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【内田雅也の追球】高まってきた一丸姿勢 ヒリヒリする日々を前向きにとらえ、楽しめるのは強い

[ 2024年9月19日 08:00 ]

セ・リーグ 阪神8ー3中日 ( 2024年9月18日 バンテリンD )

4回、木浪の二ゴロの間に、三走・佐藤輝が生還
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大谷翔平エンゼルスからドジャースへの移籍を選んだ理由を「ヒリヒリした9月を過ごしたい」と語っていた。優勝争いの緊張と興奮、そして歓喜を味わいたいというのは野球選手としての本能かもしれない。

今の阪神はそんなヒリヒリした日々を過ごしている。重圧もあるなか、選手たちは勝利に向けて自分の役割を全うしている。優勝争いが大詰めになればなるほど、力を発揮してくる。昨年優勝した経験が生きている。

大谷はエンゼルス時代、正確には「もっともっと楽しい、ヒリヒリするような9月を過ごしたい」と語っていた。この楽しむ姿勢、緊張も興奮も重圧も受け容れてエンジョイする心持ちが今の阪神にはあるのだろう。

打線は高橋宏斗から6回で8安打を放った。土をつけた前回対戦の今月3日(甲子園)同様に3点を奪って攻略した。2回表の先取点は佐藤輝明、前川右京の長短打だが、以後はつなぐ打撃と食らいつく姿勢が光った。

4回表は坂本誠志郎が中前打でつないだ1死一、三塁で木浪聖也のボテボテ二ゴロで三塁走者が還った。清水達也に代わった7回表は森下翔太が右に打ってつないだ再びの1死一、三塁に大山悠輔の三ゴロで貴重な追加点をあげた。森下は9回表も右前に打ち一、三塁をつくり、大量4点を招いている。

坂本は中前3本など4安打、森下は2四球に右方向へ2安打している。

結果的に先発全員の15長短打を放ち8点を奪った。監督・岡田彰布が昨年幾度も繰り返した「みんなで勝ちにいく」という一丸姿勢が高まってきた。優勝した要因を「全員がそれぞれの役割を自覚し実践している」と語った。選手たちの気力は充実し、昨年好調時のチーム状況になってきた。

1960〜80年代、大リーグ・レッドソックスで活躍、三冠王にもなったカール・ヤストレムスキーは「野球のことだけを考える」と語っている。「毎年この時期(9〜10月)になると、朝、目覚めると野球のことを考えている。一日中、思いを巡らし、夜は夜で夢にまで見ている。唯一考えずにすむのはプレーしている間だけなんだ」

いまの阪神の選手たちもそんな野球漬けのヒリヒリした日々を送っているのだろう。ヒリヒリを前向きにとらえ、楽しめるのは強みである。 =敬称略=
(編集委員)

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