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タイ
Thailand
タイの一人当たりGNIは5,960ドル(2017年)で既に中進国となっておりますが、産業競争力の強化、高齢化対策、環境・気候変動対策及び周辺国とのコネクティビティ強化といった課題を抱えています。タイに対する協力重点分野は、持続的な経済の発展と成熟する社会への対応、ASEAN域内共通課題への対応、ASEAN域外諸国への第三国支援の3つです。競争力強化に向けたインフラ整備、高付加価値化・生産性向上に向けた産業人材の育成、気候変動への対策や、国家及び地方レベルでの環境分野への取り組み、高齢者への介護サービスの改善等、中進国となったタイが抱える課題に対する協力を実施しています。
Project プロジェクト
JICAがタイで実施する事業・プロジェクトの情報を提供します。
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天然ゴムの種子(写真提供:兼橋) 未利用天然ゴムの種の持続的カスケード利用による地球温暖化およびプラスチック問題緩和策に関する研究
タイ王国では、急速な経済発展や都市化により廃棄物の発生量が増加しており、適正な廃棄物管理の実現が深刻な課題となっています。タイは、農業大国であり、天然ゴム生産量は世界1位で、重要な産業の一つです。しかし近年、天然ゴムの価格は、2011年約5ドル/キロを最高値として、2022年には1.88ドル/キロへ低下しており、天然ゴムに関わる農業関係者の収益低下・不安定な労働環境を引き起こしています。 本事業は、タイにおいて、未利用天然ゴムの種子の有用成分の抽出・精製プロセスの確立、グリーンプロダクツの創出を行うことにより、天然ゴムの種子の持続的有効利用技術の産業利用を図り、もってタイにおける気候変動およびプラスチック問題の緩和に寄与するものです。 【上位目標】 気候変動およびプラスチック問題緩和を目指し、天然ゴム農園で発生する未利用天然ゴムの種子の有効利用技術が産業利用される。 【プロジェクト目標】 未利用天然ゴムの種子の持続可能な有効利用技術を確立する。 【成果】 成果1:天然ゴム農園における天然ゴムの種子の持続可能な採取システムを確立する。 成果2:天然ゴムの種子から植物油脂(RSO)の搾油・精製プロセスを確立する。 成果3:天然ゴムの種子からの植物油脂(RSO)の有効利用技術の確立を通じたグリーンプロダクツ創出プロセスを見出す。 成果4:天然ゴムの種子の採取から有効利用までの環境負荷評価(LCA)を行い、GHG排出削減の実効性を試算する。 成果5:社会実装を目指し天然ゴムの種子の持続可能な利用技術確立を通じたメカニズム(ビジネスモデル)を開発する。
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解体されたエンジン 使用済み自動車 (ELV) の適正管理に向けた包括的制度構築プロジェクト
タイ王国は2030年までに国内製造車両の30%を電気自動車にする目標を掲げており、今後タイにおいて乗換需要が高まり使用済み自動車の急増が予想されますが、適正管理のための制度・体制が構築されていません。不適切な解体・処理によって、廃油・廃液・廃材による土壌汚染・水質汚濁といった環境汚染、さらにはフロン類の大気放出によるオゾン層破壊や温室効果促進が懸念されます。 本事業は、タイにおいてELVが適正に回収、リサイクル、処理、廃棄されるメカニズムと実施体制を検討し、パイロットプロジェクトの実施により実現可能性を検証します。これによって、ELV管理制度案と実施計画案策定を図り、もってELV管理制度の構築開始に寄与することを目的とします。 【上位目標】 実施計画に基づき、ELV 管理制度の構築が開始される。 【プロジェクト目標】 ELV 管理制度(案)とその実施計画(案)が策定される。 【成果】 成果 1:ELV管理の問題点や現状について共通の理解を得た上でプロジェクト実施体制が確立される。 成果 2:ELVの回収、運搬、解体、リサイクル、処理/処分の追跡メカニズムが提案される。 成果 3:ELVの回収メカニズムが提案される。 成果 4:ELVのリサイクルメカニズムが提案される。 成果 5:ELV管理制度(案)と実施計画(案)が策定される。 成果 6:ELV管理制度(案)がパイロットプロジェクトの実施を通じて検証される。
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低品位炭とバイオマスのタイ国におけるクリーンで効率的な利用法を目指した溶剤改質法の開発プロジェクト
タイでは、総発電量の約20パーセントを石炭に頼っていますが、さらなる需要増に対応して、低品位の国内炭や輸入炭で賄うことが想定されています。また、増加するバイオマス廃棄物への対策として石炭・バイオマス混合燃焼の検討が進んでおり、発熱量が低いバイオマスの発電効率の改善などが求められています。この協力では、新規技術である「溶剤改質法」を基盤技術として、低品位炭とバイオマス廃棄物を高効率で液体燃料、炭素材料、電力などに転換するための技術開発などを支援しました。これにより、低品位炭およびバイオマスのクリーンで効率的な有効化技術を開発し、もって温室効果ガス排出削減に貢献しました。 【プロジェクト目標】 新規な技術である「溶剤改質法」を基盤技術として、低品位炭とバイオマス廃棄物を高効率で液体燃料、炭素材料、電力などに転換することによって、低品位炭とバイオマス利用の抱える問題を解決すること 【成果】 成果 1:「溶剤改質」による低品位炭とバイオマスの効率的脱水と改質 成果 2:「溶剤改質」と「高効率脱硫・改質」によるバイオマスからの新規 Bio-fuel製造への本改質法の適用性の検討 成果 3:「溶剤改質」で生成する Soluble の機能性炭素材料への変換 成果 4:「溶剤改質」で生成する改質燃料・残渣の高効率・クリーン燃焼・ガス化
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メコン地域人身取引被害者支援能力向上プロジェクト
急速なグローバル化に伴い人々の移動が活発化する中で、人身取引は国境を越えた各国共通の深刻な問題となっています。メコン地域(タイ、カンボジア、ラオス、ミャンマー、ベトナムおよび中国南部)における人身取引の流れにはさまざまありますが、特にタイは、経済発展に伴い、建設業、水産業、水産加工業、性産業を含め安価な労働力への膨大な需要があり、地域内の人身取引被害者の到達国となっています。この協力では、タイ国内で保護された被害者の帰国/帰還や社会復帰支援に係る複数の行政機関を多分野協働チームとして能力強化し、また、周辺国との連携などを通じ、被害者の生活の再建を支援しました。これにより、メコン地域の人身取引被害に対する対策が効果的に行われました。 【上位目標】 大メコン圏諸国において VOT に対する支援対策が効果的に行われる 【プロジェクト目標】 タイ人及び非タイ人VOTとタイ国内で被害に遭った外国人VOTの生活の再建に向けた支援が改善される。 【結果】 1)タイ国内で社会復帰支援に取り組むソーシャルワーカー/ケースマネージャーを中心とするMDTメンバーとVOTから構成される自助グループの社会復帰支援に関する能力が強化される。 2)タイ国内で活動する VOT の帰国/帰還支援に取り組むソーシャルワーカー/ケースマネージャーを中心とする関係諸機関の連携が改善される。 3)タイの周辺国において、VOT の帰国/帰還支援と社会復帰に関わる支援体制が強化される。
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世界戦略魚の作出を目指したタイ原産魚介類の家魚化と養魚法の構築
世界の水産物需要は、人口増加や新興国の経済発展による食生活の変化から、2030年には2億トンに上ると予想されています。しかし、気候変動による環境変化や過剰な漁獲、海洋汚染により、漁業生産量は1980年代後半以降ほぼ8千万トンと横ばいです。供給不足を解消するため、養殖生産量の増加が期待されており、タイでも養殖による魚介類の増産を目指していますが、外来種の養殖が多く、養殖が拡大することで在来魚介類の生態系に悪影響を及ぼすことが懸念されています。また近年では養殖エビの感染症による漁獲量急落が多大な経済的損失を生み、養殖魚の耐病性の強化も課題です。この協力では、タイ原産魚介類(アジアスズキ、バナナエビ)の分子育種技術や、微生物感染症の防除技術、および高付加価値化に向けた新技術の開発と、シードバンクの構築を支援します。
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生物循環グリーン経済実現に向けたウキクサホロビオント資源価値の包括的開拓プロジェクト
タイは、気候変動対策に取り組むとともに、2015年に策定した中進国から脱却するための国家ビジョン「Thailand 4.0」に沿って、「地球規模課題へ対応できる経済」と「革新的技術によるアグリビジネスの市場価値の向上」の両立を目的とする「生物循環グリーン」という経済政策(2021年〜2026年)を推進しています。また、2027年までにASEANにおける「生物循環グリーン」経済のリーダーになる目標を掲げ、産官学連携によりターゲット産業の競争力強化に取り組んでいます。 タイでは昔から地方食材として消費されてきた淡水性浮遊水生植物のウキクサ(サトイモ科ウキクサ亜科)は、産業廃水を養分として生育可能な植物であり、成長が早く、高いバイオマス生産能力と二酸化炭素固定能力を備えており、バイオマス燃料や石油由来製品代替の素材として活用することで、経済成長を阻害することなくエネルギー消費及び温室効果ガス排出を抑えることが可能で、「生物循環グリーン」経済の促進に貢献し得るものとされている。 この協力はタイにおいて、ウキクサホロビオント資源研究センターの創設、ウキクサホロビオントコレクションの創出(ウキクサの機能強化を促す微生物を探索、組み合わせること)、ウキクサホロビオントの機能強化技術と有価物(バイオ燃料、バイオプラスチック、家畜飼料、機能性食品)生産技術の開発、ウキクサホロビオントによる水質浄化システムの開発、及びこれら開発された技術の普及活動を通じて、ウキクサ産業技術の開発と、実用化に向けた研究開発基盤を整え、同センターでの研究活動が継続・発展し、研究がウキクサ以外の生物資源にも適用されるとともに、生物循環グリーン経済促進へ寄与します。
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東南アジア海域における海洋プラスチック汚染研究の拠点形成
タイでは、適切な廃棄物管理が行われていないため、河川等を通じて海洋に流出するプラスチックごみは年間約28万トンにのぼるとされています。海洋プラスチックごみは、生態系を含めた海洋環境の悪化、船舶航行への障害、観光・漁業への悪影響、沿岸域居住環境の悪化等の被害が懸念されており、世界全体による対策の推進が求められています。しかし、その流出経路・分布や海域における現存量及び海洋環境に与える影響など、解明されていない事実が多く、現状把握に向けた科学的知見の蓄積及びそれを可能とする調査・研究体制の整備が国際的に重要な課題となっています。本協力は、海洋プラスチックに係る学術的センター(センターオブエクセレンス(COE))を設立し、同国チョンブリー県サタヒップ郡サメーサン地域において実施するプラスチック量などに係る調査結果に基づき、政府機関に対して政策提言などを行います。これらにより、東南アジア海域における海洋プラスチックの持続可能なモニタリング・管理枠組みを確立し、、海洋プラスチック削減のための具体的な施策の提供に寄与します。
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ゲノム情報や新技術を活用した感染症対策の社会実装プロジェクト
タイは全結核及びHIV関連結核(HIVと結核にどちらも感染している状態)において高負荷国とされています。タイ政府は、結核罹患率の低減と高負荷国リストからの脱却、そしてSDGs3.3(エイズ、結核、マラリア及び顧みられない熱帯病といった伝染病の根絶等)達成に向けて2035年までの終息を目指して結核対策を推進しています。 本事業はバンコクを含む7つの対象地域において、病原体及びヒトゲノム解析能力を活用した疫学調査や個別化治療を実施します。本案件の前進であるSATREPSプロジェクト「効果的な結核対策のためのヒトと病原菌のゲノム情報の統合的活用」の成果がタイの結核対策で活用されることを図り、もってタイ全土の結核関連機関での日常業務に組み込まれることを目指します。 【上位目標】 SATREPSプロジェクトの主な成果、特に結核のゲノム科学および免疫学的研究成果が、タイ全土の結核対策に関わる医療施設での日常業務に組み込まれる。 【プロジェクト目標】 SATREPSプロジェクトの主な成果、特に結核のゲノム科学および免疫学的研究成果が、タイの結核対策において活用される。 【成果】 成果1 対象となるHealthRegionにおいて、SATREPSプロジェクトで強化された結核検査やサーベイランス手法が活用され、薬剤耐性も考慮に入れつつ結核の疫学調査の実施体制が構築される。 成果2 対象となるHealthRegionにおいて、SATREPSプロジェクトの成果、特に結核に関連するヒトゲノムや薬物動態の研究成果を取り入れた結核の個別化治療の実施体制が構築される。 成果3 SATREPSプロジェクトで育成されたゲノム科学やバイオインフォマティクスなどの結核関連科学に関する人材が、結核終息戦略の策定や、他の感染症への応用に必要な科学的根拠の確立に貢献する。
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技術協力、有償資金協力(円借款)、無償資金協力、草の根技術協力それぞれのプロジェクト情報は以下からもご覧いただけます。
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