コロナウイルス感染症(COVID-19)パンデミックと重なることになった。COVID-19禍で通常の対策ができなくなり、これまでの成果が大きく後退したこと、COVID-19の下での三大感染症対策は、より多くの資金がかかること、さらには、三大感染症対策を、強くしなやかで持続可能な保健のためのシステムのグローバルな構築に結び付けていく必要があること、等の理由から、「第7次増資」については、目標額が前回から約28.6%増の180億ドルに設定された。これは、保健関係の国際機関の増資プロセスの目標額としては最大のものである。続きを読む
一方で進む主要国の「一国主義化」や多国間主義を忌避するネット世論に向き合えるかが課題

いま、パンデミック対策・対応をはじめとする国際保健政策、さらに開発協力全体に関連して、一つの考え方が注目されている。「グローバル公共投資」(Global Public Investment: GPI)がそれである。「国際協力が今ほど必要とされている時はない、しかし、現行の『援助』というシステムは時代遅れで非効率的であり、それ自体を21世紀の世界に適合的な新たなモデルに再構築しなければならない」...この考え方は、現在、南米のコロンビアに在住している英国の開発理論家、ジョナサン・グレニー氏(Jonnathan Glennie)が昨年刊行された著書「援助の未来」(The Future of Aid)で詳述されたものである。続きを読む
【2022年9月1日、ジュネーブ(スイス)発】インドネシアのHIV新規陽性者数は2021年に3.6%減少して約27,000人となった。しかしながら、依然としてアジア太平洋地域では新規感染者数が最も多い国の一つである。そこで、同国では、曝露前予防内服(Pre-exposure prophylaxis, PrEP)を導入して、最も脆弱な人々が利用できるようにすることによりHIV感染予防をより一層進めようとしている。PrEPは、パイロットプロジェクトとして、2021年から同国の一部の地域において展開することとなった。PrEPは、HIV感染リスクを抱える人々にとってより便利な新しいHIV予防手段であることから、PrEP導入によりセックス・ワーカーや男性とセックスをする男性(MSM)などの、対策の鍵となる人口グループ(Key Population)における新規感染を減らすことが期待される。2021年は国内の2地区で導入され、2022年には21地区、7000人のPrEP受診を目指す。続きを読む
【2022年8月31日 ジュネーヴ(スイス)発】主要な国際機関の活動の成果について評価する多国間の機関である「国際機関評価ネットワークMultilateral Organisation Performance Assessment Network(MOPAN)」は、途上国のエイズ・結核・マラリア対策に資金を拠出する国際機関「グローバルファンド」(世界エイズ・結核・マラリア対策基金、Global Fund)の活動が、主要なパフォーマンス指標において概ね満足できる結果であると評価した。グローバルファンドは、この20年間で約4,400万人の命を救ってきており、今後も可能な限り効果的な活動を継続することが認められたと評価した。続きを読む
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