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チリ
Chile
チリは近年安定的な経済成長を続け、2010年5月には経済協力開発機構(OECD)に加盟するなど比較的高い所得水準にあります。経済成長を背景に新しいドナーとして南南協力に取り組んでいる一方で、経済開発や人口集中に伴い顕在化してきた大気汚染、水質汚濁、廃棄物などの公害問題や気候変動問題への対応等が課題となっています。また、チリは我が国と同じ地震国であり、津波や災害警報など防災分野での協力ニーズが特に高いことから、JICAは、(1)防災を中心とする環境対策、(2)南南協力支援を重点分野として支援しています。
Project プロジェクト
JICAがチリで実施する事業・プロジェクトの情報を提供します。
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持続可能な漁業を実現する高付加価値バイオ素材の有効利用プロジェクト
チリは海洋資源に富む世界有数の漁業国です。民間企業等により食品加工の技術開発が進められてきましたが、魚介物は不可食部の割合が大きいため、同州における加工工場から発生する骨、内臓、皮膚、殻等の水産廃棄物が年間1.4万トン発生しています。この廃棄物は埋め立て地に生活ごみと一緒に捨てられ、沿岸地域・陸上の環境汚染につながっています。 本事業は、チリ・コキンボ州において、水産廃棄物からの高付加価値バイオ素材の特定、高純度バイオ素材の製造プロセスの確立、新規バイオ材料の開発により、高付加価値バイオ素材の技術・製造基盤の確立を図ります。これをもって水産資源に関する地域循環型エコノミーの構築を通じた水産廃棄物の再利用促進を目指します。 【上位目標】 チリにおける水産資源に関する地域循環型エコノミーの構築を通して水産廃棄物の再利用が促進される。 【プロジェクト目標】 水産廃棄物を用いた高付加価値バイオ素材の技術・製造基盤が確立する 【成果】 成果1 水産廃棄物に含まれるバイオ素材の品質評価が確立され、高付加価値バイオ素材が特定される。 成果2 高純度バイオ素材の製造プロセスが確立する。 成果3 高純度バイオ素材から合成される新規バイオ材料が開発・評価される。 成果4 高純度バイオ素材製造のためのサプライチェーン関係者のネットワークが強化される。
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津波に強い地域づくり技術の向上に関する研究
チリは日本同様、環太平洋地震帯に位置する地震・津波多発国です。2010年にはマグニチュード8.8の大地震が発生し、津波が甚大な被害をもたらしました。しかし、同国には津波に関する知見の蓄積が十分ではないため、警報の遅れや漂流物による2次的被害など、多くの課題を残しました。この協力では、津波被害推定技術や精度の高い津波警報手法などの開発、津波被害に強い地域・市民を作るためのプログラムの提案などを支援します。これにより、チリにおける津波対策の強化を図ります。
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貝類増養殖開発計画F/U
チリの水産業は、乱獲などによる水産資源の減少、漁民の慢性的貧困、漁村の過疎化などの問題に直面し、資源管理型漁業への転換と漁民の収益向上が大きな課題となっていました。この協力では、同国第10州に位置するチンキウエ公社に対し、現地の自然・社会・経済条件などに適し経済価値のあるマガキとムラサキヒヨクの増養殖技術の開発などの人材育成を支援しました。これにより、経済価値のある貝類を主体とした種苗の計画生産体制が確立され、同州の小規模漁民や中小規模養殖業者向け増養殖技術の普及に寄与しました。
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鉱害防止指導体制強化プロジェクト
チリは、銅やモリブデン、金、炭酸リチウム、硝酸塩類など世界的な鉱物の産出国です。同国政府は鉱業にかかる環境問題が適切に処置されることが重要であるとし、環境保全に関する政令を制定していますが、推定約4,000におよぶ休廃止鉱山はその実態が把握されないまま放置されており、河川・湾の水質汚濁、酸性排水による土壌汚染などによる農産物や住民への被害が懸念されていました。この協力では、鉱業省地質鉱山局に対し、休廃止鉱山の実態把握や環境への影響を含む情報データベースの整備、さらには鉱業環境影響評価などについての技術の移転を支援しました。これにより、同国の休廃止鉱山による鉱害を防止し、環境被害の減少に寄与しました。
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中南米防災人材育成拠点化支援プロジェクト
チリを含む中南米には、地震、津波、ハリケーンや洪水など様々な自然災害に見舞われる国々が多数存在します。日本は同国に対し、地震・地殻変動システムの観測強化や津波への対応力の強化、災害リスクを踏まえた国土計画づくりなどの技術協力による支援を通じ、同国の防災力強化に貢献してきました。この協力では、同国が中南米域内の地震・津波を中心とした防災専門家育成の拠点となるよう、防災専門家育成に必要となる調整業務を行うための仕組みの構築などを支援します。これにより、中南米域内国の防災専門家の能力およびネットワークが強化され、域内国の防災主流化の促進に寄与します。
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食品安全国家プログラム強化プロジェクト
チリの食品産業界は、生産量の増加や多様化、新技術の導入により変化が著しいにもかかわらず、衛生管理システムがこれに対応できていない状況です。同国政府は食品衛生規則を制定し、食品中の化学物質や農薬などの基準値を設定するなど、各種法整備を行い衛生管理規則の強化を行ってきましたが、食品産業界の指導・監視の役割を担う食品衛生監理官の能力不足が課題となっていました。この協力では、厚生省および公衆衛生研究所(ISP)を中心に、同国における食品安全行政システムの機能強化のための技術支援や人材育成を実施しました。これにより、同国内で流通する食品の安全性が向上し、消費者の健康増進に寄与しました。
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災害リスク軽減のためのONEMI組織強化プロジェクト
チリは、地震、津波、火山噴火、洪水、森林火災などの自然災害が多い国のひとつです。内務公共治安省国家緊急対策室(ONEMI)では、1974年に設置されて以降、防災関係者の能力向上を図ってきましたが、2010年2月に地震・津波が発生した際には、災害対応を行う関係機関間での情報伝達や意思決定が適切に行われず、人命と経済に甚大な被害が生じました。この協力ではONEMIにおいて、防災機関として行うべき業務の優先付け、ナレッジマネジメントセンターのコンセプトと戦略の策定、防災人材育成・能力開発の構築を支援することにより、防災実施能力の強化を図り、「仙台防災枠組」の推進に寄与します。
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チリにおける持続可能な沿岸漁業及び養殖に資する赤潮早期予測システムの構築と運用
チリの南部では養殖事業が行われ、住民の雇用創出・生活水準向上に貢献しています。近年、大規模な赤潮が発生し、主要産業のサケ養殖だけでなく貝養殖などの沿岸漁業に深刻な被害が生じています。赤潮発生メカニズムについては不明な点が多く、具体的な対策立案には至っていません。この協力では、日本の知見や経験を活かし、赤潮の発生メカニズムを解明し、赤潮モニタリングキットを開発して、赤潮早期予測モデルを開発します。赤潮対策のための産官学連携体制を構築し、赤潮の早期警戒と被害予防に貢献する情報伝達システムの確立と運用を目指します。
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技術協力、有償資金協力(円借款)、無償資金協力、草の根技術協力それぞれのプロジェクト情報は以下からもご覧いただけます。
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