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グローバル・エイズ・アップデート

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2006年02月

2005年11月22日、タンザニアの主要な紹介病院 Referral Hospital であるムヒンビリ国立病院 Muhimbili National Hospital で、研修医らが賃上げを要求し、ストライキを開始した。政府は月給を2倍にすることで要求を受け入れたが、ストライキは1週間にわたって続き、患者らに大きな影響を与えた。患者らはストライキ中、看護師による診察しか受けていなかったという。
タンザニア政府行政のトップであるメイターン・ルンバンガ筆頭書記Matern Lumbanga は、記者会見で、2006年1月付けで、医師の最低賃金を月給226,860タンザニアシリングから403,120タンザニアシリング(編集部注:日本円にして約35,000円)に引き上げると発表した。さらに看護師、実験技師、放射線技師や薬剤師などその他の医療職員の給料引き上げの可能性も示唆した。しかし、ストライキを行っている研修医らは、示された金額がタンザニア医療協会 the Tanzania Medical Association が政府に要求した月給60万タンザニアシリングよりも低いとして和解を拒否、月額120万シリング(=約105,000円)を支払うべきだとの要求を続けている。医師たちは、賃上げと同時に職場環境の向上も要求している。ストライキは、多くの患者に悪影響を与えている。遺体が病棟に何日間も放置されたままのため、精神的トラウマに悩まされている患者もいる。
同病院理事長 デビッド・トレゴニング氏 David Tregoning は、スト中の医師に対し、解雇も示唆しつつ、仕事に戻るよう呼びかけた。また、賃上げに応じた政府の努力も評価すべきと話している。彼は、具体的な死者数には言及しなかったが、このストは国全体の医療サービス提供に深刻な影響を与えており、要求行動を行いながらでよいから業務再開を急ぐべきだと主張した。昨年6月のストでは政府は医師らに解雇宣告したが、フレデリック・スマエ首相 Frederick Sumaye が病院を訪れて状況の改善を約束し、解雇を撤回した。政府は研修医らの苦しい状況を理解してはいるものの、国庫財政の危機のため、賃上げは困難であるという。

原題:TANZANIA: Patients suffer as doctors' strike continues
日付:22 November 2005, 2005
出典:IRIN Plus News
URL:http://www.irinnews.org/report.asp?ReportID=50234
オランダに本部を持つ「マティアス・ラス基金」 the Matthias Rath Foundation が南アフリカで行っている、ビタミンなどの微量栄養素による「HIV/AIDS治療」が物議を醸している。
同基金の指導者で医師のマティアス・ラス氏は、抗レトロウイルス薬(ARV)の導入を批判し、マルチビタミン剤を推奨している。しかし、この療法により被害が生じている。あるAIDS患者は、1999年にHIV陽性と診断されて以来、肌が灰色になり、下痢や嘔吐などの症状により歩くことも話すこともできなくなり、最悪の健康状態が続いていた。その後、彼女は、ラス基金によるビタミン療法の受診を開始したが、そのわずか4ヵ月後に亡くなった。ラス氏は「抗レトロウイルス薬は毒性が強い」と批判するが、HIV/AIDS活動家たちは、彼女はラス財団の誤った治療の犠牲になったと主張し、ラス氏を厳しく批判している。
ラス基金は、ARVの導入を積極的に主張する南アのHIV感染者の組織「治療行動キャンペーン」(Treatment ActionCampaign: TAC)について、陰謀めいた国際製薬会社の利益が絡んだ運動だと非難し、「TACの薬は人々を殺している」と呼びかけるチラシも配布している。TACは今年始め、ラス氏を名誉毀損で訴え、現在も裁判で争っている。TACは、ARVに対する誹謗中傷や未認可の医薬品配布、無許可の血液採取などの医療実験などを行ったラス基金に対し、その活動を差し止める緊急命令を出すよう政府に嘆願する準備をしている。
南アでARVを初めて導入し、現在も3,000人近い患者を診療している国境なき医師団(MSF) エリック・ゴエマエレ医師 Dr.Eric Goemaere もラス医師を批判している。彼は同基金に活動禁止命令を出すよう西ケープ州保健省に要求する公開状に署名している。彼によれば、ラス財団が必要以上にARVの副作用を強調したため、患者たちに誤解を与えているという。「我々はラス財団の活動に憤りを覚える。彼らのせいで我々の患者は宣伝文句に騙され、ARVの摂取をやめてしまった。患者たちの健康被害は大きい。」と憤りを隠さない。批判が相次ぐ一方で、南ア連邦保健省をはじめ政府はいまだ対応に乗り出していない。
南アフリカはHIV感染率の極端な増大に悩んでいる。妊婦の感染率も29.5%と高い。政府のデータによれば、25歳から44歳の成人の死亡率は1997年から2000年の間に倍増している。しかし、南ア連邦政府のチャバララ=ムシマン保健大臣 Manto Tshabalala-MsimangはHIV/AIDS政策において頑なな姿勢を貫いている。国連事務総長アフリカHIV/AIDS特別代表であるスティーブン・ルイス氏 Stephan Lewis が南アの母子感染防止に関する同国のエイズ政策を批判すると、彼らの同国での活動を制限した。ルイス氏は、講演や電話インタビューを通じて南アフリカの対応を「不可解だ」と鋭く批判した。ルイス氏は、ジンバブエ、レソト、マラウィ、ボツワナにある病院では情報システムが機能していることをあげ、システムの不完全性は解決可能だとして、保健大臣の懸念を否定した。ルイス氏は、「南アの行政の対応の遅さは我慢の限界を超えている。一歩進んだかと思うと百歩後退するような毎日だ。」と苛立ちを隠さない。

原題:SA health minister urged to stop vitamin-peddling doctor
日付:December, 2005
出典:NCBIウェブサイト
URL: http://www.ncbi.nlm.nih.gov/entrez/query.fcgi?cmd=Retrieve&db=PubMed&list_uids=16315355&dopt=Citation
インドの首都デリーで、ユニークなHIVプロジェクトが始まった。ラージパト・ナガール Lajpat Nagar地域の85の理髪店がエイズへの認識を深めようと、利用客らにHIV感染予防対策や安全な性行為を呼びかけるキャンペーンをしている。クマール・セイン氏 Kumar Sain は自身が経営する3つの店に、HIV抗体検査に関するポスターを貼っている。クマール氏は、「客にはなるべくエイズのことを話すようにしている。最近は、より多くの人たちがエイズへの認識を持つようになっている。」とキャンペーンの成果を実感している。しかし全ての人が彼のメッセージを受け入れるわけではない。とりわけ若い人たちは彼の話を聞き流しがちだ。「彼らは、なるようになるさ、という考え方だ。若者向けへのエイズ啓発は困難だが、納得してもらえるように努力している。」
今回のプロジェクトは、米国とスイスに本部を置く、フランソワ・グザヴィエ・バグノード医療人権センターthe Francois Xavier Bagnoud Center for Health and Human: Rights :FXB が企画した。FXBのアジア地域プログラム・アドバイザーのジョー・トーマス氏 Joe Thomas は、「理髪店では、人々は真剣な議論もできれば、他愛のない雑談もできる。リラックスできる場所だし、HIV/AIDS啓発にうってつけだ。」と言う。このプロジェクトは2001年にデリーで始まり、現在インドの20の州で実行されている。FXBによると、10,000以上の理髪店が無償で参加しているという。
参加している理髪師は、「客にHIV感染経路等を教えたり、HIV抗体検査を勧めたりしている。」という。また、安全な性行為の重要性は知っていても、コンドームが高価で入手できない人のために、理髪店で無料配布もしている。ラージパト・ナガール地域だけで、この半年間に85の理髪店が11,000個のコンドームを配布した。
FXBは、理髪店経営者に対して、インドではいまだタブー視されているセックスの話題をいかにスムーズに切り出すかという指導をしている。当初は客にコンドーム使用を促したり、HIV抗体検査を受診するよう指導しているのに躊躇しがちだった理髪師らも自信を持って啓発活動の一部を担っている。

原題:Delhi barbers lead Aids campaign
日付:13 December 2005
出典:BBC
URL: http://news.bbc.co.uk/2/hi/south_asia/4485228.stm
マレーシア・エイズ評議会 the Malaysian AIDS Council を12年に渡って率いてきたマリナ・マハティール氏 Marina Mahathir が2006年1月1日付で同評議会代表および評議会議長の職を辞任した。彼女は、「今が辞任する潮時だと思った」と話しているが、来年1歳になる末娘シャイスタのことも理由の一つのようだ。マハティール・ムハマド元首相を父に持つ彼女は、評議会議長在任中の1999年、マレーシアで行われた第5回ICAAP(アジア太平洋エイズ国際会議)の組織委員会の委員長を務めた。また、ハーム・リダクション・プログラムを実現させてマレーシアのHIV/AIDS対策に大きな功績を残した。
マリナ氏は、コンドームの使用促進を呼びかけたことについて、ある人物から「コンドームを推進するのは不道徳であるから、銃撃されても仕方がない」などと言われ、身の危険を感じたこともあったという。「今でも、HIV陽性者が孤立していること、エイズへの認識は高まっているのに人々は自分とは関係ないと思っている人が多いのにもどかしさを感じる。」と話すマハティール氏は今後プリンストン大学での講演や、アジア太平洋地域エイズ国際会議(ICAAP)のリエゾン担当として、活躍を続ける予定だ。
後任は、マラヤ大学医療センター感染症対策室長のアデーバ・カマルルザマン医師 Dr Adeeba Kamarulzaman 。マレーシア・ハーム・リダクション・ワーキンググループの代表も務めており、エイズ治療薬を使用している患者たちのケアにもあたっている。オーストラリアのモナシュ大学 Monash University を卒業。メルボルンで感染症に関するトレーニングも受けている。銀行員の夫との間に6歳と8歳の息子がいる。

原題:Marina to quit as AIDS chief
日付:December 13, 2005
出典:thestar.com website
URL:
http://thestar.com.my/news/story.asp?file=/2005/12/13/nation/12842777&sec=nation
カナダでは、売春行為それ自体は違法ではないが、売春を目的とした交渉をしたり、売春宿 bawdy house を経営したり、売春を生業として生活することは法律で禁止されている。カナダのHIV/AIDSの法律家ネットワーク Legal Network は、2005年12月13日、この法律がセックスワーカーの健康と生命を脅かしており、廃止するべきだとする報告書を発表した。
売春が事実上非合法な状態にあるカナダでは、セックスワーカーは常に逮捕の可能性と隣りあわせであり、安全な性行為をするために客と交渉することも難しくなる。報告書では、法律を廃止もしくは改正すると同時に、セックスワーカーの職業上の健康と安全を確保し、政策決定にも参加させるべきだと提唱している。
報告書の編集者であるグレン・バテリッジ氏 Glenn Betteridge は、「この法律は、セックスワーカーが法律・健康上の保護を受けるのを阻止している。その結果、他の非合法的な活動、例えば麻薬取引や組織犯罪に追いやられる可能性もある」と批判している。カナダ新民主党 New Democratic Partyの下院議員リビー・デーヴィス Libby Davies によると、「どれだけの議員が法改正もしくは廃止に賛成しているかどうかは定かでないが、現行法に問題があることには合意がとれている」と述べている。カナダの首都 オタワのヒントンバーグ・コミュニティ協会 Hintonburg Community Association 広報担当のジェフ・ライパー氏 Jeff Leiper は、「私たちの地域では、売春は麻薬と結びついている。政治家は薬物依存の社会的原因に取り組むために長期的なコミットメントと財政的な手当を行うべきだが、この問題において、改革をセックスワーカーの交渉の合法化だけに終わらせるのでは、単なる目くらましにしかならない」と、政治家たちの態度を批判している。


原題:Canadian Work Laws Endangering Health, Lives of Commercial Sex Workers, Report Says
日付:Dec 15, 2005
出典:Kaiser Daily News
URL: http://www.kaisernetwork.org/daily_reports/rep_hiv_recent_rep.cfm?dr_cat=1&show=yes&dr_DateTime=15-Dec-05#34325
編集部注:マイクロビサイドは 「殺菌剤」と訳され、HIV/AIDSとの関連では、女性の膣内もしくは男性・女性の肛門の中に入れておくことにより、相手の体液が入ったとしても、マイクロビサイドの効果により、HIV感染を防げるというものです。これまでHIV予防の主軸をなしてきた男性用コンドームは、いわば男性主導のHIV感染予防策でしたが、もしマイクロビサイドが開発されれば、女性が自らHIVから身を守ることができます。現在、開発が進められており、感染症に関わる新規医療技術開発の一つの柱をなすものであると言えます。2年に一度開催されてきた国際マイクロビサイド会議 Biannual Microbicides International Conference は、2006年は4月23日から26日にかけて南アフリカのケープタウンで開催される。この会議は、これまでワシントン、アントワープ、ロンドンで開催されてきたが、途上国での開催は今回が初めてである。今回アフリカ大陸で開催されることになったのは、当然の成り行きだ。アフリカ大陸はHIV/AIDSの影響を世界でも最も強く受けており、HIV陽性者の60%は女性、それも10代や20代前半の若い世代だ。現在、HIV感染予防対策として採用されている、貞操や一夫一婦制、コンドームの使用などは、必ずしも十分な成果を挙げているとは言えない。感染拡大を食い止めることが急務であり。特に女性器のマイクロビサイドの開発と普及は効果的だと期待されている。
最近、HIV感染予防の手段としてマイクロビサイドに注目が集まりつつあり、今回の会議では、全世界から、前回より200人多い、約1,000人が参加する予定である。会議では最新研究成果の報告発表が予定されている。研究者、公衆衛生従事者らとのディスカッションを通して有益な情報を得られることが期待される。

原題:Event: Scholarship application for Microbicides 2006 Conference extended
Global Campaign for Microbicides
日付:January 11, 2006
出典:af-aids listserv
URL:http://archives.healthdev.net/af-aids/msg02212.html
2006年02月02日09:41
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だいやまーく発 行:アフリカ日本協議会
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南アフリカ共和国警察当局は、2005年11月21日から3日間にわたって警察官向けにHIV/AIDSに関するワークショップを行った。警察官のエイズに関する正しい理解を促すのが目的。
ワークショップ開催の背景に、昨年7月に起きたHIV陽性者と警察の衝突した事件がある。2005年7月12日、「治療行動キャンペーン」Treatment Action Campaign (TAC) が抗レトロウイルス薬(ARV)治療プログラムの促進と治療の拡大を病院側に求めて、クィーンズタウンフロンティア病院 Queenstown’s Frontier Hospital 前をデモ行進した際、押さえ込もうとした警察のクィーンズタウン地域犯罪対策ユニット Queenstown Area Crime Combating Unit (ACCU)と衝突。警察側が催涙ガスやゴム弾を用いて40名が負傷する事件に発展した。ACCUの対応は国際的な非難を浴び、警察側は公的に謝罪した。
ワークショップでは、活動家や看護師の話を聞き、HIV陽性者と医療関係者の立場からHIV/AIDSを考えるプログラムが組まれた。参加したACCUのダリル・アダムス Darryl Adams 警視は、「参加前はエイズが自分に関係ない感染症だと思っていた」と話す。警察から暴行を受けた人の気持ちに心を打つとともに、警察を含めた地域社会から援助を受けることのないHIV陽性者や関係者の不満を理解したという。
7月の事件の調査は未だ進行中だが、負傷したノンバサ・グシュルウェ氏 Nombasa Gxuluwe は、事件について許し、忘れようとしているという。「エイズに立ち向かうには過去の個人的な恨みにとらわれず、前向きになることが重要」と話している。

編集部注:デモ行進の際の記事は、以前当メールマガジンでもご紹介しました。http://blog.livedoor.jp/ajf/archives/50061056.html をご参照下さい。

原題:Police take new look at HIV/Aids
日付:25 November 2005
出典:The Herald website
URL:http://www.theherald.co.za/herald/news/n23_25112005.htm
現在マラウイでは、医師不足が深刻だ。6万4千人に1人の割合でしか医師がおらず、28の郡病院 district hospitals のうち約半数は医師が不在である。欧米などへの医師の流出がとまらないことがその背景にある。同国は、医師を国内にひきとどめるために、基礎保健医療活動 basic careやエイズ治療のための研修を強化している。
同国保健人口省 Ministry of Health and Population によれば、国全体で公共保健セクターに従事する医師は139人だが、最低でもあと433人必要だという。政府はブランタイヤ市 Blantyre の大学に約2,500万ドルの予算を投下して医師育成を図り、卒業後も国内で医療活動を従事する医師を増やそうと計画する。しかし現実には、安価な給与(若い医師の月給は約450ドル)、劣悪な労働環境が医師の国外流出は増える一方だ。昨年、英国をはじめとするドナーから2億3千6百万円の資金援助を受けて医師育成計画を実施したが、成果はほとんど得られていない。
マラウイの頭脳流出がとまらない背景には、欧米諸国でも医師が不足しており、高額な報酬で医師免許を持つ移民を誘致しているという事実がある。
こうした動きに、保健大臣のへザーウィック・ンタバHetherwick Ntaba は、「米国は、米国出身ではない医師への依存を解消すべきだ。米国その他先進国では、途上国の極端な有資格医師の不足に背を向けてきた。さらに自国の利益のみを優先させるやり方が医師不足の原因だ。」と批判的だ。定年退職した元医師で教育者である「長く、強く生きる」"Living Longer, Living Stronger," の著者、ノーマン・ウォール氏 Norman Wall は、「近年、米国内の医師の需要が着実に増える一方、医療関係学部への入学者数は横ばいである。その原因の一つに、一般開業医よりも、最先端の研究者を育成するために少数のエリート医師に熱心な米国の方針が挙げられる。米国ではたとえ優秀でない生徒でも受け入れ数を増やす、新たな教育機関を設けるなど、医療関係学部の入学者を増やさなければならない。」と語る。さらに、「米国は医師の研修と、アジアやアフリカでの病院建設に投資して、WHOが推進する途上国の医師、医療保健従事者の給与の引き上げに貢献すべき」とウォール氏は話す。米国は多くの移民医師たちを国に引き止め、医療基盤の中で最も重要なはずの国内医療保健活動の醸成を軽視している。最先端分野の研究ばかりに注力していると地域社会の医療が行き詰るという皮肉な結果になりかねない。

原題:Agence France-Presse Examines Doctor Shortage in Malawi
日付:Dec 14, 2005
出典:Kaiser Daily News
URL: http://www.kaisernetwork.org/daily_reports/rep_hiv.cfm#34303
米国ニューヨーク・タイムズ紙は12月13日、米国カリフォルニア州南部との国境に位置する、メキシコ合衆国バハ・カリフォルニア州ティファナ市のHIV/AIDSなどの性感染症の流行拡大抑止のため、セックス・ワークを規制する新しい法律について調査した。
6月に市議会が承認した法律では、セックス・ワーカーは、毎月HIV抗体検査とその他の性感染症の検査を受けなければならない。検査の結果に基づき、市当局はクレジットカードのような写真付きの許可証を発行する。保健局担当者は、カード保持者の健康状態について、携帯可能な専用の機器で磁気情報を読み取ることにより簡単に調べることが出来る。性感染症への感染がわかった場合、セックス・ワーカーは仕事ができない。
この法律は、売春宿やホテル所有者に対しても行動を規制している。例えば、家具をプラスチックで覆い、部屋を消毒し、シーツを定期的に交換するなど、衛生的な環境を維持することを求めている。違反すると、高額の罰金や許可証の失効の可能性もある。
セックス・ワークそのものについては法律で禁じられてはいるが、ティファナ市では、事実上感染症と向き合うための方法として公認されている。8月にこの法律が施行されてから、18のマッサージ店と売春宿が違法として閉鎖された。セックス・ワーカーのための診療所を運営しているノリエガ氏 Noriega は、登録している女性のHIV感染者数は、以前に比べて減少し、梅毒や淋病の感染が確認されるケースも少なくなっているという。しかし、バハ・カリフォルニア州保健当局によると、州のHIV感染は拡大傾向にあり、特に静脈注射常用者であるセックス・ワーカーが最たる感染者層となっている。この調査は2006年に完了予定。

原題:New York Times Examines New Tijuana Law Regulating Commercial Sex Industry
日付:Dec 13, 2005]
出典:Kaiser Daily News
URL: http://www.kaisernetwork.org/daily_reports/rep_hiv_recent_rep.cfm?dr_cat=1&show=yes&dr_DateTime=13-Dec-05#34271
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