兎歌等
いろいろ。
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SCP-XXX-JP-1実体。 植物、線香を含む。

アイテム番号: SCP-XXX-JP

オブジェクトクラス: Euclid

特別収容プロトコル: SCP-XXX-JP-1実体は全てサイト-81██においてレベル4バイオハザード・プロトコルに従って収容してください。

SCP-XXX-JPを使用した実験はセキュリティクリアランス3以上の職員2名の許可を得た上で、機動部隊を待機させて行ってください。

20██/11/09以降、感染者は収容サイト-8170における管理が義務付けられました。記憶処理、カバーストーリーの適用を行ったのち、レベル0職員としてフロント企業で雇用しています。SCP-XXX-JP-1および感染者が発見された場合、機動部隊は-9"墓守"を派遣して対処させてください。

説明: SCP-XXX-JPは人間の骨細胞と構造が酷似している未知のウィルスです。明らかに感染に不向きな構造ですが、現在の生態を維持し続けられる理由は判明していません。

SCP-XXX-JPが人間(以下、感染者)に感染すると、3時間以内に感染者と完全に同様のDNAを持つ死体とその周辺環境(SCP-XXX-JP-1に指定)が感染者から300m以内に生成されます。SCP-XXX-JP-1は表面からSCP-XXX-JPを散布する性質を持ち、この性質はいかなる破壊、加工、処理でも変化しません。全てのSCP-XXX-JP-1には一定の感染者の情報が付記されています。

感染者が必ずしも生成されたSCP-XXX-JP-1のような死体として死亡しないことから、SCP-XXX-JP-1は未来の感染者の死体ではないと結論付けられました。他次元、もしくは未来の死の可能性のうちの一つとする説が有力です。感染者が死亡したサンプル数が少ないため、感染者がSCP-XXX-JP-1のような死体として死亡する確率は算出されていません。

この感染による感染者への健康的被害は皆無であり、SCP-XXX-JP-1を介さない人間間の感染も確認されていません。24時間以内にSCP-XXX-JPは感染者の体内から消滅します。

感染者の周辺に生成を行う特性上、感染者および感染源の発見は比較的容易です。発生源は特定できていませんが、財団の収容作戦によってSCP-XXX-JPの感染はほぼ収束しています。20██/03/19以降、新たな感染事例の報告はありません。
事例ログ一覧

収容日:20██/08/14

感染者:14歳女性

結果:浄土真宗式の墓に類似したSCP-XXX-JP-1が生成された。墓には通常通り戒名・命日・享年と共に感染者の氏名が彫刻されていた。命日は収容日からおよそ7年後の20██/07/19。

収容日:20██/09/28

感染者:23歳女性。麻薬密売に関係していることが調査で判明。

結果:白骨化したSCP-XXX-JP-1と大量の土が生成された。土は神奈川県██山中のものと成分が一致。大腿骨に「20██/11/19 ██ ██(感染者の氏名)」という彫刻がなされていた。

収容日:20██/11/09

感染者:36歳男性。大手缶詰メーカー██社に勤務。

結果:挽肉状のSCP-XXX-JP-1が混入した██社製鯖缶47個が生成された。缶詰の原材料表示に「██ ██(遺伝子組み換えでない)」(██ ██は感染者の氏名)との表示が確認された。██社への調査を行ったが、有効な情報は得られなかった。

収容日:20██/06/18

感染者:エージェント・篠林。収容任務の際に誤って感染。

結果:冷凍されたSCP-XXX-JP-1が生成された。形態はエージェント・篠林の大腿骨、肩甲骨、頭蓋骨と筋組織が複雑に絡み合った塊。「20██/09/24 篠林 ██」というメモ書きが添えられていた。

収容日:20██/06/25

感染者:D-71936。担当者許可の上で実験的に感染。

結果:常にD-71936の氏名を叫び続ける[編集済]。機動部隊によって鎮圧された。この事案によって7名の負傷者、12名の感染者が発生。D-71936は直ちに終了された。
何らかの実験に使用された後のD-71936の姿だろう。 Dクラスを使用した実験は危険性が高い。より万全を期して行うこと。――柳博士

事案XXX-JP-い
20██/██/██、経過観察していた元感染者のうち██%が一斉に異常行動の兆候を見せました。具体的には近辺に隠蔽されている人間の死体を感知して接近する、財団の保有する死体焼却場を発見する、財団がカバーストーリーを適用した一般人の墓と会話を交わす、隠蔽されている移動不可能なSCiP(人命に危険を及ぼすものが多い)に接近を試みる、などです。これを受けて異常行動を行ったか否かに関わらず、財団職員██名を含む███名の元感染者を全て確保、尋問を行いました。尋問の結果、異常行動を行った感染者は一様に「うめき声のようなものが聞こえた」「墓の中からの声と会話をした」と回答しました。機密保持を考慮し、感染者はあらゆる死体の処理を外部施設で行う収容サイト-8170において管理されることが決定されました。

画像出典:http://www.photo-ac.com/main/detail/233305

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アイテム番号: SCP-XXX-JP

オブジェクトクラス: Safe/Euclid/Keter (適切なクラスを選んでください)

特別収容プロトコル: [SCPオブジェクトの管理方法に関する記述]

説明: [SCPオブジェクトの性質に関する記述]

補遺: [SCPオブジェクトに関する補足情報]

実験記録XXX - 日付YYYY/MM/DD

対象:

実施方法:

結果:

分析:

エージェント・那澤なごむは更衣室の鏡の前で一回転した。
厳密には今の彼は"那澤なごむ"ではない。東京都██区のメイド喫茶「████:██」のアルバイト"なごみ"だった。今日で働き始めて一週間になる。
大人しめのメイド服とその端で揺れるフリルをひとしきり眺め、彼は軽く息を吐く。若干の諦めを含んだ安堵であった。店から支給されたメイド服は上手く着こなせたし、ほっそりとした白い手足は店内でもよく映えた。店長には入店当日から褒めに褒められ、新しい同僚たちからも可愛がられた。メイド服を着て愛想をふりまくのは純粋に楽しかった。
だからこそ、不安にもなる。
この環境に自分は本当に馴染めているだろうか? 何か忘れてやしないか?
「信頼と思えばいいよ。私は羨ましい」
女物の普段着に着替えて店を出た。遠回しに相談すると、今回の彼の監督、エージェント・鵜飼は軽く笑って流す。彼女もまた、この店のアルバイトとして働いている。年齢は不詳。新人エージェントの監督をするぐらいだから経験は浅くないはずだが、他のメイド達に自然と溶け込むような若々しさも持ち合わせていた。なごむを含めて、誰も彼女の年齢を気にしなかった。
「そういうものですかね」
「そういうものだよ。というか、なごむ君らしくないね」
「いや、周りにああも女性が多いと」
ふーん、と気のない返事を返す鵜飼。気だるげな雰囲気を醸し出したまま、二人は店の近く、かつ目立たない道路上に待機させた車へ向かう。ごく一般的な家庭用の4ドアだ。中身は財団に改造され尽くしているが。
後部座席に乗り込んで扉をしっかり閉めると、車は滑らかに発進する。同時に、二人の会話に機密性が上乗せされる。
「確認しよう。一月ほど前から、あのメイド喫茶で食事して体調不良になる客が多発している。週一で通う程度の依存性も有り。今は割合にして2割強程度だけど、徐々に増加する傾向にある」
「料理のサンプルに異常性はなし。客のミーム汚染、認識災害もなしです」
空振りってことはないと思うんだけど、と鵜飼が呟いたが、那澤なごむは聞かなかったことにして扉に体を預けた。職務を全うしたエージェントにこれ以上探れることはない。もしかすれば追加の調査部隊が派遣されるかもしれないが、自分達は一週間分の報告書をまとめて提出するだけだ。
それにしても、この通りはこんなにメイド喫茶が多かっただろうか?

「ああ畜生、なんで僕が......なんでなんだ、もう」
「良くないよ、そういうの。良くない。気持ちは痛いほど分かるけどね」
エージェント・育良は今にも頭を掻き毟りそうだった。

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SCP-XXX-JP

アイテム番号: SCP-XXX-JP

オブジェクトクラス: Keter Safe

特別収容プロトコル: SCP-XXX-JPはセキュリティロックを搭載した標準収容ロッカーに収容し、解錠にはセキュリティクリアランスレベル4以上の職員の許可が必要です。直接接触は厳重に禁止されます。常に一名のセキュリティクリアランスレベル2以下の職員が収容担当員として割り当てられます。SCP-XXX-JP収容担当員は財団忠誠度テストでクラスA以上の評価を得ていなければならず、Dクラス職員の使用は推奨されていません。担当者は処置す-98b実行下でSCP-XXX-JPに一度だけ直接接触させてください。担当者には処置す-98bを永続的に実行されなければなりません。プロトコル・フェルマータは実行が停止されました。

説明: SCP-XXX-JPはマンドリンのような実体です。材質に特異性はみられません。演奏には適さず、どんな環境、状態であっても演奏すると一般的に不快に聞こえる不協和音を発します。

SCP-XXX-JPの特異性は人間が直接接触を行った時に発現します。接触した人間(以下、対象)は事前知識の有無や知能レベルに関わらず、SCP-XXX-JPの特性を「SCP-XXX-JPを使った撲殺は必ず成功する」と認識、理解します。SCP-XXX-JPは対象の筋力に合わせ、対象が持ち上げるのに適する重量へと変化することが確認されました。

対象は接触後、物理的損傷への耐性を得ます。対象の損傷した肉体は全て10秒以内に修復が行われ、あらゆる致死性の薬物、窒息、病原体、老化に対しても内部組織の迅速な修復や置き換えにより完全な耐性を持ちます。

対象がSCP-XXX-JPを意図的に人間に接触させた時、その装備、衝突した部位に関わらず常に100%の確率で衝撃は死亡をもたらします。衝突したのがたとえ四肢の末端であれ、前述の確率で本来の損傷を大きく上回るレベルの損傷を与え、結果的に死亡します。財団所有のいかなる耐衝撃スーツ、ヘルメットなどの装備もこの殺害を妨げることはできませんでした。

対象が僅かでも他者への反抗心、敵愾心を感じた場合、直ちにSCP-XXX-JPは対象付近へ転移し、対象はSCP-XXX-JPを用いた殺害行動を開始します。対象が殺害行動を自発的に中止することはありません。対象からSCP-XXX-JPを隔離する行為は対象の再転移という形で失敗し、またSCP-XXX-JPの殺害に適さない形状への破壊は後述の転移を引き起こす結果となりました。

殺害が達成されるかSCP-XXX-JP実体が破壊されると、SCP-XXX-JPは転移を行います。転移座標付近にはほぼ全てのケースで攻撃的な精神状態の人間が確認されました。転移能力の限界は不明であり、現在までの最大転移距離は約███kmです。これまでに13回の収容違反が発生しています。

SCP-XXX-JPの損傷は全て転移の際に修復されます。

画像出典:https://www.flickr.com/photos/bergenoff/20946528495/in/photolist-xUYra2-c6jzf-9R6CU1-61gpFH-9iZQii-5SSMc5-4NsJXU-kF74VG-hpie2g-h4TUYG-cJ2sSd-cUhnUj-bSXA1F-8bt8ZZ-qrqo4H-9p4SPU-9QK6oh-66Wh86-5VjVrY-9mYWp-rWeDA-nSQdZm-3Bgd1c-94eamg-4xztd7-94ecXv-94ebfa-xkMfy3-9QGevi-oe5uje-4wr4Vp-3Bgdmp-5UyUU4-wiHvKw-94hfC5-bHB7y-7yzVL4-57wCeX-3BgdxK-62d5Hu-rWeM8-eB2GZu-9bfCKb-4wKKZt-6xgsub-94hhqj-94ecmZ-94ebLV-94eark-94heTU

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補遺: [SCPオブジェクトに関する補足情報]

琳谷博士の意識はゆっくりと浮上し始めた。どうやら運転席でそのまま寝てしまったらしく、体のあちこちが不自然に痛んだ。
小さな手足で精一杯伸びをすると、体に巻き付けた毛布からチョコレートを取り出し、徐ろに銀色の包装を引き剥がす。日本を出る時にありったけ持ってきた中の一枚、だと思う。
窓の外を見ると、相変わらず飽き飽きするほどの量の死体が並んでいた。

どのインシデントが始まりかなど、最早分からなくなってしまっていた。誰もそんなことを知らなかった。ただ、事態だけが転がり落ちるように悪くなっていった。
よく思い出せないが、気づいたときにはサイト-01との連絡はつかなくなっていたし、知り合いと呼べる知り合いは全て(いや、大和博士だけは除外してもいいかもしれない。ざっと25mプール一つ分ほどの肉と脂の塊を大和・von・Bismarkと呼べるならの話だが)いなくなっていた。ともかく、琳谷博士が81地域ブロック最後の財団職員になるまで、さした時間はかからなかった。
なぜ生き残れたのかは考えたくなかった。世界が終わってしまうまでの僅かな期間、ただ冷静に逃げ続けただけだ。求めた理想像とはあまりにかけ離れすぎた終末だったのだから。頼れるうちはセキュリティレベルに頼り、頼れなくなってくると必要なものを必要なだけバンに詰め込んで生き残るために逃げた。それだけだったのだから。

脚注
. おそらく。
ページリビジョン: 237, 最終更新: 05 Dec 2015 10:44
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