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死刑執行された冤罪・飯塚事件

久間三千年さんの無罪を求める

死刑執行された冤罪・飯塚事件

有罪の柱になった鑑定の誤りを指摘し、再審決定を求める。

著者 飯塚事件弁護団
ジャンル 法律 > 刑事法 > ブックレット
シリーズ GENJINブックレット
出版年月日 2017年11月20日
ISBN 9784877986858
判型・ページ数 A5・88ページ
定価 本体1,200円+税
在庫 オンデマンド制作

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鑑定の誤りが明らかになった足利事件は再審無罪となったが、無実を訴えていた久間三千年さんは死刑執行された。本書は、有罪の柱になった1血液鑑定、2DNA鑑定、3目撃証言、4繊維鑑定について、その誤りを指摘し、一日も早い再審決定を求める。

【飯塚事件】1992年、福岡県飯塚市で小学生の女児2人が登校途中に行方不明となり、山中でふたりの遺体が発見された。1994年、警察は、科警研の足利事件と同じ手法のMCT118によるDNA鑑定が一致したとして、女児と同じ校区に住んでいた久間三千年さんを逮捕。久間さんは一貫して無罪を主張していたが、福岡地裁は1999年、DNA鑑定に加えて情況証拠を積み上げて死刑を言い渡した。その後、最高裁で死刑が確定した。
2008年10月、足利事件のDNA再鑑定が行われる目処がついた数週間後、久間さんの死刑が執行された。2009年、久間さんの妻が再審を請求したが、2014年に福岡地裁で棄却された。その即時抗告審で、弁護団は、再審棄却決定の柱であった1血液鑑定、2DNA鑑定、3目撃証言について、あらたな検証実験の成果を踏まえて、その誤りを立証した。


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死刑執行された冤罪・飯塚事件(ペーパーバック)


------は じ め に------

飯塚事件について、無実を訴えていた久間三千年さん死刑が執行されてから9年が経過した。

死刑判決確定から2年後、再審請求準備中に突如として強行された死刑(2008年)は、遺族にとってはもとより、私たち弁護団にとっても耐え難い苦痛であり、何よりも私たちに悔悟と自責とを迫るものであった。あの時、私たちがもっと早く再審請求書を提出していれば、死刑執行はなかったのではないか、その意味で、私たちの怠慢が死刑執行を許したのではないか、そうした思いから、私は、この9年間を針のむしろに据えられているとの思いを抱きながら、再審に取組んできた。

本書は、こうした思いで私たち弁護団が取組んできた飯塚事件再審開始に向けての活動の集大成として、飯塚事件の問題点を明らかにしたものである。

飯塚事件は、死刑執行された再審事件としては、現在係属している唯一の事件である。それだけに、再審開始となり、久間さんの無実が明らかになるということは、国が無辜の国民のいのちを奪ったということになる訳で、死刑制度そのものの存在意義が問われることになることは必至である。

また、本書をご一読いただければ、この事件の有罪判決の柱とされた科警研のDNA鑑定や血液型鑑定が鑑定写真に加工する等の工作がなされたり、極めて非科学的な方法でなされているということや、目撃証言が警察官の誘導によって作られたものであること等が手に取るようにご理解いただけるのではないかと思う。

その意味で、飯塚事件はいわゆる冤罪事件の典型的な特徴を備えた事件であり、その再審無罪を勝ちとることは、日本の刑事司法のあり方に大きな一石を投じるものと信じている。

2017年10月

飯塚事件弁護団共同代表 德田靖之

はじめに

プロローグ 飯塚事件のあらまし

第1章 飯塚事件・再審請求審の特徴と求められる審理のあり方
飯塚事件では、死刑が執行された後に再審を求めている。死刑判決の証拠構造の中核が、犯人のDNA、血液型に関する科警研鑑定と目撃証言だった。再審請求審では、この2つの情況証拠に証拠としての価値が全くないことを論証した。

第2章 DNA鑑定 4つの鑑定データを精査する
確定審では、捜査段階で実施された科警研と石山教授による4つDNA鑑定の証明力が問題となった。再審請求審(原審)は、確定審が苦しまぎれに有罪の根拠としたDNA鑑定を証拠から排除した。しかし、この鑑定データからは明らかに真犯人のDNA型を読み取ることができる。

第3章 血液型鑑定 真犯人の血液型は何か
警察は、被害者らの膣内などから採取された血痕の血液型がB型であるとする鑑定結果によって、それが久間さんの血液型と一致したことを根拠の1つに、犯人だと断定した。裁判所もそれを有罪認定の柱とした。しかし、その鑑定手法と判断は本当に正しいのか。

第4章 目撃証言その1 警察官に誘導された供述
久間さんを犯人とする有罪認定の柱は、被害者の遺留品発見現場付近で目撃した車両の特徴が、久間さんのワゴン車と一致しているとの供述(T員面調書)である。しかし、この目撃証言が取られた経緯を見ていくと、信用性が全くないことが浮き彫りになる。

第5章 目撃証言その2 科学的に不可解なカーブの目撃
車両の特徴についての目撃証言(T供述)には、他にも不可解な点が多い。山道の下り左カーブを運転中に目撃したとするが、果たして、そんなことができるのだろうか。厳島行雄教授(心理学)らが新たに行った視線実験の結果から、その不可能性を立証する。

第6章 繊維・染料鑑定 情状証拠としての価値はない
犯行車両の特定にあたって、被害者の着衣に付着していた繊維片の鑑定で、その原糸、染料、配合比などから、マツダステーションワゴン・ウエストコーストの座席シートに使用されている繊維片である可能性が高いとされた。しかし、繊維・染料鑑定は、そのような判断の根拠となりえない。

飯塚事件の経過一覧
コラム/足利事件とは

くろまる久間三千年さんの妻からのメッセージ
必ず無実の人間に手を差し伸べてくれる裁判官に出会えると、心から信じています。

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