2019年06月
■しかくGLOBAL■しかく<□しろいしかく<■しかくAIDS■しかく>□しろいしかく>■しかくUPDATE■しかく
グローバル・エイズ・アップデート
GLOBAL AIDS UPDATE
----------------------------------
第354号(第19巻第7号)2019年(令和元年)5月29日
No.354(Vol.19-No.7) Date: 29th May, 2019
■しかくGLOBAL■しかく<□しろいしかく<■しかくAIDS■しかく>□しろいしかく>■しかくUPDATE■しかく
----------------------
★「第354号」目次
●くろまる対策・課題別記事、アフリカ以外の地域別記事
・(スイス)グローバルファンドの多国間案件への総合監察官事務所の評価=「部分的に効果的」
・(スイス)グローバルファンド、第6次増資必要金額として140億ドルを提示:この目標は是か非か
・(アメリカ)米国の2020年度予算、国際エイズ対策費を大幅カット?
・(アメリカ)米国の女性は暴露前予防内服(PrEP)に対する準備がどの程度できているか?
●くろまるアフリカの地域別記事
・(ナイジェリア)AIDS終息に向け「HIV/AIDS戦略的枠組み2019-2021」
・(マラウイ)MACRO、HIV検査のための資金調達へ
------------------------------------ Vol.19 No.7---
◆だいやまーく発 行:(特活)アフリカ日本協議会
◆だいやまーく連絡先:
・東京都台東区東上野1-20-6丸幸ビル3F
・電話:03-3834-6902
・FAX:03-3834-6903
・電子メール:info@ajf.gr.jp
◆だいやまーくバックナンバー:下記ブログをご覧ください。
・http://blog.livedoor.jp/ajf/
◆だいやまーくMelma!を通しての購読申し込みは
・http://www.melma.com/backnumber_123266/
◆だいやまーく本メールマガジンから転送・引用を行う場合は、事前に発行者にご連絡をお願いします。
グローバル・エイズ・アップデート
GLOBAL AIDS UPDATE
----------------------------------
第354号(第19巻第7号)2019年(令和元年)5月29日
No.354(Vol.19-No.7) Date: 29th May, 2019
■しかくGLOBAL■しかく<□しろいしかく<■しかくAIDS■しかく>□しろいしかく>■しかくUPDATE■しかく
----------------------
★「第354号」目次
●くろまる対策・課題別記事、アフリカ以外の地域別記事
・(スイス)グローバルファンドの多国間案件への総合監察官事務所の評価=「部分的に効果的」
・(スイス)グローバルファンド、第6次増資必要金額として140億ドルを提示:この目標は是か非か
・(アメリカ)米国の2020年度予算、国際エイズ対策費を大幅カット?
・(アメリカ)米国の女性は暴露前予防内服(PrEP)に対する準備がどの程度できているか?
●くろまるアフリカの地域別記事
・(ナイジェリア)AIDS終息に向け「HIV/AIDS戦略的枠組み2019-2021」
・(マラウイ)MACRO、HIV検査のための資金調達へ
------------------------------------ Vol.19 No.7---
◆だいやまーく発 行:(特活)アフリカ日本協議会
◆だいやまーく連絡先:
・東京都台東区東上野1-20-6丸幸ビル3F
・電話:03-3834-6902
・FAX:03-3834-6903
・電子メール:info@ajf.gr.jp
◆だいやまーくバックナンバー:下記ブログをご覧ください。
・http://blog.livedoor.jp/ajf/
◆だいやまーくMelma!を通しての購読申し込みは
・http://www.melma.com/backnumber_123266/
◆だいやまーく本メールマガジンから転送・引用を行う場合は、事前に発行者にご連絡をお願いします。
【2019年2月26日ジュネーブ(スイス)発】途上国の三大感染症対策に資金を拠出する国際機関である「グローバルファンド」(世界エイズ・結核・マラリア対策基金)の案件の適切な実施を監督する同ファンド内部の独立した機関、総合監察官事務所 The Office of the Inspector General:OIG は、グローバルファンドの拠出で行われている複数国対象案件に関する初めての監査を実施した。この複数国対象案件は、2016年11月の第36回理事会で承認された新規資金拠出モデル New Funding Model 導入により開始された8億ドルの 「触媒的投資」 Catalytic Fund で行われている事業のうちの一つである。
「触媒的投資」は、国別の資金配分では対応できないプログラム、活動、戦略的な投資に資金を拠出するスキームである。2017から2022年戦略を達成する上で極めて重要と考えられる、以下3つの「複数国対象優先事項」に取り組んでいる。
・ 低所得国におけるマラリアの排除(1億4,500万ドル)
・ 潜在的結核感染者の特定(6,500万ドル)
・ 対策の鍵となる人口集団 key population への持続可能なケア(5,000万ドル)
監査対象期間は2016年1月から2017年12月までの2年間であり、期間中に有効と判断された34件のうち7件の複数国対象案件を審査した。
OIGは複数国対象案件の主な成果として、投資効果を増大させるために触媒的投資を採用したこと、地域別の課題に取り組むための統合的なアプローチを促進したことを挙げた。また、政府およびパートナーのコミットメントの強化や、多国間プラットフォームの創設による国家間援助や情報共有が向上したこと、競争的な申請プロセスにより新しいアイデアやイノベーションが創造されたことも評価した。
一方、複数国対象案件の主な課題として、資源運用の効率化と最適化の改善、および事務局の資源配分、プロセス、およびシステムの改善が必要だと指摘した。さらに、大メコン圏において、特に最新のマラリア治療薬であるアルテミシニン耐性に焦点を当てた先駆的なマラリア排除プログラムが、依然として課題に直面していることも指摘した。
OIGは、以下2つを評価項目として設定し、「効果的」、「部分的に効果的」、「大幅な改善が必要」および「効果的でない」の4指標で評価した。
1. 効果的なプログラムの実施、実績を確保するための事務局の設置
2. 拠出金が目的通りに使用されるための有効的な調整および保証の取り決め、設計管理
原題:First OIG audit of Global Fund multicountry grants gives ‘partially effective’ ratings
出典:Aidspan
日付:2019年02月25日
URL: http://www.aidspan.org/gfo_article/first-oig-audit-global-fund-multicountry-grants-gives-%E2%80%98partially-effective%E2%80%99-ratings
「触媒的投資」は、国別の資金配分では対応できないプログラム、活動、戦略的な投資に資金を拠出するスキームである。2017から2022年戦略を達成する上で極めて重要と考えられる、以下3つの「複数国対象優先事項」に取り組んでいる。
・ 低所得国におけるマラリアの排除(1億4,500万ドル)
・ 潜在的結核感染者の特定(6,500万ドル)
・ 対策の鍵となる人口集団 key population への持続可能なケア(5,000万ドル)
監査対象期間は2016年1月から2017年12月までの2年間であり、期間中に有効と判断された34件のうち7件の複数国対象案件を審査した。
OIGは複数国対象案件の主な成果として、投資効果を増大させるために触媒的投資を採用したこと、地域別の課題に取り組むための統合的なアプローチを促進したことを挙げた。また、政府およびパートナーのコミットメントの強化や、多国間プラットフォームの創設による国家間援助や情報共有が向上したこと、競争的な申請プロセスにより新しいアイデアやイノベーションが創造されたことも評価した。
一方、複数国対象案件の主な課題として、資源運用の効率化と最適化の改善、および事務局の資源配分、プロセス、およびシステムの改善が必要だと指摘した。さらに、大メコン圏において、特に最新のマラリア治療薬であるアルテミシニン耐性に焦点を当てた先駆的なマラリア排除プログラムが、依然として課題に直面していることも指摘した。
OIGは、以下2つを評価項目として設定し、「効果的」、「部分的に効果的」、「大幅な改善が必要」および「効果的でない」の4指標で評価した。
1. 効果的なプログラムの実施、実績を確保するための事務局の設置
2. 拠出金が目的通りに使用されるための有効的な調整および保証の取り決め、設計管理
原題:First OIG audit of Global Fund multicountry grants gives ‘partially effective’ ratings
出典:Aidspan
日付:2019年02月25日
URL: http://www.aidspan.org/gfo_article/first-oig-audit-global-fund-multicountry-grants-gives-%E2%80%98partially-effective%E2%80%99-ratings
【2019年1月30日ジュネーブ(スイス)発】途上国の三大感染症対策に資金を拠出する国際機関である「グローバルファンド」(世界エイズ・結核・マラリア対策基金)は、第6次増資必要金額として140億ドルを発表した。しかし、エイズ、結核、マラリアを終息させるのに十分な目標なのか否か議論が起きている。
(1) 拠出金投資効果検討書 investment caseについて
拠出金投資効果検討書の提示は、グローバルファンドへの拠出金の増額に関する強い根拠を示す重要な役割を担っている。今回の増資は、三大感染症の終息という目標が新たな脅威に直面していることから、以下5つの視点を重要視して作られた。
a. 診断、予防、治療及びこれらを提供するモデルの更なる開発
b. 関係機関間のさらなる密接な協力
c. 政策実行方法の更なる改善
d. 今以上に詳細でタイムリーなデータの提供
e. さらに多くの資金
当議論では、HIV/AIDSについては薬剤耐性の脅威にさらされており、スティグマや差別の改善無くして新規感染を予防できないと述べ、また4人に1人のHIV陽性者が自身の感染状況を知らず、子どもの治療に関しても、2人に1人しか抗レトロウイルス療法にアクセスできていない現実があると指摘された。
(2) 140億ドルの拠出について
今回の増資必要金額は、第5次増資金額と比較し15%増加している。この増資必要金額により、2021から2023年までに新たに1,600万人の救命、死亡率の半減、2億3,400万人の感染を予防できるとしている。しかし、(1)の拠出資金効果検討書では、目標達成のため2021から2023年までには1,010億ドルが必要としている。今回の増資必要金額、その他外部資金230億ドル、各国の内部資金460億ドルなどを合わせ計830億ドルに留まり、既に180億ドルの資金不足が予想されている。
(3) 第6次増資必要金額140億ドルに対する市民社会の反応
今回の増資必要金額に対し市民社会からは、この金額では不十分だというコメントが寄せられている。グローバルファンドに関する政策提言を行っている世界的な市民社会のネットワークである「グローバルファンド活動者ネットワーク」(GFAN)は、三大感染症の終息には最低でも168〜180億ドルの増資が必要であり、140億ドルの増資では現状維持が精一杯で予防や治療の拡大には繋がらないと主張している。また、他の複数の市民社会団体や専門家からも、140億ドルの増資では疾病予防につながらず、より強力な政治的コミットメントが必要だと報じている。その他の多くの組織からもグローバルファンドの目標設定は疾患終息に向けて消極的だとされている。このような状況において、米国の137人の下院議員がトランプ政権に対してグローバルファンドへの増資を要求する書簡を送った。また、1月にスイスのダボスで行われた世界経済フォーラムでも、ビル・ゲイツ氏、ロックバンドU2のボーカリストであるボノ氏、GAVIワクチンアライアンス事務局長のセス・バークレー氏が、グローバルファンド事務局長のピーター・サンズ氏とともに、民間セクターによる資金拠出の増額を訴えるアピールを行った。
原題:Step Up or Slip Back? The Case for Investing 14ドル Billion for The Global Fund’s Sixth Replenishment
出典:Aidspan
日付:2019年1月30日
URL:http://www.aidspan.org/node/4844
(1) 拠出金投資効果検討書 investment caseについて
拠出金投資効果検討書の提示は、グローバルファンドへの拠出金の増額に関する強い根拠を示す重要な役割を担っている。今回の増資は、三大感染症の終息という目標が新たな脅威に直面していることから、以下5つの視点を重要視して作られた。
a. 診断、予防、治療及びこれらを提供するモデルの更なる開発
b. 関係機関間のさらなる密接な協力
c. 政策実行方法の更なる改善
d. 今以上に詳細でタイムリーなデータの提供
e. さらに多くの資金
当議論では、HIV/AIDSについては薬剤耐性の脅威にさらされており、スティグマや差別の改善無くして新規感染を予防できないと述べ、また4人に1人のHIV陽性者が自身の感染状況を知らず、子どもの治療に関しても、2人に1人しか抗レトロウイルス療法にアクセスできていない現実があると指摘された。
(2) 140億ドルの拠出について
今回の増資必要金額は、第5次増資金額と比較し15%増加している。この増資必要金額により、2021から2023年までに新たに1,600万人の救命、死亡率の半減、2億3,400万人の感染を予防できるとしている。しかし、(1)の拠出資金効果検討書では、目標達成のため2021から2023年までには1,010億ドルが必要としている。今回の増資必要金額、その他外部資金230億ドル、各国の内部資金460億ドルなどを合わせ計830億ドルに留まり、既に180億ドルの資金不足が予想されている。
(3) 第6次増資必要金額140億ドルに対する市民社会の反応
今回の増資必要金額に対し市民社会からは、この金額では不十分だというコメントが寄せられている。グローバルファンドに関する政策提言を行っている世界的な市民社会のネットワークである「グローバルファンド活動者ネットワーク」(GFAN)は、三大感染症の終息には最低でも168〜180億ドルの増資が必要であり、140億ドルの増資では現状維持が精一杯で予防や治療の拡大には繋がらないと主張している。また、他の複数の市民社会団体や専門家からも、140億ドルの増資では疾病予防につながらず、より強力な政治的コミットメントが必要だと報じている。その他の多くの組織からもグローバルファンドの目標設定は疾患終息に向けて消極的だとされている。このような状況において、米国の137人の下院議員がトランプ政権に対してグローバルファンドへの増資を要求する書簡を送った。また、1月にスイスのダボスで行われた世界経済フォーラムでも、ビル・ゲイツ氏、ロックバンドU2のボーカリストであるボノ氏、GAVIワクチンアライアンス事務局長のセス・バークレー氏が、グローバルファンド事務局長のピーター・サンズ氏とともに、民間セクターによる資金拠出の増額を訴えるアピールを行った。
原題:Step Up or Slip Back? The Case for Investing 14ドル Billion for The Global Fund’s Sixth Replenishment
出典:Aidspan
日付:2019年1月30日
URL:http://www.aidspan.org/node/4844
【2019年3月19日ワシントンDC(米国)発】2月の連邦議会演説においてドナルド・トランプ Donald Trump 大統領は「HIV対策への予算増額」の方向性を示す発言を行ったが、3月11日にトランプ政権が発表した2020年度予算教書が、当初のトランプ発言と矛盾する内容であったことがわかった。そのため、エイズに関する国際協力から米国が離脱するのではないか、と懸念の声が広がっている。
トランプ大統領が発表した2020年度予算教書(グローバルヘルス予算)は、2019年度予算と比較して大幅に削減する方針を示した。例えば、途上国の三大感染症対策に資金を拠出する国際機関である「グローバルファンド」(世界エイズ・結核・マラリア対策基金)への拠出金額を29%、米国大統領エイズ救済緊急計画 President's Emergency Program for AIDS Relief:PEPFAR の予算を22%削減することを求めている。グローバルファンドへの資金拠出については、3年で10億ドル削減することを求めている。これまで米国のグローバルファンドへの拠出は全体の3分の1を占めていたが、この教書通りになるとすれば、米国の拠出は年間15億6000万ドルから11億ドルへと低下し、グローバルファンドの予算に対する米国のシェアは、25%まで低下することになる。ただし、米国の予算編成権は議会にあり、大統領にあるわけではないので、議会がこれを受けてどのような予算を作るかが注目される。
今回発表された予算教書では,これまで米国が守り続けてきた、「グローバルファンドへの拠出金が全体の33%を超えないようにする」という「上限33%」を覆し、割合が大きく下落するという、これまでにない方針を打ち出したことで、メディアも大きく報道した。グローバルヘルスへの拠出増を米国議会に期待する声が上がる一方、トランプ政権のHIV対応策には疑念がさしはさまれている。
原題:U.S. President’s 2020 Budget backpedals on his pledge to end AIDS "in America and beyond"
出典:aidspan
日付:2019年03月19日
URL:http://www.aidspan.org/node/4880
トランプ大統領が発表した2020年度予算教書(グローバルヘルス予算)は、2019年度予算と比較して大幅に削減する方針を示した。例えば、途上国の三大感染症対策に資金を拠出する国際機関である「グローバルファンド」(世界エイズ・結核・マラリア対策基金)への拠出金額を29%、米国大統領エイズ救済緊急計画 President's Emergency Program for AIDS Relief:PEPFAR の予算を22%削減することを求めている。グローバルファンドへの資金拠出については、3年で10億ドル削減することを求めている。これまで米国のグローバルファンドへの拠出は全体の3分の1を占めていたが、この教書通りになるとすれば、米国の拠出は年間15億6000万ドルから11億ドルへと低下し、グローバルファンドの予算に対する米国のシェアは、25%まで低下することになる。ただし、米国の予算編成権は議会にあり、大統領にあるわけではないので、議会がこれを受けてどのような予算を作るかが注目される。
今回発表された予算教書では,これまで米国が守り続けてきた、「グローバルファンドへの拠出金が全体の33%を超えないようにする」という「上限33%」を覆し、割合が大きく下落するという、これまでにない方針を打ち出したことで、メディアも大きく報道した。グローバルヘルスへの拠出増を米国議会に期待する声が上がる一方、トランプ政権のHIV対応策には疑念がさしはさまれている。
原題:U.S. President’s 2020 Budget backpedals on his pledge to end AIDS "in America and beyond"
出典:aidspan
日付:2019年03月19日
URL:http://www.aidspan.org/node/4880
【2019年3月14日】米国におけるHIV新規感染者は過去10年間で減少傾向にある。2015年現在、HIV陽性者のうち女性は24%を占め、HIV感染予防対策には、女性自らがコントロールできる手段が重要である。暴露前予防内服 Pre-Exposure Prophylaxis:PrEP は、そのひとつの手段といえる。無作為化比較試験によると、PrEPに使われる抗レトロウイルス薬、テノホビル(TDF/FTC: 経口テノホビルジソプロキシルフマル酸塩 Oral Tenofovir Disoproxil Fumarate/emtricitabine:TDF/FTC) は、規定通りに服用すれば、感染リスクの高い人々にとって予防効果が高いことが明らかになった。また、女性を対象としたPrEP試験では、服用アドヒアランスが感染予防の重要な要因であることが示唆された。
米国女性にとってPrEPは予防効果が期待されているにも関わらず、PrEPを予防内服してきた女性の服薬に関する意識調査や実証研究もなされていない。米国女性の服用アドヒアランスとPrEPに対する考え方、実際に服用を継続するかどうかを明らかにするため、米国で48週間に渡って実施されたHIV Prevention Trials Network:HPTN 069、およびAIDS Clinical Trials Group:ACTG 5305の研究に参加した女性のデータを収集し分析したところ、以下のような結果が生じた。
まず研究の方法であるが、2013年3月から2015年11月にかけて、48週間をかけて、全米12か所において、130人の女性に行動リスクやHIVリスクの認識についてコンピューターによるアンケートを8週ごとに行った。また130人のうち26人の女性に対して調査終了の2週間以内に、PrEPを使用した経験、PrEPに対する考え、アドヒアランスの要因、HIV感染リスクの認識、今後も使用するかどうかなどの意識についての詳細なインタビューを行った。
アンケート結果は、以下の通りとなった。まず、PrEPを毎日服用できたかという問いに対しては、「必ず服用していた」44%、「ほとんど服用していた」35%であった。また、自身の内服について「よくできた」18%、「完璧にできた」39%であった。回答者のうち75%が、「アドヒアランスについて全く嘘を報告していない」とし、21%が「実際のアドヒアランスについて誇張して報告していた時もあった」と答えた。また、アドヒアランスが悪くなる要因としては、「服用を忘れていた」45%、「外出中であった」39%、「飲むべき時間に錠剤がなかった」22%であった。また、PrEP服用を確実にする工夫としては、「PrEP服用は、予防方法として必要だと認識している」63%、「当事者意識をもっている」38%、「忘れずに携帯している」28%、「見える場所に保管している」34%だった。PrEPに対する考えとして、「他の人に勧める」75%、「PrEPは、誰にでもいいものだとと思う」60%と回答し、ほとんどの被験者がポジティブな意見をもっていた。さらに、調査期間中、被験者の48%でHIV予防行動が増えたと回答した。
インタビューによれば、アドヒアランスの阻害要因として、家族や仕事、健康問題、予期しない出来事などがあげられ、その例として、仕事や長期旅行、引っ越しなどが挙げられた。また、内服のタイミングとして、「処方された時間を逸したなら飲むべきでない」と認識していることが明らかになった。
今後も継続して服用するかどうかについては、26人のうち9人が調査終了後も服用するという女性もいる一方で、服用するつもりがないと話した女性もいた。その理由は、HIV感染リスクに対する意識が低いこと、PrEPに対する不信感や入手困難であった。自分自身の感染リスクが低い考える理由として、複数のパートナーと関係を持たないこと、またそのパートナーも感染リスクが低いと考えていることが明らかになった。さらに、少数の女性が調査期間中、パートナーとの禁欲を報告しており、性的行動が再び活発になるまではPrEPが必要ないと感じていたこと、また、現在のHIV予防戦略とどのようにPrEPが関係するのか、コンドームに代わるに十分な有効性があるのかどうか、予防の介入の一部としてふさわしいのかどうかについて不安を感じていることが明らかになった。
考察としては、PrEPがHIV感染予防の選択肢として確立されていくためには、女性が自らの交友関係を理解し、HIV感染を増大させる要因の理解を深めるとともに、PrEPへのアクセスが容易になる必要がある。
原題:Perspectives of US Women Participating in a Candidate PrEP Study: Adherence, Acceptability and Future Use Intentions
出典:Journal of The International AIDS Society
日付:2019年03月14日
URL:https://onlinelibrary.wiley.com/doi/full/10.1002/jia2.25247
米国女性にとってPrEPは予防効果が期待されているにも関わらず、PrEPを予防内服してきた女性の服薬に関する意識調査や実証研究もなされていない。米国女性の服用アドヒアランスとPrEPに対する考え方、実際に服用を継続するかどうかを明らかにするため、米国で48週間に渡って実施されたHIV Prevention Trials Network:HPTN 069、およびAIDS Clinical Trials Group:ACTG 5305の研究に参加した女性のデータを収集し分析したところ、以下のような結果が生じた。
まず研究の方法であるが、2013年3月から2015年11月にかけて、48週間をかけて、全米12か所において、130人の女性に行動リスクやHIVリスクの認識についてコンピューターによるアンケートを8週ごとに行った。また130人のうち26人の女性に対して調査終了の2週間以内に、PrEPを使用した経験、PrEPに対する考え、アドヒアランスの要因、HIV感染リスクの認識、今後も使用するかどうかなどの意識についての詳細なインタビューを行った。
アンケート結果は、以下の通りとなった。まず、PrEPを毎日服用できたかという問いに対しては、「必ず服用していた」44%、「ほとんど服用していた」35%であった。また、自身の内服について「よくできた」18%、「完璧にできた」39%であった。回答者のうち75%が、「アドヒアランスについて全く嘘を報告していない」とし、21%が「実際のアドヒアランスについて誇張して報告していた時もあった」と答えた。また、アドヒアランスが悪くなる要因としては、「服用を忘れていた」45%、「外出中であった」39%、「飲むべき時間に錠剤がなかった」22%であった。また、PrEP服用を確実にする工夫としては、「PrEP服用は、予防方法として必要だと認識している」63%、「当事者意識をもっている」38%、「忘れずに携帯している」28%、「見える場所に保管している」34%だった。PrEPに対する考えとして、「他の人に勧める」75%、「PrEPは、誰にでもいいものだとと思う」60%と回答し、ほとんどの被験者がポジティブな意見をもっていた。さらに、調査期間中、被験者の48%でHIV予防行動が増えたと回答した。
インタビューによれば、アドヒアランスの阻害要因として、家族や仕事、健康問題、予期しない出来事などがあげられ、その例として、仕事や長期旅行、引っ越しなどが挙げられた。また、内服のタイミングとして、「処方された時間を逸したなら飲むべきでない」と認識していることが明らかになった。
今後も継続して服用するかどうかについては、26人のうち9人が調査終了後も服用するという女性もいる一方で、服用するつもりがないと話した女性もいた。その理由は、HIV感染リスクに対する意識が低いこと、PrEPに対する不信感や入手困難であった。自分自身の感染リスクが低い考える理由として、複数のパートナーと関係を持たないこと、またそのパートナーも感染リスクが低いと考えていることが明らかになった。さらに、少数の女性が調査期間中、パートナーとの禁欲を報告しており、性的行動が再び活発になるまではPrEPが必要ないと感じていたこと、また、現在のHIV予防戦略とどのようにPrEPが関係するのか、コンドームに代わるに十分な有効性があるのかどうか、予防の介入の一部としてふさわしいのかどうかについて不安を感じていることが明らかになった。
考察としては、PrEPがHIV感染予防の選択肢として確立されていくためには、女性が自らの交友関係を理解し、HIV感染を増大させる要因の理解を深めるとともに、PrEPへのアクセスが容易になる必要がある。
原題:Perspectives of US Women Participating in a Candidate PrEP Study: Adherence, Acceptability and Future Use Intentions
出典:Journal of The International AIDS Society
日付:2019年03月14日
URL:https://onlinelibrary.wiley.com/doi/full/10.1002/jia2.25247
【2019年3月20日アブジャ(ナイジェリア)発】西アフリカの人口大国ナイジェリア連邦共和国の政府は、HIVへの更なる対策のため改定された「HIV/AIDS戦略枠組み2019-2021」を採択した。
ナイジェリアで行われた「国家HIV/AIDS指標・インパクト調査」(NAISS)において、同国のHIV陽性率が2.8%から1.4%まで減ったことが、同国の首都アブジャで開催されたイベントでアナウンスされた。このイベントには、ナイジェリアのムハンマド・ブハリ Muhammadu Buhari 大統領や、国連合同エイズ計画 United Nations Programme on HIV/AIDS:UNAIDS のミシェル・シディベ Michel Sidibe 事務局長も参加した。シディベ事務局長らは、国家HIV対策を主導する大統領の指導力を支持した。2016年にはHIV検査と治療に関する政策を採択した。
同国内においてHIV治療を受ける人は、2010年と比べ現在では約3倍に増えている。国民のHIV感染に対する理解が向上した理由は、HIV予防、ケア、治療サービス提供へのより効果的な投資がされたからである。これは、最もサービスを必要としている人々にサービスを届ける「人口・場所アプローチ」 Population-location approach の採択を実現した。
ナイジェリアでの3日間の滞在中、シディベ事務局長はナイジェリア保健省のアイザック・F・アデウォレ Isaac F. Adewole 氏とエイズ対策における進歩と課題について討論し、新しい枠組みの実行に向け、UNAIDSはナイジェリア政府をサポートすることを約束した。これは、ナイジェリア外務省のゲオフリー・オニェアマ Geoffre Onyeama 氏とシディベ事務局長が、UNAIDSとナイジェリアの関係強化に同意した際にも強調された。
さらに、シディベ事務局長はナイジェリア滞在中、UNAIDS特別大使であるアイーシャ・ブハリ Aisha Buhari 大統領夫人を表敬訪問した。母子感染の終息、そしてHIV陽性者である子どもたちへの治療の推進を進めるブハリ大統領夫人のUNAIDS特別大使としての任期延長を認めた。ブハリ大統領夫人は、任期延長を感謝するとともにエイズフリーの世代を達成することを何度も繰り返した。
HIV陽性者ネットワークの代表もまた、シディベ事務局長と面会し、国家AIDS対策への課題について訴えた。さらに、HIV陽性者ネットワークの調整役、アブドゥルカディール・イブラヒム氏 Abdulkadir Ibrahimは、HIVに関するサービスが本当に必要な人々にまで届いていないことを訴え、HIVに対するコミュニティー対策の強化や、HIV陽性者および若者が政策立案、プログラム実施に関われるようUNAIDSに対しサポートを求めた。
原題:Nigeria adapts strategy to end the AIDS epidemic
出典:UNAIDS
日付:2019年03月20日
URL:http://www.unaids.org/en/resources/presscentre/featurestories/2019/march/20190320_nigeria
ナイジェリアで行われた「国家HIV/AIDS指標・インパクト調査」(NAISS)において、同国のHIV陽性率が2.8%から1.4%まで減ったことが、同国の首都アブジャで開催されたイベントでアナウンスされた。このイベントには、ナイジェリアのムハンマド・ブハリ Muhammadu Buhari 大統領や、国連合同エイズ計画 United Nations Programme on HIV/AIDS:UNAIDS のミシェル・シディベ Michel Sidibe 事務局長も参加した。シディベ事務局長らは、国家HIV対策を主導する大統領の指導力を支持した。2016年にはHIV検査と治療に関する政策を採択した。
同国内においてHIV治療を受ける人は、2010年と比べ現在では約3倍に増えている。国民のHIV感染に対する理解が向上した理由は、HIV予防、ケア、治療サービス提供へのより効果的な投資がされたからである。これは、最もサービスを必要としている人々にサービスを届ける「人口・場所アプローチ」 Population-location approach の採択を実現した。
ナイジェリアでの3日間の滞在中、シディベ事務局長はナイジェリア保健省のアイザック・F・アデウォレ Isaac F. Adewole 氏とエイズ対策における進歩と課題について討論し、新しい枠組みの実行に向け、UNAIDSはナイジェリア政府をサポートすることを約束した。これは、ナイジェリア外務省のゲオフリー・オニェアマ Geoffre Onyeama 氏とシディベ事務局長が、UNAIDSとナイジェリアの関係強化に同意した際にも強調された。
さらに、シディベ事務局長はナイジェリア滞在中、UNAIDS特別大使であるアイーシャ・ブハリ Aisha Buhari 大統領夫人を表敬訪問した。母子感染の終息、そしてHIV陽性者である子どもたちへの治療の推進を進めるブハリ大統領夫人のUNAIDS特別大使としての任期延長を認めた。ブハリ大統領夫人は、任期延長を感謝するとともにエイズフリーの世代を達成することを何度も繰り返した。
HIV陽性者ネットワークの代表もまた、シディベ事務局長と面会し、国家AIDS対策への課題について訴えた。さらに、HIV陽性者ネットワークの調整役、アブドゥルカディール・イブラヒム氏 Abdulkadir Ibrahimは、HIVに関するサービスが本当に必要な人々にまで届いていないことを訴え、HIVに対するコミュニティー対策の強化や、HIV陽性者および若者が政策立案、プログラム実施に関われるようUNAIDSに対しサポートを求めた。
原題:Nigeria adapts strategy to end the AIDS epidemic
出典:UNAIDS
日付:2019年03月20日
URL:http://www.unaids.org/en/resources/presscentre/featurestories/2019/march/20190320_nigeria
【2019年2月12日リロングウェ(マラウィ)発】アフリカ南部の内陸国、マラウィの首都リロングウェに本部があるマラウィ・エイズ・カウンセリング・資料機構 Malawi Aids Counseling and Resource Organization:MARCO は、2月14日、バレンタイン・ディナーとダンスイベントを企画した。イベント開催の目的は、リロングウェにHIV検査のためのクリニックを建てる資金を調達することであった。マラウイの報道機関マラウイ・ニュース局Malawi News Agency によるインタビューで、MARCOのディレクター、クレメント・ウデビ氏 Clement Udediは、このクリニック開設は、国内でHIV/AIDS治療を広げるための大きな成果となると述べた。さらに、「このイベント開催は、2,400万クワチャ(約3億円)以上の資金調達活動の第一歩である」と続けた。
イベントの計画者のレベンソン・ムサカムベワ Levison Msakambewa 氏は、「このイベントは恋人、夫婦、個人・・・それぞれでバレンタインデーを祝福する一方で、国民に向けてHIV検査の重要性を伝える重要なきっかけとなる」と述べた。
原題:MACRO to Fundraise for HIV Testing Clinic
日付:2019年2月14日
出典:Malawi News Agency
URL: http://www.manaonline.gov.mw/index.php/national/health/item/11701-macro-to-fundraise-for-hiv-testing-clinic
イベントの計画者のレベンソン・ムサカムベワ Levison Msakambewa 氏は、「このイベントは恋人、夫婦、個人・・・それぞれでバレンタインデーを祝福する一方で、国民に向けてHIV検査の重要性を伝える重要なきっかけとなる」と述べた。
原題:MACRO to Fundraise for HIV Testing Clinic
日付:2019年2月14日
出典:Malawi News Agency
URL: http://www.manaonline.gov.mw/index.php/national/health/item/11701-macro-to-fundraise-for-hiv-testing-clinic
Categories
Archives
Links(英文記事)
発行者:AJF
アフリカ日本協議会