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税(ぜい)の歴史(れきし)

税(ぜい)は歴史(れきし)の中(なか)で、そのかたちを何度(なんど)も変(か)えてきました。
それは社会(しゃかい)の変化(へんか)によって、求(もと)められる税(ぜい)のあり方(かた)も変(か)わったからです。
歴史(れきし)をさかのぼってみてみましょう。

飛鳥時代(あすかじだい)

飛鳥時代(あすかじだい)に行(おこな)われた大化(たいか)の改新(かいしん)(645年(ねん))では、公地公民(こうちこうみん)(土地(とち)や人民(じんみん)を国家(こっか)のものとすること)など、新(あたら)しい政治(せいじ)の方針(ほうしん)が示(しめ)されました。
701年(ねん)に完成(かんせい)した大宝律令(たいほうりつりょう)では、租(そ)・庸(よう)・調(ちょう)という税(ぜい)や労役(ろうえき)をかける税(ぜい)のしくみができました。

【豆知識(まめちしき)1】租(そ)・庸(よう)・調(ちょう)とは?

租(そ)は男女(だんじょ)の農民(のうみん)に課税(かぜい)され、税率(ぜいりつ)は収穫(しゅうかく)の約(やく)3%でした。庸(よう)は都(みやこ)での労働(ろうどう)(年間(ねんかん)10日間(かかん))、又(また)は布(ぬの)を納(おさ)める税(ぜい)、調(ちょう)は布(ぬの)や絹(きぬ)などの諸国(しょこく)の特産物(とくさんぶつ)を納(おさ)める税(ぜい)だったようです。
ちなみに庸(よう)と調(ちょう)は男子(だんし)のみに課税(かぜい)され、農民(のうみん)の手(て)で都(みやこ)に運(はこ)ばれたそうです。

奈良(なら)・平安(へいあん)・鎌倉(かまくら)・室町時代(むろまちじだい)

奈良時代(ならじだい)には、墾田永年私財法(こんでんえいねんしざいほう)(743年(ねん))が制定(せいてい)され、土地(とち)の私有化(しゆうか)へと展開(てんかい)していきました。
また、平安時代(へいあんじだい)には大(おお)きな寺社(じしゃ)や貴族(きぞく)の荘園(しょうえん)が各地(かくち)にでき、農民(のうみん)は荘園領主(しょうえんりょうしゅ)(土地(とち)を所有(しょゆう)する地方(ちほう)の豪族(ごうぞく))に年貢(ねんぐ)や公事(くじ)(糸(いと)・布(ぬの)・炭(すみ)・野菜(やさい)などの手工業(しゅこうぎょう)製品(せいひん)や採取物(さいしゅぶつ))、夫役(ぶやく)(労働(ろうどう)で納(おさ)める税(ぜい))などを納(おさ)めました。

鎌倉時代(かまくらじだい)は守護(しゅご)、地頭(じとう)や荘園(しょうえん)領主(りょうしゅ)のもとで経済(けいざい)が発達(はったつ)しますが、農民(のうみん)には年貢(ねんぐ)のほかに公事(くじ)と夫役(ぶやく)が課(か)せられていました。
室町時代(むろまちじだい)には、税(ぜい)の中心(ちゅうしん)は年貢(ねんぐ)でしたが、商業活動(しょうぎょうかつどう)の発達(はったつ)により商工業者(しょうこうぎょうしゃ)に対(たい)しても税(ぜい)が課(か)せられ、街道(かいどう)に設(もう)けられた関所(せきしょ)では、関銭(せきせん)(通行税(つうこうぜい))などが税(ぜい)として課(か)せられました。

安土(あづち)桃山(ももやま)・江戸時代(えどじだい)

全国統一(ぜんこくとういつ)を行(おこな)った豊臣秀吉(とよとみひでよし)は、土地(とち)を調査(ちょうさ)して太閤検地(たいこうけんち)を行(おこな)い、農地(のうち)の面積(めんせき)だけでなく、農地(のうち)の収穫高(しゅうかくだか)などを調(しら)べて年貢(ねんぐ)を納(おさ)めさせるようにしました。
当時(とうじ)の税率(ぜいりつ)は、二公一民(にこういちみん)といい、収穫(しゅうかく)の三分(さんぶん)の二(に)を年貢(ねんぐ)として納(おさ)めるという厳(きび)しいものでした。

江戸時代(えどじだい)には、田畑(たはた)に課税(かぜい)される年貢(ねんぐ)の地租(ちそ)が中心(ちゅうしん)で米(こめ)などを納(おさ)めたそうです。
また、商工業者(しょうこうぎょうしゃ)に対(たい)する税(ぜい)も、運上金(うんじょうきん)・冥加金(みょうがきん)(株仲間(かぶなかま)と呼(よ)ばれる同業者(どうぎょうしゃ)に商売(しょうばい)の特権(とっけん)を認(みと)めるかわりに納(おさ)める税(ぜい))といったかたちで納(おさ)められました。

明治時代(めいじじだい)

明治政府(めいじせいふ)は歳入(さいにゅう)の安定(あんてい)を図(はか)るため、1873年(ねん)に地租改正(ちそかいせい)を実施(じっし)しました。
地租改正(ちそかいせい)では土地(とち)の地価(ちか)の3%を地租(ちそ)として貨幣(かへい)で納(おさ)めさせたそうです。
また所得税(しょとくぜい)や法人税(ほうじんぜい)が導入(どうにゅう)されたのもこの頃(ごろ)です。
ちなみに所得税(しょとくぜい)は、所得金額(しょとくきんがく)300円(えん)以上(いじょう)の所得者(しょとくしゃ)に課税(かぜい)されるものでした。

大正(たいしょう)・昭和時代(しょうわじだい)

大正時代(たいしょうじだい)から昭和初期(しょうわしょき)にかけては、戦費調達(せんぴちょうたつ)のため、増税(ぞうぜい)が続(つづ)きました。一方(いっぽう)で、現在(げんざい)ある税(ぜい)のしくみができ始(はじ)めたのもこの頃(ころ)です。
1940年(ねん)に源泉徴収制度(げんせんちょうしゅうせいど)が採用(さいよう)されました。
1946年(ねん)には日本国憲法(にほんこくけんぽう)が公布(こうふ)され、教育(きょういく)、勤労(きんろう)にならぶ三大義務(さんだいぎむ)の一(ひと)つとして「納税(のうぜい)の義務(ぎむ)」が定(さだ)められました。
また翌年(よくとし)には、納税者(のうぜいしゃ)が自主的(じしゅてき)に自分(じぶん)の所得(しょとく)や税額(ぜいがく)を計算(けいさん)して申告(しんこく)・納税(のうぜい)する申告(しんこく)納税(のうぜい)制度(せいど)が導入(どうにゅう)され、1950年(ねん)にはシャウプ勧告(かんこく)に基(もと)づき税制改革(ぜいせいかいかく)が行(おこな)われました。この勧告(かんこく)の考(かんが)え方(かた)は、今日(こんにち)においても税制度(ぜいせいど)の基盤(きばん)であるといわれています。

【豆知識(まめちしき)2】シャウプ勧告(かんこく)とは?

戦後(せんご)混乱(こんらん)した日本(にほん)の経済事情(けいざいじじょう)の下(もと)で、どのような税制(ぜいせい)をたてるべきかということについて、来日(らいにち)した、アメリカのコロンビア大学(だいがく)教授(きょうじゅ)シャウプ博士(はかせ)の使節団(しせつだん)が調査(ちょうさ)を行(おこな)い提出(ていしゅつ)した勧告(かんこく)のことです。この勧告(かんこく)には、直接税中心(ちょくせつぜいちゅうしん)の税制(ぜいせい)にすることや、地方財政(ちほうざいせい)の強化(きょうか)などが盛(も)り込(こ)まれました。

平成時代(へいせいじだい)

1989年(ねん)(平成(へいせい)元年(がんねん))に、商品(しょうひん)の販売(はんばい)やサービスの提供(ていきょう)に対(たい)して3%の税金(ぜいきん)を納(おさ)める消費税(しょうひぜい)の導入(どうにゅう)や所得税(しょとくぜい)の減税(げんぜい)などを含(ふく)む大幅(おおはば)な税制(ぜいせい)の改革(かいかく)が行(おこな)われました。さらに消費税(しょうひぜい)は1997年(ねん)(平成(へいせい)9年(ねん))から5%の税率(ぜいりつ)(地方(ちほう)消費税(しょうひぜい)1%を含(ふく)む)に、2014年(ねん)(平成(へいせい)26年(ねん))から8%の税率(ぜいりつ)(地方(ちほう)消費税(しょうひぜい)1.7%を含(ふく)む)、2019年(ねん)(令和元年(れいわがんねん))から10%(地方消費税(ちほうしょうひぜい)2.2%を含(ふく)む)に変(か)わりました。
このように、経済社会(けいざいしゃかい)の変化(へんか)にともない税(ぜい)の制度(せいど)は変(か)わってきました。これからも、豊(ゆた)かで安定(あんてい)した社会(しゃかい)を築(きず)くために、税(ぜい)のしくみは変(か)わっていくことでしょう。