55の再審裁判事例から誤判の原因を探る
有罪率99.9%に潜む冤罪の危険
[フレーム]
日弁連が支援した再審請求事件一覧
第一章 誤判の原因は事実認定の誤り
第二章 刑事訴訟手続が備えている誤判防護措置
第三章 再審裁判の趨勢と55再審裁判事例の検討
1 再審開始決定(再審無罪)事例の検討
2 再審請求が認められなかった事例
3 再審裁判係属中の事例
第四章 再審裁判事例から学ぶべきこと
1 自白をめぐる問題
2 全ての誤判の端緒は捜査にある
3 引き込み供述をめぐる問題
4 第三者の供述をめぐる問題
5 鑑定に対する過度な信頼の危険
6 情況証拠をめぐる問題
7 冤罪を無くすために
●くろまる55の事例事件
・昭和巌窟王事件
・加藤事件第六次再審事件
・金森老事件第六次再審事件
・横浜事件第四次再審事件
・ロシア人銃刀法違反事件
・窃盗事件
・弘前大教授夫人殺人事件
・松山事件
・強盗等事件
・窃盗事件
・滝事件
・業務上過失致傷等事件
・業務上過失致死傷事件
・殺人未遂事件
・道交法違反事件
・暴力行為等処罰に関する法律違反事件
・特別背任等事件
・少女強姦致傷等事件
・米谷事件
・強姦致傷等事件
・諏訪放火事件
・免田事件第六次再審事件
・缶ビール詐取事件
・梅田事件
・榎井村事件
・覚せい剤密輸事件第三次再審事件
・国税徴収法違反事件
・松尾事件第十三次再審事件
・布川事件
・足利事件
・東住吉事件
・東電女性社員殺人事件
・湖東記念病院人工呼吸器事件
・財田川事件
・島田事件
・貝塚事件
・松橋事件
・名張毒ぶどう酒事件第七次再審事件
・白鳥事件
・江津事件
・日産サニー事件
・福井女子中学生殺人事件
・狭山事件第二次再審事件
・鶴見事件
・マルヨ無線事件
・小石川事件
・姫路郵便局事件
・恵庭事件第二次再審事件
・日野町事件
・大崎事件第三次再審事件
・難波ビデオ店放火・殺人等事件
・豊川事件
・三鷹事件
・袴田事件第二次再審事件
日弁連が支援した再審請求事件一覧
第一章 誤判の原因は事実認定の誤り
一 真実発見と基本的人権擁護の調整
二 実体的真実主義の意義
三 無辜の不処罰
第二章 刑事訴訟手続が備えている誤判防護措置
はじめに
一 第一の誤判防護措置としての黙秘権保障
1 黙秘権の意義と重要性
2 黙秘権侵害による虚偽自白捏造の事例
3 黙秘権の保障と取調べ応諾義務は対立する概念
4 黙秘権の保障の担保としての取調べの可視化
二 捜査段階における誤判防護措置
1 糾問的捜査構造
2 第二の誤判防護措置としての令状主義の原則
(1) 身柄拘束に関する令状主義
(2) 証拠物の収集手続に関する令状主義
(3) 令状主義の原則の形骸化
3 第三の誤判防護措置としての検察官の権限と責任
三 裁判制度における誤判防護措置の概要
1 第四の誤判防護措置としての無罪推定と予断排除の原則
2 第五の誤判防護措置としての当事者主義の原則
(1) 検察官の主張・立証責任
(2) 訴因の特定・明示の義務と訴因変更制度
3 第六の誤判防護措置としての証拠開示の制度
(1) 証拠開示の重要性
(2) 改正後の証拠開示制度の不完全性
4 第七の誤判防護措置としての証拠制限
(1) 厳格な証明と自由な証明
(2) 任意の供述のみが証拠にできる
(3) 伝聞証拠排除の原則
5 第八の誤判防護措置としての自由心証主義に対する制約
(1) 自由心証主義に内在する危険
(2) 自由心証主義に対する制度的制約
(3) 判決で有罪理由を明示する義務
四 裁判の審級制度・再審制度
1 第九の誤判防護措置としての審級制度
(1) 三審制度の意義
(2) 控訴審の現状
2 第十の誤判防護措置としての再審制度
(1) 再審制度の意義
(2) 証拠の新規制と明白性の意味
五 第十一の誤判防護措置としての弁護人の役割
1 弁護人選任権の保障
2 弁護人の接見交通権とその制限
六 誤判防護措置についてのまとめ
第三章 再審裁判の趨勢と55再審裁判事例の検討
はじめに
第一 再審開始決定(再審無罪)事例の検討
一 戦前の事件
【1】昭和巌窟王事件
(1) 事案の概要
(2) 再審申立の経緯
(3) コメント
【2】加藤事件第六次再審事件
(1) 確定判決
(2) 原審の経過
(3) 再審申立の経緯
(4) 再審開始決定の要旨
(5) コメント
【3】金森老事件第六次再審事件
(1) 事案の概要
(2) 確定判決
(3) 再審申立の経緯
(4) 再審無罪判決の要旨
(5) コメント
【4】横浜事件第四次再審事件
(1) 事案の概要
(2) 確定判決
(3) 敗戦後の処理
(4) 被告人甲の死亡と相続人による再審請求
(5) 再審開始決定の要旨
(6) コメント
二 明らかに捜査に原因がある事例
1 捜査機関が意図的にでっち上げた事例
【5】徳島ラジオ商殺し事件
(1) 事案の概要
(2) 確定判決
(3) 再審申立の経緯
(4) 再審無罪判決の要旨
(5) 実況見分調書の改ざん
(6) 再審無罪までの家族の苦闘
(7) コメント
【6】ロシア人銃刀法違反事件
(1) 事案の概要
(2) 再審開始決定の要旨
(3) コメント
【7】窃盗事件
(1) 事案の概要
(2) 再審開始決定の要旨
(3) コメント
【8】弘前大教授夫人殺人事件
(1) 事案の概要
(2) 逆転有罪判決
(3) 真犯人の出現と再審申立
(4) 再審無罪判決の要旨
(5) コメント
【9】 松山事件
(1) 事案の概要
(2) 確定判決
(3) 再審申立の経緯
(4) 再審無罪判決の要旨
(5) コメント
2 捜査機関の過失に原因がある事例
【10】強盗等事件
(1) 事案の概要
(2) 一部の罪のみが無罪でも併合罪全てが再審の対象
(3) コメント
【11】窃盗事件
(1) 事案の概要
【12】滝事件
(1) 事案の概要
(2) 【11】、【12】事件のコメント
【13】業務上過失致傷等事件
(1) 事案の概要
(2) 再審控訴審の判決の要旨
(3) コメント
【14】業務上過失致死傷事件
(1) 事案の概要
(2) コメント
【15】殺人未遂事件
(1) 確定判決
(2) 名古屋地裁の無罪の要旨
(3) 逆転有罪とした名古屋高裁の理由と再審申立の経緯
(4) 再審開始決定の要旨
(5) コメント
【16】道交法違反事件
(1) 事案の概要
(2) コメント
【17】暴力行為等処罰に関する法律違反事件
(1) 確定判決
(2) 名前を騙られた経緯
(3) 検察官による再審申立
(4) コメント
【18】特別背任等事件
(1) 事案の概要
(2) 再審開始決定の要旨
(3) コメント
【19】少女強姦致傷等事件
(1) 確定判決
(2) 再審申立の経緯
(3) 再審開始決定の要旨
(4) コメント
【20】米谷事件
(1) 事案の概要
(2) 確定判決
(3) 再審申立の経緯
(4) 再審無罪判決の要旨
(5) コメント
【21】強姦致傷等事件
(1) 事案の概要
(2) 確定判決
(3) 再審申立の経緯
(4) 再審開始決定の要旨
(5) コメント
三 アリバイが認められた事例
【22】諏訪放火事件
(1) 確定判決と再審申立
(2) 再審無罪判決の要旨
(3) コメント
【23】免田事件第六次再審事件
(1) 確定判決
(2) 捜査の経緯
(3) 再審開始決定に至る経緯
(4) 再審無罪判決の要旨
(5) コメント
【24】缶ビール詐取事件
(1) 事案の概要
(2) 確定判決
(3) 真犯人を捕まえて警察に突き出し再審申立
(4) コメント
四 引き込み供述で被告人にされた事例
【25】梅田事件
(1) 事案の概要
(2) 確定判決
(3) 再審申立の経緯
(4) 再審無罪判決の要旨
(5) コメント
【26】榎井村事件
(1) 事案の概要
(2) 確定判決
(3) 再審申立の経緯
(4) 高松高裁の再審無罪判決の要旨
(5) 再審無罪判決の判断
(6) コメント
【27】覚せい剤密輸事件第三次再審事件
(1) 事案の概要
(2) 確定判決
(3) 再審申立の経緯
(4) 再審無罪判決の要旨
(5) コメント
【28】国税徴収法違反事件
(1) 確定判決
(2) 再審開始決定の要旨
(3) コメント
五 目撃証言の信用性が重要な争点となった事例
【29】松尾事件第十三次再審事件
(1) 事案の概要
(2) 確定判決
(3) 再審申立の経緯
(4) 再審無罪判決の要旨
(5) コメント
【30】布川事件
(1) 事案の概要
(2) 確定判決
(3) 再審申立の経緯
(4) 再審無罪判決の要旨
(5) コメント
六 鑑定の信用性が主要争点となった事例
【31】足利事件
(1) 事案の概要
(2) 確定判決
(3) 再審申立の経緯
(4) 再審無罪判決の要旨
(5) コメント
【32】東住吉事件
(1) 事案の概要
(2) 確定判決
(3) 再審申立の経緯
(4) 再審無罪判決の要旨
(5) コメント
【33】東電女性社員殺人事件
(1) 事案の概要
(2) 確定判決
(3) 原一審無罪判決と原控訴審逆転有罪判決の比較
(4) 再審申立の経緯
(5) 再審開始決定の要旨
(6) 無罪被告の身柄拘束について
(7) コメント
【34】湖東記念病院人工呼吸器事件
(1) 事案の概要
(2) 確定判決と有罪の要旨
(3) 再審無罪判決の要旨
(4) コメント
七 自白が最大争点となった事例
【35】財田川事件
(1) 事案の概要
(2) 確定判決
(3) 再審申立の経緯
(4) 再審無罪判決の要旨
(5) コメント
【36】島田事件
(1) 事案の概要
(2) 確定判決
(3) 再審申立の経緯
(4) 再審無罪判決の要旨
(5) コメント
【37】貝塚事件
(1) 事案の概要
(2) 確定判決
(3) 再審申立の経緯
(4) 再審無罪判決の要旨
(5) コメント
【38】松橋事件
(1) 事案の概要
(2) 確定判決
(3) 再審申立の経緯
(4) 福岡高裁が再審開始決定を支持した理由
(5) コメント
第二 再審請求が認められなかった事例
【39】名張毒ぶどう酒事件第七次再審事件
(1) 事案の概要
(2) 確定判決
(3) 再審申立の経緯
(4) 捜査経過と自白の概要
(5) 再審開始決定の要旨
(6) 異議審の再審棄却決定
(7) コメント
【40】白鳥事件
(1) 事案の概要
(2) 再審申立の経緯
(3) 札幌高裁の再審開始申立棄却の要旨
(4) コメント
【41】江津事件
(1) 事案の概要
(2) 確定判決
(3) 異議審決定の要旨
(4) コメント
【42】日産サニー事件
(1) 事案の概要
(2) 確定判決
(3) 再審申立の経緯
(4) 仙台高裁の棄却決定の要旨
(5) コメント
【43】福井女子中学生殺人事件
(1) 事案の概要
(2) 確定判決
(3) 再審申立の経緯
(4) 名古屋高裁の棄却決定の要旨
(5) コメント
第三 再審裁判係属中の事例
【44】狭山事件第二次再審事件
(1) 事案の概要
(2) 確定判決
(3) 再審申立の経緯
(4) 第二次再審請求棄却決定の要旨
(5) コメント
【45】鶴見事件
(1) 事案の概要
(2) 確定判決
(3) 再審申立の経緯
(4) 争点及び第一次再審棄却の要旨
(5) 控訴審の判断
(6) コメント
【46】マルヨ無線事件
(1) 事案の概要
(2) 確定判決
(3) 再審申立の経緯
(4) 第六次再審請求棄却決定の要旨
(5) コメント
【47】小石川事件
(1) 事案の概要
(2) 確定判決
(3) 再審請求の理由
(4) コメント
【48】姫路郵便局事件
(1) 確定判決
(2) 確定審の経過
(3) 神戸地裁姫路支部の再審開始請求棄却の要旨
(4) 大阪高裁の差戻決定の要旨
(5) 差戻審の神戸地裁の棄却決定
(6) コメント
【49】恵庭事件第二次再審事件
(1) 事案の概要
(2) 確定判決
(3) 再審申立の経緯
(4) 札幌地裁の第二次再審請求棄却の要旨
(5) コメント
【50】日野町事件
(1) 事案の概要
(2) 確定判決
(3) 再審申立の経緯
(4) 原一審と原控訴審の有罪理由の比較と再審開始決定
(5) コメント
【51】大崎事件第三次再審事件
(1) 事案の概要
(2) 確定判決
(3) 再審申立の経緯
(4) 再審開始決定の要旨
(5) コメント
【52】難波ビデオ店放火・殺人等事件
(1) 事案の概要
(2) 確定判決
(3) 再審申立の経緯
(4) 大阪高裁の棄却決定の要旨
(5) コメント
【53】豊川事件
(1) 事案の概要
(2) 確定判決
(3) 再審申立の経緯
(4) 名古屋高裁の逆転有罪の要旨
(5) コメント
【54】三鷹事件
(1) 事案の概要
(2) 確定判決
(3) 再審申立の経緯
(4) 東京高裁の棄却決定の要旨
(5) コメント
【55】袴田事件第二次再審事件
(1) 事案の概要
(2) 確定判決
(3) 再審申立の経緯
(4) 原一審及び原控訴審の有罪の要旨
(5) 再審開始決定の取消
(6) 最高裁の差戻決定
(7) コメント
第四章 再審裁判事例から学ぶべきこと
はじめに
第一 自白をめぐる問題
はじめに
一 自白の証拠能力
1 違法収集証拠について
(1) 任意同行が問題となった事例
(2) 別件逮捕・勾留が問題となった事例
(3) 別件起訴後の勾留を利用した本件の取調が問題となった事例
(4) 複数の別件で身柄拘束を連続した事例
2 自白の任意性について
(1) 判断基準
(2) 身柄拘束された者の取調に応ずる義務
(3) 取調官の証言と録音・録画の必要性
(4) 再審裁判事例で自白の任意性を否定した事例
(5) 自白の任意性を消極的に肯定して信用性判断の事情とした事例
(6) まとめ
二 自白の信用性について
1 虚偽自白が作られる原因
(1) 日野町事件の再審開始決定が説示する虚偽自白が作られる原因
(2) 再審裁判事例で提出された自白の真偽に関する鑑定
2 自白の信用性の判断
(1) 判断基準
(2) 秘密の暴露
(3) 犯人なら当然知っていなければならない事実が含まれているか
(4) 「大筋論」に対する留意点
3 共犯者間の自白の信用性について
(1) 判断基準
(2) 共犯事例の検討
4 自白の補強証拠についての再審裁判事例の検討
(1) 自白の信用性を肯定した場合に限られる
(2) 棄却事例における補強証拠の存在を肯定した事例
第二 全ての誤判の端緒は捜査にある
一 捜査機関の意図的でっち上げ
1 徳島ラジオ商殺し事件(【5】)
2 ロシア人銃刀法違反事件(【6】)
3 窃盗事件(【7】)
4 捜査機関が証拠を改ざんした事例
(1) 弘前大教授夫人殺人事件(【8】)
(2) 松山事件(【38】)
(3) 袴田事件(【55】)
(4) 日野町事件(【50】)
5 まとめ
二 捜査の軽率なミス
1 身柄拘束中で犯行不能であった事例
2 真犯人に名を騙られて被告人にされた事例
3 虚偽告訴で被告人にされた事例
4 身代わり犯人の事例
5 心神喪失者に有罪判決を確定させてしまった事例
6 真犯人出現の事例
7 戦前と戦後で違いがあるか
第三 引き込み供述をめぐる問題
一 引き込み供述の危険性
二 引き込み供述をめぐる事例検討
第四 第三者の供述をめぐる問題
一 区分
二 目撃者供述の事例検討
三 情況証拠に関する第三者の供述
第五 鑑定に対する過度な信頼の危険
一 鑑定は一級証拠
二 再審裁判事例での鑑定等の検討
1 血液鑑定(精液鑑定も含む)
2 創傷、死因に関する鑑定
(1) 自白の補強証拠にすることを否定した事例
(2) 自白の補強証拠にすることを肯定した事例
3 指紋・足跡に関する鑑定
4 火災の原因等に関する鑑定
5 その他の鑑定
6 鑑定書等をめぐる問題点
第六 情況証拠をめぐる問題
一 情況証拠とは
二 再審裁判事例の検討(自白がない場合)
第七 冤罪を無くすために
一 法曹実務家の責任と役割
二 捜査弁護活動の重要性
1 できる限り多くの被疑者接見
2 取調状況の証拠化
(1) 房内ノートの作成・手紙による交信
(2) 接見報告書の作成
3 準抗告制度・勾留理由開示請求制度の活用
(1) 勾留に対する準抗告等
(2) 勾留理由開示制度
4 内容証明郵便等による抗議・電話による抗議の録音
5 証拠保全手続の活用
三 反証活動の充実
1 証拠開示制度の活用
2 防御対象を絞り込むための求釈明の活用
3 証拠能力・証明力についての立証活動
(1) 証拠物、鑑定等の信用性を争う準備
(2) 伝聞証拠の信用性を争う準備
(3) 自白の証拠能力を争う準備
(4) 取調官尋問に対する準備
(5) 証拠調べに関する異議と証拠意見
4 自白の信用性に関する立証活動
(1) 自白の筋の自然性・合理性についての検討
(2) 客観証拠との整合性の検討
(3) 自白の縦横の関係の分析
5 尋問技術の習得
6 アナザー・ストーリーの構築と弁論
(1) 弁護人の総括的意見の開示
(2) 弁護人の創造性、論理性が問われる
おわりに