詳説 ビジネスと人権[第2版]
権利者側や企業側などさまざまな立場で実務を扱ってきた弁護士たちが包括的な情報と実務的な指針を提供する
| 著者 | 日本弁護士連合会国際人権問題委員会 編 |
|---|---|
| ジャンル | 法律 法律 > 国際法 |
| 出版年月日 | 2025年07月30日 |
| ISBN | 9784877988913 |
| 判型・ページ数 | 420ページ |
| 定価 | 本体5,500円+税 |
| 在庫 | 在庫あり |
「ビジネスの利益が人々や地球を犠牲にしない」──このシンプルかつ力強い前提は、なぜ今、喫緊の課題なのか? 2011年に登場した「ビジネスと人権に関する指導原則」は、この15年で国際社会に広く定着し、グローバル企業のサプライチェーンでは人権デュー・ディリジェンスや苦情申立て窓口の設置が進んだ。しかし、2020年以降の国際社会は新たな危機に直面し、不確実性が増大している。
本書は、こうした危機の中で、環境保護・社会的価値・良き統治(ESG)を目標とするビジネスがいかに可能かを問う。国連で議論が活発化する「レジリエンス」という概念を取り入れ、ビジネス活動が社会のレジリエンス構築に大きく貢献できることを明らかにしている。
初版以降の国内外の進展や事例を盛り込み、武力紛争に関する国際人道法、気候変動、中小企業の取組みといった今日不可欠な課題も網羅。さらに、2025年から本格化するビジネスと人権に関する国際条約の起草作業や、エクアドルで起きた日系企業の事件など、最前線の動きにも言及。
企業、政府、権利者、そして広く市民社会にとって必携の書となるだろう。
[フレーム]
◯国際人権発展の歴史
◯国際人権条約概論
◯新しいテーマ
Column 「権理」?「権利」?
Column 先住民族の権利とFPIC
Column 現代奴隷と日本
Column 児童労働の増加(2020年)
Column 国連の情報の活用
Column 指導原則の条約化の議論
Column 気候変動に関する訴訟
第2章 ビジネスと人権に関する指導原則
◯策定背景
◯SDGs、ESG、指導原則の関係
Column ナイキ社の事例を題材にした検討
Column 苦情処理メカニズムの本質
Column 目指すべき苦情処理メカニズムの在り方
Column 指導原則の次の10年に向けて
Column 企業の環境と人権に対する取組み姿勢
Column ESG重視の潮流
第3章 第一の柱――国家の義務
◯国別行動計画(NAP: National Action Plan)とは何か
◯NAPの策定・実施プロセス
◯日本におけるNAP策定プロセスの状況
◯NAPの概要および意義・課題
◯NAP策定プロセスへの日本弁護士連合会の取組み
◯NAP策定プロセスにおけるステークホルダーの関与
◯日本におけるNAP実施プロセスの状況
◯NAP3年目意見交換とNAP改定に向けて
◯海外法令等の紹介
Column 大規模イベントと人権
第4章 第二の柱――企業の責任
◯人権デュー・ディリジェンス
◯マルチ・ステークホルダー・イニシアチブ
◯企業にとってのESG情報の開示と活用
◯中小企業における取組み
Column ビジネスと人権に関する経済産業省の動き
Column 紛争と「ビジネスと人権」
Column ミャンマーにおけるクーデターと指導原則
Column ネスレ訴訟
Column 災害と「ビジネスと人権」
第5章 第三の柱――救済へのアクセス1 (司法的救済)
◯総論
◯指導原則における効果的な救済の内容について
◯指導原則採択後の国連での動き
◯米国における企業責任の追及
◯EUおよび英国における企業責任の追及
◯指導原則に基づく3社の対応の評価
◯刑事責任
◯気候変動訴訟と国際人権
◯日本における司法的救済制度の問題点
第6章 第三の柱――救済へのアクセス2(非司法的救済)
◯総論
◯国家による非司法的苦情処理の仕組み(Grievance Mechanisms)
◯非国家主体による苦情処理の仕組み(Grievance Mechanisms)
第7章 日本の事例紹介
◯「ビジネスと人権」概念登場以前の状況
◯「ビジネスと人権」に基づく取組み
第8章 ケーススタディ
◯主にサプライチェーンにおける人権が問題になるケース
◯主にサプライチェーン以外における人権が問題になるケース
◯気候変動が問題になるケース
◯紛争地域と天然資源開発が問題になるケース