[フレーム]

グローバル・エイズ・アップデート

世界のHIV/AIDS情報を日本語で配信中!

2007年12月

2007年12月31日18:32
カテゴリ
しかくGLOBALしかく<しろいしかく<しかくAIDSしかく>しろいしかく>しかくUPDATEしかく

グローバル・エイズ・アップデイト
GLOBAL AIDS UPDATE
----------------------------------
第84号(第4巻第8号) 2007年(平成19年)12月8日
Vol.4-No. 8(No. 84) Date: December 8, 2007

しかくGLOBALしかく<しろいしかく<しかくAIDSしかく>しろいしかく>しかくUPDATEしかく
多くの人はHIV/AIDSの予防に関する知識を持ち合わせてはいるが、誰しもがその知識を有効に使えるわけではない。予防法を知っていても、性交渉を拒否できない、コンドームの使用を受け入れてもらえないというような状況にある女性もおり、パートナーへの信頼だけを頼りに、多大な犠牲を払っているケースもある。これは、南部アフリカの15〜24歳の女性の感染率が、同年代の男性の4倍ということからも明らかである。

世界的なHIV/AIDSの問題を一夜にして解決するような科学的な方法は存在しないが、ワクチンやマイクロビサイド(殺菌剤)など新たな予防の試みによって解決に向けての進展も見られる。しかし、このような新技術の開発には時間を要し、また、何千という臨床検査ボランティアやその家族、地域の協力が欠かせない。臨床検査には莫大な費用がかかるため、研究者たちは検査の失敗により、貴重な資源を浪費したりすることは許されない。

続きを読む
英国政府が、G8(主要8カ国首脳会議)で決定されたHIV/AIDSと闘うための資金拠出に関するこれまでの誓約を破ったとして非難されている。「世界エイズ・結核・マラリア対策基金」(以下、世界基金)への英国の拠出誓約が、充分に増額されなかったことが、9月25日に開かれた英国労働党大会にて明らかにされた。

ダグラス・アレクサンダー Douglas Alexander 国際開発相は、世界基金に対し向こう8年で10億ポンドを約束した。しかし、エイズにとり組む市民社会の活動家たちは、世界基金の資金ニーズを完全に満たすためには、2010年までに世界基金の資金量を3倍にする必要があるという世界基金理事会での見積もりや、世界基金への完全な出資を目標に掲げたG8合意文書などに遠く及ばない、と批判している。活動家たちは、「こんなにもすぐに、誓約が意味を失うことになるとはあきれたことだ。6月にG8はドイツの地で、2010年までに世界基金への出資金を3倍にすることを約束した。これは年間600万人もの人々の命を奪っているエイズ・結核・マラリア対策に取り組むためである。また、7月には、英国でゴードン・ブラウン Gordon Brown首相が、世界に対して、貧困や病と闘う約束は破られてはならないと警告し、そのリーダーシップは世界の教訓となった。ところが、今回の英国政府の誓約は、その主張とはかけ離れている。」と強く批判した。

続きを読む
10月17日、中国の疾病対策予防センター(CDC)のワン・ユー Wang Yu 長官は、中国政府のHIV/AIDS対策において、ゲイコミュニティへのHIV/AIDS予防策が進んでいないと述べた。中国の伝統的な価値観では、同性愛は認められておらず、同性愛者は自らのセクシュアリティを隠さざるをえない状況にある。そのため、エイズ対策において同性愛者たちに働きかけることは、かなりの困難を要する。しかし、彼らはエイズへの感染可能性の高い、脆弱性を持つグループの一つである。脆弱性を持つグループとは、様々な要因により、一般人口と比較して高いHIV感染の可能性にさらされている特定の社会集団のことである。
ワン長官は中国日報China Dailyに対して、「中国では同性愛者や売春婦らが、今年1月から6月にわかった新規感染者の半数以上を占めており、我々が彼らの間で行ってきた予防政策は、感染を食い止めるのにほとんど役に立っていなかった。」と述べた。彼は具体的な患者数を明らかにしなかったが、現在、中国では毎年約6万から7万人のHIV/AIDS新規感染者・患者が報告されているが、その新規感染者のほぼ4分の1を同性愛者らが占め、彼らへのHIV/AIDS予防策が課題として残っている。

続きを読む
ケニアでは、看護師が、働きながらも自分の資格をアップグレードできるというインターネット学習プログラムが導入されている。このプログラムは、同国における看護師不足の解消と、マラリアや結核、エイズに対する国家の管理能力向上を目的としている。

このプロジェクトは、東アフリカの国際NGOであるアフリカ医療・研究協会the African Medical and Research Foundation (AMREF)が、保健省管轄の看護協会と共同で、国際的なコンサルティング企業であるアクセンチュア社Accentureの資金提供を受けて運営している。「ケニアでは、看護師の85%は看護師協会などに組織化されている。ケニア医学訓練短大 ケニア・メディカル・トレーニング・カレッジ(KMTC: Kenya Medical Training College)では、看護師資格のアップグレードに2年半かかる。それに対しインターネット学習プログラムでは1年ですむ。」と、財団の広報担当者であるマーズデン・モマニ Marsden
Momanyiは言う。同氏によると、今のところ国内には100以上の学習センターを設置済みで、2000人以上がインターネット学習を開始している。これにより、看護士の資格は基本的なものから、より高度な"登録制"のものにステップアップが可能であるという。 最終的には、5年で2万2000人のケニア人看護士の技能をアップグレードさせることを目標としている。

続きを読む
国連開発計画 UNDP は2007念の人間開発報告 Human Development Report を発表した。人間界初報告では、ナミビアのHiv/AIDSによる開発の遅れの問題が取り上げられている。HIV/AIDSによる出世時平均余命の短縮は、ナミビアの発展にとって、大きな障害となっている。HDRは、エイズ対策プログラムを大幅に強化しない限り、現在の状況を変えることは困難だ、という警鐘を鳴らしている。

ナミビアでは、人々の生活を開発指標に照らし合わせた指数 「人間開発指数Human Development Index (HDI)」および「人間貧困指数 Human Poverty Index (HPI)」 は、徐々にと低下している。UNDPシニア・エコノミストであるセバスティアン・レバイン氏 Sebastian Levine は、1990年代に比べて所得は倍になり、教育のレベルも向上したにもかかわらず、エイズによる平均余命の短縮によって、HDIが押し下げられてしまった、と述べる。

続きを読む
ソマリアでは、現在も継続している内戦により、何万人もの人々が仮設シェルターに避難せざるを得ない状況が続いている。基本的なエイズ治療さえ困難となり、国家のエイズ対策の実施がストップしている。ソマリア自治領プントランドと、内戦の中心地である南西ソマリアの国境に位置するガルカイオ Galkayoの町では、国連児童基金(ユニセフ)や国連難民高等弁務官事務所が活動しているが、毎週押し寄せてくる難民の数に圧倒されているという。この地域では食料や水、医療・教育施設がなく、すでにパンク状態だ。ガルカイオの「自国で行き場を失った人々への緊急援助?」The
ソマリアの国内避難民の多くは、生活に関する緊急のニーズを抱えており、HIV対策は後回しになっている。10年間ガルカイオに住んでいるというある女性は、「HIVについては何回か集会で聞いたことがある程度で、それが一体何であるのかは知らない」と言う。彼女は首都モガディシュで夫が殺され、子供3人を連れてガルカイオに避難してきた。今は枝やダンボールを使って作った避難所で暮らす。他の難民も彼女と同程度の知識しか持ち合わせていない。

続きを読む
米国カリフォルニア大学サンフランシスコ校のヴェイサー教授 Weiser SD 他らは、医学系専門誌 「PLoS Medicineジャーナル」で発表した論文で「ボツワナやスワジランドの女性たちをセックス・ワークに向かわせる理由は、日々の食料不足と因果関係がある。」と結論付けた。

南部アフリカでは、伝統的に、食料は子どもや家族(特に老人)に優先的に分け与えるものとされており、女性への優先度は低く、「食」の主導権を持たない。研究者らは、こうした食料不足に苦しむ女性こそ、多くセックス・ワークやHIVや性感染症の感染可能性の高い性交渉をする傾向に着目した。そして、食料不足(過去12ヶ月に十分な食糧が供給されていない)と性交渉(過去12ヶ月に性交渉と引き換えに食料、現金を入手している)、別世代の異性との性交渉、不定期なコンドームの使用、その他、感染の可能性の高いな性行動などの関係性を調査した。

続きを読む
11月12日・13日に中国・雲南省昆明市で開かれた世界エイズ・結核・マラリア対策基金の理事会は、2009年までの73の新規プロジェクトに対する資金援助と今年期限切れとなる5つの既存プロジェクトの資金援助継続を承認した。この第7回目のラウンドでのプロジェクト承認率は申請されていた全案件の50%に達し、過去第6回のラウンドの平均である40%を上回り、承認されたプロジェクトの2年分の資金合計額は過去最高となる11億ドルに達した。

2002年に設立された世界基金は、エイズ、結核、マラリア対策を資金援助しており、各国政府からも大きな寄付を受けている。現在では全世界のエイズ対策費用の約20%を拠出するなど、エイズ対策の分野において欠かすことのできない支援機関となった。この世界基金の援助したプログラムによって、110万人がエイズ治療を、280万人が喘息治療をそれぞれ受け、結果として約200万もの人命を救ったとされている。近年、世界基金に対する期待はさらに高まっており、支援額は今後も増大していく可能性が高い。

今回の第7ラウンドで認可された補助金の80%以上は貧困国へと向けられている。地域別には、アフリカへ66%、アジア・太平洋西岸に13%、中南米に5%、東欧に3%、中東地域に13%の予算がそれぞれ割り当てられたことになる。

原題:BOARD OF THE GLOBAL FUND APPROVES US$ 1.1 BILLION
IN NEW GRANTS
出典:The Global Fund
日付:2007年11月12日
URL:http://www.theglobalfund.org/en/media_center/press/pr_071112.asp
国連は、ネットワーク技術最大手企業のGoogle、Ciscoと共同し、貧困対策およびミレニアム開発目標 Millennium Development Goals (MDGs) 達成に向け、世界中で行われているプロジェクトのデータや地図情報を提供する新ウェブサイト「MDG Monitor」を開設した。

MDGsとは、2000年9月米国ニューヨークで開催された国連ミレニアム・サミットで合意された「世界の貧困をなくす」ための時限的な目標である。147の国家元首を含む189の加盟国は、21世紀の国際社会の目標とし、国連ミレニアム宣言を採択した。当時の世界中の首脳が、保健・教育・栄養・女性の地位等、貧困の要因となる項目についての最新の統計を出しあい、検討された中で合意された。2015年までに、極度の貧困状況にある人口比率の半減、普遍的初等教育の普及、5歳未満児死亡率を3分の2削減、HIV感染拡大阻止およびその感染率の減少、安全な飲料水を確保できない人数の半減等が含まれている。

今回開発されたウェブサイト「MDG Monitor」では、世界中の国々によるMDGs達成のためのプログラムに関する情報が閲覧でき、またGoogle’s Earthの機能も利用可能で、世界中のプロジェクトが行われている場所を地図・衛星画像で見ることもできる。

続きを読む
Categories
Archives
発行者:AJF

アフリカ日本協議会

traq

AltStyle によって変換されたページ (->オリジナル) /