2005年02月
南アフリカのヨハネスブルグ、コロネーション病院 Coronation Hospital 小児科局長キース・ボルトン医師 Dr. Keith Bolton は、1990年代子どもの死亡は週に1人程度であったが、現在では毎日最低1人が亡くなっていると嘆いている。
1960年代初頭、5歳になる前の幼児の死亡率は5人に1人だったが、ヘルスケア、衛生改善、栄養改善によって、2002年にその割合は、12人に1人以下に改善した。しかし、昨年10月に発表されたユニセフの報告書「Progress for Children: A Child Survival Report Card」によると、サハラ以南アフリカの国々で5歳未満児死亡率が悪化しているのだ。中所得国であるボツワナでは、幼児死亡率が2倍に増え、最も洗練されたインフラを持つ、南アでも1990年に1000人あたり60人であったが、2002年では65人と、僅かだが悪化している。
WHO広報官ジョン・クラーク氏 John Clarke は、HIV/AIDSは南部アフリカにおいて幼児死亡率悪化の主要原因であり、保健分野では過去に例を見ない課題であると語っている。コロネーション病院でも、時には8割もの小児患者がエイズのかなり進んだ段階 late-stage にある。子どもたちは免疫が弱まり、肺炎、脱水症状、胃腸炎、結核などの日和見感染に苦しんでいる。また大半の子どもは深刻な栄養不足で、1960年代と同レベルの水準である。貧困にともなう失業は41%で、子どもの健康悪化の原因である。基礎保健サービスへのアクセス、滋養、安全な水、衛生的な環境はサハラ以南アフリカのどの都市、農村でも不十分である。
ユニセフは比較的安価な予防接種、栄養サプリメントや蚊帳の普及で、全世界で11万人の命を救えるとしている。ユニセフ南アフリカの サラ・クロエ氏 Sarah Crowe は、「この数字は介入が効果的であることを示している。政府は子供を救うための保健対策へ投資を増やさなければならない。子どもを優先すれば死亡率悪化の潮流を食い止められる。」と述べている。
南アフリカのムベキ大統領は、政府が十分なエイズ予防や治療プロジェクトに消極的だという批判を受け、本格的に取り組み始めた。しかし、他のアフリカ各国では財政難で十分に対応ができない。また、研修をうけた専門スタッフが他国へ行ってしまう「頭脳流出」も問題である。コロネーション病院にも、新生児集中治療室で働く熟練看護婦はいない。ボルトン医師の深い悩みは続く。
原文表題:Southern Africa: Rising child death illustrate region's health crisis
日付:7 January 2005
出典:IRIN Plus News
URL:http://www.plusnews.org/pnprint.asp?ReportID=4326
1960年代初頭、5歳になる前の幼児の死亡率は5人に1人だったが、ヘルスケア、衛生改善、栄養改善によって、2002年にその割合は、12人に1人以下に改善した。しかし、昨年10月に発表されたユニセフの報告書「Progress for Children: A Child Survival Report Card」によると、サハラ以南アフリカの国々で5歳未満児死亡率が悪化しているのだ。中所得国であるボツワナでは、幼児死亡率が2倍に増え、最も洗練されたインフラを持つ、南アでも1990年に1000人あたり60人であったが、2002年では65人と、僅かだが悪化している。
WHO広報官ジョン・クラーク氏 John Clarke は、HIV/AIDSは南部アフリカにおいて幼児死亡率悪化の主要原因であり、保健分野では過去に例を見ない課題であると語っている。コロネーション病院でも、時には8割もの小児患者がエイズのかなり進んだ段階 late-stage にある。子どもたちは免疫が弱まり、肺炎、脱水症状、胃腸炎、結核などの日和見感染に苦しんでいる。また大半の子どもは深刻な栄養不足で、1960年代と同レベルの水準である。貧困にともなう失業は41%で、子どもの健康悪化の原因である。基礎保健サービスへのアクセス、滋養、安全な水、衛生的な環境はサハラ以南アフリカのどの都市、農村でも不十分である。
ユニセフは比較的安価な予防接種、栄養サプリメントや蚊帳の普及で、全世界で11万人の命を救えるとしている。ユニセフ南アフリカの サラ・クロエ氏 Sarah Crowe は、「この数字は介入が効果的であることを示している。政府は子供を救うための保健対策へ投資を増やさなければならない。子どもを優先すれば死亡率悪化の潮流を食い止められる。」と述べている。
南アフリカのムベキ大統領は、政府が十分なエイズ予防や治療プロジェクトに消極的だという批判を受け、本格的に取り組み始めた。しかし、他のアフリカ各国では財政難で十分に対応ができない。また、研修をうけた専門スタッフが他国へ行ってしまう「頭脳流出」も問題である。コロネーション病院にも、新生児集中治療室で働く熟練看護婦はいない。ボルトン医師の深い悩みは続く。
原文表題:Southern Africa: Rising child death illustrate region's health crisis
日付:7 January 2005
出典:IRIN Plus News
URL:http://www.plusnews.org/pnprint.asp?ReportID=4326
セネガルでこの程始まったゲイ・ムーブメント(同性愛者が市民権を求め、活動する運動)は、HIV/AIDSに関する活動をより広く一般に認識してもらい、HIV感染者・エイズ患者である同性愛者への政府による支援を求めている。
敬虔なイスラム教国であるセネガルでは同性愛は違法である。しかし、MSM(男性と性行為をする男性)運動は始まってまだ5年という浅い歴史にも関わらず、現在400人のメンバーが活動している。彼らは政府が運営する「エイズ国民会議 National Council to Fight AIDS (CNLS) 」に、エイズ活動に取り組むプロジェクトのための3600万CFAフラン(73000米ドル)の資金提供及びHIV感染者メンバーの支援を申請している。
セネガルは、政府による効果的な宣伝・検査・予防が功を奏して、アフリカ諸国でHIV感染率が最も低い国の一つであるが、同性愛は法律上、犯罪であるためにゲイ・コミュニティはエイズプログラムから取り残されている。
同国はHIV/AIDSの取り組みのための資金として、2005-6年に365億CFAフラン(7400万米ドル)を世界銀行、世界エイズ・結核・マラリア対策基金 the Global Fund to fight AIDS, Tuberculosis and Malaria 及び他のドナーから拠出を受ける予定だ。
CNLS事務局は「MSM運動の資金申請は受理しており、他のいくつかの新しいプロジェクトと共に、3月に審査する。」と述べた上で、命の危険にさらされている多くのMSMについても言及した。
原文表題:SENEGAL: Gays fight to be included in anti-AIDS campaigns
日付:12 January 2005
出典:IRIN Plus News
URL:http://www.plusnews.org/pnprint.asp?ReportID=4355
敬虔なイスラム教国であるセネガルでは同性愛は違法である。しかし、MSM(男性と性行為をする男性)運動は始まってまだ5年という浅い歴史にも関わらず、現在400人のメンバーが活動している。彼らは政府が運営する「エイズ国民会議 National Council to Fight AIDS (CNLS) 」に、エイズ活動に取り組むプロジェクトのための3600万CFAフラン(73000米ドル)の資金提供及びHIV感染者メンバーの支援を申請している。
セネガルは、政府による効果的な宣伝・検査・予防が功を奏して、アフリカ諸国でHIV感染率が最も低い国の一つであるが、同性愛は法律上、犯罪であるためにゲイ・コミュニティはエイズプログラムから取り残されている。
同国はHIV/AIDSの取り組みのための資金として、2005-6年に365億CFAフラン(7400万米ドル)を世界銀行、世界エイズ・結核・マラリア対策基金 the Global Fund to fight AIDS, Tuberculosis and Malaria 及び他のドナーから拠出を受ける予定だ。
CNLS事務局は「MSM運動の資金申請は受理しており、他のいくつかの新しいプロジェクトと共に、3月に審査する。」と述べた上で、命の危険にさらされている多くのMSMについても言及した。
原文表題:SENEGAL: Gays fight to be included in anti-AIDS campaigns
日付:12 January 2005
出典:IRIN Plus News
URL:http://www.plusnews.org/pnprint.asp?ReportID=4355
南アフリカのエイズ活動家たちが、長年にわたってエイズ・キャンペーンで使用されてきたメッセージを見直すように呼びかけている。
これまでは、何年も前から使われている「コンドームを使え」や「沈黙を破れ」といったキャッチーなスローガンを書いたパンフレットを配布してきた。しかし、専門家らは、それだけでは効果は少ないと指摘する。人々が本当に必要としているのは感染の予防法や、例えば、パートナーと安全なセックスを交渉する方法、などの具体的なアドバイスだからだ。
南アフリカのエイズ基金 the Durban-based AIDS Foundation South Africa のザバ氏 Nonhlanhla Xaba は、「ABCスローガン(abstain 禁欲、be faithful 貞操、use a codom コンドーム使用)は未だに広く使われているけれども、実際にはジェンダー間のアンバランスのために機能していない。」と話す。一方的なメッセージと実際に行動の変容を促すための施策の間には大きなギャップがあるのだ。
HIV/AIDS教材を作成するソウルシティー Soul City は、最近ARV治療の教材を製作した際に、まず看護師や医師、実際に治療を受けている人たちにインタビューを行い、一般の人にも読んでもらって反応をみながら何度も草稿を練った。医学的な知識や複雑な内容をわかりやすくするため、完成までにほぼ1年を費やしたという。ソウルシティーのワード氏 Sally Ward は、「多くの人が何十年も前から同じようなエイズ予防の呼びかけを聞かされて飽き飽きしている。エイズの流行拡大の傾向が変化しているように人々が求めている状況も変化している」と話す。
なお、文中で紹介したソウルシティーが作成している教材は http://www.soulcity.org.za/ で閲覧できます。
原題:SOUTH AFRICA: Tired of the "same old" AIDS messages
日付:31 December 2004
出典:IRIN Plus News
URL:http://www.irinnews.org/report.asp?ReportID=44866
これまでは、何年も前から使われている「コンドームを使え」や「沈黙を破れ」といったキャッチーなスローガンを書いたパンフレットを配布してきた。しかし、専門家らは、それだけでは効果は少ないと指摘する。人々が本当に必要としているのは感染の予防法や、例えば、パートナーと安全なセックスを交渉する方法、などの具体的なアドバイスだからだ。
南アフリカのエイズ基金 the Durban-based AIDS Foundation South Africa のザバ氏 Nonhlanhla Xaba は、「ABCスローガン(abstain 禁欲、be faithful 貞操、use a codom コンドーム使用)は未だに広く使われているけれども、実際にはジェンダー間のアンバランスのために機能していない。」と話す。一方的なメッセージと実際に行動の変容を促すための施策の間には大きなギャップがあるのだ。
HIV/AIDS教材を作成するソウルシティー Soul City は、最近ARV治療の教材を製作した際に、まず看護師や医師、実際に治療を受けている人たちにインタビューを行い、一般の人にも読んでもらって反応をみながら何度も草稿を練った。医学的な知識や複雑な内容をわかりやすくするため、完成までにほぼ1年を費やしたという。ソウルシティーのワード氏 Sally Ward は、「多くの人が何十年も前から同じようなエイズ予防の呼びかけを聞かされて飽き飽きしている。エイズの流行拡大の傾向が変化しているように人々が求めている状況も変化している」と話す。
なお、文中で紹介したソウルシティーが作成している教材は http://www.soulcity.org.za/ で閲覧できます。
原題:SOUTH AFRICA: Tired of the "same old" AIDS messages
日付:31 December 2004
出典:IRIN Plus News
URL:http://www.irinnews.org/report.asp?ReportID=44866
南アフリカ共和国(以下南ア)のジェネリック薬の製薬会社アスペン・ファーマケア Aspen Pharmacare は、アフリカの製薬会社として初めて、米国食品医薬品局 the US Food and Drug Administration (FDA) から自社の製薬工場に対する認可を得た。これにより、アスペン社が製造したHIV/AIDS治療のためのジェネリック薬を各国が購入する際、大統領エイズ救済緊急計画 the US President's Emergency Plans for AIDS Relief (PEPFAR)資金の使用が可能になる。なおPEPFARとは、アフリカとカリブ海の12カ国を対象に、ブッシュ米大統領が2003年に開始した、150億ドル規模のHIV/AIDS対策プログラムである。
アスペン社の最高責任者スティーブン・サード氏 Steven Saad は、FDAへの登録が済み次第、ラミブジン Lamivudine、ジドブジン Zidovudine、ネビラピン Nevirapin の三剤混合のジェネリック抗レトロウイルス薬(ARV薬)の製造を開始すると発表した。アスペン社はアフリカ最大のジェネリックARV薬の最大手で、南ア政府への今後3年間のARV薬提供を競う入札競争に参加している。入札結果は1月中に発表される見込みである。
原題:South Africa: Generic AIDS drug maker gets US approval
日付:25 January 2005
出典:Pambazuka News / Plus News
URL:http://www.plusnews.org/AIDSreport.asp?ReportID=4407
アスペン社の最高責任者スティーブン・サード氏 Steven Saad は、FDAへの登録が済み次第、ラミブジン Lamivudine、ジドブジン Zidovudine、ネビラピン Nevirapin の三剤混合のジェネリック抗レトロウイルス薬(ARV薬)の製造を開始すると発表した。アスペン社はアフリカ最大のジェネリックARV薬の最大手で、南ア政府への今後3年間のARV薬提供を競う入札競争に参加している。入札結果は1月中に発表される見込みである。
原題:South Africa: Generic AIDS drug maker gets US approval
日付:25 January 2005
出典:Pambazuka News / Plus News
URL:http://www.plusnews.org/AIDSreport.asp?ReportID=4407
インド洋大津波の直接的・間接的影響による不安定な状況が続いている。当初、政府や地域社会は食・住・医療面の緊急援助活動を中心に対応していたが、現在、この対策は、次の段階にうつっており、長期的復興という視点から、被害を受けた地域社会や、そこに住む人々へのHIV/AIDS対策が今求められている。
災害がどのようにしてHIV感染の脆弱性に影響するかという組織だった分析もなされていないし、自然災害がHIV感染の原因とは必ずしもいえない。しかし、災害後の現況がHIV感染の流行拡大を悪化させていることは明らかだ。津波によって、安全な血液、きれいな注射針など、医療設備が不足し、コンドームやヘルスケアなども行き届かなくなる。また避難民となった人々、特に女性や子どもが性的搾取をされ、人々が一時的に避難をしている間は、HIVの感染防止・ケア対策が中断されてしまう。現在人道的支援・開発支援は、HIV対策に関して大きな試練に直面しているといえよう。HIV対策は、大津波による被害を受けた国すべてに緊急事態を引き起こしている。
そもそもHIV/AIDSは直接的に病気・死をもたらし、社会に多大な影響を及ぼすため、既存の自然災害に対する人道支援モデルでは効果的なHIV対策にならず、同様に既存の開発援助モデルでは十分ではない。大津波災害への対応に効果的なHIV対策を組み込むことが必要不可欠だ。
国連緊急災害時HIV/AIDS関連機関運営委員会 The United Nations Inter-Agency Standing Committee Task Force on HIV/AIDS in Emergency Settings は政府、国連機関やNGOらが非常事態の初期段階にとるべき最低限のHIV/AIDS対策ガイドラインを作成した。それによれば、HIV対策には既存の計画や地域団体や行政の緊密なネットワーク活用が必須であると示されている。
ポール・ハーヴェイ氏 Paul Harvey とUNAIDS/GTZは人道的支援計画の文脈で、生活 livelihood とHIV/AIDSの関係を分析し、HIV/AIDSに伴う課題の拡大化に応じて考慮するべき点を指摘している。
同氏らは、HIV/AIDSが原因で台頭した脆弱性(特に感染しやすい未亡人・高齢者・孤児、都市部及び都市部近隣地域)について特に配慮すること、エイズに関連する偏見や差別を考慮して支援をするか否かの決定を下すこと、さらにジェンダーに配慮して対策を進めることや緊急な介入によってネガティブ・インパクトを起こさないように留意すること、など20のポイントを挙げている。
編集部注)文中の出典等に関しては、原文をご参照ください。
原題:Mainstreaming HIV prevention into `Tsunami' response
日付:10 January 2005
出典:bmj.com
URL:http://bmj.bmjjournals.com/cgi/eletters/330/7482/59#92036
災害がどのようにしてHIV感染の脆弱性に影響するかという組織だった分析もなされていないし、自然災害がHIV感染の原因とは必ずしもいえない。しかし、災害後の現況がHIV感染の流行拡大を悪化させていることは明らかだ。津波によって、安全な血液、きれいな注射針など、医療設備が不足し、コンドームやヘルスケアなども行き届かなくなる。また避難民となった人々、特に女性や子どもが性的搾取をされ、人々が一時的に避難をしている間は、HIVの感染防止・ケア対策が中断されてしまう。現在人道的支援・開発支援は、HIV対策に関して大きな試練に直面しているといえよう。HIV対策は、大津波による被害を受けた国すべてに緊急事態を引き起こしている。
そもそもHIV/AIDSは直接的に病気・死をもたらし、社会に多大な影響を及ぼすため、既存の自然災害に対する人道支援モデルでは効果的なHIV対策にならず、同様に既存の開発援助モデルでは十分ではない。大津波災害への対応に効果的なHIV対策を組み込むことが必要不可欠だ。
国連緊急災害時HIV/AIDS関連機関運営委員会 The United Nations Inter-Agency Standing Committee Task Force on HIV/AIDS in Emergency Settings は政府、国連機関やNGOらが非常事態の初期段階にとるべき最低限のHIV/AIDS対策ガイドラインを作成した。それによれば、HIV対策には既存の計画や地域団体や行政の緊密なネットワーク活用が必須であると示されている。
ポール・ハーヴェイ氏 Paul Harvey とUNAIDS/GTZは人道的支援計画の文脈で、生活 livelihood とHIV/AIDSの関係を分析し、HIV/AIDSに伴う課題の拡大化に応じて考慮するべき点を指摘している。
同氏らは、HIV/AIDSが原因で台頭した脆弱性(特に感染しやすい未亡人・高齢者・孤児、都市部及び都市部近隣地域)について特に配慮すること、エイズに関連する偏見や差別を考慮して支援をするか否かの決定を下すこと、さらにジェンダーに配慮して対策を進めることや緊急な介入によってネガティブ・インパクトを起こさないように留意すること、など20のポイントを挙げている。
編集部注)文中の出典等に関しては、原文をご参照ください。
原題:Mainstreaming HIV prevention into `Tsunami' response
日付:10 January 2005
出典:bmj.com
URL:http://bmj.bmjjournals.com/cgi/eletters/330/7482/59#92036
昨年12月に起きたインド洋大津波の被害に対し、これまでに各国から計50億ドルの援助が表明されており、1年間に各国が国連へ拠出する人道援助資金の総額に並ぶのは時間の問題であろう。一方、HIV/AIDSに対する西側諸国からの援助資金は36億ドルにとどまっており、なぜHIV/AIDS問題は津波被害に対するような世界的な共感を得ることができずにいるのか、援助関係者やHIV/AIDS対策関係者らは自問自答している。
ニューヨーク・タイムズ紙のニコラス・クリストフ Nicholas Kristof は、「毎月毎月、インド洋津波による死者よりもずっと多くの人が、マラリア(死者16万5千人/月)とエイズ(死者24万人/月)で亡くなっている。ブッシュ政権が世界でのイメージ改善を望むならば、スポットライトが当たっていない時にこそ寛大さを示すべきだ」と述べている。フィナンシャル・タイムズ紙 のマーティン・ウルフ氏 Martin Wolf は、インド洋の津波災害は世界の人々が共有する人類愛 humanity に気づかせてくれたが、津波被害によって、他のもっと継続的な災難、たとえばアフリカの1200万人のエイズ遺児の存在から人々の関心がそらされてはならない、と指摘する。また、トロントのグローブ・アンド・メイル紙 Globe and Mail の社説は、各国政府が津波災害への緊急援助ほどにはHIV/AIDS対策に熱心でないことを指摘し、「(津波災害よりも)たとえ死がもっと予測可能で、被害が量的にはかりにくい場合においても」援助資源を確保できるかどうかが世界で問われている、と論じている。
原題:Summary of Opinion Pieces on HIV/AIDS Funding Following Tsunami Relief
日付:13 January 2005
出典:Kaiser Daily HIV/AIDS Report
URL:http://www.kaisernetwork.org/daily_reports/print_report.cfm?DR_ID=27616&dr_cat=1
ニューヨーク・タイムズ紙のニコラス・クリストフ Nicholas Kristof は、「毎月毎月、インド洋津波による死者よりもずっと多くの人が、マラリア(死者16万5千人/月)とエイズ(死者24万人/月)で亡くなっている。ブッシュ政権が世界でのイメージ改善を望むならば、スポットライトが当たっていない時にこそ寛大さを示すべきだ」と述べている。フィナンシャル・タイムズ紙 のマーティン・ウルフ氏 Martin Wolf は、インド洋の津波災害は世界の人々が共有する人類愛 humanity に気づかせてくれたが、津波被害によって、他のもっと継続的な災難、たとえばアフリカの1200万人のエイズ遺児の存在から人々の関心がそらされてはならない、と指摘する。また、トロントのグローブ・アンド・メイル紙 Globe and Mail の社説は、各国政府が津波災害への緊急援助ほどにはHIV/AIDS対策に熱心でないことを指摘し、「(津波災害よりも)たとえ死がもっと予測可能で、被害が量的にはかりにくい場合においても」援助資源を確保できるかどうかが世界で問われている、と論じている。
原題:Summary of Opinion Pieces on HIV/AIDS Funding Following Tsunami Relief
日付:13 January 2005
出典:Kaiser Daily HIV/AIDS Report
URL:http://www.kaisernetwork.org/daily_reports/print_report.cfm?DR_ID=27616&dr_cat=1
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