回収時のSCP-JP
アイテム番号: SCP-XXX-JP
オブジェクトクラス: Safe
特別収容プロトコル: SCP-XXX-JPはサイト-8104にてパスワード付きのロッカーに収容されています。試験を行う場合には担当の博士に許可を取り音声を記録してください。現在試験は停止されています。
説明: SCP-XXX-JPは半径38cm、厚さ20cm、重さ約50kgの一般的な円形の飛び石です。SCP-XXX-JPは███県███市にある庭園から、当施設にて複数人が失踪した事件の後に回収されました。この件にはカバーストーリー「連続殺人犯による誘拐」が適用されました。
当物体の異常性は哺乳類が上に四足歩行の姿勢で飛び乗った際に発生します。この効果は人間に限らず哺乳類全般に現れます。
前述の方法でSCP-XXX-JPに飛び乗った被験者は飛び乗った瞬間に完全に消失します。
消失した被験者はSCP-XXX-JP-Aと呼ばれる空間に転移します。SCP-XXX-JP-Aでは約4m四方の地面が存在しており、遥か下方には薄紅色のガス状の気体が満ちています。
また、SCP-JP-Aは立ち入った哺乳類に対し、精神障害を引き起こす事が確認されています。多くの場合、被験者は[編集済]。
SCP-XXX-JP-Aに五分以上滞在した場合SCP-XXX-JP-Bと呼ばれる存在が出現します。
SCP-XXX-JP-Bは非常に多種多様な哺乳類の内臓器官や部位の総称で、大きさは約30mです。SCP-XXX-JP-Bが何故、生命活動を必要とせず、また心臓や臓器が無いにも関わらず生存することができるのか現在調査中です。調査は一時中止です。
SCP-XXX-JPにより消失した人物、または哺乳類を回収する方法は確立されておらず、現在Dクラス職員のみSCP-XXX-JP-Aに立ち入る事を許可されます。現在立ち入りは禁止されています。
SCP-XXX-JP-Aでは撮影機器やGPSは機能せず、音声機器のみ機能することが確認されています。
転移先での環境調査の為、音声記録01ではDクラス職員一名、音声記録02では一般的なイエネコ一匹とDクラス職員一名をそれぞれSCP-XXX-JP-Aに送り込みました。
付記: 実験を観察する研究員との無線通信用にD-46782には無線機を与えました。当通信はD-46782が消失後まもなく開始されました。
<録音開始, (20██/7/██)>
██博士: 聞こえますか?
D-46782: 聞こえてるよ。
██博士: あなたは今、どこにいますか?
D-46782: よく分かんないけど、大きな空間だよ。天気がよくて気持ちいいね。この足場でキャンプをしたい気分だよ。
██博士: 足場?あなたが今立っている場所について説明してください。
D-46782: 説明って言ったって...うーん。俺が今立ってるとこは...約4メートル四方の地面でそれ以外何もないよ。
██博士: 何もない?足場の向こうには何がありますか?
D-46782: えー...と、なんだコリャ!!
██博士: どうしましたか?
D-46782: 今、下を覗き込んだんだけどなんにもないんだ!
██博士: 詳しく説明してください。D-46782: 俺はてっきりこの足場は大きな岩か塔の上かと思ってたんだ!でもこの足場はただ宙に浮いてやがる!下には大地も何もない!!
██博士: そうですか...どうか落ち着いてください。では下の様子を説明してください。
D-46782: ああ...下は...えーと、なんか薄紅色のガスっぽい雲が浮いてるな...それと気味の悪い猫と...ばらばらのクジラが泳いでるよ...でも不思議と怖くないな。なんだかおかしな感覚だよ。
██博士: なるほど、あなたの感じている感覚を詳しく説明してください。
D-46782: なんていうか...この空間にいると、とても安心するんだ。まるで母さんに抱擁されているかのようだ。(このあたりで被験者の様子が変化する)
██博士: そうですか、下の雲に何か変化などはありませんか?
D-46782: まるで俺を誘っているようだ......行かなければならない気がする...。
██博士: どういうことですか?行くというのはどこへ?
D-46782: 分からない...でも、行かなきゃ......。
██博士: 待ちなさい!まだ調査は終わっていない!
D-46782: いいや、行かなければ。ああ!母なる[編集済]よ!
(この後数分に渡り落下する音と何かの鼓動の様な音が記録された)
<録音終了,(20██/7/██)>
付記: 実験生物は一般的なイエネコです。(以下、SCP-XXX-JP-A-1と記載)
また実験を観察する職員との無線通信用にD-1には無線機を与えました。当通信はD-1、SCP-XXX-JP-A-1が消失後まもなく開始されました。
<録音開始,(20██/7/██)>██博士: 無線機の調子はどうですか?
D-1: とても良いよ。...えっと、俺はここで何をすればいいのかな?
██博士: あなたの仕事はそこにいるSCP-XXX-JP-A-1を観察する事です。SCP-XXX-JP-A-1はどのような様子ですか?
D-1: ええと、知らない場所だからかとても辺りを警戒しているよ。
██博士: そうですか、引き続き観察をしてください。
D-1: 了解。そういや、SCP-XXX-JP-Bって言われてる生き物が出るって説明されたんだけど...それらしきモノは見えないな。
██博士: SCP-XXX-JP-Bは時間経過により出現します。...もうそろそろ出現する頃合だと思いますが。SCP-XXX-JP-A-1に何か変化はありますか?
D-1: さっきよりかは動いてるよ、やたら鳴くのが気になるけど。
██博士: そうですか、...どのような鳴き方ですか?こちらからでは声は聞こえません。
D-1: なんていうか、不安がってとかじゃない感じだよ。母猫に甘える時みたいだ。...ん?そっちでネコが鳴いたかい?
██博士: いえ、こちらにはネコはいませんが。どうかしましたか?
D-1: いや...こっちにいるネコとは違うネコが鳴いたみたいなんだ。下から聞こえた気がするな...うわっ!バカデカイ猫が鳴いてやがる!
██博士: SCP-XXX-JP-A-1の様子はどうですか?何か変化した点はありますか?
D-1: ええ?...えーと、ああ!飛び降りるな!(D-1がSCP-XXX-JP-A-1を抱き抱える)おい!暴れるな!あっ!コラ!...飛び降りちまった。
██博士: 下の様子を確認してください。まだSCP-XXX-JP-A-1はまだ落下中のはずです。
D-1: え?...ああ、わ...分かった。......(D-1が下を覗き込む。)ああ、今ちょうど猫がデカイ猫付近の雲に落ちるとこだ...。
██博士: SCP-XXX-JP-Bの様子はどうですか?
D-1: 雲に隠れちまった...ああ、ちくしょう!!
██博士: どうしましたか?
D-1: あの猫が跳ぶ瞬間の表情を見たか?あの猫まるで目の前に母親がいるみたいに安心しきった顔してたんだよ!ああ、クソ!あんな気味悪い化物がいるっていうのに、俺はあの猫が羨ましくて仕方ない!
██博士: 落ち着いて下さい。今あなたが感じている衝動について詳しく説明して下さい。
D-1: あんたは母親の腕に抱かれている時に不安や恐怖を感じるか?まるで子供の時に...いやもっと前に戻ったかの様だ!ああ、母さんに会いたい!早く、早く行かなければ![編集済]![編集済]よ!
(この後数分に渡り落下する音と何かの鼓動の様な音が記録された)
██博士: うーむ、コイツもか...。<録音終了,(20██/7/██)>
終了報告書: SCP-XXX-JP-Bは侵入した哺乳類に対しその種族に対応した鳴き声などで誘惑するようです。しかし、人間に対しては鳴き声などの誘惑はなくSCP-XXX-JP-Aによる精神的な作用だけだと確認されています。恐らく、人間には声帯や声の抑揚などの特徴が多々ある為、SCP-XXX-JP-Bがそれを模倣する事が出来ない為だと推測されています。被験者は皆同様に母体を想起し、下方の雲海に母体を夢想します。そして、強烈な衝動を引き起こし大抵の場合[編集済]という結果を招きます。
SCP-XXX-JP-Aに存在する雲海の調査及びSCP-XXX-JP-Bの血液検査の為、Dクラス職員を二名SCP-XXX-JP-Aに送り込みました。以下実験記録参照
実験記録XXX - (20██/7/██)
対象:SCP-XXX-JP-Aの雲海及びSCP-XXX-JP-B(一般的なイエネコに見える、以下SCP-JP-XXX-B-1と記載)
実施方法:SCP-XXX-JP-AにPH試験紙を使用し、SCP-XX-JP-B-1には注射器を使用し血液を採取する。
結果:PH試験紙はPH7.0〜8.5を示した。SCP-XXX-JP-B-1はイエネコと比較しても特異な点はみられなかった。
分析:雲もSCP-XXX-JP-B-1もデータ上では我々の知るものと寸部違わなかった。この雲が人体に与える影響は少ないと確認されたが、SCP-XXX-JP-Aを全て理解した訳ではない。次回の実験ではSCP-XXX-JP-Aの雲海下に焦点を当てよう。
空間把握及びSCP-XXX-JP-Aの深淵への到達のため、Dクラス職員一名をSCP-XXX-JP-Aに送り込みました。
雲海の下にこの空間の本質がある、と我々は考えています。今回の実験でSCP-XXX-JP-Aについての理解は大幅に進歩するでしょう。-██博士
付記: 実験を観察する研究員との無線通信用にD-1には無線機と雲海下への降下用にパラシュート、また探査用にヘッドライトを与えました。当通信はD-1が消失後まもなく開始されました。またD-1は比較的、精神的抵抗が強いとの報告がありました。
<録音開始, (20██/8/██) >
██博士: 聞こえますか?
D-1: ああ、聞こえるぜ。██博士: そうですか、では雲海の状態について説明してください。
D-1: うーん、まぁ実験前に聞かされた通り雲と気持ち悪いイヌとブタしかねえけど。
██博士: わかりました。それでは降下を開始してください。D-1: その前に聞きてぇんだけどさ。この空間からホントに出れるんだよな?
██博士:ええ、ご安心ください。今までの実験でその空間に取り残された人物はございませんので。
D-1: そうかい、なら安心だな。よし、降りるぜ。(パラシュートの開く音)
██博士: 周りの様子はいかがですか?
D-1: んー、いや。上から見た感じとあんま変わんないなぁ。おっ、そろそろ雲に到達するぜ。気持ちの悪い雲だなぁ、触れた部分がゾワゾワするぜ。(この後数分間ノイズが発生する) よし、雲を抜けたぞ。...おいおい、なんだここは。
██博士: 何が見えているのですか?説明してください。D-1: 何が見えるって、何も見えねぇよ。真っ暗だよ。
██博士: なるほど、あなたに渡したヘッドライトで周りを照らして見てください。
D-1: 分かった。...よし、うーん、ヘッドライトでも全く見えない。底が無いのか?
██博士: 分かりました。また、暫く降下を続けてください。
D-1: 分かったよ。しかし本当になんにも見えないな...。
██博士: 視覚以外に何か情報を得ることは出来ますか?
D-1: 視覚以外かぁ、あんたの声以外聞こえる音は無いな。...いや、なんか聞こえるな。██博士: なるほど、その音について詳しく説明出来ますか?
D-1: ...なんていうか、鼓動みたいだ。どんどん大きくなってきてる。音の大きさに比例して周りも明るくなってきてる、なんか近づいてきてるみたいだ。
██博士: 近づいてる?周りになにか物体は見えませんか?
D-1: ああ...今見えた。気持ちわりぃ...馬鹿でかい毛虫みたいだ。いや...違うな。あれはまるで手足の無いにん...(轟音の後通信終了)
██博士: おい!応答しろ!どうした!
<録音終了, (20██/8/██)>
終了報告書:
雲海下には我々の理解が及ばない世界があると今回の実験で判明した。しかし、これ以上無闇にDクラス職員を消費する事はできない。よって実験は有効な調査方法が確率するまで一時休止とする。-██博士
このオブジェクトには不可解な点が多く存在します。何故転移する生物が哺乳類限定なのか、何故多くの被験者に母親を想起させるのか、そして雲海下の世界には何が存在するのか、ということです。この空間がどのような意味を孕んでいるのか分かりませんが、調査を進めることによって、我々哺乳類にとって重大な発見があると考えられます。-██博士
考え中